確かに「いる」ということ ー「仮面ライダー平成ジェネレーションズforever」感想文ー

 

 あなたは心にどばどばと直接エモを流し込まれておなかがいっぱいになったことがありますか?私はあります。そういう映画でした、「仮面ライダー 平成ジェネレーションズforever」。ネタバレ込みの感想文というか、「私と仮面ライダー」の話です。レビューではないです。

 

 要約:この世界に、私の記憶に、仮面ライダーはいる

 

 

 

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 まず言っておくと、私は特撮のおたくではない。「毎週日曜朝になるとテレ朝にチャンネルを合わせる家庭」に育った者である。ビーファイターカブトとかギンガマンあたりはうっすら記憶にある。平成ライダーも始まったときから見ていた。が、仮面ライダーをちゃんと見ていたのはダブルまでで、それ以降はほぼ見ていない。しかし、毎年「今年はどんなコンセプトなんだろう」と気にしてはいる。もはや癖である。

 そんな感じで情報はチェックしていたのだが、今回の平ジェネには「あの人」が出ているらしいという情報が飛び込んできた。え、そんなの行かないわけにいかない。今までだって何度映画やってもいなかったあの人が。半信半疑な気持ちで観に行った。

 

 端的に言って、「平成ライダーを愛してくれてありがとう」というメッセージを感じた。その一言を伝えるために作られた映画だった。

 主に平成1期しか見ていなかったとはいえ、私は仮面ライダーを愛してきた人間のひとりだったのだと実感した。怒涛のように押し寄せるエモでおなかいっぱいだった。

 ビルドとジオウのことは全然わからないんだけど(それこそ設定しか知らない)、ちゃんと見たいなと思うような展開だった。特にビルド。多分ビルドをちゃんと見ないと戦兎くんの言っていることは理解しきれないんだろうなと思ったので。

 

 それぞれの「仮面ライダー」のいる世界が混ざるような設定は今までにもあったけれど、今回は「仮面ライダー」=フィクションである世界が描かれている。つまり、ニアリーイコール現実。今回の重要なゲストキャラであるアタルのいる世界は、私がこうして生きている世界とすごく近い。電王ショーに喜ぶアタルくんの写真見て、すごくわかるよ……って思った。「仮面ライダーが好き」という気持ちを共有できるキャラクターが映画の中にいるなんて、これは私のための映画なのかなと思ってしまうくらい、平成ライダーを愛してきた人たちに寄り添おうとしている映画だと思えた。

 

 ソードフォームの電王が出てきた!と思ったらアックスもガンもロッドも……次々に変身する電王を見て泣きそうになっていたところに出てくる「あの人」こと佐藤健。10年以上経った良太郎なんて想像できないよ~と思っていたらウラタロスが憑依している姿で、全然違和感なかった。健くんの声と被せるかたちになっていたのも個人的には嬉しかったし、モモタロスが「お前を忘れるかよ、良太郎」って言ったのがもうほんとエモすぎてしんどくて。そして最後に一瞬、良太郎の目から青い色が抜ける。つまりあのときあそこにいたのは良太郎なんだ……10年以上経った良太郎なんて想像できないよ~って思ったけどいた。いたんだよ。私たちが熱狂した仮面ライダー電王の、野上良太郎が、そこにいた。くしくも高校時代の同級生(一緒に電王に熱狂していた)と観に行ったのでエモさ倍増だった。私も……覚えてるよ良太郎のこと……ずっと覚えてるからね……!デネブと侑斗のこともね……!

 あと久々にイマジンたちが動いているのも見たけどリュウタロスが圧倒的にかわいくて脳がどうにかなりそうだった。ゲストキャライマジンの名前が「フータロス」=良太郎がイマジンたちにつけた「〇〇タロス」を踏襲しているの、おそらくはアタルが電王を好きだったから「ぼくのかんがえたあたらしいイマジン」みたいな感じで妄想してたキャラだったのかなと思ったりもした。わかる。考えるよね。

 健くんが出ていることは勿論だけど、イマジンたちやデンライナーをただ出すだけじゃなく、敵イマジン(結果的に敵じゃなかったけど)が契約者の願いを叶えて過去に飛ぶときに出てくるあのカードとか、「何年何月何日」のフォントとか、そういう細かいところまで電王だった。実質的に電王の映画を見たような気持てになるくらいには電王だった。「特異点」って言葉聞いたとき懐かしさで口から砂吐きそうだった。私にもイマジンが憑りついてるのかもしれない。

 

 勿論、そこまできたらダブル勢も誰か呼んでよとか(2人いるところが見たいから呼ぶなら2人にしてほしい、どっちかだけじゃ足りない)(でも出てこない翔太郎の存在感の強さにはうわ~~~!ってなった)(ウォズが地球の本棚みたいなところにいてちょっと!設定!あと検索するならさすがにキーワード足りないと思う!って思った。でも本棚出てきて嬉しかった気持ちもある。あとウォズのキャラデザがフィリップに似てて一瞬納得しかけた)、その他もろもろ、思うところはないわけではなかったけれど、そんなの一旦置いといて忘れちゃうくらいにすごくよかった。

 あとクウガが始まる前の日に生まれたアタルが高校生って、いや私その頃自我芽生えてたわ……って気が遠くなった。そうだよねもうすぐ19年経つんだもんね。仮面ライダーを、ずっと見てきたわけではないけど、それでも私は仮面ライダーを見て育ってきたんだと思った。

 

 仮面ライダーは確かに虚構だ。虚構だし、商売だからグッズも売らなきゃいけないし、いろんな大人の事情もある。でも、仮面ライダー愛する人のための存在であることも確かだと思う。勇気とか元気とかだけじゃなく、スリルや興奮も与えてくれる。あるいは友達との共通の話題になってくれる。あるいは「命とは」ということさえ考えさせる。そういうものを受け取った人たちにとって、仮面ライダーは確かにいる。

 人々の前にライダーが現れる演出もずるい。おそらく現役でライダーを見ているであろう子供たちの前には最近のライダーが、かつてライダーを見ていたであろうお兄ちゃんたちの前にはダブルたちが、そしてそこそこ大人の前には平成初期のライダーが。もうめちゃくちゃかっこよくて泣いた。ピンチのときには仮面ライダーが現れるんだよ。なんとなくだけど、私の前にはカブトが現れてくれる気がする。一番の憧れだから。

 虚構でも、仮面ライダーはいる。いないけどいる。作り物だったとして、それが誰かの気持ちを動かしたとして、動いたその気持ちはフィクションじゃない。仮面ライダーが虚構である世界を描くことで、仮面ライダーに会いたい少年を描くことで、仮面ライダーを見てきた人たちをその思い出ごと物語に巻き込むような、そんな映画だった。

 

 全平成ライダーが並んだ図は圧巻だった。めちゃくちゃかっこいい。バトルでは全員に見せ場的な部分があるし、過去のライブラリ音声を使っているからみんな割と喋るし、新規録りおろしで喋っているライダーもいる。今までもいくつか平成ライダー映画を見ていたけれど、こんなに喋らなかった気がする。ただ登場しただけじゃなくて、みんなそこにいた。あのとき見ていたままのライダーがそこにいた。だってカブトが「甘いな」って言うんだよ……天道くんの声がした……ディケイドや龍騎の新規録りおろし音声も嬉しいけど、私が夢中になっていたカブトの……文字通りあのときの天道くんの声がした……

 この映画において、登場するライダーは「物語の世界の仮面ライダー」だ。それぞれの物語の世界から、仮面ライダーが虚構である、現実とニアリーイコールの世界を救いにやってきた。だったらそれらの物語から出てきたライダーたちが放映当時の音声で喋ったとして、いやそんなの最高じゃんって。勿論、あの天道くんが十数年の時を経てどんなふうになったか見てみたいけど、私が毎週夢中になっていたあのときのカブトの声なのも、これはこれで最高だと思った。

 

 エンディング曲は今までのオープニングテーマをリミックスしたもので、どれもこれも知っている曲ばかりで泣きそうになった。嘘ちょっと泣いた。ていうか全ライダーの過去写真を持ってくるのずるすぎる。カブトでうっかり泣いてしまったし、みんな静止画なのにダブルだけ二人並んでいる→顔を見合わせるみたいな動きがあってひぇ~~~って思った。ずるい。何かとダブルがピックアップされていたので何かしらのフラグなのではないかと勘繰ってしまいつつ、映画は終わった。

 見終わって、友達と「おなかいっぱいだね……」「今日眠れないね……(レイトショーで見たし翌日も仕事)」「また一話から見ちゃうよね……」と呟きあった。もはや会話にもなってない。互いに呟くしかできなかった。エモの過剰摂取すぎて。あまりにもエモが詰まりすぎててしんどいので、こうして感想文を書いている。

 背脂マシマシこってりのエモ(大盛り)をスープまで飲み干した気分で、まだ全然余韻から抜けられそうにありません。

 

 

 

 私はクウガ放送時には9歳で、ようやく自我が芽生え始めた時期だった。弟がいたこともあり、その後も毎年スーパー戦隊仮面ライダーを見続けた(母も弟も見ていたけれど、一番ハマっていたのは私)。中学生になって、ファイズにドハマリして映画版も観に行った。いまだに主題歌も歌える。

 多分、このあたりからまともに物語を理解できるようになってきたのだと思う。ファイズの、オルフェノクが実は死んだ人間だったという設定に衝撃を受けた。たっくんのかっこよさに惹かれ、木場さんたちオルフェノクの切なさに涙し、人間側・オルフェノク側関係なく物語まるごと愛していた。映画版「パラダイス・ロスト」のラストでたっくんが「行けるところまで行くさ」と答えたのがかっこよすぎて私も行けるところまで行きてぇと思った。アホな子供だった。

 次に心を持っていかれたのはカブト。単純に水嶋くんの顔が好みだったのもある(このへんから出演俳優に興味を持ち始める)が、天の道をゆき総てを司る男・天道総司がマジでめちゃくちゃにかっこよかったのだ。自分に自信のない人間からすると、天道くんのような人は憧れだった。ひよりちゃんもかわいくて大好きだったし、ぼっちゃまも好きだし、敵であるワームの設定も面白かった。擬態くん……

 周りの友達もみんなライダーを見始めたのが電王。声優キャストが豪華だったこともあり、アニメや漫画の好きな友達がライダーを見始めた。毎週のように電王の話題で盛り上がる高校生活を送っていた。月曜になれば学校があるのに、待ちきれず感想をメールし合った。映画のグッズで電王のパスケースを買って、ダメになるまで愛用したことも覚えている。

 そしてダブル。大学生になり、あんなに仮面ライダーで盛り上がる高校時代を過ごしていたのに周りの友達が誰も見なくなっていた。私も次第に遠ざかり、リアルタイムでは飛び飛びで見ていたが、風都探偵をきっかけに再度見返したので、個人的には一番記憶に新しいライダーでもある。

 これらのライダーは勿論のこと、今までに見てきたたくさんのライダーがいて、もう本当にエモでおなかがいっぱいだった。画面のあちこちから「今までの仮面ライダーを好きになってくれてありがとう」って伝わってきた。私は仮面ライダーが好きだったんだ、と思い出させてくれる、いい映画だった。

 

 

 

 仮面ライダーのいるこの世界に生まれてよかった。手始めに一番心を揺さぶられてしまったカブトを1話から見ることにします。