ゼロ先生とカズヤがこんなにしんどいなんて聞いてなかった

 地上波ゴールデンプライム枠でメンバーがメンバーを陥れて殺そうとするドラマが見られるおたくはだ~れだ?はーい!私!NEWS担!
 メンバーの共演が見たいとは前々から思っていたけれど、こんなかたちだとは思っていなくて心が持っていかれまくっている。寝ても覚めても「ゼロ一獲千金ゲーム」のことばかり考えてしまう。
 あまりにもしんどいので第2話&Hulu配信スピンオフのしんどいポイントを列挙します。100%の主観です。

 

 

・「いい人」を演じるカズヤ

 ゼロたちが窮地に陥った場面で「駄目でしょう、暴力は」と言いながら鉄パイプを持ってやってくるカズヤ。この「駄目でしょう、暴力は」の言い方が、うっすら怯えているかうさんくさいかの二択だなと思える絶妙な感じがする。答えは後者で、カズヤは「いい人」を演じている。ドリームキングダムの入り口でゼロを見かけたときから機会をうかがっていたのだろうか。
 その後、ゼロと二人で話している場面でも鉄パイプを手離さない。護身用に持ち歩いているのかもしれないが、「駄目でしょう、暴力は」って言ってるのに鉄パイプを持ち歩く圧倒的矛盾。リングを奪われそうになった人を助けようとするゼロは武器となるものは持っていなくて*1、「いい人」を演じながらも他者を信用しないカズヤは鉄パイプを持ち歩く。この対比。つらい。


・「会えて嬉しいよ」

 二人で話している場面で、カズヤはゼロに「会えて嬉しいよ」と言う。一体何を思ってその言葉を発したのだろう。きっと嘘ではないのだと思う。本心から言っているのだと。ゼロに会えて、復讐をする機会を得ることができて、それはカズヤにとっては嬉しいことなのではないだろうか。つらい。怖い。それにゼロが「俺も」と応えていることもつらい。ゼロは旧友に会えたことを素直に喜んでいるかと思うと……つらい……


・憔悴しきったゼロ先生の顔

 クォータージャンプ、最初の声はヒロシ。ヒロシの声を信じるべきなのか、巧妙に仕掛けられた罠なのか。その見極めをしている最中のゼロの表情は見ていてつらかった。必死、という言葉がこれ以上ないほどぴったりくる顔をしていた。第1話では冷静でつかみどころがなかったゼロの「人間」な部分が暴かれる。ヒロシが偽物であるとわかった瞬間に声のトーンが落ち着くのも良い。相手が仲間じゃないんなら遠慮する必要はなくなる。この切り替えがすごく好き。
 ダミーヒロシとのやりとりで心を消耗したゼロ。次の声はカズヤ。このときのゼロの表情が、最高にいい。疲れ切って、憔悴した顔。
 ゼロなら、相手の言葉が嘘か本当かを見抜くだけならそんなにも消耗しないと思う。鉄球サークルでも慌てる人々のなかで冷静に映像のおかしさに気付き問題の本質を見抜いたのだから。緊張しないことはないし、体力や気力も奪われるのだろうけれど、ここまでではなかっただろう。相手が「友達」でなければ。ゼロをここまで苦しめているのは、「友達」を疑うという、良心の呵責だ。
 カズヤはゼロの弱点を「根っこのところがおめでたい」と言う。友達や仲間といった存在は無条件で信じるものだと、ゼロの中には刻み込まれているのだろう。だからヒロシが偽物だとわかった途端に声に力強さが戻る。
 二人目の声がカズヤだと気付いたときの、ゼロの憔悴しきった顔。これからまた友達を疑わねばならないことへの絶望。もしもカズヤがこのときのゼロの顔を見ることができたら、何か変わったのだろうか。でも顔を覆われているからカズヤには見えない。つらい。


・クォータージャンプに参加した時点でカズヤの「負け」

 ゼロに対して明確な殺意をもってクォータージャンプの声役(OUTゾーンに向かってゼロを跳ばせようとする)としてゲームに参加したカズヤだが、実際のところこのゲームに参加した時点でカズヤの「負け」だ。
 仮にカズヤの目論見が成功してゼロがカズヤを信じて跳び、ゼロを殺すことができたとする。その瞬間には「やった!ゼロに勝った!」と思うかもしれないけれど、一番に拘りながらもそれを実現できない彼は少なくとも彼は王の器ではない。誰のことも信用していない(スピンオフドラマ参照)カズヤが、ドリームキングダムを勝ち抜くことができるとは思えない。もしドリームキングダムから生き延びることができたとしても、ゼロに勝てないことを10年間も引きずっていたくらい執着しているのだからその後もゼロのことを考えてしまうだろう。自分を信じて跳んだときのゼロの声や姿がフラッシュバックするかもしれない。夢の中で「どうして裏切ったんだ」と責められるかもしれない。そのうち寝ていても起きていてもゼロの幻に苛まれるようになってしまうかもしれない。もうこんなの発狂して飛び降りてしまう終わりしか見えない(逞しい妄想力)。
 カズヤが嘘をついているとバレてしまった場合は、カズヤを信じようとしたゼロは何を言うのだろう。どんな言葉だったとしても、カズヤに訪れるのは絶望でしかないのではないか。またゼロに負けたという事実が彼にのしかかる。
 どちらに転んでも、カズヤの「負け」なのだ。つらい。


・高校時代のゼロとカズヤと主題歌「生きろ」

 Hulu配信スピンオフドラマと第2話で、ゼロとカズヤの高校時代の描写が出てくる。
 スピンオフドラマでは、壁に張り出されたテストの結果(一位は5教科満点のゼロ、二位は数点落としたカズヤ)を見ているカズヤと、そんなカズヤに「早く部活行こうぜ」と声をかけるゼロのシーンが出てくる。このシーンがすごくつらい。カズヤはゼロに負けたことに少なからずショックを受けているのに、そのショックを与えた相手は何も気にせず「早く部活行こうぜ」と呼ぶのだ。せめてゼロが「俺ぜんぶ満点だったわ~」とかはしゃいでくれたら「うるせーよお前よー」とかふざけられるかもしれないのに、テストなんてちっとも気にしていない。テストの結果が友情に影響するなんてゼロは少しも思ってない。でもカズヤは「あいつは俺より上だ」と気にしてしまう。絶対にわかりあえない溝があのシーンに描かれている。
 第2話では、高校時代の集合写真が登場する。楽しそうにはしゃぐ男子たちのなか、一緒になってはしゃぐわけではないけれどそこから浮いているわけでもなく自然に溶け込むゼロ。その後ろに、周囲とは馴れ合うつもりはないと言わんばかりに真顔で佇むカズヤ。この写真だけで、クラスでゼロとカズヤがどんな立ち位置だったのかわかってしまう。
 ゼロは5教科のテストで全部満点を取ってしまうような天才でありながら、人当たりも良かったのだろう。誰からも一目おかれながらも、周囲とは親しい関係を築けていた様子が伺える。一方でカズヤは高校を卒業して10年経っても同じ部活の面々とは飲みに行く程度の仲(少なくとも連絡先は互いに知っている)ではあるものの、カズヤが席を立つと残された同級生たちは彼についてのマイナスな言葉で笑い合っている*2。高校時代に表面上の関係しか築けなかったことのあらわれだろう。
 「根っこのところがおめでたい」という弱点がわかるほどに、つまり相手の人間性を理解できるほどには、カズヤはゼロとともに高校時代を過ごしていた。同級生たちにも「仲が良かった」と言われるほどだった。それだけ親しげに見えていた相手を恨み、殺したいとさえ思うって、どんな気持ちなんだろう。
 それに、ゼロの「根っこのところがおめでたい」という弱点は誰のことも信じないカズヤとは対比的でもある。スピンオフドラマで、コンペのプレゼン作成に関してカズヤが他者の手を借りようとしない場面がある。「他人の脳を通したぶん、情報が劣化する」「アイディアを盗まれる危険もある」という発言。友達・仲間を信じるゼロとは真逆だ。ゼロの「根っこのところがおめでたい」が弱点だとしたら、カズヤの他人を信じない部分もまた弱点なのだろう。
 なんの疑いもなくカズヤを「友達」と呼ぶゼロと、何をしてもゼロに勝てないと恨んでいるカズヤ。そんなカズヤを演じる増田さんが主題歌「生きろ」で「笑えるほど愚かで泣けるほど愛しくて 過ぎし日は青春」って歌うの、あまりにもしんどいが過ぎる。しかも第2話エンディングではカズヤのアップとともに「過ぎし日は青春」の部分が流れている。青春とも呼べる高校時代をともに過ごした相手を殺そうとする場面でそんな歌詞を聴かせるなんて最高にもほどがある。最高だし、最高だからこそつらい。
 来週どうなるんだろう!予告で出てきたカズヤの台詞が全部気になりすぎる!

 

 

 ていうか、もう一回言うんだけど、メンバーがメンバーを陥れて殺そうとするドラマを見ているって、すごい状況。メンバー全員出演と聞いたときはちょっとすれ違うとか一言交わすとかその程度なのかなと思っていたけれど、各回のゲスト俳優レベルで出るなんて。人生何が起こるかわからない。
 この調子だと毎週こんな感想を書いてしまうんじゃないだろうか。自担の主演ドラマ、楽しいです。

*1:ゼロ先生の場合その頭脳が武器っちゃ武器だけど物理的な武器は持っていない

*2:カズヤも同級生たちに失礼なこと言いまくっているのでどっちもどっちではある