色褪せない曲たちのこと、夢の景色 ―ポルノグラフィティ「UNFADED」感想―

 幕張2日間、横浜2日間に行きました。レポではなくて個人の感想です。

 

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推しのムライさんです。かわいい。

 

00.Opening

 オペラのような歌声。なんとなくDice are castツアーを思い出す。すごくどきどきする始まり方で、薄い膜が取り払われたらそこにポルノがいるの、恰好よすぎる。

 

01.オレ、天使

 何から始まるんだろうと思ったけど!これか!

 “色褪せない”とタイトルに掲げながら、「音楽なんてそんなもんか」って歌ってしまうの恰好よすぎる。ポルノグラフィティというロックバンドの姿を見た、と感じた。「音楽なんてそんなもんか」って歌いながら、今から自分たちのやる曲が色褪せていないか確かめてくださいよ、なんて。自信しかないんだなと思ってにやっとしてしまう。

 今回のツアーは「ポルノの楽曲が色褪せていないか、みなさんに答え合わせをしてもらうような」というコンセプトであるという。答え合わせをするにはまず、問題提起が必要だ。その問題提起となる楽曲がこの「オレ、天使」である。でももう問題提起の時点で「色褪せてねえんだわ!!!」という気概が伝わってきちゃって完敗です。

 今回は言わない台詞を脳内で再生させていると、最後の「人生」のあたりで岡野さんが「UNFADED!」と被せてくる。これ、死ぬほど恰好よくて。色褪せてしまうものを語る台詞に、「Today is UNFADED!」を重ねてくるの本当に恰好いい。言い方からタイミングから何まで全部死ぬほど恰好よくてチケット代の元がとれてしまい、今後は従量課金制にしてほしい。ちゃんと払わせて。

 

02.A New Day

 久しぶりの「言うなー!」。いつ以来だ……?

 改めて聞くとすごく上がる曲だなと思った。私事ですが結婚式で弟と中座するときに使った曲で、私のライブ初日も横に弟がいたのでなんだか感慨深く思いました。

 横浜1日目は初ポルノの方をお連れしたのだけれど、この「言うなー!」のところでポルノファンがとても楽しそうな様子を見て涙が出てきたと言っていて、そうなんです楽しいんです……と私も泣きそうになった。

 

03.幸せについて本気出して考えてみた

 ポルノのライブに行くようになる前、いつかこの曲をライブで聴くんだと思っていたことを思い出した。何度も何度も聴いたけど、やっぱり好き。

 死にそうだった中学生のころ、何度もこの曲に励まされた。「それなり」さえも誉めて欲しいって歌詞に、私の「それなり」も誉められた気がした。あのとき死にそうだった私は、ポルノに支えてもらって、死なないままでここにいる。

 

04.東京ランドスケープ

 全然記憶にないけどSWITCH以来だったりする?どっかでやったかな?

 私のライブ初参戦がSWITCHで、幕張1日目もSWITCHのTシャツを着ていたので遠いところまできたものだと14年くらいの時を思った。14年も経ったの……

 生まれてこのかた東京に住んでいるので、東京にやってきた人たちの気持ちはたぶん理解しきれない。私にとって東京は戦う場所じゃなく暮らす場所だから。でも、ポルノがまだまだ東京で戦おうと思ってくれているような気がして、すごく嬉しかった。

 

05.ジョバイロ

 数多のラテン曲に押されいつのまにかライブ定番から消えてしまったジョバイロが!!!おかえり!!!!!

 確かにほかのラテン曲に比べると曲自体の盛り上がりが大きくはない(おたくは大いに盛り上がるが)感じもする。「アゲハ蝶」や「オー!リバル」は客も一緒に歌えるし。「ジョバイロ」はそういう意味での盛り上がりには欠けるけれど、でも聴くとやっぱり好きだなと思う。改めて歌詞の美しさを味わいながら超絶楽しく手拍子した。サビ前の手拍子超楽しいよね。

 

06-1.ヴィンテージ

 これも久しぶり。多分ライブで聴いたことがあるとは思うけどもうとっくに十年選手になってしまったので前がいつだったのか覚えていない。キーボードのアレンジがめちゃくちゃカッコよくてみなちんに惚れた。

 

06-2.Swing

 生で聴けたら成仏できるリストの筆頭だった曲(しかし今さっき調べたらポカリツアーでやったっぽくて、いや私太るほどポカリ飲んで当てて行ったじゃんよ!と思った。あのときは「やばい曲しかなかった」ということしか覚えてない)。今回絶対やるだろうなって確信していた。なので幕張1日目は「おかしいなやらないのか……」って気持ちだったけど2日目は「ほらね!!!!!」って思った。謎の強気。でも絶対やるって思ってた。ほかの聴きたい曲はなくてもこれだけはあるってわかってた。

 岡野さんの楽曲のなかで多分一番好きなんじゃないかと思うくらい好き。たぶん一番好き。この曲と出会ったときのことは未だに覚えている。中学生になってCDを買うようになり、持っていないシングルを集めていたときのこと。ヴォイスはそのなかでも最後に手に入れたもので(カップリングがこの曲とライオンのライブバージョンで、新規曲として聴けるのがこの曲だけということになるので優先順位は低めだった)、この曲を聴いて衝撃を受けた。何がどう衝撃だったのかわからないけれど、鮮烈なイントロと「僕は揺れた」と歌う歌詞に夢中になった。

 ただ、「ゆらゆらと揺れるあの虹も」のところのベースが音源とは違う感じに弾いていたように思えて、あのベースが好きで好きでたまらない私としては若干の物足りなさもあるものの、絶対聴きたい曲だったので聴けてよかった。絶対聴きたかった。

 後ろの映像も、虹は出さずに波とかで揺れる感を表現しているのが素敵だなと思った。

 

07.前夜

 ぜひともライブで聴きたいなと思っていた曲。初めて聴いたときはじーんときてしまって少し泣いた。この曲が始まると、モニター左側に岡野さん、右側に新藤さんの姿が映し出されて、「旅立ちの前夜」を超えて二人とも今ここにいるんだなって思ったら胸がいっぱいになってしまう。エモエモ演出すぎる。サビでは真ん中のモニターだけになるのもまたいい。ずるい。エモ。

 

08.ビタースイート

 照明がわけわかんなくて恰好いい。変態か?なんであんなに動くの?んで岡野さんが歌い出すと定位置に戻る感じもなんなの?岡野さんの声が支配してんの?ときめいちゃうでしょそんなの。

 声の迫力というか音の圧みたいなものがすごくて、こんなに恰好いいものを聴いていいのか?って思うし「前夜」と「ビタースイート」の振り幅がすごい。なかでも「前夜」「ビタースイート」はどちらも夜のイメージなのにかたや明けていくための夜、かたや沈むための夜、って感じがして好き。

 「前夜」~「ビタースイート」~「ライオン」/「DON'T CALL ME CRAZY」~「Zombies are standing out」のロック曲ゾーン。ポルノの今のロックを凝縮した感じがして、お茶の間でしか聴かない人とか昔のポルノしか知らない人絶対聴いて!!!って叫びたくなる。このツアーからどこかを抽出して見せるなら私はここかな。

 

09-1.ライオン

 こないだやらなかったっけ?と思ったけど私の「こないだ」がFUNCLUB UNDERWORLD5であったことに気づく。全然こないだじゃないわ……。

 デビューアルバムから持ってきた曲も全然色褪せてない(しかもこの曲自体はデビュー前からある)ってすごいよね。

 

09-2.DON'T CALL ME CRAZY

 照明が変態。特に横浜アリーナはこのツアー最大の会場だったこともあり、幕張で見たときよりも照明が変態だった。

 

10.Zombies are standing out

 トゥーランドット!!!!!誰も寝てはならぬ!!!!!から始まる。最高。

 「ビタースイート」からこの曲までの流れがあまりにばっちり合いすぎていて怖い。頭の中に手を突っ込んで脳をがしがし揺さぶるような曲たちが並んでいてアドレナリンがどばどば出る。

 「Hands come out underground」のところあたりでみんな手を挙げはじめるので、まるで地面から手が現れたかのよう。ステージはアリーナよりも高いところにあるから、まさしく「Hands come out underground」みたいな光景に見えるんじゃないかな。

 

11.見つめている(昭仁弾き語り)

 鳥の鳴き声が聞こえてきて、岡野さんがひとりになる。岡野さん曰く「ゾンビからの小鳥。ポルノの振り幅すごいね!」。

 なんでこんな歌詞書いたんじゃろう……と言いながら歌ってくれた「見つめている」。歌詞ヤベェなとは思っていたけど本人から言われるとなんだか笑ってしまう。ずっとヤベェなと思ってたけど好きな曲だよ。

 

12.夕陽と星空と僕(昭仁弾き語り)

 正直この曲はオケも含めてめちゃくちゃ好きな曲なので、できれば音源に近いアレンジで聴きたかった気持ちもある……でも弾き語りもよかったよ!

 幕張のときはやっぱりいい曲だなぁくらいの気持ちで聴けていたのに、横浜では岡野さんの声がちょっと掠れ気味で声の切実さが増していて、こういう切ない曲に合いすぎていてすごく胸に響いてちょっと泣いた。おたくはすぐ泣いてしまうね。

 

13.didgedilli

 別冊俺にも楽譜が載っていたのでやるかなと思っていたけどやってくれた!曲の終わりで新藤さんが客席を指さすんだけど、死ぬほど恰好よくてまた恋に落ちた。

 

14.カメレオン・レンズ

 客席(通路)の上にも照明があって、曲が始まるとともに客席が照らし出される。思わず見回してしまう。この場にはこんなにも沢山の人がいるんだと改めて認識する。これだけの人が同じものを見ているのに、目に映ったものが「同じもの」とは言い切れない。すっと伸びた幾筋もの光は交わらない。それがなんだかこの曲を表しているようで、ぞっとするほどきれいだった。

 モニターの映像もきれい。リズムに合わせ記号が弾けるんだけど、ありのままの真実など誰も見ていやしないから、どれが真実かなんてわからないしどれも真実じゃないのかな、私が見たいように見たかたちでしかないのかな、とか色々思った。

 2018年の私はこの曲に支えられていたと言っても過言ではない。「ありのままの真実など 誰も見ていやしない」。このフレーズが私の周りをぐるぐると舞っていた。同じものは見られないし、正しいものも見えない。だからこの感想文に書いてあることだって別に客観的な真実ではないです。私が見て私が感じた、私のフィルターを通して見たライブの話。でも、誰かが表現したもののなかに誰の意図も含まれていないことなんてないんだよな。私に見えるのは私の月。あなたに見えるのはあなたの月。重なり合う月食の夜は来るのでしょうか。

 

15.海月

 モニターに映し出されるミズクラゲがきれい。いろんな色に光ったりする映像で、この映像以外にも「色」を強調するような映像が印象的だったので「UNFADED」というテーマがここにも活きているのだと思う。

 最近、映画「ファースト・マン」を見たこともあって、宇宙についての本をよく読んでいる。そのなかには生命はどのように誕生したのかという話もあって、最初の生命のこと考えると本当に眠れなくなっちゃうほどくらくらするんだけど、「海月」を聴いているとそんな「生命」に思いを馳せてしまう。

 

16.フラワー

 この曲の照明、黄色やピンクなどの色合いで花っぽいなぁと思っていたら、スタンド席で入って照明が花のかたちをしていると気づく。アリーナでは見られない光景。

 力強すぎて聴いてると心がもっていかれすぎてダメになりそうになるくらいパワーに満ちた歌。

 「海月」「フラワー」ってどちらも「生命」の曲で、作詞者がそれぞれ岡野さんと新藤さんで、それぞれが考える「生命」があらわれている気がする。作った時期は知らないけど発表された時期は近いし。

 「海月」は生命そのものがうまれてから今までに思いを馳せるような曲で、生命は円環を描くもののように表現されていて、歌われているのは生命がうまれたとされる海。いわば種としての生命というか。一方「フラワー」は(映画のタイアップだからということも大いにあるが)人間の生命について焦点をあてたうえで「花」を描いていて、人間の命に焦点をあてているから描かれる命は一本の線のようで、歌われているのは花が根差している大地。この円環の海と直線の大地というコントラストがめちゃくちゃポルノグラフィティだなって思って胸がいっぱいです。

 

17.オー!リバル

 「この曲のイントロは顔が大事じゃけぇ」と言い、めちゃくちゃいい顔でイントロを弾く新藤さん。わかる。わかるよ。顔、大事だよね。自分で笑っちゃうところも満点。かわいい。照れて口元を覆っちゃったり、下唇噛んでこらえてたり、いや……ほんと……顔がいいんだわ……福山さんの魂をおろそうとしてたけど、そんなことしなくても顔がいいんだよ……

 「アゲハ蝶」に代わる合唱曲になるのかなって感じの合唱。歌声でひとつになることの気持ちよさを知っちゃってるから、思いっきり歌っちゃう。

 

18.ジレンマ

 最後じゃない……!?戸惑いつつも、ラジオで「ジレンマいつやるか問題」の話をしていたので納得はした。やってくれないよりは本編に入れてくれたほうが全然いい。

 

19.パレット

 これもなんとなくやるような気がしていた。前に披露したのはDAYS OF WONDERのときだったか。あのときはだいぶアレンジが加わっていたので、原曲に近いアレンジで聴けたのが嬉しい。アレンジされてるのも嬉しいけどね。

 最近この曲の話をすることがあって、改めて聴いたのだけれどやっぱりいい。

今 永遠の恋などと表現して

新しい恋に出会ったとしたら

君は さぁどうしよう

 ってフレーズが、やっぱりすごい。だってそうだよね。これが永遠の恋かどうかなんてわからないもんね。でも、永遠って思っちゃった瞬間は永遠なんだよな。永遠だって思った「君」の気持ちに嘘はないのもわかる。恋じゃなくても「これが最後だ」「永遠だ」って思うことってある。確かにある。でも、それを外側から見て「さぁどうしよう」と思っちゃうのもわかる。それをこんな、簡潔で詩的な言葉で表現しているの、やばい。改めてやばい。新藤晴一ってやばいんですよ。

 

20.サウダージ

 「サウダージ」「アゲハ蝶」「メリッサ」って結局聴きたい。結局。どんな曲が聴きたいだろうって考えたときに、全然やっていない曲を聴きたいと思うこともあるしド定番曲もやっぱり聴きたい。そんな欲もばっちり満たしてくれる。

 個人的には「パレット」「サウダージ」の曲順がすごく好き。先ほど引用した「今 永遠の恋などと表現して」のくだりと「あなたのそばでは永遠を確かに感じたから」って呼応しているように見える。「サウダージ」の「私」にとっては確かに永遠だったんだろうな。結果として永遠じゃなかったんだけど、でも永遠だと思った瞬間が確かにあったんだよな。

 

21.ハネウマライダー

 ね、結局聴きたいんですよ。タオル回したいんですよ。

 新藤さんがギターを弾きながら客席のほうに身を乗り出すようにして歌っているの、本当に好き。マイクもないしコーラスしているわけでもないのに歌っていて、その口元が笑っているようにも見えて、楽しいんだなぁって伝わってくる。私も楽しいよ、と思ったら、個人的最終日だった横浜2日目はライブ終わるの寂しすぎて泣いてた。こんなに楽しい時間が終わっちゃうなんて。

 

22.∠RECEIVER

 これだけたくさんの曲があるなかで最後に一体何を持ってくるんだろうと思っていた。2010年の∠TARGETの一曲目を飾り、2011年のつま恋ロマポルでアンコールの最後に披露された「∠RECEIVER」。

 私が生で聴いたのは2010年以来だが、岡野さんの表現力の進化がすごくて、私の記憶の中の「∠RECEIVER」とは全然違う曲のように感じられた。声の圧というか、説得力がすごくあった。それはきっと、ボーカリストとして磨きがかかったということも勿論あるけれど、それ以上に岡野さんが人生を歩んできて得たものでもあるのだと思う。ものすごく響いた。

 正直なところ、世の中のいろんなものから目を背けて生きている身としてはこういう曲は重い。でも、目を背けて生きる私を叱り飛ばすんじゃなく、自然と顔が前を向くように、そうやって背中を押してくれるような曲なんだと、このツアーで改めて思った。災害とか戦争とか、それだけじゃなくて世の中に問題ってたくさんある。本当にたくさんある。私が知らない問題だってきっとたくさんあるんだろう。そういった問題に対して、私は何もできない。何もできなさすぎて死んでしまいたくなるくらい、何もできない。

僕たちがコントロールできることはほんの少し

ほとんどの出来事には関われないとしても

この星の裏側でも僕たちの足下でも

起こりうる出来事から逃げない受信者(∠RECEIVER)でいたい

 何もできないとしても、それでも受信者(∠RECEIVER)でいること。たとえば、災害について書かれた本を読んで考える。それもまた受信者(∠RECEIVER)でいるということなのではないかと思う。積極的に声をあげたり行動を起こしたり、そういうことができればもっといいとは思うけれど、要は心のもちようなんだろうな。まずは受け止めることから始まる。

 たとえ私が何かを思ったところで何も変わらないとしても、それはおかしいよって思うことにはおかしいよって思っていたい。表明しないとしても、そう思っていることだけは心に刻んでいたい。

 私は自分に自信がないし、卑屈になっているわけではなくて自分には何もないなと思う。仕事もできないし、仕事以外のことに長けているわけでもない。昔は勉強ができたけど、大人になったら定期テストも受験もないから勉強できたって意味ないし。周りへの合わせ方とか空気の読み方を学んでこなかったけど、社会に出て必要なのはそういうものだったって気づいた。私が培ってきたことなんて意味ないんだって気づいた。元々自信なんてなかったけど、社会に出てからさらにぼろぼろに打ち砕かれた。そこから反骨精神みたいな感じで頑張らなきゃいけなかったのかもしれないけど、私はもう折れちゃったんだよな。折れたままどうにかやってる。だからただでさえない自信がもうかけらもないわけ。

この目よ 虚構を射よ この耳よ 意志を聞け

迷いを打ち消すのは綿密に練り上げられた 自信(CONFIDENCE)

 私には自信なんてないけど、代わりにポルノグラフィティと生きてきた20年という月日がある。初めて自分の意志で好きになった音楽。初めて買ったCD。初めて入ったファンクラブ。初めて行ったライブ。全部ポルノ。私の人生はポルノグラフィティとともにある。彼らに励まされながら一緒に歩いてきた時間は、それだけは、確かにある。生きてきたんだよなぁ私。そう思ったらめちゃくちゃ泣いてしまった。

 

 この曲の前に、岡野さんが「色褪せないもの、色褪せてはならないものを手の中に握って、一緒に進んでいこう」みたいなことを言っていて。そしてモニターに映し出されている映像も、最後には手の中に「UNFADED」って書いてあって。私たちの手の中にもきっと今日のライブのことが握られている。

 1曲目の「オレ、天使」には(今回は入っていないが)「これだけ俺が親切に正しい道を説いてやっても、今生きてる人間って100年後には誰もいないんだよなぁ。かくも儚きかな、人生」という台詞がある。

 それに対して「∠RECEIVER」は、ひとりの人間がこの世界に対してできることを描いている。あまりに無情なこの世界に、色褪せていく人生に、ひとりの人間ができること。100年後には誰も生きていないとしても、いまこの「私」にできること、いまこの「私」が生きていることの意味。色褪せないもの・色褪せてはならないものを握りしめて生きていくこと。問いと答えのようなセトリだな、と思った。

 

 ポルノのライブって背筋が伸びるというか、いつも足元を見て歩いているのにライブの帰り道は少し上を見ながら歩いてしまうような、そんな気持ちになる。顔を上げて歩いていけるって思える、そんなライブ。

 

 

 

 

EN1.タネウマライダー

 歌い終わり、岡野さんが「タネウマライダーとは……あいつのことだー!」と新藤さんを指さす。新藤さん「僕の歌詞の黒歴史です」。でもまぁ「∠RECEIVER」と同じ人が歌詞書いたとは思えなくて毎度驚く。横浜ロマポル'06の1曲目がこれだったっけ?二度とやらないと思っていたけどこういうかたちで復活することもあるんだね。

 

EN2.ライラ

 ライブの最後が「Please say yes, yes, yes」だったとき、なんで「ジレンマ」じゃないんだよって不完全燃焼どころかその日の良かったライブも台無しになるくらいしんどい気持ちで泣きながら帰ったことがある。なので新藤さんがラジオで「ジレンマをやるかどうか」というような話をし始めたときにすごくどきっとした。またあのときみたいな気持ちにはなりたくなかった。

 しかし、本編中に「ジレンマ」をやり、初聴きの瞬間から数多のポルノのおたくを狂わせまくった「ライラ」を最後にもってくるという大技をかましてきたポルノ。今まで以上の満足感を味わって帰ることができました。

 「ライラ」はロシア風民謡っぽさを取り入れた楽曲であり、歌詞はとある酒場が舞台。どんな大きなハコだとしても、「ライラ」をやればそこは酒場なのである。照明が赤白青の三色で切り替わってるときにはめちゃくちゃロシア感じた。

 ソロ回しではギターのtasukuさんやキーボードの皆川さん、そして新藤さんが好きに弾く。新藤さんはWOWOWのカメラが入っているからサポメンに「権利関係で大人がすっごく怒るからダメです!」って言ったくせに「Ultra Soul」を弾き、我々も「Hey!」する。新藤さんのそういういたずらっこな部分に何億回目かの恋をしました。しんどいからやめてほしい。

 この「ライラ」、ライブにふさわしいなぁとすごく思う。「歩き疲れたら帰っておいで」って歌詞を聴くと、人生に歩き疲れたらポルノのライブが私の帰る場所なんだって思う。へとへとな状態でたどり着いても、ポルノのライブは私を迎え入れてくれる。しかも「懐かしい歌など唄いましょう」っていうのも特に今回のライブにぴったり。全部新曲のライブなんてなかなかないだろうし、それぞれが思い出を抱えた「懐かしい歌」がきっとどのライブにもある。

 そう考えると、この曲がライブの最後にくるのってぴったりじゃんと思う。単純にめちゃくちゃ楽しいし。歩き疲れたとしても帰る場所があるんだって思うだけで安心できる。またこの先、歩いていかなきゃいけない。それでも私には帰る場所がある。ライブという非日常は、帰る場所にもなりうる。

 個人的にはこの曲のことは「人間賛歌」だと思っているので、そういう意味でもライブにぴったりだなぁって思った。

 速くなる手拍子とライララライララライララライララライライライの歌声。「ジレンマ」以上に宗教みが増している。これが私の宗教!!!!!と高らかに叫びたくなる。これが私の宗教です。

 

 

 

 

 

 

 アンコールの挨拶で、岡野さんが「20年続けてこれた理由(秘訣)は、とインタビューで訊かれることもあるけれど、それはみなさんが『ポルノの新曲を聴きたい』『ポルノのライブに行きたい』と思ってくれて、それが僕らに届いて背中を押してくれたからです」というような話をしていた。

 なんかもう、胸がいっぱいになってしまって。

 中学生の私は死にたかった。永遠に続く地獄みたいだった。私を支えていたのは、ポルノグラフィティの存在だった。新曲が出るからとりあえずそこまでは生きよう、ライブがあるからそれまでは生きよう。本当に、そういう気持ちでいた。死にそうになりながら生きていた私の、「ポルノの新曲を聴きたい」「ポルノのライブに行きたい」という声も、もしかしたらポルノに届いていたのかもしれない。そういう声が彼らの背中を押しているんだと思うと、いや、そんなの、幸せじゃないですか。

 擦り減って擦り減ってぼろぼろのぺらぺらになりながらもどうにか生きていた頃に私が発していたSOSも、きっと届いていたんじゃないだろうか。その答えが、彼らの楽曲でありライブだったんじゃないか。そんなの、幸せじゃないわけがない。

 新藤さんも、「因島から出てくるときに夢見ていた、ギターを持ってステージに上がったらたくさんの人がいて、自分らの音楽で熱くなったり楽しんだりしてくれているという光景が今まさに見えている」という話をしていて、ねぇ、そんなの泣いちゃうじゃん。新藤さんの夢の景色に、私もいるなんて。20年ちょっと前の新藤少年が夢見た景色の中に私もいるなんて。大好きな人が見る夢に私がいるんだよ。幸せすぎて泣いてしまった。私には夢なんてないけど、大好きな人の夢が叶って、そこに私もいられるなんて、そんなの幸せでしかない。

 急遽横浜2日目のチケットを取ったんだけど、取ってよかったって思った。正直幕張1日目の時点ではそんなに思い入れのあるライブになると思っていなかったんだけど、回数を重ねるにつれ今までのライブで一番終わりたくないライブになった。

 

 

 

 

 

・余談:選曲の意味を想像する

 あれが聴きたかったこれが聴きたかった、はいくらでもある。多分20曲ちょっとじゃおさまらないからライブ1回分以上あるので、全部聴くのは不可能だ。だからか、むしろ満足感の高いライブだったと思う。ていうか回数を重ねるごとに満足度が増した。

 一体どういう意図でこの曲が選ばれたのか、と思うものもある。ていうか新曲以外はそう思う。一曲一曲、選曲の意図が聴けたらいいのに。どういう思いで選んで、ファンに届けたいと思ったのか、知れたらいいのに。

 個人的な解釈だけれど、過去のライブのメインとなる曲を意図的にピックアップしたのかな、とちょっと思った。

  オレ、天使→Cupid(is painted blind) 

  ビタースイート→BITTER SWEET MUSIC BIZ

  ∠RECEIVER→∠TARGET

 このあたりはツアーのフラッグ的な役割のある曲だったのかなと。そういう曲って意味を持ってしまって他のツアーではやりづらくなったりするから入れたのかなぁと思ったけど「オレ、天使」はちょくちょくやるよね。ちょくちょくってほどでもないか。「カメレオン・レンズ」があって「ブレス」がなかったのは「ブレス」が直近のライブであるしまなみロマポルでのフラッグ的楽曲だったからだろう。前回のツアーBUTTERFLY EFFECTでは希望の曲コーナーがあったからか、今回は応援歌的な色合いは薄めだったのかも。

 あと、選曲の意図はわからないけれど、流れとしてキーワードがリンクしている曲は結構あるように思えた。

 「前夜」→「ビタースイート」:夜

 「海月」→「フラワー」:生命

 「パレット」→「サウダージ」:永遠(の恋)

 とか。意図的に並べたのかはわからないけど。面白いよね。

 

 今回のツアーでやった楽曲の発表年をまとめてみた。

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 5年ごとに区切ってみるとこんな感じ。

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 初期(3人時代)に偏っていることがわかる。半分が3人時代の楽曲。色褪せていないかどうか答え合わせをするようなライブだから、そうなるのもわかる。

 単年でみると2018年が一番多い。カップリング曲は名曲ぞろいなのにアルバムツアーでは埋もれがちなので、「カメレオン・レンズ」「ブレス」といった最近のカップリング曲がちゃんと聴けたのが嬉しい。新しい楽曲を多くやるっていうのは楽曲が色褪せていないかどうか、というより「ポルノグラフィティ」が色褪せていないかどうかを問いかけている感じにも思える。前に夏フェスによく出ていた年に「過去のヒット曲をやれば盛り上がるけど、懐メロバンドではないので」というようなことを言っていて、なんとなくそれを思い出した。

 過去の曲が少しも“古くない”ってすごいと思う。初期の曲をこれだけやって、全然古くない。半分以上が「ポルノグラフィティ」のキャリアを二分割した前半につくられた曲なのに。全然古くない。むしろ過去の曲を“今”やることでアップデートされている。数年前にポルノ自身がポルノを再発見するという意味合いで「ポルノルネッサンス」なんて言っていたけど、その完成形みたいなライブだった。

 本当に、“今”やる「∠RECEIVER」とかとんでもなくて。2009年~2013年までのあいだの楽曲って今回「∠RECEIVER」しかないんだけれど、それだけこの曲に思い入れとか訴えたいことが詰まっていたのかな、と思う。そのせいかリリース当時よりもずっと完成度が高いというか、心に訴えかけてくるものがあった。まさに「UNFADED」だなぁ。色褪せない。色褪せないどころか、新たな色を獲得していく。

 

 

 

 全体として、ポルノからの愛を感じるツアーだった。相思相愛!

 東京ドームが楽しみすぎて仕方がない。ヒット曲たくさんやるって言ってたし、私のように人生がどっぷりポルノに浸っている人じゃなくても、人生のどこかにポルノグラフィティがいる人には是非来てほしいライブになると思う。きっと一般でもチケット取れるから是非来てね!

 

 これからも、ポルノグラフィティが見る夢の景色に、私もいられますように。