ポルノグラフィティ全曲感想4:2003年

 綴少女が小学校を卒業し、中学生になる年。小学校を卒業するなんて嘘だと思っていたし、卒業式の日の朝にこの先たぶん全部夢だなと思ったのを覚えている。ずいぶん長い夢だ。そんな長い夢のなか、綴少女は初めてCDが「買える」ということを知る。

 

 

 

2003.02.05 10thシングル「渦」

053.渦

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 この作品からしばらくはコピーコントロール(CCCD)というやつだったはず。

 このあたりから綴家にPCが導入され、最新の情報をゲットすることができるようになり、ポルノの新曲を「追う」=事前にチェックして聴くということをするようになる。ポルノの新曲がドラマの主題歌になるらしい、という情報を得て、「渦」を聴くためにテレビの前で第一話を待機した覚えがある。親に見つかると夜更かしを怒られるので、寝室に置いてある小さなテレビで音を最小にして(イヤホンをもってないので)耳を当てて聴いた。それで聴こえたのかって言ったらろくに聴こえなかったけど、なんとなく聴こえる岡野さんの声に「新曲だ!!!!!」と思った記憶がある。

 基本的には3/4拍子の曲だが、間奏では2/4になったりするのでその落ち着かなさを耳で追うのが楽しい。本間さんのつくるポップでキャッチーな曲もすごく好きだけれど、Tamaさんのつくる骨太な楽曲の良さもわかるようになってきた頃にこの曲が出て、すごく良かったなと思う。

 

054.ワールド☆サタデーグラフティ

  作詞:新藤晴一/作曲:ak.homma

 「渦」のような重たくてねばっこい曲とポップでキャッチーなこの曲が一枚のシングルの中に共存するのがポルノ。岡野さんの歌声がどっちにもすごく合うのがすごいなといつも思う。声色が全然違うというわけではないのに、曲にぴったり合っている。

 この曲のラストの歌詞は「明日はきっといい日さ」だが、それに関して新藤さんが『自宅にて』で語っていたのが印象深い。

 

055.蝙蝠

  作詞:新藤晴一/作曲:新藤晴一

 「渦」とも近い雰囲気をもった作品。どろどろしているわけではないし、ねばっこいわけでもないけれど、ドライな暗さがある。抑えめな歌声がかっこいい。不安になるイントロも、終わった後も耳の中に音が残りそうな終わり方も、この不穏さがいい。

 個人的にはこういう曲調が進化を重ねて「カメレオン・レンズ」に辿り着いたんだと思っている。歌詞に色や動物が出てくるところもそうだけど、曲調自体も近い感じがする。この曲の「僕」は「黒」に染まることを選んだけれど、それで本当に「君」と同じ「黒」になれたのかなぁ。どうなんだろう。

 

渦

 

 

 

2003.02.26 4thアルバム『WORLDILLIA』

 リアルタイムではないが、初めて買ったアルバムのひとつ。多分2003年末くらいに買ってるはず(クリスマスプレゼントとして『WORLDILLIA』『ロマンチスト・エゴイスト』を買ったんだと思う)。

 歌詞カードが縦に開くタイプで面白いなぁと思ったのを覚えている。

 

056.CLUB UNDERWORLD

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 か、かっこいい~~~!!!こんなオシャかっこいい曲から始まるアルバムなんて名盤に決まっているじゃないですか!ジャズっぽさとか猥雑な雰囲気とか、全部が全部かっこいい。74ersでの新藤さんのギターソロが死ぬほど格好良くて、生でこれを見られなかったことを一生恨んで生きていきます。

 

057.惑星キミ

  作詞:岡野昭仁/作曲:岡野昭仁

 「惑星キミ」というタイトルのセンスが最高。正しさを求めれば地球で言う月は衛星なので「衛星キミ」なんだけど、いいんですよ「惑星キミ」で。

 この曲が2曲目にきていることで、なんとなく今までのアルバムと雰囲気が違うんだなということがわかる気がする。前作『雲をも掴む民』はロック寄り、その前の『foo?』がポップ寄りだとすると、『ロマンチスト・エゴイスト』並みに色とりどりの楽曲が収録されている感じがする。それを印象付ける楽曲が『惑星キミ』だと思う。

 74ersでこの曲を歌っている岡野昭仁が圧倒的美。最後に指をくるくる回しているところ、世界に神様とかいうやつがいたらこの人みたいなのかもしれないなぁと思った。

 

058.元素L

  作詞:新藤晴一/作曲:ak.homma

 読みは「エレメントエル」。「L」は「LOVE」の頭文字だったと思う。

 曲は春のあたたかさが感じられるようなアレンジになっていて、4月あたりの暖かい日にはいつもこの曲を思い出す。春のにおいがしそうな曲。スピッツの「春の歌」もそうだけれど、歌詞をおいといてもアレンジとメロディで「春」を表現できるのってすごいと思う。

 「好きな人に好きと言うだけで なぜこんなにも大変なのだろう」という一文があまりにも名文。

 

XXX.Mugen

 051.Mugen 参照

penguinkawaii.hatenablog.com

 

059.デッサン#3

  作詞:新藤晴一/作曲:新藤晴一

 現時点(2019年5月)でのデッサンシリーズ最後の作品。女性目線の歌詞になっていて、しっとりと切なく、そしてあたたかな雰囲気もある曲。「大樹のような迷路で 折れた枝に辿り着いた」ってすごく悲しくて綺麗。二人の関係の辿り着く先をそんな言葉で表現するなんて素敵すぎない?好き。「おだやかな春の途中」という歌詞で終わるのがすごく好き。言葉数が多くないときほど新藤さんの歌詞の洗練されたセンスが活きる。単純に失恋の歌だからというわけではなく、「サウダージ」と通ずる部分もあるような気がする。

 

060.ヴィンテージ

  作詞:岡野昭仁/作曲:岡野昭仁

 聴き手の胸を貫くようにまっすぐに強い歌詞とまっすぐに強いメロディで、岡野さんの詞曲のいいところが出まくっている作品。ベストにも収録されたし、人気の高い楽曲のひとつであることは間違いないだろう。

 どこがどういいのか言葉にするのは難しいけれど、歌詞にもあるように「I say I love you 胸貫くような 強烈な声で言ってあげられるから」というのがこの曲の本質なのかなぁと思う。岡野昭仁というボーカリストの「強烈な声」を素材のまま活かすようなメロディと歌詞で、歌唱・メロディ・歌詞の三位一体感がすごい。

 

XXX.ワールド☆サタデーグラフティ(★★★)

 054.ワールド☆サタデーグラフティ 参照

 

061.素晴らしき人生かな?

  作詞:岡野昭仁/作曲:Tama

 あれだけ「ヴィンテージ」で強い歌声だったのに、一転して気だるげな感じになる。さっきあんなに強烈な歌詞を書いていたのにこのやる気のいまいちない感じ……この両極端なところがこの頃の岡野さんにはあるなぁと思う。これ以降ってこういう気だるい曲はあんまり生まれていないような。

 このアルバムの岡野さんは七変化というか、いろいろなタイプの歌い方をしているなぁという印象がある。

 

062.朱いオレンジ

  作詞:岡野昭仁/作曲:岡野昭仁

 THE鬱。「n.t.」系列。展開してもその先には「僕」しかいない、どこまでも「僕」と向き合う歌詞。岡野さんの歌詞が内省的って言われたりするのはこういう曲が時折あるからだろう。自分に囚われてどこにもいけない牢獄みたいな曲だなと聴くたびに思う。今はそうでもないけど思春期にこれを聴くと死にそうで怖かったのであんまり聴けなかった覚えがある。

 

XXX.Go Steady Go!

 052.Go Steady Go! 参照

 

063.カルマの坂

  作詞:新藤晴一/作曲:ak.homma

 あの頃の私たちはこの曲の物語を小説にしたり漫画にしたりイラストにしたりすることに夢中でした。書いたことのない同世代なんていないのでは?と思うくらい。自意識が芽生え始めた思春期の子どもには刺さりすぎる。劇薬。

 歌詞というものは「僕」や「君」のものだと思っていたので、「ある時代ある場所」から始まり少年と少女の物語を描く歌詞が衝撃的だった。しかも、少年も少女も救われることがないまま「お話はここで終わり」という悲しさ。ていうか少年が死なないままに空腹を思い出しているのがつらい。こんなつらくて美しいものを描いてしまうなんて。ひどい。好き。

 メロディもすごく凝っていて、サビは長調になっていてそれ以外は基本的に短調だったり、さりげない転調のやばさが詰まっている。楽譜が載っている雑誌を買って、「コード」というものを私が初めて意識した場面でもあった。曲の終わりの「ファミレドシシラ」って音についてる和音が重くて、こんな重い音をくっつけてるのかよ!って衝撃だった。本間さんはやばい。明るいサビのあとに「お話はここで終わり」の暗いメロディを連れてきてしまうなんて。やばい。ていうか唯一明るくなるサビにあんな悲しい歌詞を書く新藤晴一もやばい。

 「74ers」の少年と少女のイメージってここからきているのかなと思ったりもする。だとすると少女の方が少し年上なのかなとか、いろいろと想像の余地がある曲。

 新藤晴一という伝説の一端を担う楽曲であることは間違いないのでもしまだ聴いたことのないポルノ初心者がいたら絶対聴いてほしい。

 

064.didgedilli(inst.)

  作曲:新藤晴一

 ギターインスト。死ぬほど恰好いい。ギターヒーロー新藤晴一を称える曲。

 

XXX.渦(Helix track)

 053.渦 参照

 

065.くちびるにうた

  作詞:新藤晴一/作曲:新藤晴一

 「夜明けまえには」「夜はお静かに」とアルバムの最後は「夜」をイメージした楽曲が続いていたが、この曲でも「夜」が描かれる。アルバムの最後に「長い夜が明ける」という歌詞がくるの天才すぎじゃない?私たちが今まで聴いてきた曲たちは「長い夜」だったのかもしれない。最高。フィクションとリアルを重ね合わせるのが得意なんだろうな新藤さんは。

 都会の空のことを指して「星の降る夜空など とうに絶滅した」って歌っているんだと思っているけど、このイメージは「ラック」でも描かれている。

 『WORLDILLIA』は猫にはじまり猫に終わるアルバムとして収まりもいい。

 

WORLDILLIA

WORLDILLIA

 

 

 

2003.08.06 11thシングル「音のない森

 イントロとなる楽曲「awe」・「音のない森」・アウトロとなる楽曲「sonic」、という構成のシングル。

 

066.awe

 作曲:岡野昭仁

 森に迷い込んだ感を描く楽曲。怖い。

 

067.音のない森

  作詞:岡野昭仁/作曲:岡野昭仁

 THE鬱。岡野さん詞曲が初めてシングルに!と盛り上がっていたらめちゃくちゃ鬱な曲が来たので心配した。聴いてみると、最終的に「抜け出そう」と歌っていて、まだ抜けてないじゃん……と戦慄した。

 ライブでは間奏が長いバージョンで演奏されることもある。変拍子だし岡野さんの叫び声も入ってくるしで怖い。聴いていてめちゃくちゃ不安になる。情緒をもっていく楽曲なので私のような情緒不安定な人は要注意。好きだけど。

 

068.sonic

 作曲:岡野昭仁

 森から抜けた感じを表現しているはずだが、やっぱりちょっと怖い。

 

音のない森

音のない森

 

 

 

2003.09.26 12thシングル「メリッサ」

 私が人生で初めて買ったCD。どうしても「新藤晴一が書いたイラストのジャケット」を手に入れたかった。紙パッケージなのでボロボロになっているが、宝物。死んだら一緒に焼いてほしい。

 

069.メリッサ

  作詞:新藤晴一/作曲:ak.homma

 みんな大好きメリッサ。この曲に人生を狂わされた思春期だった。アニメ「鋼の錬金術師」の最初のオープニングテーマで、「君の手で切り裂いて 遠い日の記憶を」という歌い出しの歌詞が自らの手で家を焼き故郷を出ていく得るリック兄弟とぴったり重なる。ぴったり重なるのにそのままの言葉では描かない新藤さんの技が光る。

 PVでは昭仁が道化師、晴一が騎士、Tamaが科学者を演じている。ファンタジー性が強い。物語性も強いものの、そこにどんな物語があるのか詳しくは描かれない。ほとんど見た人の想像に任されている。なのにメリッサの世界観と合っているPVなのがすごい。このシングルのCMの最後に、道化師の岡野さんが微笑みながら白い花を差し出すシーンが使われていたのだが、このシーンに胸を貫かれた人は私だけではないと思う。あれはやばい。

 最近のライブでは「愛に焦がれた胸を貫け」をめちゃくちゃロングトーンで歌う。

 

070.見えない世界

  作詞:岡野昭仁/作曲:岡野昭仁

 もしかしてこの曲もハガレンOP候補だったのかな?と思うくらいには得るリック兄弟っぽい歌詞。

 

071.月飼い

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 す、好き……。好き以外の言葉を失うほど好き。失ってる場合じゃないから語るけど。

 歌詞の中には「死」という言葉を一切使っていないのに、おそらくこの「君」は亡くなってしまったんだろうなということを想像させる。私の中に「月」=死者を乗せてゆく舟、というイメージが根付いてしまったのはこの曲のせい。そして残された「僕」は、「君」の後を追うのではなく「歩くスピードで近づこう」なのがまたいい。新藤晴一の描くやさしい世界ってこういうのなんだよなぁってしみじみ思う。

 あとこの曲は間奏のギターソロがやばい。新藤さんのギターはファンの間では「歌うギター」と呼ばれることが多く、私もそう呼ぶひとりである。新藤さんのギターは歌う。2番サビが終わって「君」がいなくなった世界に「月」と「僕」が残されたままでいて、間奏が終わったCメロでは「月を空にかえした」と続く。そのあいだの「僕」の心情を描くようなギターソロで、これを歌うと言わずしてなんと言おうか。歌うんですよ。月を空へかえすための、その行動に至るまでの心の動きを、ギターソロから感じ取れるんですよ。

 月や星が東から昇り、西へ沈んでいくことをこの曲で覚えた。月を捕まえるエピソード、小さい頃に何かで見た気がするんだけど全然思い出せないまま今に至る。くまのプーさんだったかなぁ……

 ライブ「BUTTERFLY EFFECT」では新藤さんのポエトリーリーディングと併せて披露された。好き。

 

  なんかジャケ写載らないからジャケ写のほうも貼っときます。

メリッサ

メリッサ

 
メリッサ (CCCD)

メリッサ (CCCD)

 

 

 

2003.11.06 13thシングル「愛が呼ぶほうへ

072.愛が呼ぶほうへ

  作詞:新藤晴一/作曲:ak.homma

 ドラマ「末っ子長男姉三人」主題歌。楽曲が解禁になる前にラブソングという情報は入っていて、どんなラブソングかと思ったら「愛」そのものの視点から描いた曲でびっくりした。ラブを描いたソングじゃなくてラブの視点から描いたソングじゃん。「メリッサ」に続いてこの歌詞が出てきてしまう新藤晴一、やばい。「My name is love」、やばい。

 因島でライブを行った際に子供たちと一緒に歌ったり、最近も因島高校の子たちと一緒に歌ったりして、新たな意味を持つ曲にもなった。愛の視点から歌う曲を一緒に歌う、最高に優しい空間が描かれている。

 ちなみに結婚式のエンディングムービーに使ったら号泣モノの出来になったのでオススメです。

 

073.夕陽と星空と僕

  作詞:岡野昭仁/作曲:岡野昭仁

 ファン人気の高い楽曲。私も好き。岡野さんの書く歌詞って時々「真理」としか呼べないものを描いていることがあって、それが凝縮されているのがこの曲だと思う。「君の形 僕の形 重ねてはみ出したものを わかり合う事をきっと愛とか恋と呼ぶはずなのに」という部分、真理でしょ。

 ライブで披露されることも多く、野外で夕暮れから夜になっていく時間帯で演奏されることもある。ポルノはこうやって曲と曲の外にある文脈を合わせていくのが本当に上手い。

 

074.Hard days, Holy night

  作詞:新藤晴一/作曲:ak.homma

 クリスマスソング。かわいいの極み。初めてライブで聴いたとき、こういう曲も嬉々としてやってくれるバンドでよかったと心底思った。ライブでは女性コーラス部分をファンが歌う。楽しいがめっちゃ高い。

 

 

愛が呼ぶほうへ (CCCD)

愛が呼ぶほうへ (CCCD)

 

 

 

 

2003.12.03 14thシングル「ラック」

 10万枚完全生産限定盤で発売されたので手に入れられないのではないかとひやひやした。予約したら普通に買えた。ツアー「74ers」にむけて作られたシングル。

 

075.ラック

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 Tamaさん在籍時ラストシングル。「ラック」とは「欠落」を意味する。

 歌詞も楽曲もロックで、韻を踏んでいるのもかっこいい。ゴリゴリした重たいサウンドが特徴的で、今までのポルノになかった風を感じる。歌詞も今まではあまり使われなかった言葉が多く含まれていて、ラジオで聴いた歌詞を文字に起こして全然違うじゃん!ってなったのを覚えている。みんな「紅茶」「ソーダ」が入ってると思ってたでしょ。

 何度かライブでも披露されているが、「星空さえもひきずり落として 這いつくばせた 街を見ろよ」を「明日を見ろよ」と歌うことが多い。たぶん間違えて覚えているんじゃないかな。でも「明日を見ろよ」もかっこいいのでこれでいい気もする。

 

076.Theme of "74ers"

  作曲:岡野昭仁

 ナウシカ。ライブ「74ers」はこの曲で幕を開ける。

 

077.Anotherday for "74ers"

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 歌詞が英語の4行しかない。「Theme of "74ers"」と合わせ、なかなか他のライブでは披露しにくい楽曲で、私の記憶では「74ers」以来演奏されていない。聴きたい。

 

ラック       (CCCD)

ラック (CCCD)

 

 

 

 

 

 

 053から077まで。2003年はめっちゃ活動してますね。書いても書いても終わらなくてびびった。ちなみに全部で13記事書くことになると思います。