過去と対峙し未来へ向かう ―ポルノグラフィティ「VS」感想―

 思うことがいっぱいありすぎてなかなか書けずにいたんだけど書かなかったらたぶん書いときゃよかったな~って思うだろうから書きます。

 

 

 

 

VS

・晴れやか

 イントロのピアノがまずいい。爽やかで決して暗くはないけれどちょっと切ない感じもありつつ静かに始まる。岡野さんの歌声もピアノの音と同様に優しく、そっと入ってくる。いやこの入り方めちゃくちゃ上手くないですか?岡野昭仁の「歌が上手い」は音程や声質だけじゃなく技術にも裏打ちされてるんだなと改めて実感する。

 そして徐々に盛り上がり、サビで思いきり弾ける。ここまで盛り上がりをとっておくことで「こんなにも晴れわたってる」の説得力が全然違う。雲がさーっといなくなって太陽が照りつける空が、アレンジや演奏からも伝わってくる。

 あとギターソロもすごく晴れやかで、たぶんこの「僕」は「あの少年」に対して誇れるところもちゃんと持っているんだろうなって思う。とても伸びやかで、白いボールが晴れた空に舞い上がるようなイメージにも合う。ほんと新藤さんのギターは雄弁。

 

 

・「夜ごと君に話した約束たち」

 サビの終わりの「あの少年よ こっちも戦ってんだよ」は、「プッシュプレイ」の「あのロッカー まだ闘ってっかな?」を思い出す。特にノンフィクションだと言わない限り新藤さんの歌詞はフィクションなのだろうけれど、それでも過去の曲と対比できてしまうところにぐっとくる。私が好きなロックバンドは今もまだ闘っているよ。

 二番からは「AGAIN」や「ダイアリー 00/08/26」「ひとひら」を思わせる言葉が出てくる。「夜ごと君に話した約束たち」だ。

 

夜ごと君に話していた約束は今も果たせず

痛みに姿を変えて尚 AGAIN AGAIN

 (「AGAIN」)

夜ごと、君に話してた未来についての言葉は

いくつかは本当になって、いくつかはウソになってしまった。

 (「ダイアリー 00/08/26」)

あれは夜な夜な語った夢と果たせないままの約束たち

(「ひとひら」)

 ざっと思い出せるのがこのあたり。そして「VS」ではこうなる。

 

夜ごと君に話した約束たち

今も果たせずにいて

 (「VS」)

 

 ねぇわかります……?ポルノグラフィティの約束はまだ果たされていないんですよ……。夢叶った!ハッピー!って言っちゃってもいいのに、言わないところが新藤さんだなって思う。叶わなかった夢もあるし、まだ叶っていない夢もあるんだろう。そこに正直であること、とても新藤さんだな……好きだな……

 

 

 それと「MIX」=混ぜ合わせるという意味をもったアニメの主題歌のタイトルに「VS」=対峙するをもってくる新藤晴一、天才じゃないですか?んで東京ドームでのライブ「神VS神」にもかかってて……シンプルに天才。

 

 

 

プリズム

 なんでこのメロディとこのアレンジでファンへの感謝や愛を歌おうと思った!?って思うような変態的なメロディとアレンジ。でもこういう難しい曲を歌うこともまた愛じゃん……って思う(ちょろい)。

 「過去も現在も未来もたくさんの愛に包まれている Precious Journey」、あまりに幸せすぎてひえ~~~って思っちゃうくらい。私がポルノを愛していることをちゃんと知ってくれているの、すごく嬉しい。えっこちらこそこんなに愛されていていいんですか……?

 かつてポルノが合併により廃校となった母校に戻った映像(たぶんNHKで、因島尾道市に合併することになったときの凱旋ライブのやつ)で、新藤さんが岡野さんについて「体育の走り高跳びで誰よりも高く跳んでた」って言っていたのが印象的でずっと覚えていたので、「誰よりも高く飛べ」って歌詞がめちゃくちゃに刺さった。

 ていうか「プリズム」というタイトルで「プリズムの乱反射に目が眩んでしまうけど君たちが導いてくれたからここまでこれたよ」って歌うのしんどくない?しんどいです。好き。

 あと「夢か現か」で終わらず「風か幻か」って続くのめっちゃ岡野さんの歌詞だ~~~って思う。好き。

 全然まだまだこの先進んでいく気満々じゃん!って歌詞ですごく幸せになった。「未来」のことも歌ってくれてありがとう。あと単純に曲がかっこいいよね〜〜〜岡野さんの曲の疾走感わけわかんないほど疾走してて好き。

 

 

 

一雫

 正直この曲の話無理なんですけど……それでもするとしたらメロディがずるい。こんな優しいメロディにノンフィクションの歌詞を載せられちゃったら泣いちゃうでしょ。無理です。

 新藤さん本人が「今までのライブで言ってきたことを書いた」って言ってて、確かにその通りでもうぐっとくる以外の何物でもない。タイトルを「ダイアリー」にしそこねたところも新藤さんだな~って感じで全然好きです。ダイアリーがよかったけど!笑

 私を救ってきたのは「乾いた雑巾を絞ったような一雫」だし、私が愛してきたのもそうだ。湧きたつ泉じゃないのだとしたら、きっと言葉や音楽を生み出すのは大変だっただろう。努力して努力して、その末に生まれたものたち。だからきっと私はそれらに惹かれたのだろう。たぶん、私も努力して努力してどうにか生きているから。

 新藤さんが歌っているパートは、新藤さんがかつて「自宅にて」に書いたり「ラヴ・E・メール・フロム1999」の冒頭の映像で伝えたりした言葉たちだ。無意識に夢を見ているんじゃなくて、自覚的に夢を見ようとして見ているということ。

 

ポルノグラフィティを仕事として僕が生きていけてるのは、まだ夢を見られているからだとも思う。ときどきは目が覚めそうなときもあるけどね。そういうときはぎゅっと頑なに目をつぶって、見ていた夢をたどり直すんだ。」

 (『自宅にて』)

「それでもまだまだ みんなと夢の中にいたい 時には薄目を開けて 周りをうかがいたくもなるが ギュッと目を閉じて」

 (「ラヴ・E・メール・フロム1999」)

 

 私は新藤さんのこの考え方がすごく好きだ。というか、そう考えている新藤さんのことがすごく好き。できれば変わらないでいてほしいと思う。20周年の節目でまだこの考えを持っていることを確認できてよかった。

 目を閉じようと思って目を閉じて、夢を見ようと思って夢を見る。彼らは生まれたときからポルノグラフィティだったわけではない。ポルノグラフィティでいることを選んでいるから今がある。選んでくれてありがとう。あなたたちが見る夢を、私も一緒に見られることが嬉しい。

 

 今日も駆け抜けて、まだ見ぬ明日に続いて、ああここには未来がある、と思う。「これから」がある。ここで終わったりしない。続けることは目的じゃないけれど、いつか辿り着くその日まで終わらない。おそらくその日はまだ来ないだろう。

 いつかのその日まで、一緒に夢を見ていたいな。

 

 

 いつにもまして胸がいっぱいで、どう言葉にしたらいいのかわからなくてあんまり上手く書けませんでした。もっとここを聴こうとか細かく聴きたいとか思うけどそんなものより感情が先にきてしまう。私が愛してきたものが、私を愛してくれているのがわかる。好きが溢れる。でもまぁ、たまにはこういうのもいいよね。

 

 

 

 

ポルノグラフィティの「これから」を思う

 ツアー「BUTTERFLY EFFECT」のとき、もしかしたらポルノはそろそろ「完成」に近づいてきているのかもしれないと感じた。

 初めてロッキンに出て何万人もの人たちとアゲハ蝶を合唱したし、海外ワンマン公演もやった。ポルノが今までやってこなかったことを成し遂げた。ロッキンでは彼らが影響を与えてきたバンドにも会って、彼らの歩んできた道のりが誰かの心に足跡を残すものだったと、きっと彼ら自身が体感したことだろう。

 ポルノのゴールがどこにあるのかは、いちファンでしかない私にはわからない。ポルノ自身にもわからないものかもしれない。当時のインタビューや(主に)新藤さんの発言にも、ポルノの終わりを意識した言葉がみられたように思う(完全に主観です)。やりたいことはやりきりつつあるのかな、と感じていた。

 それに、長年活躍してきたアーティストの引退や活動休止などが報じられ、ポルノも20周年をなんらかの区切りにしてしまうのでは、と怖かった。

 

 けど!!!!!この人たち全然まだまだ前に進む気じゃんって思えるシングルでした!!!!!!!!!!どの曲にも未来があって、私とポルノの日々はまだ続くんだと確信しました。

 20周年過ぎても全然まだまだやる気じゃんって思えて、私はいまとても幸せです。