ポルノグラフィティ全曲感想1:1999年~2000年

 ポルノグラフィティが20周年を迎えるまでになんかしたい!!!という気持ちが溢れたので全曲感想マラソンします。発表された順に個人的な主観200%の感想をまとめておくつもりです。最近の曲は感想記事を書いているから被る部分もあるけど。

 1年ごとにまとめようとしたら1999年が1枚しかないから2000年も併せてまとめました。今後のまとめ方は気分次第です。見切り発車です。

 ライブバージョンやアレンジされて再収録された楽曲については感想書くかもしれないけど、アルバムバージョンやオフボーカルトラックは省略します。ナンバリングは基本的に同タイトル曲で1としてカウント。Wiki見たらわかりそうなことはあんまり書いてないです。主観なので。

 

 

 

1999.09.08 1stシングル「アポロ」

001.アポロ

  作詞:ハルイチ/作曲:ak.homma

 言わずと知れたポルノグラフィティデビュー曲。今聴いてもとても新鮮だし、何度聴いても「僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう アポロ11号は月に行ったっていうのに」という歌い出しで目が覚める。当時9歳だった私の自我も目覚めた。

 この曲はこういう意味ですなんて言い切ってしまうのは野暮なのでしないけど、「この街がまだジャングルだった頃」=太古の昔→「アポロ11号」=「僕らが生まれてくるずっとずっと前」→「腕時計」「地下を巡る情報」=現代→「アポロ100号」=未来という時代の変遷を描くことで変わらぬ「愛のかたち」を浮き彫りにするこの作詞の技術のすごさは何度考えてもすごいってことだけは何度だって伝えたい。「時代が変わっても愛に翻弄されてることは変わらないんだね」って言っちゃえばそれだけのことだけど、それをこんなに壮大に書くっていう、このすごさ。

 映画「ファースト・マン」に新藤さんが「アポロ」の歌詞を引用したコメントをしたことでファンが沸いた。いい映画でした。ちなみに2019年はアポロ11号月面着陸50周年だそうです。


002.ロマンチスト・エゴイスト

  作詞:ハルイチ/作曲:Ryo

 新藤さんの結婚が発表された日、朝からずっと泣き続け、金のない私に友達が500円を握らせてくれ、この曲をひとりでカラオケで歌って泣いたのが昨日のことのように思い出されます。「僕の前じゃ無理して笑わなくていい」という歌詞にあなたのせいで泣いてるんですけど!!!とキレ散らかしていました。「ひとつ咳をして踵ならして歩こう」と思ってカラオケを出ました。

 という個人的な思い入れのある曲。それまで失恋の曲ってドラマを見るみたいな聴き方しかしてこなかったけど、失恋したときのために失恋ソングがあるんだなって身をもって知った。

 「身を焦がすような恋にも憧れるけど 傷つくことにはひどく敏感な君さ」という歌詞を要約した言葉が「ロマンチスト・エゴイスト」だと思うんだけど、こんな美しい言い換え表現あります?って未だに思う。新藤さんの歌詞はこういう言い換えの表現も巧み。 

 

アポロ

アポロ

 

 

2000.1.26 2ndシングル「ヒトリノ夜

003.ヒトリノ夜

  作詞:ハルイチ/作曲:ak.homma

 アニメ「GTO」のOP。歌詞の意味などろくに知らず、帰り道に大声で歌いながら帰る小学生だった。「アポロ」でポルノが気になっていたものの、小学生だしパソコンも携帯もないし調べる手段もないなか、あの歌声となんだかかっこいいカタカナのバンド名を再びテレビで見かけ、この人たちだ!と思ったのを覚えている。

 90年代ってCDが売れてミリオンヒットが多発していた時代で、まだそういう時代のなかにいるバンドが「100万人のために唄われたラブソングなんかに 僕はカンタンに思いを重ねたりはしない」って、なかなかロックで恰好いい。心の弱い部分を「性感帯」に喩えるの、どうやったら思いつくんだろう。

 PVはおねえさんにビンタされたり首を吊る縄が揺れてたり頭を撃ち抜く真似をしたりと、おたくが好きなものが詰め込まれている。好き。

 ライブ映像「FUNCLUB UNDERWORLD5」ではインディーズ版も披露している。「今のバージョンの方がいいってみんなも思うと思うよ」って言いながらもファンの願いを叶える企画だからとインディーズ版を披露してくれる優しさ。


004.ジレンマ

  作詞:ハルイチ/作曲:シラタマ

 ライブの最後といえばこれ。ポルノのファンクラブ「love up!」もこの曲の歌詞から引用されたもの。

 AメロBメロではチャラついた男を描きながら、サビで唐突に「愛のために~何ができる」「愛の前に~ひざまずけ」と歌われる内容の規模が大きくなる。「僕」と「お前」の駆け引きを通して、「愛」という大きなものに至る。普段ライブで聴くときはバカになってるしアホになってるし悔いなく騒ぐので精一杯だから歌詞を意識することってあまりないけど、この軽薄さと切実さが両立している感じがいいなと思う。

 

ヒトリノ夜

ヒトリノ夜

 

  

2000.03.08 1stアルバム『ロマンチスト・エゴイスト』

 歌詞やクレジットがメンバーの手書き文字。新藤さんの文字の癖が好き。


005.Jazz up

  作詞:ハルイチ/作曲:シラタマ

 ポルノグラフィティというバンド名を地で行く曲。1stアルバムの一発目にこれを入れるってなかなかパンチが効いている。結構なド直球。小学生の頃に友達がこのアルバムを録音したテープ(テープ!!!)を貸してくれたことがあったのだが、1曲目だけ抜け落ちていた。テープに録音してくれたお父さんの検閲に引っかかったんだろうと推測される。ので、中学生になってアルバムを買ったときにびっくりした覚えがある。

 一曲通してチャラい男を歌ってもいいのに、二番でかつての自分を思い返しちゃう(しかもそこだけ他とメロディの毛色が違う)のがポルノの良さ。都会ではなく田舎に生まれ育った俺、っていうのが新藤さんの中にはあるんだろうなぁと勝手に思ったりする。


006.Century Lovers

  作詞:ハルイチ/作曲:ak.homma

 初期の新藤さんの歌詞には「街」が多いんだなって今思った。この記事で紹介しているなかでも5曲(アポロ、ヒトリノ夜、Jazz up、Century Lovers、ライオン)に登場する。どこか無機質な「街」は声高に「恋愛」をうたい、迷い込んだ「僕」を責め立てる。この頃の新藤さんの目には「街」が印象的だったのかな。初めて渋谷に行ったときは目が回りそうだなぁと思ったけど、そんな感じだったんだろうか。

 「最初からハッピーエンドの映画なんて 3分あれば終わっちゃうだろう?」という皮肉の効いたフレーズが好き。「最初からハッピーエンド」だったらねぇ、「エンド」なんだからざっとあらすじに触れて3分程度で終わっちゃうもんなぁ。互いの思いがうまく伝わらなかったりすれ違ったりして、やがてハッピーエンドに至るからいいわけで。多分この歌詞に刺されたおたくは少なくないと思う。

 この曲の前にやる煽りの「Everybody Say!」「Fu! Fu!」(いつのまにか「Before Century」と名付けられてて誰うまと思った)だけやって別の曲がくるパターンが最近は多い。確か5周年ライブ「purple's」のDVDの副音声で「C&Rやった後別の曲きたら面白いよね」と話していたのが定番化したっぽい。


XXX.ヒトリノ夜

 003.ヒトリノ夜 参照


007.ライオン

  作詞:ハルイチ/作曲:シラタマ

 いつ聴いても恰好いい。歌詞も曲もいいし岡野さんの若くて少しざらっとした感じの歌声もすごく合っている。音源でもいつ聴いても恰好いいけど、ライブでもいつ聴いても恰好いい。岡野さんの突き抜ける歌声と「見下している傍観者たちが ずっと愛を搾取してるから」のフレーズの相性が良すぎる。

 日常を思わせるようなワードが少なく、非日常(「トランペット吹く男」)や比喩(「サバンナ」等々)で飾っていて、でも実は聴き手にも見えている景色と重なっている。多分、この曲で言う「サバンナ」は「街」のことで、「街」を闊歩する若い女の子たちが「レディ・ライオン」、知った顔で「街」や「ライオン」について語る人たちが「見下している傍観者たち」なんだろうなぁ。そしてさんざん女の子たちをライオンに見立てていた「僕」もまたたてがみを揺らすライオンである。

 「EXIT」とかもそうだけど、新藤さんの歌詞でたまに出てくる比喩によるレイヤー構造がすごい。現実に見えている世界と現実によく似た別世界がきれいに重なっている。比喩ってポイントで使われることもあるけど、新藤さんは世界をまるごと被せてくるような比喩も得意なんだろうなぁ。どんなふうに世界が見えたらそんな歌詞が出てくるんだろう。


008.憂色~Love is you~

  作詞:ハルイチ/作曲:ak.homma

 歌詞の表記は漢字が開かれている部分が多く、それがまたこの曲の「僕」と合っている。普段なら絶対「おしかえす」も「あとさき」も「うけとめて」も漢字にするだろうに……というところがめちゃくちゃ好きな曲。「キミ」を失ってしまいそうな状況で弱っている「僕」感が歌詞の表記からも感じ取れるってすごいよね。

 ピアノを使ったゆったりとしたバラードで、本間さんの切ないメロディが際立つ。イントロのピアノの時点でもう名曲だってわかる曲。

 「耳が痛くなるくらい」からの1フレーズは、新藤さんが夢の中で書いた歌詞を起きてから書き起こしたものだって昔テレビで本人が言ってた。ロマンチックが過ぎる。


009.Heart Beat

  作詞:ak.hommma/作曲:ak.homma

 オリジナル曲でメンバー以外が作詞しているのは「Heart Beat」「マシンガントーク」の2曲だけ。

 中学生でまだライブには行けず、DVDなどで見ているだけだった頃はこの曲が恨めしく思えていた。だってライブで超楽しそうなんだもん。音源で聴いてもあの楽しさは私のものにならない。だからちょっとこの曲を避けていた時期もあった。が、2度目のライブだった2005年の「SWITCH FINAL」でこの曲を披露してくれてめちゃくちゃ楽しくて、やっぱりこの曲はライブがいい!と思ったのを覚えている。

 ライブで歌われる「ボクらはいまここで出会うため生まれてきた」はずるい。そういうことをポルノに歌わせちゃう本間さんもずるい。「ボクらが退屈と矛盾を退治してあげる」という歌詞もあるし、ポルノにはこういう存在になってほしい、という本間さんの気持ちが込められているのかもしれない。


010.マシンガントーク

  作詞:ak.hommma/作曲:ak.homma

 イントロを聴いたらぶち上がり、体が自然とモンキーダンスをし出す曲。首や腰を痛めないように気を付けたい。でも楽しい。ボーカルは首を痛めたことがあります。

 歌詞の物語ではマシンガントークなのは「キミ」なのに、歌詞自体がマシンガントーク的に言葉数がめちゃくちゃ多いというところがツボ。個人的には「冷めたコーヒーで渇きを潤し Please Please Tell me all about YOU」の言葉のハマり方がすごく好き。無駄なく音に言葉がのっている感。

 余談だが恋愛系のゲームなどで「キスで黙らせる」描写が出てくるとどんなに真剣な場面でも絶対にこの曲がよぎる。困る。


011.デッサン#1

  作詞:ハルイチ/作曲:シラタマ

 歌詞の内容は、岡野さんの失恋を新藤さんが歌詞にしたもの。実際にあった恋愛をうつしとるように書くから「デッサン」。きっと軽い恋愛じゃなく、こんなに重苦しい空気になるほどの恋をしていたのに「僕の何を知ってる?」って問うの、めちゃくちゃしんどい。

 「空の高いところで生まれた雨粒が 僕の足元に落ちて、今はじけて消えていった。」という情景描写の歌詞がすごく良くて、恋が生まれて消えたことを喩えているようでもあるし、あるいはその「雨粒」はもしかしたら「僕」の涙の比喩なのかもしれないし、様々な想像をかきたてる。様々な想像をかきたてながらも、茫然と立ち尽くす「僕」の姿が浮かんでくるのはきっと共通しているんじゃないかと思う。

 「神戸・横浜ロマンスポルノ'14 惑ワ不ノ森」で披露されたバージョンが劇薬レベルにやばいのでCD音源だけじゃなくてそっちも聴いてほしい。キーがめちゃくちゃ高いので半音下げたバージョンで披露されることもあるけど2014年は原キーで歌っていて、しかもギターソロもすごくロマンチック。2014年のあの日、新藤さんに何度目かの失恋をして号泣したのをよく覚えています。そんな思い出ばっかりです。


XXX.アポロ(New Apollo Project Version)

 001.アポロ 参照


012.ラビュー・ラビュー

  作詞:ハルイチ/作曲:シラタマ

 とてもおしゃれでかわいらしい曲。光のポルノ。

 新藤さんにしては歌詞もストレートで、特にひねくれたところもなく、この二人の世界は圧倒的に光に満ちている……と確信できる歌詞。曲がおしゃれだからシンプルな歌詞になっているのかもしれない。ポルノは曲が先にできていて、新藤さんは曲を呼ぶ歌詞を書く人だし。言葉で飾るよりこのおしゃれかわいさに似合う歌詞にしたのかもしれない。

 ストレートなうえに状況が想像できそうなリアルさもある歌詞なので、新藤さんの手書き歌詞にどきどきする。


XXX.ジレンマ(How To Play "didgeridoo" Version)

 004.ジレンマ 参照


013.リビドー

  作詞:アキヒト/作曲:ak.homma

 ポルノグラフィティにおける岡野昭仁初作詞作品。「ナンセンスな日常だ躁鬱」とか「刺激的過ぎるほど安住」とか、言葉の並べ方に思い切りがあって今聴いても新鮮に感じる。「刺激的」と「安住」が結びついているの、なかなかないと思う。感覚的というか、直感的というか。新藤さんの歌詞が「僕の外側にある世界」を描いているとしたら、岡野さんの歌詞は「僕の内側にある世界」を描いているような印象。勿論それぞれ違ったタイプの歌詞を書くこともあるけれども、わかりやすく印象をたとえたらそんな感じ。

 べったりとへばりつくタイプの歌い方をしていて、爽やかにハキハキ歌うだけが岡野昭仁ではないとこの時点で示している。ねちっこくてじめっとしていて、昔はそんなに好きじゃなかったけど最近聴いたらめちゃくちゃ好きになってしまった。個人的には絶対に「欺瞞」って言ってない「欺瞞」が好き。


XXX.ロマンチスト・エゴイスト

 002.ロマンチスト・エゴイスト 参照

 

ロマンチスト・エゴイスト

ロマンチスト・エゴイスト

 

 

 

2000.07.12 3rdシングル「ミュージック・アワー

014.ミュージック・アワー

  作詞:ハルイチ/作曲:ak.homma

 PVも楽しく、ライブも楽しく、音源でも楽しい一曲。イントロや間奏のギターの跳ねるような音が特徴的で、こんな曲で楽しくならないわけがない!自然と心が跳びたがる。ライブ終盤にきたとしても体が動く。翌日は筋肉痛必至。

 ポルノグラフィティというバンド名ではあるものの、爽やかお兄さんな曲である。爽やかでポップでキャッチーという、ポルノの得意路線のひとつを確立した曲かもしれない。ていうかデビューからしばらくは強い曲だらけなのでどれもこれも路線を確立する曲なんだけど。

 音源だと岡野さんの歌声にどことなくちょっと気怠さもあってかわいい。ライブに行くと全力すぎるほどの全力で走り回りながら歌う。「ミュージシャンも張り切って」の部分は、もう長いこと「ミュージシャンもコレ張り切ってまんねんコレ〜!」的に叫んでいる。よくわからないけれど岡野さんがとても楽しそうで最高。個人的には「"BITTER SWEET MUSIC BIZ"」や「幕張ロマンスポルノ'11 DAYS OF WONDER」で披露されたオシャレかわいいアレンジが好き。


015.PRIME

  作詞:アキヒト/作曲:シラタマ

 岡野さんの内省的な歌詞が昔は苦手だった。自分のことを歌われているようで苦しかった。もう冒頭の「貧相なプライド抱え込んで」の時点でしんどい。「こんな僕はいらない」って歌われてもその通りすぎてそりゃあ私が一番わかってるんだ……って長いこと思っていた。なのであんまりこういうタイプの曲のことを冷静に聴けている自信はないんだけど、1番Aメロの「シャワールーム冴えない顔が  映るガラスを叩き割って  赤い花撒き散らして  こんな自分を葬り去ってやる」の描写がすごく鮮烈。シャワールームの鏡(に映った自分の顔)を殴って拳から赤い血が散る様子を、自分の外側から描写するような、こんな錯乱状態みたいな行動をとても冷静に鮮やかに描写していて、それがちょっと不気味にも思えるところがすごく好き。あとシャワールームの話をしていてサビでは「脱ぎ捨てて」って歌詞につながるのもいい。

 ライブでやるとめちゃくちゃ楽しい。ウォウイェー!


XXX.Century Lovers(LIVE!)

 006.Century Lovers 参照

 今とは煽りのコールが違って絶妙にダサい(好き)。

 

ミュージック・アワー

ミュージック・アワー

 

 

 

2000.09.13 4thシングル「サウダージ

016.サウダージ

  作詞:ハルイチ/作曲:ak.homma

 ポルノにラテンといえばこれと「アゲハ蝶」みたいなところある。ストリングスもモリモリで、単純にバンドメンバーだけでは出せない音も使っているところが幼い私の心にはめちゃくちゃ刺さったんだと思う。使われている楽器の音が多いと豪華に聴こえるし。

 言葉数が多いが、ハキハキ歌う岡野さんの歌声。シングルだとそんなに感情的ではないところも新鮮。このあっさりした歌い方のおかげで、それぞれに勝手に思いを重ねたりできるんじゃないかなと思う。これがライブになると情念的なものがこもってるバージョンになって聴きごたえがすごい。

 あともうとにかく歌詞。「恋心」に呼びかけるようなフレーズが印象的だしどこを切り取っても美しさしか出てこない。「甘い夢は波にさらわれたの」なんて詩的なフレーズ最高じゃない?ロマンチックの極みじゃない?これだけロマンチックに恋が終わってしまったことを歌いながら、でも「繰り返される  よくある話   泣くも笑うも好きも嫌いも」なのがつらい。こんなにつらい気持ちが歌われているのに、「繰り返される  よくある話」だなんて。「あなたのそばでは、永遠を確かに感じたから」もやばい。それが永遠でなかったことはもう証明されてしまっているのに、それでもあのとき感じた永遠をまだ忘れられずにいるの……しんど……こういうしんどさを書くのが新藤晴一です。そして「サウダージ」という言葉をもってくるセンスよ。短くて覚えやすいキャッチーな単語でありながら、よく意味がわからないという点がフックになる。このセンスが新藤晴一です。「アポロ」がそもそもそうだし、「シスター」「メリッサ」「ジョバイロ」みたいなのもそう。カタカナの短いタイトルの強さ=ポルノみたいなところあると思ってる。

 ライブで披露される間奏やアウトロのギターソロ(アレンジによってはイントロにあるときも)は、まるでギターが泣いているみたい。私は新藤さんのギターを「吟遊詩人のギター」と呼んでいるんだけど、新藤さんのギターはただの楽器じゃなくて「歌声」をもっている。「私」の恋心の切実さが表現されたようなギターの音色は何度聴いても色褪せることがない。この曲のギターは、後悔だとか悲しみだとか寂しさだとかが入り混じって沈みゆく夕日みたいで、いろんな感情が滲んだ音色だと思う。

 ちなみにシングルの歌詞カードは手書き文字で手紙調に書かれている。憧れすぎて私も写経した覚えがある。 


017.見つめている

  作詞:アキヒト/作曲:アキヒト

 岡野昭仁初詞曲。こういう歌詞でテンションが概ね一定の歌い方をしているのが余計にやばさを感じる。もっと感情的だったらまだなんか……救いようもある気がするけど……そんなにテンションの変化がないのがまた……やばくていいんですよ……

 タイトルが「見つめている」なのもいい。ど直球に怖い。「キミ」が「ボク」のこと知ってるのかどうかもわからないような思い込みで突っ走る感じも怖いんだけど、個人的にめちゃくちゃ怖いなと思うのは「ボク」が具体的な行動を起こしていないところ。「胸に飛び込んでおいで」って言うくせに「ずっとボクが  見守ってあげるから」だし、「思い切って  好きと言えばいいさ」も「キミ」にそう言っているわけで、つまり告白だって自分からする気はなさそう。自分からは何も具体的な行動を起こさず、本当にただ「見つめている」のが怖くてクセになる。しかもそれをこの爽やかな声で爽やかに歌っちゃうっていうのがポルノの強みのひとつ。


018.冷たい手~3年8カ月~

  作詞:アキヒト/作曲:シラタマ

 「Search the best way」とは歌詞・アレンジが異なるが曲自体は同じ。昔はあんまりよくわからなかったけど、3年8カ月付き合って別れるって結構な密度の時間を過ごして、それでも別れることになってしまったんだなって思うと聴いててちょっと落ち込んでしまう。「冷たい手」とタイトルにあるが、「錆び付いた二人の空気が軋んで熱をもってしまった」「僕ら二人だけで温めたストーリー」など、どちらかというと熱に関するワードが印象的に思える。あったかければいいわけじゃなく、温度を維持することも大事なんだなぁと染み入る。「乱れた心拍数」も、かつては心地よいドキドキだったのかもしれないけれど今はそうじゃないものになってしまったと思うととても悲しい。

 どこを切り取っても綺麗な歌詞だけれど、あえていうなら「あんなに注ぎ込んだ愛の結末  救われないのならば溢れて還らないでいい」という部分が好き。コップには許容量があるのに、きっとこの二人はそれを見て見ぬ振りして愛し合ってきたんだなって。なかなかライブでは披露されないが名曲。

 

019.Search the best way

  作詞:ハルイチシラタマ/作曲:シラタマ

 おたくが死ぬ曲。作詞に唯一Tamaさんが参加しており、しかも友と別れてそれぞれの道を歩んでいく歌詞になっていて、Tamaさんが抜けたときにこの曲を聴いて号泣していた覚えがめちゃくちゃあるどころかいまだに忘れられない。1番の作詞がTamaさんで2番が新藤さん(だったはず)。そう思うとサビの歌詞の呼応とか考えてまたしんどくなる。「その先でいつか君に逢えたなら」と「その途中もしも君とすれ違っても」、しんどくない?私はしんどい。

 私は割と感情に身を任せて生きている人間なのだけれど、「アクセルを踏み込めばオイルがエンジンに流れ込む」という単純な構造をよしとしているから、みたいなところがめちゃくちゃある。どんな選択肢も「正しいも間違いもない」と思っているけど、それもこの歌詞の影響。未来まで待ちぶせしてしまうくらいに光のにおいする方走って行きたいし、運命が僕を追いかけるくらいに清潔な衝動に正直でいたい。そう思って生きています。

 アコギの爽やかな音と爽やかなコーラスの声が、停滞して止まった時間を歌う「冷たい手」と同じ曲にもかかわらず、夢を追いながら未来へ向かうまっすぐな若さを思い起こさせる。 

 

サウダージ

サウダージ

 

 

2000.12.06 5thシングル「サボテン」

020.サボテン

  作詞:ハルイチ/作曲:シラタマ

 シングルでは初のメンバーによる詞曲。イントロのバスドラの音でもう優勝が確定する。勝ちでしょこんなの。勝ち確定の音でしょ。さらには間奏で爽やかなギターの音が冬の空の澄んだ空気みたいに響く。勝ちでしょ。何の勝負だか知らないけど勝ちです。ドラムの音も爽やかで気持ちいい。あと間奏のベースも好き。

 歌詞には「雨」が出てくるけれど私としてはあんまり雨の印象のある音ではなくて、音源で聴く限りは冬の晴れた空が思い浮かぶ。だから最後に「薄日が射してきた」ところで納得がいくというか、この恋がまるごと上手くいくかはわからないけれど悪いほうには転ばないような、そんな気がする。

 小さい頃は歌詞の意味もよくわかっていなかったけれど、聴けば聴くほど味が出るというか大人になればなるほど沁みてくる曲。でも小さい頃も小さい頃でこの曲の歌詞を書き出してみては「側」を「そば」と読むことを知り、「顧みる」や「口実」の意味を知ったりした。言葉を知ることの楽しさを教えてくれた、私にとってはすごく大切な曲。


021.ダイアリー 00/08/26

  作詞:ハルイチ/作曲:シラタマ

 おたくが死ぬ曲。「横浜ロマンスポルノ'17 THE WAY」で二人の所信表明として披露されたときには号泣するしかなかった。めっちゃ泣いた。あのとき聴いたこの曲の「君」は、ギターを持って島を出た新藤少年であり、ポルノの曲をずっと聴いてきた私たちでもあると、そんなふうに思えた。泣いちゃうよね。

 2000年8月26日に考えていたことを歌詞にしたからこのタイトル。メジャーデビューからもうすぐ1年が経とうとしている頃に、新藤さんはそんなことを考えていたんだ、と何度でも感慨深く思う。確かに叶った夢もあるだろうし、思っていたのと違うかたちだったりもするんだろう。それに折り合いをつけて、でも大人になりすぎないでやっていこうとする新藤青年の素直な気持ちが描かれているし、きっと新藤さんだけじゃなくほかのメンバーにも重なる部分があったんだろうと思う。

 「夜ごと、君に話してた未来についての言葉は、いくつかは本当になって、いくつかはウソになってしまった。」というフレーズは、きっと新藤さんの考える「夢」についての根源なんだと思う。ほかの歌詞にも出てくるし、歌詞じゃなくてエッセイなどにも見られる。私の人生のサビみたいな部分なのでここが好きって話は何度も繰り返しちゃうけど許してほしい。

 どうか、できるだけ長く、Guitarを離さずにいてくれますように。できるだけ長くのあいだ、彼のGuitarが夢を描くペンでありますように。


022.いつか会えたら

  作詞:ハルイチ/作曲:ハルイチ

 新藤さん初詞曲。短い曲だしアコースティックだしシンプルな歌詞だけど、この曲に詰まっているものは決して少なくない。冬の寒い空気と体温のあたたかさを連想するような曲だなぁと聴くたびに思う。そういう情景を連想させるだけのものがこの曲に詰まっているということだろう。

 いろんな解釈ができるけれど、個人的には「君」はもうこの世にはいない人なのかなぁと思う。そう考えると「いつか会えたら」というフレーズがとても重たくて、切実な祈りのようで、希望によく似た絶望みたい。


023.サボテン sonority

  作詞:ハルイチ/作曲:シラタマ

 「サボテン」の歌詞違い。アレンジもこっちのほうがゆったりしているというかおとなしいというか、鬱屈としている雰囲気。こっちは雨が降っている感じがする。

 歌詞が過去形になっていて「サボテン」を知っているからうまくいかなかったこの二人の物語を聴くと胸がちくちくする。新藤さんの歌詞って女性目線(「私」の歌詞)だとすごくうっとりするようなものが多いけど、男性目線(「僕」の歌詞)だと時々蹴り飛ばしたくなるような男の人のことも結構あって、「サボテン」より「サボテン sonority」の「僕」のほうが蹴り飛ばしたいなと思う。でも好き。「小さな花を見せたい」なら追いかけなきゃダメじゃん……そういうとこだよ……でも新藤さんの書くこういう男の人ってとっても魅力的だから困る。

 

 

サボテン

サボテン

 

 

 

 

 これナンバリング間違えたら終わるなぁと今一瞬間違えてて思いました。もうこの時点で023まであるの……

 9月8日までに全部終わりますように!終わる気はあんまりしないけど!飽きたらやめるかもしれないけど!