#NEWS四部作短歌連作4tours  自作短歌解説:EPCOTIA

 

f:id:penguinkawaii:20210611143431j:image

 

 鷹野さんにお誘いいただき、連作短歌企画に参加しました。NEWSが駆け抜けた4つのツアーを詠む、というもの。私はEPCOTIAの担当です。

 どの短歌もめちゃ素敵なので感想を書いていきたいのですが、まぁまずは私の担当分の話からしましょう。

 

f:id:penguinkawaii:20210611144308j:image

 

・詠むまでの経緯とか

 最初にどのツアーを詠むか希望を訊かれたので、「現地で参加できなかったSTORY以外」と回答し、主催である鷹野さんに割り振りをお任せし、EPCOTIAに決まりました。4つのなかで最も私の作風と響き合うツアーだったのかなと思います。

 普段Twitterに投稿しているアイドル短歌は割とノリと勢いとスピード感とひらめきを重視していることが多いのですが、さすがに他の人と一緒にやるんだしと思ったのでちゃんと寝かせて何度も読み返してバランスを考えて……ということをやりました。一晩寝かしてみると「え、これは違くない?」みたいなのが見えてきちゃって難しかった。なにが正解かわかりませんね。だから面白い。

 最初は「宇宙」「星」はあまり使わない方向でいこうと思ってたんだけど、これらのロマンチック素敵ワードを多用できるのは4人のうち私だけじゃんと思ったからめちゃくちゃ使いました。

 

 

・セルフライナーノーツ

2018年宇宙の旅 これは映画じゃなくてほんとの話

 「2001年宇宙の旅」という映画があります。あんまり通じないかな……初手から引用していて私らしさが出過ぎているな……とも思ったけれど、私のなかでEPCOTIAというツアーを示すのにこれ以上の言葉が見つからないので使うことにしました。EPCOTIA(曲)に西暦が入っているのでどうしても2018という数字を入れたかった。

 2018年に宇宙、一般人は行けないんですよ。宇宙飛行士でもない限り行けない。でも私行ったもん!ほんとだもん!という気持ちを詠んだ短歌。デジチケ通した後に出てくる座席の紙が「BOARDING PASS」だったのがすごく嬉しくて、私はEPCOTIAライナーで宇宙を旅してきたんだよ!!!!!!って主張したかった。そういう短歌です。

 

 

君のため星は生まれる 手のなかで青く光ってわたしのスピカ

 EPCOTIAのペンライトを詠んだもの。いいですかみなさん、ペンライトというのは星の光なんですよ。EPCOTIAに限らずそう思っているんですが、EPCOTIAはまさにそうじゃないですか。それなら詠まないわけにいかないので詠みました。スピカというのはおとめ座にある青く光る星です。最初に思いついたのは「手のなかで青く光って僕のシリウス」だったんですが、NEWSにはシリウスという曲があってしかもEPCOTIAではやってないっていう……ちなみにシリウスも青い星です。

手のなかのアルファ・ケンタウリは光る 君に好きだと伝えるために

 という短歌をペンライトというお題で詠んだこともあります。ペンライトには星の名前をつけたいんだよな〜!

 

 

君は星、ならばあなたも星だねと言い合う ここはふたりの宇宙

 NEWSのコンサートって「きみとぼく」の世界になることがあるように思うんですよ。ファンとNEWSどちらも複数なのに1対1でお互い以外見えてないみたいな気持ちになる。そういう雰囲気を短歌で表現したいなと思った短歌です。コンサートの空間が宇宙としたらペンライトが星の光のように見える=NEWSから見たファンは星、ファンから見たNEWSは言わずもがな星、なのでお互いを星と思い合っているような気がしました。

 1首目がプロローグ、2首目はペンライト、3首目のテーマは「ふたり」です。実は3番目は全然ちがう短歌だったんですけど、他の方の短歌とのバランスを見て入れ替えました。

  重力も今はふたりを縛れない  ふわりふわふわシャボン玉とぶ

 どちらにしろテーマは「ふたり」でした。イノセンスのときのシャボン玉をイメージして詠んだものですが、今回の短歌は特定の場面でシャッターを切る系の短歌はあまり詠んでいないから採用されたほうとどっちにするか最後まで迷ってシャボン玉のほうをボツにしました。ふたりの宇宙のほうが私っぽい短歌かなというのもあったので。

 

 

さよならの代わりに歌う未来への約束としてのハッピーエンド

 最後はやっぱHAPPY ENDINGでしょ、という短歌。あの曲は「ここでこの物語はハッピーエンドだよ」という歌ではなくて「いつかきっとハッピーエンドが待ってるよ」って歌ってるんですよね。ひとりじゃないよ的な部分はどうしてもU R not aloneには敵わないので、そこは引用しませんでした。

 

終わりではなくて未来の僕たちへ約束としてのハッピーエンド

さよならの代わり歌って 僕たちの約束としてのハッピーエンド

さよならの代わり僕らのこれからを約束しようハッピーエンド

 という変遷を経て今の形になりました。真ん中のが一番完成形に近いですね。1回寄り道してるのが面白い。

 3首目で「ふたり」を詠んだので「僕たち」を消しました。あの曲はNEWSも私たちも歌ってるよな〜と思って「歌う」にして、「これから先」にあたるワードがほしかったので「未来」を入れて、「約束しよう」よりは「約束としての」のほうがわかりやすいかなと思ってそっちに。

 

 あのー、NEWSと「私」の物語において、エンドを迎えた人もいると思うし、ハッピーエンドとはいかなかった人もいると思うんですよ、きっと。でもあの瞬間はたぶん幸せだったじゃないですか。

守るためではなく破るためでなく「する」ためだけに約束はある

 これ私が以前詠んだ短歌なんですけど、約束っていうのは、私は「する」ことにこそ意味があると思っていて。あの瞬間、4人も「私」もこの先の幸せを約束し合っていたじゃないですか。そのことに代わりはないんですよ。あのとき幸せだったことをなくしたくないな、という祈りをこめた短歌でもあります。

 

 

 4首なので起承転結をしっかり考えたり繋がりのある短歌のほうがいいのかなとかいろいろ考えたんですが、それぞれ独立しているもののまとめて見たら共通点があるような、そういう短歌にしました。EPCOTIA(アルバム)はサクッと聴き返しましたがそこまで聴き込んだわけではなく、自分はコンサートのときに何を思っていたかなということを思い出したくて自分が書いたEPCOTIA感想文を読み返していました。書いててよかった! 4首目に込めた気持ちはこのブログにも書いてあります。

penguinkawaii.hatenablog.com 

 

・その他の没短歌

 先程ひとつ紹介しましたが、他にもあるのでここで供養します。

 

どこまでも連れていくから君となら知らない場所も怖くないから

 宇宙=未知であること、NEWSがファンを置いていかない(置いていきたくないと思っている)ことを詠みたかった短歌。抽象的すぎるな〜と思ったのでボツ。どっかに宇宙的ワードを入れられたら採用してたかもしれない。

 

今日のこと忘れてしまわないように星の名前をひとつ教えて

今日のこと忘れてしまわないように星の名前を教えてあげる

あの星の名前おしえてその声で 今日の記念に持ち帰るから

 「今日のこと忘れたくないな」という気持ちを詠みたかった短歌。個人的には一番上がいいかな〜と思いつつ、これだ!というのを決められなかったこともありボツにしたもの。

 

 

 

 自作の解説はこんな感じです。他の方の短歌の感想も書きたいことばかりなので、時間はかかっても書こうと思っています。

#神様になりたいわけじゃない短歌 ひとり感想戦

 

 NEWSの新曲「BURN」が6月30日に発売になります!

 そのカップリング曲に「神様になりたいわけじゃない」というものがありまして、見た瞬間にあっこれ短歌じゃんと思っちゃったわけです。

 

 って言ったらめっちゃ短歌が集まりました。磯野〜野球やろうぜ!って誘ったら甲子園出ちゃったような気分です。

 

 で、完全なる蛇足ですが、たくさん短歌が集まったのが嬉しかったので感想を書きました。本当は全部の短歌に一言返せたらいいのですが嬉しいことにあまりに数が多いので、複数くださった方は抜粋してひとつとしています。また同様の理由で詠み人知らず短歌は特に一言感想を言いたいもののみとしています。ご了承ください。

 なお、私の個人的な感想なので詠んだ方の意図とは異なる場合もあります。あくまで綴はこう解釈したのだ、という感じに受け止めてください。

 

f:id:penguinkawaii:20210604234512j:image
f:id:penguinkawaii:20210604234509j:image
f:id:penguinkawaii:20210604234519j:image
f:id:penguinkawaii:20210604234515j:image
f:id:penguinkawaii:20210604234548j:image
f:id:penguinkawaii:20210604234545j:image
f:id:penguinkawaii:20210604234542j:image

 

 

神様になりたいわけじゃない明日生きてあなたに「おはよ」って言お/鷹野しずか

 「おはよ」って言い合えるのは人間同士だからだもんな……ってしみじみ沁みる歌。「生きて」っていう言葉が入ってるのもよくて、神様になるのは人間の生から外れることでもあるよなぁと思う。全体的に"人間の生"が滲み出ていてとても好きです。

 

神様になりたいわけじゃないきみも愛されてると確信してよ/風林

 「神様になりたいわけじゃないきみ」も「愛されてる」んだよな〜〜〜!って大の字になりながら言っちゃうくらいの納得短歌。「も」という助詞がとてもいいなと思います。神様になりたいわけじゃないきみも愛されてるし、そうじゃないきみも愛されてるんだろうなって思います。「愛されてる」のは「きみ」だけど愛してるのは誰なのか見えないのも好きポイント。みんなかもしれないし私かもしれないし。好きですね。

 

神様になりたいわけじゃないひとの傷んだ髪を銀河と思う/志佳子

 銀河!!!!!!!!!ロマンチック最高ワードが出ました。ロマンチックすぎて使いようによってはチープにも見えてしまいがちですが、この短歌は全くそんなことなく銀河というワードが持つ美しさが活きています。しかも「傷んだ髪」を「銀河」にしちゃうところがまぁ〜最高。傷んだ髪すら美しいんだよな。

 

神様になりたいわけじゃない。だって決めることから逃れたいもの。/三月

 神様=なにかを決める存在、という定義が新鮮に感じました。いやよくよく考えりゃそうだなとは思うんですが、他の短歌も見ていると神様=救ってくれる存在、手の届かない存在というイメージのものが多いので。

 

神様になりたいわけじゃない 対岸の君と歩く夕焼け/まろまゆ

 対岸というワードからはファンとアイドルのあいだにある越えられない壁を感じつつも、全体を見ると共に在る雰囲気があるのがうまいなと思いました。でも別にアイドル短歌として鑑賞せずとも成り立っていて、その場合は川辺の道と美しい夕焼けの情景が思い浮かんできて、そう解釈しても素敵な短歌だなと思います。

 

神様になりたいわけじゃないあなた

勝手に神にしたのはわたし/さとうとしお

 懺悔のようにも見える短歌ですね。いまわざと懺悔ってワード出したんですが、「神様になりたいわけじゃないあなた」への懺悔(=神様に罪を告白し悔い改めること)っていうのがまた残酷でたまらんな!と思いました。残酷な短歌、好物です。褒め言葉です。

 

神様になりたいわけじゃない我も人なり君も人なりだもの/たむ

 「彼も人なり我も人なり」という古事成語(っていうのかな)を思い出す短歌ですね。こういうふうに引用してくる(引用した上でうまいことアレンジきかせる)短歌めっちゃ好きです。

 

神様になりたいわけじゃない君に降る讃美歌よ 傘になれたら/さらすず

 傘!!!!!!!!!!またしてもロマンチック最高ワードが出ました。「降る」と「讃美歌」と「傘」の組み合わせはアレですよ、ロイヤルストレートフラッシュ。組み合わせがもう最高なのに、「讃美歌よ」で一旦切って「傘になれたら」と続くのがまた最高。

 

神様になりたいわけじゃない空で燃え尽く星になりたい/あおい

 神様という永遠の存在ではなく、儚くも美しい軌跡を残して燃え尽きる流星のような存在になりたいのかな、というふうに解釈しました。「神様」の対比として「星」が出てくるのがとても面白いな〜と思います。あまり並ぶイメージにない単語が並んでるの、好物です。

 

神様になりたいわけじゃない。だから、これは単なる結果でしかない。/森井

 「これ」が何を示すか明示されていないのにわかっちゃうのが面白いですよね。神様になっちゃったんでしょうね、結果的に。句読点の使い方も相まって、台詞のようにも見えるなぁと思いました。その「結果」を諦めつつ受け入れているような雰囲気が、ダウナー系の人物を想像させます。

 

神様になりたいわけじゃない

高い所は苦手だし怖いし/アサキキシ、ウミ。ツキトカゲ。

 神様=高いところにいる存在、という定義も今回の短歌の中では珍しいものでした。神様のいる高いところは心理的な高さというイメージですが、物理的に高いところが苦手なアイドルも多くいるので、そんな彼らのことを思い浮かべて鑑賞しました。

 

神様になりたいわけじゃないけれど あなたがそれを望むのならば/ネギ

 書いてないことを読み取らせる系短歌ですね!言いたいことを直接詠むのではなく、明言していないことこそ言いたいこと、という短歌は私の大好物です。この短歌を詠む人が他にどんな短歌を詠むのか楽しみに思っちゃいます。

 

神様になりたいわけじゃないきみに ひかりをむけてこころをさして/☾

 ほぼひらがなで表記されてるのが印象的な短歌です。意味をしっかり解釈する前に、コンサートで自担を見つめているときの何万と人がいるのにふたりきりだと感じたときの気持ちがぼんやり思い出されました。「ひかり」がなんのひかりか書いていないのでペンライトかな〜と思ったり。「さして」の部分がひらがななのも、どういう意味か解釈の幅が広そうです。

 

神様になりたいわけじゃないから 僕ら互いに伸ばしあう指先/ゆっこ

 NEWSの歌詞っぽさ選手権だったら優勝って感じがして素敵です。互いに手を取り合い歩いていくのがNEWSとファンですからね。NEWSに限定せずともJ-popの歌詞っぽさを感じる、親しみやすくて優しい短歌だなと思いました。

 

神様になりたいわけじゃない ただ君に幸せになって欲しいだけ/いのちゃん

 神様というのが全能の存在だとして、神様になったら君のことを幸せにできるけど、だからといって別に神様になりたいわけではなくて君を幸せにしたいだけなんだ、と解釈しました。神様になることと君を幸せにすることを天秤に乗せているような感じがいいなと思います。

 

神様になりたいわけじゃないと漏らすその口を塞ぐ低温やけど/ちゃわん

 低音やけど!!!!!!!!!!ロマンチック最高ワードだ!!!!!!!ただのロマンチックじゃなく不穏オーラをまとっているワードが出ました。好物です。「漏らす」「塞ぐ」という不穏オーラ動詞たちと一緒に使われているところがいいですね。ロマンチックと不穏を同時に感じて痺れます。

 

神様になりたいわけじゃないんだよ、聴いていてよね、僕の歌声/いず

 なんとなく、アイドルが歌う曲の歌詞っぽさがあって素敵です。デビューしたての若いグループが歌ったらかわいいな。「歌声」という単語が出てくるところがアイドル短歌らしいなと思います。シンプルでいい短歌ですね。

 

神様になりたいわけじゃない

薄氷の上歩いてこそ灯/飛

 薄氷!!!!!!!!!いい加減ロマンチック最高ワードがきたら叫ぶのやめたいんですけどやめられないです。薄い氷の上を歩くわけなので、絶妙に危うい印象を受けます。そんな危うい行為だからこそ灯となるわけで。神様だったらたぶん薄氷の上を歩くことなんて造作もないんですよ。造作もない行為じゃ足りない。神様<人間、という価値観が美しく表現されているように感じました。

 

神様になりたいわけじゃない、僕がただ願うのは“君に幸あれ”/ふぁいΦ

 明らかに特定のアイドルを(というかNEWSを)意識した感があって、(普通に短歌として成立しますが)「君に幸あれ」という言葉が持つ意味がわかる人にはよりぐっとくる短歌ですね。「君に幸あれ」が重く響くのが我々ですからね。そういう、特定の人々にぶっ刺さる系短歌、THEアイドル短歌って感じがします。

 

「神様になりたいわけじゃない」 ごめんね君を神様にして/かし

 神様になりたいわけじゃないって言ってるのに〜!でもちゃんとごめんねが言えるあたりに後ろめたさを感じて、残酷さとはまた違う雰囲気になっている短歌だと思いました。謝罪と懺悔とはまた違うものですからね。相手を人と思う気持ちがどこかにあるから「ごめんね」が出てくるのかな、それでも神様と思う気持ちを消せないのかな、と複雑な心境の短歌だと解釈しました。

 

神様になりたいわけじゃない 闇も孤独も愛も死なないここじゃ、/マンゴーとズッキーニのジュ

 なんも死なないなら神様になったとて意味ないから「神様になりたいわけじゃない」のかな?と解釈しました。闇と孤独はあまりよくないものとして挙げられる例が多いけれど、そこに愛という割とよいものとして挙げられるものが並んでいるのが面白いと思います。

 

神様になりたいわけじゃないけれど聖歌を歌い続ける永遠を願う/かなへび

 結構大胆な字余りなんですが、なんとなくリズムがいいように感じました。「聖歌」という「神様」関連ワードが出てきていますが、他の方の短歌で出てくる場合は少しシニカルにも思える登場の仕方であるのに対しこの短歌は「聖歌」が「神様」とも「神様になりたいわけじゃない」ひととも喧嘩していないように読めました。優しい短歌ですね。

 

神様になりたいわけじゃない救いを求めて施しはなし/たぴおか

 この短歌、「神様になりたいわけじゃない」ひとが「救いを求めて施しはなし」なのか、「神様になりたいわけじゃない」ひとが救いを求められても施しをしないのか、いろいろな解釈が成立する余地を残した短歌のように思えます。私は後者かなと思いました。パッと見て意味がわかる短歌も楽しいし、じっくり考える短歌も楽しい。

 

神様になりたいわけじゃない、なんて言っても無駄か 偶像だもんね/寸

 これもTHEアイドル短歌って感じがしますね!特定の相手をイメージしているタイプではなく、アイドルそのものを強くイメージした短歌。「偶像」という単語はアイドル界隈ではめちゃ使いますが世の中ではそれほどでもないって印象です。偶像に対する「だもんね」という言葉を引き出す感情は、偶像にしてしまった自分の後悔ともとれるし偶像である相手への諦めともとれて面白い短歌だなと思いました。

 

神様になりたいわけじゃない 人の身で慈しむから意味のある愛/若尾

 眩しくて美しい短歌だと思いました。すごくストレートで、裏を読む必要なんてなく書いてある通りに解釈できる時点で美しいのに、言ってる内容がまたさらに美しい。眩しくてたまらん……。「慈しむ」というワードは「神様」に近いワードではあるんですが、「人の身で」とついているのが上手いし、「意味のある愛」という響きも素敵です。他の言葉でなく「意味のある」を「愛」を修飾する言葉としてもってきてるのがすごく好きです。その通り。

 

神様になりたいわけじゃない きみは 神様なんて頼らないから/あいり

 J-popの歌詞ぽさを感じます。きみとぼく(この短歌には「ぼく」は出てきませんが、短歌の主人公としての存在のこと)のミクロな世界が描かれているからかな。神様になったってきみの救いにはなれないけど、きみと同じ人間であるからこそできることがあるんでしょうね。アイドルをイメージしたものとしても解釈できるし、普通の短歌としても素敵だなと思います。

 

神様になりたいわけじゃない

気付けば光り輝き

だれかの希望になっていた/ari chan

 自由律短歌ですね!自由律短歌は自分で詠んだことがないのであまりへたなこと言えないな……とは思うのですが、単純に感想として述べるとリズムがいいなと感じました。「神様になりたいわけじゃない」けど「だれかの希望」になる、というのがアイドルのことを美しく表現していると思います。

 

神様に なりたいわけじゃ ないんだよ

君の居場所で ありたいだけ/Mochi

 これもTHEアイドル短歌ですね。普通の短歌として解釈したときよりも「居場所」という言葉がもつ特別な意味を知るNEWS担にはより刺さる短歌だと思います。最後の「ありたいだけ」が6音で字足らずになっているのが余韻をつくっているような感じがします。そういうときは頑張って助詞を足したりしないほうが私は好きですね。

 

神様になりたいわけじゃないという人の言葉を崇めて眠る/小間

 神様になりたいわけじゃないって言ってんのに「崇めて」しまうのめっちゃ残酷でいいですね!!!好物です。残酷な短歌や傲慢な短歌がすごく好きで痺れちゃいます。「崇めて」るうえに「眠る」ですもんね、たぶんこの短歌の主人公の心の支えみたいなものになっているんだろうなと思うとウワー好き!ってなります。性癖です。

 

神様になりたいわけじゃないんだね いつかは君も死んじゃうんだね/むつみ

 シンプルで胸に刺さる短歌ですね。「〜だね」の繰り返しはとても優しい響きなんですが、言ってる内容はあんまり優しくなくて好きです。君には神様になりたいと思っててほしかったんだろうか。でも、いつかは死んじゃう君だから大切にしたくなります。

 

神様になりたいわけじゃない、だけど私の涙に気づいてほしい/独活部

 この「私」はファンの側ともアイドルの側とも解釈できるなと思いました。アイドルの側が「涙に気づいてほしい」と言っているようにも読めます。とても悲痛で寂しさを湛えた短歌だと私には読めました。

 

神様になりたいわけじゃないけどね。

笑うあなたは神様みたい/小夏

 寄せられた短歌のなかには結構「結局神様じゃん」短歌もあったんですが、そのなかでもこの短歌は切ないなぁと感じました。「〜けどね」って笑ってて、その様子が神様みたいに見えちゃうって、しんどいけど美しいなって思います。

 

 

 

 以下、詠み人知らず部門です。先述の通り一部の短歌のみコメントをつけました。

 

 

神様になりたいわけじゃないけれど光に縋る僕をゆるして

 神様になりたいわけじゃないって言ってるのに、おそらくは神様の関連ワードであろう光に縋ってしまうこと。残酷とは言わないまでもかなしいですね。好きです。「ゆるして」というのも神様関連ワードですし、言葉の組み合わせ方がいいなと思います。「神様になりたいわけじゃない」のが誰なのか明示していないので解釈の幅が広い短歌に見えて、そこも好きです。 

 

神様になりたいわけじゃない 

ただ疲れた君へホットケーキ焼きたい

 ホットケーキ!!!!!!君の助けになりたい、という気持ちがホットケーキという身近なものを用いて表現しているのがすごく素敵です。神様になれば君の助けになれるだろうけれど、そうじゃなくてホットケーキを焼いてあげたいだけなんだっていう……めちゃいいですね……好きです。

 

神様になりたいわけじゃないのにな 触れたすべてが光に変わる

 かなしいな〜!かなしくて好きです!「〜のにな」という語尾と後半のつながりがかなしさを倍増させます。でも多分アイドルってそういうところありますよね。救うつもりじゃなかった言動で人を救ってしまうこともある、それを嬉しいことだと受け入れているとしても、そんなつもりはなかったという気持ちは残る……すごく好きな短歌です。

 

神様になりたいわけじゃないという つぶやきさえも聖書に綴る

 あ〜〜〜ひどいことしますね!神様になりたいわけじゃないっつってんのに!聖書に綴っちゃうんですか!何度も言っていますがこういう短歌が好物です。勝手な妄想ですが、自担の一言一句を逃したくないファン心理を連想しました。過去のインタビューを読み漁ったりね……私もかつてそうだったのでひどいことしたな……と懐かしく思いました。別にそれ自体が悪いことではないですが、そういう側面もあるよねという意味です。

 

神様になりたいわけじゃない君がどこにもいませんように 

 ストレートでいい短歌だなと思いました。31文字がきれいにバシっとハマってる感じがします。ほんとそれな、と誰もが思えるような内容になっているのも(短歌は共感するためのツールという側面があると思うので)、とても素敵な短歌だと思います。

 

神様に なりたいわけじゃ ないけれど 

ただきみのため 神にも抗う

 神様になりたいわけじゃないのに神にも抗う、という言葉遊びがすごく好きです。神様はなりたいものじゃなくて争いたいものなんですね。視点がすごく面白い短歌だと思いました。

 

神様になりたいわけじゃないだって君が泣くのも気づけない奴

 これもストレートでいいですね。アイドル短歌としてみると、アイドルからファンへの想いともとれるしその逆ともとれて、どちらにしてもなんだか切ない気持ちになります。少女漫画的切なさを感じます。

 

神様になりたいわけじゃないけれどどこからともなく聞こえる讃美歌

 神様になりたいわけじゃないっつってんのに結局は讃美歌が聞こえちゃうの、めちゃくちゃかなしくて愛おしいなと思いました。性癖です。どうあってもやっぱり神様になっちゃうのかもしれませんね。かなしくて好きだな。

 

 

 

 いっぱいあったな!本当に沢山の短歌をありがとうございました。コメントしなかった短歌もすごく素敵でした。また是非こういう遊びしたら参加してくれると嬉しいです。いや、短歌つくって遊んでてくれたらそれだけで嬉しいです。

 今回初めて詠んだという方もいるかと思うのですが、楽しいなと思ったらこれからも続けてみてほしいです。思い出したときや想いが溢れたときにでもいいので。あなたの想いを表現する手段として短歌というものがあるということを覚えていてください。

 

 

 最後におまけで自作の解説もつけときます。

 

神様になりたいわけじゃない  SOSを無視する強さがほしい

 誰かのSOSを無視できなくて救っちゃうから神様になってしまうわけで、神様になりたいわけじゃないなら無視すりゃあいいんですよ。でもそれができなくて、それをできることを「強さ」と呼ぶ。かなしい短歌です。

 

神様になりたいわけじゃない  終わる世界でわらう最後の獣

 なんらかの意味をもってたはずなんですけど沢山短歌見たからか全然思い出せなくなりました。虚無短歌。最初からあんまり意味なかったのかも。意味ねえな!と思いながらも美しい言葉を並べたいときありませんか?私はあります。そういう短歌です。

 

神様になりたいわけじゃないなんて言えなくなったうつくしいひと

 神様になりたいわけじゃないけど彼を信仰する人はたくさんいるから、今更「神様になりたいわけじゃない」なんて言えなくなっちゃった、という短歌です。かなしくて、そのかなしさを私はうつくしいと思います。

 

神様になりたいわけじゃないと言いナイフを握り泣いたあのひと

 上のと対になるイメージで詠みました。神様になりたいわけじゃないと言えた人の歌です。彼の握るナイフは誰のほうを向いてるんでしょうか。彼を神様にした人か、それとも彼自身か。残酷短歌です。

 

 

 

 以上、お付き合いいただきありがとうございました。

 

お題「NEWS LIVE TOUR 2020 “STORY“ ー私のSTORY、私とSTORYー」を作りました

お題「NEWS LIVE TOUR 2020 “STORY“ ー私のSTORY、私とSTORYー」

 

 作りました。みなさんもぜひSTORYの、あるいはこの4部作の感想を書いてみてはいかがでしょうか。単純にコンサートの感想を記すもよし、ご自身とSTORYについてのことを語るのもよし、という意味合いも込めて「私のSTORY、私とSTORY」という言葉をお題のタイトルに加えました。

 例によってオーラスから1カ月はTwitterの私のアカウントにてRT・ツイートでご紹介させていただきます。即時のご紹介とはならないかもしれませんがご了承ください。また、それ以降もお題を閉じることはありませんので、是非ご自身の記録を残すのにお使いください。

#アイドル短歌:言葉の技法の話

 短歌、好きですか?私は好きです。31文字のなかにいろんな言葉の技法が詰まっているところが特に好きです。好きな人*1がめちゃくちゃ歌詞を書くので、その技法を分析するのが趣味でして。そういった技法は歌詞だけじゃなく小説にもそして短歌にも当てはまるなぁと思っています。なので、私の短歌を例にして私が好きな言葉の技法の話をします。

 なお、以下に述べる技法というのは私が勝手に思ってるものであり学術的・専門的なものではないのであしからず。私と話したら通じるけど他所で話したら通じないかもしれない。

 

 

 

・繰り返し

 よくある技法ですね。同じ言葉を繰り返すことです。繰り返すからにはなんらかの意味がありますね。

 

①強調

好きだから何度も言うよ好きだからあなたが好きと何度でも言う

 

 強めたいから繰り返す。「好き」が3回、「何度も」「何度でも」が2回、「言う」が2回。ほぼ同じ言葉の繰り返しでできていて、個人的にそこが気に入っているポイントです。さらに「何度も」という、それ自体が繰り返しの意味を持っている単語が繰り返されているのがまたいい。

 内容としては、言葉通りの意味のストレートな短歌です。強調したいから繰り返している、とにかくあなたが好きですっていう短歌。

 

「好き」だって認めてしまえば楽になる 楽になるのに 楽になるのに

 

 後半の577がほぼ同じ言葉でできてます。「楽になるのに」ということ自体が強調されているというよりも、「楽になるのに」→それができないから苦しい、ということが強調されています。繰り返した言葉の意味を強めることもあるし、そこに隠された意味を強めることもできる。面白いな〜!

 

②違う意味を並べる

明日など蹴散らしていく 僕らには「今」さえあればいいんだ今は

 

 なんていうか……ニュアンスなんですけどこの短歌のふたつの「今」はちょっと違うんですよね……説明するのが難しいな……

 「明日など蹴散らしていく 僕らには「今」さえあればいいんだ」まではJ-popの歌詞みたいに爽やかじゃないですか。爽やかなんですよ。けどそこに「今は」と付け加えることで「明日など蹴散らしていく 僕らには「今」さえあればいいんだ」って思ってるのは「今」だけ、その輝きが一瞬のものであることを知っている、みたいな刹那性が加わってんな〜って感じしません?しますね。同じ言葉を使いながらもニュアンスが違うの、うわ〜いいな〜!って思っちゃう。

 

③リズムがいい

僕たちは友達じゃない僕たちは出会ったこともないほど他人

 

 単純にリズムがいいから繰り返すこともある。「僕たちは」が繰り返されているけどなんかリズムがよくないですか?いいですね。「僕たちは」のあとは同じような意味・ニュアンスの言葉が続いているので収まりがいい感じがするんだろうか。わからんけどなんかいい。

 

 

・羅列

 言葉を並べることです。難しいのであんまり使えてないけど好きな技法です。ポルノの歌詞では「あなたがここにいたら」などで使われてます。

 羅列するにしても、同じニュアンスの言葉を並べる、同じニュアンスをいくつか並べて最後だけ変える、同じに見えて徐々に変えていく、などなどいろんな技法がありますね。

 

遠ざかる景色 静かになる車内 重ならない手 帰らざる夏

 

 夜に電車に乗って出かけるっていう「よるのぼうけん」という連作のうちのひとつです。視点が外(景色)→内(車内)→身体(手)の順に並んでいて、さらに「帰らざる夏」という心象風景、つまり広くも狭くもあるものへ続くところがうわ~センスいいな!って思います。自分の短歌めちゃくちゃ好きなので普通に褒めます。

 

 

 

・字足らず

 短歌などの定型があるものだからこそですね。私の場合、字余り(7のところに8入れるとか)はさほど意味なくやったりしますが字足らずは割と意味を込めます。

 

新鮮な魚もいつか腐るのに 見つめることしかできない 罪

 

 「見つめることしか」が8なのはさほど意味はないです。が、そこを8として読むと最後が足りてませんね。私の脳内では「罪」の前のスペースを休符みたいにして一拍置いて読んでいます。ここにスペースを入れること、そして字足らずであることで、「罪」という言葉が浮き上がってみえて強調されている感じになっているところが好きです。

 本当は「見つめることしか」が7だったらもっと最後がわかりやすくはっきりと強調されるのにな〜って思って言葉を探したけど、ちょうど良いものが見当たらなかった。悔しい。

 

 

 

 

発想の転換

 普段の視点と少しひねって、読んでてはっとするような短歌をつくるのが好きです。常識を疑う系短歌。歌詞とかにそういう部分が出てくると痺れちゃうんですよね……新藤晴一さんの歌詞はそういうのばっかりですよ……好き……

 

ここにいる私とそこにいるあなた 交わらぬことを運命と呼ぶ

 

 出逢うことだけが運命じゃなくないですか?出逢わないことだって運命です。けどそういうことを突然言われるとなんだかはっとしません?しますね。そういうのが好きです。

 

守るためではなく破るためでなく「する」ためだけに約束はある

 

 これもはっとしません?しますね。約束って、「する」ときに安心感とかがもたらされることもあるじゃないですか。「ずっと好きだよ」とか「いつまでも離れないよ」とか。そういう約束は「する」こと自体に意味があって、守られなくても破られてもどうでもいいんですよ。この発想の転換めちゃくちゃ気持ち良くて好きですね。

 

 

・言葉遊び

 いい見出し語が浮かばなくて言葉遊びとしました。小ひねりっていうか……まぁ言葉遊びなんだよな……

 

目を開けたままで見ている夢 今夜眠れないほど幸せな夢

 

 これはコンサートやライブに行ったときの気持ちを詠んだものなんですけど、「夢」って本来寝ているときに見るものなのに「今夜眠れないほど」という言葉で修飾されているところが気に入ってます。そういうのを「言葉遊び」って呼んでます。

 

 

・変わった比喩

 これもいい感じの言葉が浮かばんのだが……ちょっと変わった比喩っていい感じだなと思います。

 

冷凍のうどんでつくる簡単なレシピみたいな恋をしていた

 

 「簡単なレシピみたいな恋」、すごくお手軽で誰にでもできる(=私だけ特別ってわけじゃない)ような恋みたいなことが言いたかったんですよ。アイドルに恋をするって割とそういう側面もあるなって思ってて。そこに「冷凍のうどんでつくる」がつくと、さらに簡単なレシピなんだなって印象になりません?なりますね。ぱぱっとできちゃう、全部混ぜてチンするだけとかチンしたうどんにかけるだけとか、そういうインスタントでお手軽な恋。自分のアイドルへの恋心を皮肉った短歌です。ちなみに「うどん」というお題で詠んだもの。

 

手のなかのアルファ・ケンタウリは光る 君に好きだと伝えるために

 

 「ペンライト」というお題で詠んだ短歌。「アルファ・ケンタウリ」というのはケンタウルス座の星の名前です。銀河系の恒星のうち最も太陽に近い恒星ってウィキに書いてあった。まぁ単純にペンライトって星よねって言いたかったんですけど、それじゃつまらんので星の名前にしたっていう短歌です。そういう比喩も好きです。

 

冬の午後 乾いた風を射る陽光 あなたの声に少し似ている

 

 「声」=聴覚情報を「陽光」=視覚情報に喩えています。聴覚情報から受ける「印象」のみを引っ張り出して、その「印象」はどんな視覚情報から受け取ることができるか?っていうのを割と普段から考えていて、それを使って詠んだものです。他には「字」を「ライムの香り」に喩えた短歌もあったな。そういうのもすごく好きです。

 

 

・引用

 めっちゃ好きな技法です。ただ、受け取り手が引用元を知らないといまいち伝わらないものでもあるので諸刃の剣ですね。私は好きなので割と多用しますが。わかる人にだけわかればいい、みたいなところもある。

 

美しい蛾の標本として生まれ君のポケットで潰れたかった

 

 ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」からの引用です。中学生の国語の教科書に載ってるので比較的知名度は高いかと。すごくざっくり言うと昆虫の標本つくるのが趣味の主人公が友達のもってるクジャクヤママユという蛾の標本を盗んでポケットの中で潰してしまう話です。主人公は自分の標本も全部捨てて標本づくりもやめちゃうんですよ。その蛾に生まれたかったっていうんだから残酷な短歌ですよね。でもそういう感情が自分のなかに全くないって言えるか?という自問自答もこめて詠みました。

 ちなみに「標本」という既に死んでいるもの「として生まれ」って部分も気に入ってます。言葉遊びって感じがして好き。

 

きみの星(B612)が見えるから砂漠にいても迷わずに済む

 

 B612はサン=テグジュペリが書いた「星の王子さま」で星の王子さまが暮らしていた星です。自担が「星の王子さま」というソロ曲をやったからこそ詠める短歌。

 

君が死ぬ瞬間21g減るのを見届けたいから生きる

 

 これは引用というか、魂の重さの話。人間は死んだら21g減る、つまりその21gとは魂の重さであるってやつ。漫画とか小説とかでたまに見かけるやつです。

 アイドルがアイドルでなくなると、いくら本人が「何も変わらない」って言ったとしても全然違って見えるなぁと思って、それはその人から「アイドル」という21gが減ったからなんだろうかとか考えたりして生まれた短歌。

 

 

 ただただ私の好きな技法を並べただけですが、もし誰かの参考になれば嬉しいしそういうのいいよね!って話ができたらそれも嬉しいです。書ききれなかったことやこれから見つけるものもあるだろうし、またそのうちこういうの書けたらいいな。

答えは目が合ったとき教えて ーアイドル短歌まとめ12ー

 しばらくまとめてなかったからたくさんある。

 

 

 

 

 

「好きです」が聞こえる距離にずっといて 届かぬ言葉はないのと同じ

 

食肉になればよかった 好き嫌い選ぶ側にはなりたくなかった

 

誕生日星座血液型 知っていたって君との相性はみない

 

どうですか、こちらは元気でやってます。君が笑ってくれてよかった。

 

好きだった あなたがそこにいなくても私がここにいるだけでいい

 

受け取ったものが愛ではなくたって僕はそれでも愛と呼ぶだけ

 

口のなか溶ける天然かき氷 我が初恋は爽やかに消ゆ

 

真実はどこにでもある 食べやすく切ったかたちで目の前にある

 

そのままの君でいてねと言いながら変わってくのは僕のほうだな

 

梅雨空の下で濡れてはいませんか カフェから傘の群れを見下ろす

 

旅人が迷ったときに行先を示す光を「君」と名付ける

 

詩人なら言葉を選べ 君だけを過たず刺すキラーフレーズ

 

横断歩道の真ん中を歩いて どこにいたってそこはステージ

 

続いてく日々にあなたがいなくても生きていけるがあなたがほしい

 

生活にあなたが混じる お金などかからなくても愛だと思う

 

砂浜に投げた私のかなしみは透明になり海に溶け出す

 

「逃げ道はない」とか 幾らもある道が見えないことを恋としましょう

 

人間も神様になる そうやって笑ってくれただけで、信仰

 

何もかも好き、ではない 声と文章と誠実さと顔だけが好きなの

 

エイプリルフールに似合いの嘘ひとつポケットに入れ日付を跨ぐ

 

さよならの仕方は思い出せないがまた明日ねを言えない今日だ

 

「遠くまで来たね」と照れ笑う君が見えないほどの遠くから言う

 

ちゃんと見てデッサンをしたはずだった 君によく似た誰かになった

 

君が死ぬ瞬間21g減るのを見届けたいから生きる

 

 

 

連作:代替可能性

君じゃなきゃ駄目だと知った瞬間に永遠という名前をつけた

 

君じゃなきゃ駄目だと君は言わないで 僕以外でも大丈夫でいて

 

どうしてもあなたがいいな 理由など言えないほどにあなたを選ぶ

 

あなたしかいない 嘘ではなかったよ あの瞬間はそうだったんだ

 

f:id:penguinkawaii:20210421231237j:image

 

連作:夜から朝/夏から秋

どれほどに楽しい夜も眠れない夜も明けゆく 朝陽が照らす

 

夏の日の思い出に手を振る 秋が僕を迎えに来たから行くね

 

f:id:penguinkawaii:20210421231338j:image

 

 

お題:列車

「君となら銀河の果ても怖くない」車窓に映る君が笑った

 

お題:小指

ゆびきりをしよう明日も会えるように さよならまたね小指がうたう

 

お題:花火

君と見た打上花火の一瞬を独り占めする 永遠にする

 

お題:カレー

甘すぎるカレーをおいしく大切に食べてた日々を忘れないだろう

 

お題:そば

おろしたて山葵のとけためんつゆがつんときただけ 泣いてないです

 

お題:うどん

冷凍のうどんでつくる簡単なレシピみたいな恋をしていた

 

お題:向日葵

向日葵のような黄色 枯れていくうつむいた花のさびしい黄色

 

お題:扇風機

「ワレワレハ宇宙人デス」本当はそうじゃないよと首を振ってる

 

 

 

 

 

 

あなたには私がいてもいなくても変わらない それは幸せなこと

 

いなくてもいいけどいてもいいでしょう?答えは目が合ったとき教えて

妊娠するまで知らなかったこととか

 知らないことが沢山あった。ていうか知ってることのほうが少なかった。自分から知りにいかなきゃ知れないことが沢山あるので、妊娠する予定/可能性のある人もない人もちらっと読んでくださるといいなと思います。私のTwitterでのフォロワーはきっと女性が多いと思うので、参考になれば。

 

 

 

 

・妊娠=出産ではない

 妊娠と出産ってセットで語られるけど、決してセットではない。妊娠の先に出産があるとはいえ、それは「必ず」ではない。こんな当たり前のことすら全然知らなかった。知識としては知ってたけど、そんなの全然例外でしょ?宝くじ当たるくらいの確率でしょ?って思ってた。

 年齢によっても確率は異なるが、平均すると7人に1人は流産するといわれる。7人に1人なんて「よくあること」と言われるけど自分の身に起こったら絶対「よくあること」では済ませられないなと思った。自分もその「よくある」に入るかもしれない恐怖がすごい。しかも「絶対にちゃんと生まれてくる」という保証はどこにもない。こわい。

 ただでさえ妊娠中はホルモンバランスが普段と異なるのに、そこに更に不安が上乗せされて割とおかしくなっていたと思う。

 

 

・安定期は安定期ではない

 最初は「心拍が確認できれば」と言われる。ネットで検索すると「10週を超えれば」とか「12週を超えれば」とか「安定期に入れば」とか「22週を超えれば」とか、いろんな言葉が出てくる。でも、どの段階でも「絶対にちゃんと生まれてくる」という保証は誰もしてくれない。当たり前だけど、妊娠前は考えもしなかった。みんな平気で生まれてくるものだと思ってた。

 安定期というのは胎盤が完成して母体と胎児のあいだで栄養の受け渡しとかができるようになったりつわりが終わったり(終わらない人もいる)する時期のことで、別に「もう絶対ちゃんと生まれてくるよ!」という保証ではない。知らなかった。

 

 

・どんな妊娠にもリスクがある

 10代の若年層の妊娠・出産に対するリスクや高齢妊娠・出産に対するリスクは語られるけれど、20代だろうが妊娠適齢期だろうがリスクはある。リスクがゼロの妊娠・出産はない。ないんだよな~!

 そもそも「高齢」って35歳以上のことなんですよね。知らなかったわけじゃないけど、あんまり意識したことがなかったな。

 

 

・風疹の予防接種は重要

 妊婦が風疹にかかると胎児に障害などの影響が出ることがある。私が妊娠に気付いたころ、会社で希望者を募り予防接種を受ける機会があったが、風疹の予防接種を受けていないかもしれない年代の方々が「まぁどうでもいいかな」みたいな態度だったのが結構しんどかった。私のことはおいといたとしても、いつどこで妊婦と接触するかわからないのにな。

 幸い、私は2回予防接種をしていて抗体もばっちりあったみたいだけど、一度しか予防接種をしていない夫は抗体検査の結果ほぼなかったので予防接種をしてもらった。ちなみにこの予防接種、妊娠中は受けられない。妊娠を希望している方は風疹について調べてみるといいかと思います。

 

 

・金がかかる

 そりゃあ出生率も低いよ、と思った。まず母子手帳をもらう(だいたい8~12週ぐらいでもらえる)までは100%の実費精算。病気じゃないから3割負担にもならない。確かに病気ではないけどだからといって100%負担!?とは思う。他の病気じゃないものとの区別がつけられないからとか?いや~妊娠は明らかに違うのでは……?といろいろ考えた。よくわかんなかった。

 母子手帳をもらうといくらか助成してくれる券がもらえる。しかしその券を使っても自費負担の部分があるときもある。全部負担してくれよ~!お金がないなら産むなってことかもしれないけど、そしたら子供がほしいと思っていてもお金がないから無理って人も出てきちゃうよな……って思った。

 

 

・病気じゃないけどしんどい

 確かに病気ではないけど、つわりは(個人差が大きいが)しんどい人はしんどいし、体の免疫力が下がるので風邪などにもかかりやすくなってしまうし、体が(ホルモンバランス等の見えない部分・お腹が大きくなる等の見える部分どちらも)大きく変化するので頭痛や肩こりや便秘や腰痛や貧血やその他もろもろのマイナートラブルに見舞われたりする。確かに病気ではないけど!!!

 私はつわりがそれなりにひどく、米の匂いや食べ物の匂いが全般的に気持ち悪くて吐いたり朝昼晩食っては吐いたり頭痛があったり常に乗り物酔いをしているような吐き気があったりした。約2か月ほどは日々の記憶がほぼない。極力会社には通っていたが、会社で何をしていたかも覚えていない。

 さらには免疫力やら抵抗力やらが下がるので、いろんな病気にかかりやすくなるらしい。今のところ私は特にかかっていないけど、そんな時期に新型コロナウイルスが流行ってしまってめちゃくちゃビビった。

 ちなみに私は普段、PMSで体が動かないときや生理痛が重いときは積極的に休みを取るタイプである。つわりの時期は毎日それと同じくらいしんどかった。しかし産婦人科の検診に行くことも考えると休みがなくなってしまい、あまり休めなくなった。つわりのある妊娠初期はお腹もさほど出ていないから妊婦だとは気づかれない。会社に対しても、上司くらいにしか報告していない(一般的に安定期に入ってから公表することが多いので)。マジで四面楚歌じゃんか~~~と思いながらどうにか乗り越えた。

 私がもし街や駅で妊婦さんを見かけたら絶対やさしくしよ……と思った。元気なときに優先席に座っているのに見て見ぬふりなんてしないって誓った。

 

 

・「コウノドリ」を読むのは今ではない

 新型コロナウイルスの影響で図書館にも本屋にも行けず、母親学級も開催されず、ネットで真偽不明な情報を得るよりは……と漫画「コウノドリ」を読んでみたんだけど、メンタルの危うい妊婦は読まない方がいいのではないかと思う(メンタルの危うい妊婦だった者より)。

 妊娠・出産にまつわるさまざまなトラブルが描かれていて、その中には「もしかしたら私も……」というものもある。助かるばかりではない。そういった描写で不安になってしまいそうな人は、少なくとも妊娠中は読むべきではない。すごく勉強になるとは思うけど、「今」ではない。綾野剛さんにメロってる今、めちゃくちゃ見たいけど今ではない。

 

 

・電車のなかでも周りを見られるようになりたい

 一日働いて帰るとき、妊娠中だと普段よりも疲れてしまうことが多かった。朝は朝で気分が悪いことが多い。優先席が空いていたら座っていたけど、朝だと座ったまま目を閉じている人やうつむいている人もいた。そういった人が健康な体の持ち主かどうかはわからない。私が今後また満員電車に乗るようになったら、周りに気を配って必要そうな人に声をかけられるようになろうと誓った。

 勿論、親切にも席を譲ってくださる方もいた。そういった人には「ありがとうございます」と言うのといいことがありますようにって心の中で幸せを祈るくらいしかできなかったけど、本当にありがとうございました。しんどいときに助かりました。

 

 

・買い占めこわい

 新型コロナウイルスさえなければこんな気持ちにならずに済んだのにな……とは思うけど、新生児のために使う用のガーゼや肌着を手作りマスク用に買ったりフリマアプリで転売したり……という出来事に遭遇した。安定期に入りたての頃は「まぁまだいらないし、今すぐ必要じゃないのに買ったら今欲しい人が困るよね」と思っていたが、このまま製造が追いつかない&新型コロナウイルス流行の状況が落ち着かないということになれば、中の人が外の人になる頃にもガーゼ系の商品はお店に置かれないことだってありうる。私は「今どうしても必要な人」ではないが、「必要なときに買えないかもしれない人」ではある。申し訳ないとは思いつつも、数枚は手元に用意しておいた。普段ならこんなことはないんだろうな……必要な人に必要なものが行き渡る世の中であってほしい。

 

 

・何が起こるか本当にわからない

 その前の検診までは順調だったのに突然「今から入院です」と言われることもある。私がそうでした。私の場合は赤ちゃんが数週間大きくなっていないように見受けられ子宮の収縮で赤ちゃんの心拍が低下してしまう「胎児発育不全」というものでした。実際にはそこまで小さくなく産まれてきたのですが、出産後におそらく原因であろうと言われたのが「へその緒が細い」「へその緒が首に巻きついている」というものだったので私にはどうしようもないことでした。どれだけ気をつけて生活していようがどうしようもないこともあるということを知っておいてほしいです。何が起こるか本当にわからない。たぶん、他のお母さんもいろいろあると思うけど、そのどれもが「何が起こるか本当にわからない」に当てはまるのではないかと勝手ながら思います。

 

 

・保険は入ろう

 今回、胎児発育不全ということで予期せぬ入院をすることとなりました。仕方はないがクソほど金がかかる

な……と途中で暫定支払額もらってへこんでいたのですが、保険に入っていたことを思い出して申請したら保険がおりました。

 会陰切開が手術扱いになったし、女性特約(っていうのかな?)に入っていたから入院日数分のお金が倍になったりして、なかなかの額になりました。多分、年末調整の分と合わせてたら今まで払った分ととんとんになったかなってくらい。

 マジでお金の心配をしてたので、それがチャラになったのは大きかった。社会人の方はぜひ保険を検討してください。

 

 

 

 妊娠中に書いてたものと、思い出したものと。だいたいこんな感じかな。私は知らないことばっかりだったので、誰かの役に立てればいいなと思います。

誘発分娩出産レポ

 出産のときの流れを記録しておこうかと。いわゆる出産レポというやつです。

 

 前回の記事でも書きましたが、8月半ば(37週)から産むまで入院していました。赤ちゃんの成長が見られない「胎児発育不全」という診断名だったと思います。3週間ほど赤ちゃんが大きくなっていない可能性があり、管理入院をすることになりました。その後、予定日頃には誘発分娩(自然に陣痛が起きる前に、陣痛促進剤を使って陣痛を起こす)をすることに。何かあったらすぐ帝王切開に切り替える態勢で。

 

 

9/2(予定日前日)

 16時頃、子宮口(赤ちゃんの出口)を開く処置を実施。いろいろなやりかたがあるようですが、私はラミナリアという器具(水分で膨らむ綿棒みたいなもの)を11本挿入しました。入れるのがめちゃくちゃ痛かったし、入れてから膨らみきるまでも数時間めちゃくちゃ痛かった。入れてから出血があって、聞いてないよ〜って思った。言ってくれたらちゃんとナプキン用意したのに……!

 分娩室に移動し、ラミナリアを入れてから赤ちゃんの心拍をチェックするモニターをしばらくつける。ここでまた強めのお腹の張りがあり、赤ちゃんの心拍が下がってしまって、いつ帝王切開になってもいいよう急遽手術着に着替えたり点滴の針を刺されたりする。しばらく様子を見て落ち着いたようなので20時ごろ夕飯を食べ、22時には消灯するため一旦病室に戻る。分娩室(寝る用のベッドではないので硬い)で寝なければならないかと思っていたので普通のベッドで寝られて本当によかった。とはいえ緊張してそこまで眠れませんでしたが……

 

9/3(予定日当日)

 引き続き帝王切開の可能性があるため、昨日の夜を最後に絶飲絶食。昨日眠すぎて手術着のまま寝てたが今日も引き続き手術着のまま。分娩室へ。

 9時ごろ、昨日入れたラミナリアを抜く処置。抜くのも痛い。でもこれで子宮口も開いただろと思っていたら「昨日まで1cmだったけど2cmになってるね」とのこと。あんなに痛くて1cmしか開かないんだ……となかなかの絶望に襲われる。あんなに痛かったのに……

 10時ごろ、陣痛促進剤の投与を開始。ここから30分に1段階ずつ上がってMAXは10段階。赤ちゃんの心拍チェックは常にしている状態。水分の点滴もしているのでトイレにはたまに行きたくなり、数時間に一度くらいは行く。それ以外は分娩室のベッドで過ごす。最初は少しお腹が張るかな?くらいであまり痛みはない。

 13時半ごろから痛みが強くなってくる。担当の助産師さんが一人ついていてくれたので、痛みが強くなると腰をさすってもらったりしながら耐える。

 なかなか時間が経たないもんだな……と思っていたらいつのまにか16時になり、今日の促進剤投与は終了して明日に持ち越すことに。明日もこれやんのかよ〜という絶望感とこの時間に終わるなら1時間もすれば痛みも引いて売店が開いてる時間にギリ間に合うからアイス食えるな……と考えていた。

 17時を過ぎても痛みが弱まらない。間隔は開いているものの痛みの強さはむしろ強まっているのではないか?と感じ始める。18時になって売店が閉まり、アイスへの道が絶たれる。この痛みは何?これはなんの時間?と思いながら痛みに耐える。

 19時ごろ、あまりに痛みがおさまらないため助産師さんが内診。子宮口が3.5cm開いているとのこと。え?陣痛きてるじゃん!!!!!!促進剤を止めてからの痛みは陣痛であったことが判明。

 それからはだんだんと痛みが増していく。痛みと痛みの間隔は開いたり狭まったり。声を出さないと呼吸ができず、呻き声を上げながら息をする。夜勤の時間帯なので助産師さんがつきっきりでいてくれるわけではないので痛くなるとナースコールで呼ぶシステムになった。他にも陣痛に耐える妊婦さんがいるので、死ぬ!!!!!!!って痛みのときに誰も来てくれないとめちゃくちゃ心細くてちょっと泣いてた。あまりに泣けてくるので助産師さんが来てくれたタイミングで荷物からハンカチを出してくれるよう頼んだら、鞄の中にいたピングーも出してくれて気遣いの鬼かよ……と思った。ハンカチとピングーを握りしめて陣痛に耐えた。

 22時ごろからは眠気と空腹で意識が朦朧としだす。痛みと痛みの合間に寝るんだけど、ペーパーマリオの世界と現実世界が混ざったり星野源の幻覚を見たりする。マジでヤベェやつじゃん……と思いつつも眠気に勝てなかった。

 

9/4(予定日翌日)

 夜中も引き続き陣痛に耐える。1時か2時を過ぎたあたりで子宮口が7cmと言われる。陣痛が弱いので促進剤を再度使ってもいいかと聞かれ、嘘だろこれで弱いのかよもう死にそうなんですけど……と絶望しながらも使ってくれと頷く。

 促進剤投与開始。最初の方はなんともないが、量が増えるにつれて痛みが強くなり間隔も狭くなる。既に枯れた喉で叫びながら息をする。たまに赤ちゃんの心拍が低下してしまうので「向き変えられる!?」と言われながら半ば無理やり体の向きを変える。痛いのに無理やり動かなきゃいけないのがなかなかつらかった。娘さんは出てくる直前まで胎動が激しく、お腹の中で動くたびに痛みが増してそれも苦しかった。私が苦しみだすと助産師さんがお腹の張りはなさそう……って言うけど娘さんが暴れてるだけだってわかってても言葉にできなくてなかなかしんどい。でも元気ならいいや……という気持ちで耐える。

 いつのまにか子宮口が全開になっており、痛みとともに「なんか出そう」みたいな感覚もやってくる。これが「いきみたい」というやつか……と頭の中の冷静な部分が思ったりした。もうめちゃくちゃに痛いのだが、産むための助産師さんたちの準備があるので痛みの波を数回自分で逃してくれと言われる。マジかよ〜〜〜ここで一旦放置はきつい!!!と思って無理ですと意思表示するも、もう産まれるからここは耐えて!と言われる。マジかよ〜〜〜!!!泣きながら耐える。

 耐えているあいだに赤ちゃんを取り上げるための準備が進められる。いろんな道具が用意されたり、私が寝ているベッドがトランスフォームして産むモードになったり。もうすぐこの痛いのも終わるんだな……とうっすら思う。思っているあいだに産科の先生もスタンバイしてた。

 「陣痛の波が来たらいきんで!」と言われるもいきむってなんだよ!!!と思って最初の数回はうまくいかず。とりあえず何か出す感じで力を込めないといけないんだ、ということがわかり始め(不眠不休絶飲絶食がマジできつくて思考がままならなかった)、どうにかいきむ。赤ちゃんがだいぶ下にいるので心拍モニターも下の方に当てられてるんだけど、ズレないように押さえられていてこれがまた痛い。

 ちなみにここまで破水せず、人工的に破水させる処置を行う。どばーっとあったかい何かがびしゃびしゃと出ていく感覚だった。

 なかなか出てこないので会陰切開のための麻酔。2箇所くらい切られたか?という感じはあったが実際どうなのかはわからん。お股切られるなんて怖くて詳細を聞く気にはなれなかった。会陰切開後は割とすんなり「どぅるん」という感覚があり、そこからはもういきまずに穏やかに息をしろと言われたので従っていると、さらに「どぅるん」と何かが出てきて足の付け根を蹴られ、産声が聞こえてくる。

 4時5分、娘さん誕生。

 へその緒が首に巻きついていると聞いていたけれど、すぐに泣き声を上げてくれて本当によかった。下から産めるかどうかわからないところだったので、助産師さんも先生も喜んでくれたのが嬉しかった。赤ちゃんの体重も2600gを超えていて、入院していた甲斐があったんだな〜とここまでのしんどい日々を思ったりした。

 胎盤を出す処置をして、赤ちゃんに栄養がいきづらかったのはおそらくへその緒が細いためだと判明。胎盤を出す途中でへその緒が切れてしまうほど細かったらしい。切れてお腹の中に残ったへその緒を探されるのがまた痛かった。

 お股を縫われつつ夫(面会禁止のため自宅待機)に電話。随時連絡はしていて朝までには産まれそうだと伝えていたものの、陣痛がやばくなってからは無理だったのでずっとそわそわしながら待っていたらしい。お疲れ様です。

 陣痛が始まってからは11時間ちょい、初産の平均よりは短い時間で終わったので安産の範囲なんだろうけど、安産だろうがなんだろうが痛いものは痛い。陣痛マジで痛いのでもし次があるなら無痛分娩も考えます。でも都内で無痛分娩やるとアホみたいに高いんだよな……

 産まれてすぐ娘さんを抱っこできたし、身長体重の計測などが終わってからもまた抱っこできて、こんなかわいいのを産んだのかよ〜!!!という気持ちでいっぱいになった。今もマジでかわいい。産まれて1時間程度で授乳(まだ出ないけど)もできて、娘さんは飲み方が上手いと褒められ私はおっぱいのかたちが飲みやすくていいと褒められました。

 一通り終わって水が飲めてウィダーインゼリーが食べられて、まる24時間以上の絶飲絶食マジつら!!!!!!と思いました。お疲れ様でした!

 

 娘さん、今現在はすやすやだけどなかなか寝なかったり謎に泣いたりの日々ですが、娘さんがかわいいのと実家で家事一切せずごろごろして昼間に寝つつ生きてるのとでなんとかやれてます。退院後、めまいで倒れたりもしたので産後のお母さんたちはマジで無理しないでね!!!!!!一緒に無理せずがんばろ!!!!!