ポルノグラフィティ全曲感想3:2002年

 2002年編です。この頃はまだ小学生で、CDが買えるものだとは知らなかったので、最新作はレンタルしてもらってカセット(カセットって!)にダビングしていました。母にその作業をやってもらっていたものの、母はシングル表題曲以外ダビングしない人だったのでカップリング曲の存在を知ったのはもっとずっと後のこと。

 

 

2002.03.06 8thシングル「幸せについて本気出して考えてみた」

038.幸せについて本気出して考えてみた

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 通称「チェケラ」。新藤さんが提案した。ので私は未だにチェケラと呼んでいる。私の人生を支えた曲。ジャケ写は新藤さんの手書き文字が使われている。「う」の癖の感じとか超好き。

 中学生のとき、今死んだら晴一のギターに生まれ変われるかなぁと考えて橋からぼんやり下を見つめていた。そんな日々だった。笑っちゃうほど古典的ないじめに遭ったときに親から「あなたにも悪いところがあるからそうなる」と言われて、あなたに誉められたくて頑張っていた部分は少なからずあったんだけどなぁ意味なかったなぁと思って家でも泣けないからポータブルCDプレイヤーを鞄に入れて出かけてあてどなく彷徨って「誰だって それなりに人生を頑張ってる 時々はその“それなり”さえも誉めてほしい」と歌われて、私の“それなり”を肯定してくれているように思えた。そのときのことが少しも忘れられないくらい、本当に嬉しかった。救われた、と言って過言ではない。

 誰が誉めてくれなくても私にはポルノがいる。あのときの私を生かしたのは間違いなくこの曲。とかいう重めエピソードはあるが、曲自体はとても楽しい。

 

039.TVスター

  作詞:新藤晴一/作曲:新藤晴一

 チェケラのカップリングでこんな曲を入れてくるところがポルノグラフィティの「ロック」。TVに出て歌うことの葛藤を書いていて、アホみたいにチェケラに肩入れしたあとで聴く「TVスター」、めちゃくちゃ怖い。でも、私に見えているのはバンド(あるいはアイドル、アーティストなど)の一部分でしかないということを思い知ることができるいい機会だとも思う。忘れないように、心に刻んでいたい。

 

040.キミへのドライブ

  作詞:岡野昭仁/作曲:ak.homma

 クラクションとエンジン音から始まる。楽しくてかわいい曲。この曲もすごく好きで、初めてCDを手にしてカップリング曲を聴いたときのことを覚えている。「Swing」「冷たい手~3年8カ月~」みたいな岡野さんの歌詞もいいけど、日常を描いた歌詞もすごくいい。この曲は日常を描いたというにはドラマチックすぎる部分もあるけど、大枠でいったら日常の一部だと思う。岡野さんのこういう歌詞は本当にかわいい。もっと日常に寄ると素朴な感じが出る。

 イントロからずっと楽しくてかわいくて、焦り気味な「僕」もかわいくて、このカップルには絶対にうまくいってほしい!という気持ちになる。

 

 

2002.03.27 3rdアルバム『雲をも掴む民』

 私が初めて手にした(とはいえ当時はレンタルだった)アルバム。それまで「アルバム」というものの存在すら知らなかったので、CDというのは1曲しか入っていないものだと思っていた。こんなにいっぱい曲が聴けるなんて!と驚いた思い出。

 

041.敵はどこだ?

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 めちゃくちゃ恰好いい。どういうものが楽曲としてロックなのか、私は知識が浅いので語りようもないが、多分こういう曲のことだろうなとは思う。「横浜ロマンスポルノ'16 THE WAY」で披露されたバージョンが死ぬほど恰好いいので、ポルノのポップな面しか知らない人にはぜひとも聴いてほしい。

 この重厚な曲がアルバムの一発目に来ることで、このアルバムの方向性を見せてくれる。アルバム全体が黒を基調にしていることも、ダークでロックな雰囲気と重なる。

 歌詞は「戦争」をモチーフにしていて、こういった社会風刺(あるいは社会で起こる出来事を切り取った)的な歌詞は新藤さんも岡野さんもたびたび書いている。重たくて攻撃的なサウンドと相性がいい。

 

042.ラスト・オブ・ヒーロー

  作詞:新藤晴一/作曲:ak.homma

 「オレ、天使」と並ぶ皮肉ソングだと思っているんだけど、なかなか披露される機会はない。聴きたいんだけどなぁ。新藤さんの書く皮肉って、本人がそう思っているかどうかは別として、考えたくなくて目を背けていたことと向き合わされるような、そんな一面があるように思える。だからちょっと怖い部分もあるんだけど、それをちゃんとフィクションでくるんでくれるところが好き。

 この曲ができて十数年後、「僕のヒーローアカデミア」のOPとして「THE DAY」を書き下ろすことになるとは。ヒーローからヴィランに落ちたキャラがいればぜひともこの曲をテーマソングにしてほしい。

 

XXX.アゲハ蝶(Red mix)

 033.アゲハ蝶 参照

 今回の記事にある過去に感想を書いている曲はこの記事をご参照ください。

penguinkawaii.hatenablog.com

 

043.ハート

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 壮大なバラード。あまりにも壮大なので私にはいまひとつイメージが掴みづらくもあるのだが、それすらも好き。テーマとなっているのは恋や愛の類かもしれないがそのほかにも「別れ」や「大人になること」など、様々に読み取れる。聴き手の数だけ曲があると常々思っているが、こういった曲は特にそうかもしれない。

 ゆったりとたゆたうようなイントロから静かに始まる。それが大サビに辿り着く頃には大きな波のようになっていて、一曲の広がりとしてとてもドラマチックにできている。

 時々新藤さんの歌詞で具体的に何を意味しているのかわからない部分があるけれど、この歌詞はほとんど全編がそう。なんとなくはわかる気がするけれど、細かなところは想像もつかないというのが本音だ。それなのにこんなに好きなのは「わからないまま好きになれる」ことの証明のようだと聴くたびに思う。

 

044.Aokage

  作詞:岡野昭仁/作曲:岡野昭仁

 ポルノの故郷・因島での高校生男女の一幕を描いた超絶かわいい曲。私もこんな青春を過ごしたかった。優しげなメロディがなんとなくノスタルジックで、全然こんな思い出なんてないのに懐かしい気持ちになる。「キミへのドライブ」の項で岡野さんの日常を切り取った歌詞が素朴でいい、と書いたが、これもそういった曲にあたる。この先も岡野さんの日常楽曲って結構アルバムやカップリングに収録されていくのだけれど、ドラマチックではないぶん飾らない素朴さがあってすごく癒されるというか。

 アルバムを初めて聴いた頃、「Aokage」「クリスチーナ」「n.t.」の作詞作曲が全く同じことに驚いた。岡野さんの日常曲/ちょっと遊び心のある曲/内省的な曲のいいところが出ているラインナップだと思う。

 音源ではサビの高い部分をファルセットで歌っているし、リリース当時もファルセットだったはずだが、2018年に因島から生中継した「しまなみロマンスポルノ'18 THE LIVE VIEWING」ではファルセットではなくなっていた。こわい。

 

045.クリスチーナ

  作詞:岡野昭仁/作曲:岡野昭仁

 初めて車を買ったときの曲。ギターがめちゃくちゃ恰好いい。ギターが美味しい曲ってこういうのをいうのかな。たぶん2003~2004年のツアー「74ers」以来披露されたことはないような気がするけど、今の二人の歌唱&演奏ではどうなるのか気になる。

 浮かれつつ臆病なところもある歌詞と、歌詞に表れている迷いや不安を突っ切っていくかっこいいギターが「車」を表現しているみたいで構造的にもすごく面白いなぁと思う一曲。

 

046.n.t.

  作詞:岡野昭仁/作曲:岡野昭仁

 『蒼天航路』という作品に出てくる「佞言(ねいげん)絶つべし」という言葉からとられたタイトル。

 私にとっては怖いと感じてしまうくらい内省的な歌詞で、聴くとどうしても自分の内部に目が向いてしまう。見たくないものに向き合わざるをえなくなるというか。最近はそこまででもないが、中学生の頃や就活をしていた頃はこの曲を聴くともれなく沈んでいた。中学生のときは「なんだ つまんねぇ こんな 生き方」と思うような大人にはならないぞと胸に誓っていたし、就活をしていた時期も「つまんねぇ」と言ってしまうような生き方に抗う気持ちでいた。しかしいざ30を目前にしてみると、「物腰は柔らかく 感情は出さずに スタイリッシュに振る舞う事」はめちゃくちゃ難しいということに気づく。胸に押し寄せる感情と感動にやられながら生きている私としては、この曲とは重なる部分はあまりないらしい。

 が、それでも最後の問いかけが続く部分は刺さる。

 

XXX.ヴォイス

  036.ヴォイス 参照

 

047.パレット

  作詞:新藤晴一/作曲:ak.homma

 好き!!!!!イントロから楽しくて、思わず心が躍ってしまうし体も動いてしまうし口ずさみたくなってしまう。この口ずさみたくなってしまうメロディにこの歌詞を書く新藤晴一、天才なんじゃない?

 部分的に取り出しても素晴らしい歌詞だけど、一曲として言葉が積み重なっていってこの歌詞が出てくる、という素晴らしさもある。それに何より言葉にこだわりのある人が言う「だって知っている言葉はほんのちょっとで 感じれることはそれよりも多くて 無理やり窮屈な服 着せてるみたい」「もうメロディに身をまかせてしまえ 足りない言葉を探すのは止めて」という言葉は重みがある。こんなにも意味をもった「ラララ」は他にないと思う。

 もし私が初心者向けポルノアルバムを作るなら絶対に入れたい一曲。

 

XXX.幸せについて本気出して考えてみた(アルバムバージョン)

 038.幸せについて本気出して考えてみた 参照

 アルバムバージョンは冒頭に歌詞が追加されている。

 

048.ニセ彼女

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 歌詞の中で物語が展開して綺麗にオチがつく。「天気職人」や「ドリーマー」なんかもそんな感じだけど、この曲はもはやちょっとした落語みたいだなと思う。ニセモノのような彼女に対して1番では「彼女を返せ!」と言うのに2番では「彼女に戻れ!」と言う。このへんで聴き手は「あれ?」と思う。彼女、ニセモノなんじゃなかったの?って。で、最後のサビ前には「彼女を探せ!」になる。んで「本物はそんな可憐で しおらしくはなかったはず」なんて言って彼女を笑わせるのだ。彼女はニセモノなんじゃなくて、ニセモノに思えるほど普段と様子が違う、ということだった。そして最終的なオチが「なんで怒ってるのかも知ってる」だ。もはや落語でしょこの展開。

 

049.ビタースイート

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 ライブでやると死ぬほど恰好いい曲。歌詞もめちゃくちゃ恰好いい。

  どうでもいい どうでもいい

  どうしようもない どうしたい どうしよう どうしてもねぇ…

 という歌詞があまりにもいい。似た響きの言葉重ねたってダサくなることもあるのに、こんなにスタイリッシュに仕上げることある?新藤晴一さんならできちゃうんですよ。

 歌詞の表記もいい。全体的にフレーズのひとかたまりが短く、一行のみということも多くて、ぶつ切りな感じがこの曲ももつ雰囲気とも合っている。思考がまとまっていない感じであるとか、ちょっとハードボイルド(っていうの?)な雰囲気とかに合っている。

 個人的には加藤シゲアキさんの小説『傘をもたない蟻たちは』に収録されている「染色」という作品を思い出す。どちらも「月光」がキーワードになっている。

 

050.夜はお静かに

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 アルバムを締めくくるにふさわしい曲。前のアルバムでは「君に会うために夜明け頃に走り出す」という内容だっただけに、対比的に書いたかのようだなと思う。この曲の「僕」は決して走り出さない。変わらずこの曲の中に、音楽の中にいる。聴き手である私はいろんな日々を過ごすけれど、この曲を聴けば変わらない「僕」に会える。

 夜寝る前、この曲を聴いてからじゃないと寝る気にならない時期があった。イヤホンは使わず、音量を絞ってスピーカーの前で聴く。音楽を通してポルノと会話できたような気持ちになって、ちょっとそわそわしながら眠りに就いていた。まぁまぁ眠れなかった。

 今聴いても「距離や時間はあるけど、ねぇ…」と歌われるとあの頃のポルノが私に語りかけているような気持ちになる。割とハードめな曲が多いこのアルバムで、新藤さんのロマンチストな一面が垣間見える歌詞だ。 

 

 

 

2002.05.15 9thシングル「Mugen」

051.Mugen

  作詞:新藤晴一/作曲:ak.homma

 ワールドカップ(しかもNHK、しかも日韓開催)のテーマソングを担当することになって、サッカーを連想させるワードをひとつも使わず、国をイメージさせるワードもなく、サッカーの「熱狂」を表現するって誰が思いつく?新藤晴一です。こういうところが新藤さんの「ロック」だと思う。

 イントロから爆上がりな曲。観客も一緒に唄えるウォーウォーした箇所は、サッカーでもよくアイーダとかが歌われるのを踏襲しているのだと思う。このイントロで、声も出せて、ブラスが鳴り響いて、盛り上がることが約束されているとしか言いようがない。

 しかし、歌詞は最初からずっと盛り上がっているわけではなく、熱血!というわけでもなく、どちらかというと冷めた視線をもっている。でも「僕」の周りは熱気を帯びていて、「むせかえるほど熱を帯びて吹く風は あなたの髪も揺らしてますか?」の部分を見ると「あなたの髪も」なので「僕」は「熱を帯びて吹く風」に吹かれているのだろうと想像できる。静かで確かな熱狂。言葉の選び方もすごくいいなと、何度見返しても思う。

 このときばかりは小学校でもテレビをつけてくれて、放課後に試合を見た覚えがある。そこで響き渡る「Mugen」。最高。

 

052.Go Steady Go!

  作詞:新藤晴一/作曲:Tama

 イントロのベースがめちゃくちゃ恰好よくて好き。歌が入ってくるまではベースが主役にも思える。久しぶりにライブでやってくれないかなぁ。

 歌詞は超ロマンチスト。好きしかない。「自分の事 示す言葉」に関するくだりは「パレット」で歌われている「だって知っていることはほんのちょっとで」のあたりとも同じことを言っているように思える。エッセイ『自宅にて』にもそんなようなことが書いてあった気がするし、新藤さんの根底にある考えのひとつなんだろうな、と思う。

 

XXX.ビタースイート(LIVE!)

 049.ビタースイート 参照

 

XXX.Mugen(Orchestra Version)

 「Mugen」のオーケストラバージョン。ライブ「ラヴ・E・メール・フロム1999」のメドレーのときに披露された。厳か。 

Mugen

Mugen

 

 

 

 038から052までをお送りしました。