ポルノグラフィティの好きな歌詞10選・恋愛編

 

 ポルノの歌詞について語ってほしいというおたよりが届きましたので、よっしゃー!という気持ちで書いています。まずは恋愛編から。そのうち別のテーマでも書こうと思っています。

 

 

 

01:ROLL

  

めぐりめぐる君を辿る 僕の探す すべてになった

剥がれ落ちる心が知ってた 愛してる

この空の下でふたり ゆらりゆらり

また風に吹かれ身を寄せ合ってゆく

 岡野さんの書くラブソングのストレートな魅力がすごく出ている歌詞だなと思います。ここで「愛してる」って言葉が出てくるの、すごく強い。

 具体的な場面の表現はひとつもないのって、自分の感情を重ねやすくもあり遠ざかってしまう可能性もあり、諸刃の剣な気がするけど、この曲の歌詞ってもうそういう次元を超えちゃっている感じがする。そういう説得力をもった歌詞を書けるのは岡野さんがボーカリストだからなんだろうなって。

 

 

02:サウダージ

  

あなたのそばでは 永遠を確かに感じたから

夜空を焦がして 私は生きたわ恋心と

 「ROLL」が岡野さんの良さが出ている歌詞だったら「サウダージ」は新藤さんの良さが出ている歌詞だなぁと思います。「アゲハ蝶」もそうだけど、ペルシャ絨毯とか宝石とか、そういう類の美しさがある歌詞って感じがする。

 もう既に「私」と「あなた」の関係は終わっている状態の歌詞なんだけど、それでも「あなたのそばでは 永遠を確かに感じたから」って言えちゃうのがすごい。でもそういうことってあると思う。「グラヴィティ」とかもそうだけど、過ごした時間の濃密さは長さにとってかわることができるというか。多分「あなた」は「私」との時間に永遠を感じていなかったのだろうけれど、「私」が感じたのだからそれは確かな永遠なんだろうと思う。たとえ今、もうその永遠が手元になくたって、確かにそれは「あった」のだ。

 

 

03:パレット

  

今 永遠の恋などと表現して

新しい恋に出会ったとしたら

君は さぁどうしよう 

 「サウダージ」との対比がまた効きますね。でも「サウダージ」のように永遠を感じることも正しいし、その後また新しい恋に出会ったとしても、それもまた正しいのだと思う。「正しい」という言葉が正しいのかどうかわからないけど、正解というか、ねぇ。どちらも間違ってはいないと思う。いいんだよ、永遠を感じた恋のあとにまた新しい恋に出会ったってさ。そのときに感じたことはそれでもう完結しているんだから、そのあとで矛盾したって別にいい。

 生きていくっていうのは多分そういうことなんだと思う。

 

 

04:夕陽と星空と僕

  

君の形 僕の形 重ねてはみ出したものを

わかり合う事をきっと愛とか恋と呼ぶはずなのに

 もうね……傑作ですよね……これがこの世の真理ってやつか……って思っちゃう。少なくとも愛や恋についてはこれが真理のひとつであると断言できる。そりゃあファン人気も高いよねって納得する。

 重ねたときに重なった部分に目を向けがちじゃないですか。婚活のCMとかでも好きなものが一致したときにこの人だ!みたいな演出になるし。でも多分それだけじゃなくて、重ねたときに重ならなかった部分を互いにどう思うかが大切なんじゃないかなぁと、年々感じるようになってきました。そのときにこの曲を思い出しては真理だなぁと実感します。私にはないあの人のここが好きだなと思ったり、ギャップを感じながらも受け入れたり、そういうことが大切なんじゃないかなぁ。「君」と「僕」はそれができなかったんだろうね。その切なさも含めてすごくいい歌詞。

 

 

05:この胸を、愛を射よ

  

本当は君のために出来ることなどなくても

他の誰より強く思っているのは本当

ほんの少し勇気が必要な時には

いつだって君のほんの少しになろう

 この曲の歌詞、ありえないほど大それたこと言うんですよ。「雷がまさに君を貫こうと唸ってるなら 切り立ったビルに僕が登って その的になろう」「狼の群れが君の眠りを狙ってるなら この身を差し出しても 安らかな夢を君に」とか。ねぇ。決して言葉数が多くない歌詞の大半を大それたことに割いてるんですよ。

 んで、最後に出てくるのが引用した部分。散々大それたこと言っておいて「本当は君のために出来ることなどなくても」って。でも実際そうだよね。雷も狼も別に「君」のこと狙ったりしないというか、そもそも現れない。そういう「物語」みたいなものは、私たちの「日常」にはそうそう出てこない。やけにドラマチックな歌詞だなって思うかもしれないけど、それが最後の最後に「日常」の視点がくることでめちゃくちゃ活きてくる。「ほんの少し勇気が必要な時には いつだって君のほんの少しになろう」っていう言葉が響く。ドラマチックな「物語」の歌詞と「日常」の視点の対比が良すぎてずっと好きな歌詞です。

 

 

06:空が青すぎて

  

悲しみにもなれない名もない感情は

涙でも流れずに降り積もる

なぜこんな淋しい場所にいるんだろう

一人では空が青すぎるのさ

 この歌詞、何があったのかは少しも語られないんですよ。君と僕がいてなんらかの理由で離れることになったんだろうということしかわからない。だからこそ普遍的で感情を重ねやすいのかも。新藤さんの歌詞の技術のすごいところだな……って聴くたびに思います。

 そのうえ、引用した部分の「悲しみにもなれない名もない感情」っていうのすごくないですか?恋をしていた相手と離れて、たぶん悲しみという感情もあっただろうけど「悲しみにもなれない名もない感情」に焦点を当てるんですよ。「悲しみ」じゃないけど、その他どの感情でもない、名づけようのない感情。誰かとの別れだけじゃなくていろんな場面で出会うその感情を聴き手は重ねてしまうわけじゃないですか……本当にすごいなって思う。「涙でも流れずに降り積もる」んですよ。私にも覚えがあります。この「わかる」って思わせる力がすごい。そして更に「一人では空が青すぎるのさ」ですよ。抜けるような青い空ってさびしいんですよ。技術・観点・共感性、なにもかもが素晴らしい歌詞です。

 

 

07:We Love Us

  

It's gonna give you all you need.

いくつかの困難を越えて

We Love me, and so we love you.

手にした素晴らしい平凡 

 恋愛ってドラマチックなほうがいいような気がしちゃうじゃないですか。そっちのほうが「物語」になるというか。人間は「物語」が好きないきものなので、そこに何かを見出したくなってしまう。本当はそんなことばかりじゃないのに、テレビを見たり映画を見たり音楽を聴いたりしているとそこには「物語」があふれていて、「物語」のない自分の人生が、つまらないもののように思えてきてしまう。

 でも、私たちは「日常」を生きている。「日常」ってそんなに波乱万丈じゃやってられないでしょう。それは「非日常」になってしまう。何も起きなくて、その代わりにしっかりと地に足をつけて進んでいく、そんな「素晴らしい平凡」。ポルノの歌詞って「日常を生きる人々」に対して肯定的なものが結構あると思うんですが*1、これもその一つだと思います。

 不思議だよね、ポルノって誰でも名前を知っているようなバンドなのに、「日常を生きる人々」に寄り添う姿勢を決して失わない。すごい人たちなのに、そのすごさをあんまりにじませないというか。親近感があるままで居続けているというか。これからもそうあってほしいなと思います。

 

 

08:ラビュー・ラビュー

  

僕がからかってキスするの嫌がったら

事の重大さに打ちひしがれていた

僕は本当いっしょうけんめい愛されてるね

 ポルノの歌詞に出てくる女の子のなかで、一番「こういう女の子に見えていたらいいな」と思った女の子が「ラビュー・ラビュー」の子です。めちゃくちゃかわいくないですか?等身大で生きている感じがしてすごく好きです。ちょっとウザそうなところも込みですごくかわいい。何より新藤さんがこういう女の子の出てくる歌詞を書いているのがさ……恋なんだよな……

 実際自分がこういう女の子かどうかはわからないですけど……近からず遠からずってところなのかな。まぁ、夫しか知らない秘密にしておきます。

 

 

09:夜間飛行

  

美しい横顔 そっと見つめる

その唇の端にシガレット

紫に煙る 君の気持ちが

Oh, carry on, carry over

愛であるように 私は耳を澄ましている  

 どこか一部分を引用しても意味ないけどあえて挙げるならここかな……一番サビでは「君」の様子を「シガレット」「紫に煙る」=視覚で表現しているのに私の行動は「私は耳を澄ましている」=聴覚なんですよ。この違和感がめちゃくちゃよくないですか?煙を吐くときってなんらかの言葉(あるいは吐息)を伴うんじゃないかと思うんだけど、だから「耳を澄ましている」なのかなぁって読ませるこの行間。違和感が違和感でなくなる。ね……めちゃくちゃいいでしょう……

 2番サビは「外さないままの腕時計」「音もなく時を刻んでいるの」ときて「私は耳を塞いでいる」。音がしないのに。「私」が拒んでいるのは時の流れだけではないのかなぁとかいろいろ想像してしまう。聴き手に想像の余地を残しまくりながらも物語の大筋はしっかり形作られている。すごすぎるでしょ……

 「私」と「君」というのも、同い年か「君」のほうが年下なのかなとかね。浮気とか不倫か、それか体だけの関係なのかなとか、本当に想像の余地がすごい。体験として自分を重ねる歌詞もあるけど、こういう歌詞はフィクションとしてめちゃくちゃ好き。

 

 

10:ロマンチスト・エゴイスト

  

臆病な猫を つれて帰ろうかな

あたたかいベッドで寝かしつけようかな

僕の前じゃムリして笑わなくていい 

 これは体験も込みでめちゃくちゃ好きな歌詞。新藤さんの結婚が発表された日、私は高校生で朝から授業中も通してずっと泣いてたんですよ。高校生で初恋の人が結婚したら泣くじゃないですか。「A New Day」「約束の朝」は奥様の影響もあって書かれた歌詞なのかなぁとか思ったりして。マジで一日中号泣してた。そしたら友達から見舞金が出て、みんな忙しいからカラオケ付き合えないけど行ってきなよって。まぁ見舞金握りしめて歌いに行くわけですよ。新藤さん作詞の恋愛の曲(それも失恋の曲)ばかり入れて。いくらか気持ちも落ち着いて、最後の一曲として入れたのがこれ。「僕の前じゃムリして笑わなくていい」ってあんたのせいで泣いてんだわ!!!!!!!ってまた号泣。人間ってこんな泣けるんだなって思いました。聴くたびにあのときの気持ちを思い出しては、そんなこともあったなぁと思う曲です。

 

 

 

 Spotifyでプレイリストも作ってみました。よかったら聴いてみてください。

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 どうしても新藤さんの歌詞が好きなので偏ってしまった……岡野さんの歌詞も好きですよ!でも恋愛の歌詞だと新藤さんのほうが好きになる確率が高いのかもしれない。私は技術的な歌詞にくらくらしがちなので、そういうのも込みでのセレクトになりました。泣く泣く選外にしたものもあります。あなたの10選も教えてほしいな〜!

*1:「幸せについて本気出して考えてみた」を筆頭に結構あると思う