私の青春のそばにはmonobright/MONOBRIGHT/モノブライトがいた

 先日、モノブライトというバンドが年内のライブを最後に無期限活動休止を宣言したんですけど(モノブライト、無期限活動休止へ 桃野陽介「3人とも限界でした」 | ORICON NEWS)、めっちゃいい曲ばっかりなんで聴いてほしいので紹介します。主観100%なのでそんな曲じゃないだろと思うかもしれないけど私にとってはそんな曲なのでご了承ください。気持ちの赴くままに書いているのでいつも以上に意味がわからないかもしれないです。
 ※モノブライトはバンド名を「monobright」→「MONOBRIGHT」→「モノブライト」と変えてきたバンドなので、わかりにくいから今回は基本的に「モノブライト」に統一します。

 

 

頭の中のSOS

 2ndシングル。デビュー曲「未完成ライオット」も好きだったけれど、それ以上にこの曲が刺さった。高校生のとき、この曲をエンドロールとして流してくれたら絶対私の人生いい映画だったなって思えるよな~って考えていたことも覚えている。
 よく意味はわからないけれどなんだか刺さる歌詞とボーカル・桃野の鼻にかかった湿っぽい声がめちゃくちゃ合っていて、ぐねぐねとひねくれたメロディ。大サビの浮遊感のあと、また地面に足をつけ踊りだすサビがくるのもいい。
 高校生の私は別に死にたかったわけではないけど将来が希望に満ちていたわけでもなくて、ただなんとなく今を生きていて、そんなときにこの曲がエンドロールで流れてくれたらいいのになぁって考えるとなんだかすごくハイテンションな気分になった。歌詞の意味はよくわからないけれど、最後の「ワンツー!」の声と楽器たちの気持ちのいいユニゾンの音で、多分本編なんて関係なくてそこさえ聴ければ私の人生がどんなクソ映画だったとしても全然いい映画だったなって思える気がした。答えなんていらないし、わかってもわかんなくてもどっちでもいいし、ただ今感じてるハッピーな気持ちだけは本物だぜベイベーって感じ。アメリカの映画みたいに親指立ててグッドラックって感じ。
 そんなわけのわからないハイテンションが詰まった一曲。わかんないでしょ?とりあえず聴いてみて。

頭の中のSOS

頭の中のSOS

 

魔法のライター

 1stアルバムに収録されている。よくわからないけれど切なさがぎゅっと詰まっていて、聴くたびに知らない「君」のことを思い出してしまう。「君」なんて全然知らないし、魔法のライターなんて持ってないのに、失くしちゃった何かを思い出そうとしてしまう。同アルバム収録の「道標側ソウル」もいい。

魔法のライター

魔法のライター

 

アナタMAGIC

 おそらくモノブライトで最も有名な曲。アニメ「銀魂」主題歌。
 これだけ楽しいメロディなのに歌詞はなんだかちょっと切ない。主人公とヒロインがくっついたときに、本当はヒロインのことが好きだったくせにヒロインに渡すつもりだったプレゼントを後ろ手に隠して「よかったね」って祝福して、帰り道にプレゼントを捨てようとして捨てられなくて、プレゼントのネックレスを「ちくしょー!」って気持ちで泣きながら飲み込んじゃって後で病院に運ばれちゃうような、そういうかっこよさとかっこ悪さみたいなものを感じる曲。というかモノブライトが全体的にそういうかっこよさとかっこ悪さを兼ね備えているイメージ。もちろんそういう曲だけじゃないけど。
 メロディは全然切なくないし、勢いもあるし、特にドラムがめちゃくちゃかっこいい。ドラムの善し悪しはよくわからないけど、今この瞬間このリズムを切り取るような感じがしてかっこいい。最後のサビ前の一気に駆け抜けていく感じとかいつ聴いても最高。
 「素敵なあなたに歌われたいよ」とかって歌っていたのに最後にとどめをさすように「僕には見えないアナタMAGIC」って歌っちゃうのがモノブライト。声だけでもう未練たっぷりというか、いろんな後悔を背負っていそうな感じがして、そんな歌声で「メラメラしたいよキラキラしたいよ 僕には見えないアナタMAGIC」って歌うのが本当に良くて。それでいて最後はハッピーエンドみたいな余韻を残して終わるところが好き。

アナタ MAGIC

アナタ MAGIC

 

 

孤独の太陽

 桃野って天才だなと思った一曲。ドラマ「サムライハイスクール」の主題歌で、「サムライ」感のあるゴツゴツした荒野みたいな音がすごくかっこいい。一音一音が重たくて強い。なんとなく、時代劇の侍を思い浮かべる。
 そして何より天才なのはその歌詞。高校生に侍が憑依して……という話で、そのふたりを太陽と月にたとえて描いたような歌詞になっている。でも、ドラマの内容から「あなたの歩く道標が私なら/眩しくて強い心で私を照らすといい」なんて歌詞が出てくるなんて。Aメロでは「太陽」が迷える心を吐露し、サビでは「月」が「太陽」に語りかける。でもその声は届いているのかどうかわからない。なにせ「孤独の太陽」だから。しかしそれでも語りかけるのだ。また、最後の「渇いた無常なる時代の中 それでも歩き出す」という歌詞もいい。桃野の湿っぽい歌声が「それでも歩き出す」というフレーズに似合いすぎている。
 普段のモノブライトはどちらかというと騒がしい曲が多いけれど、この曲は重たく優しく強い。モノブライトの幅広さを思い知らされる一曲。

孤独の太陽

孤独の太陽

 

この人、大丈夫ですか

 桃野って天才だなと思った一曲。ヒダカさんが加入して曲の幅が更に豊かになって、はちゃめちゃにテンションが上がるメロディにストーカーを描いたべっとりした歌詞というギャップが最高。あのメロディで「あなたを縛りたい/許せなくなって殴りたい」って歌っちゃうの、あんまりにも清々しくて気分がハイになる。そのうえタイトルが「この人、大丈夫ですか」なのがまたいい。全然大丈夫じゃない。曲の勢いと歌詞と演奏の相乗効果で、超高速で変態が駆け抜けていくシュールささえ感じる。あるいはちょっとしたホラーかもしれない。とにかく全然大丈夫じゃなくて好き。

この人、大丈夫ですか

この人、大丈夫ですか

 

WONDER WORLD

 アルバムの最後の一曲で、モノブライトのアルバム最後の一曲は他の曲よりもさらに切なく余韻を残して終わるものが多い。特に「music number」「music wonder」そしてこの「WONDER WORLD」はそういう感じ。言葉で語るより聴いたほうが早いから聴いてほしい。同アルバム収録の「Timeless melody」も爽やかなメロディに性の切なさみたいなものが乗っかってて最高だから是非。

WONDER WORLD

WONDER WORLD

 

冬、今日、タワー 

 まぎれもなく名曲。アコギの音と鈴の音が冬の寒さを伝えてくる。
 この曲を聴いていると、帰りたくなる。「見上げればタワー」の音の上がり方が、なんだか寂しくて帰りたい気持ちを煽るのだ。私の今住んでいる家でも実家でもなくて、多分どこでもなくて、でもどこかに帰りたい。私は東京生まれ東京育ちで今住んでいる家の近くに実家があるから、故郷に帰りたいなんて気持ちは全然わからないはずなのに、なんだか帰りたくなった。曲に込められた寂しさにあてられちゃったのかもしれない。
 こんな気持ちにさせる歌を作るなんてさ、天才としか言いようがない。 

冬、今日、タワー

冬、今日、タワー

 

 

ビューティフルモーニング(Wake up!)

 桃野って天才だなと思った一曲。めちゃくちゃ天才だと思ってるじゃんって思われるかもしれないけど定期的に天才としか思えない所業をやってくれるから仕方がない。多分天才なんだと思う。
 「誰も知らない明日が 誰もが知る今日になって」というサビの歌詞がすごく好き。まるで「僕」がこの世界のどこからも浮いてしまっているような感じがしてすごく寂しい気持ちになる。夜、新宿南口の広い道路の雑踏を歩いているとき、遠くに高いビルが沢山見えているとき、路上のシンガーが何かを歌っているとき、通り過ぎる話し声が人々の隙間さえ埋めてしまっているとき、なんとなくこの曲のもつ寂しさを思い出す。寂しいけれど、それは冷たい寂しさじゃなくて、どこかあたたかい寂しさだ。今すぐ解放されたいような嫌な寂しさではなくて、しばらくこの寂しさに浸っていたいなと思ってしまうような感じ。この寂しさを感じたくて、ふとしたときに聴きたくなる。

 

 

ハートビート

 ライブの最後に聴きたい曲。お祭り騒ぎみたいな楽しさと、やっぱりどこか切なさを感じるんだけど、そこが好き。
 ライブに行く側を描いた歌詞なんだと思うけれど、歌詞が本当に天才としか言いようがないくらい素晴らしいから是非とも聴いてほしい。きっとこんな歌詞を書ける桃野もまた誰かのファンで、そういう人が音楽をやっているってすごくありがたいことだなぁと一方的に享受する側として思う。「私の中にベスト10があって」なんて本当その通りで、この曲に関しては「わかる」が随所に散りばめられている。特定の好きなアーティストがいる人なら響くところのある曲なんじゃないかと思う。
 なんでこの曲を最後に紹介したかっていうと、こんな歌詞で終わる曲だからだよ。

あなたに会えてよかった
ココロの鼓動が駆けてく
またいつか会おう 

ハートビート

ハートビート

 

 


 モノブライトの曲って歌詞を見てもどんな場面が描かれているのか歌詞の中で明確にされていない場合が多くて(インタビューとかで説明されてる場合もあるけど)、一体どんな場面を思い浮かべたらこんな言葉が並ぶんだろうと思うこともよくある。考えてもわからないものもある。具体的な場面が想像できなくて、でも共感しないかといったらそれは違う。共感というか、わかることなんて何もないのに、ぐさぐさと刺さる部分がいくつもある。思い出したかったけれど無意識に蓋をしていた気持ちとか、忘れようとして忘れきれないまま心の隅っこに引っかかったままだった気持ちとか、でも別に特別大切なわけじゃないみたいな気持ちとか、そういう中途半端な気持ちたちを拾い上げてくれる。捨てたはずの点数の悪い答案用紙を、犬が拾ってきちゃうような、そんな感じ。何拾ってきてんの!って思ってしまうんだけれど、改めてその点数の悪い答案用紙と向き合って、また投げ捨てることもあるしこっそり引出の奥にしまうこともあるしライターで燃やしちゃうこともあるし、でもそれは向き合わないとできなかった行為なわけで、だから多分向き合ってよかったんだっていう結論に至る。そういう気持ちの整理の仕方だってある。私にとってモノブライトの曲は、そうやって心の整理を手伝ってくれる存在だ。
 私はモノブライトの曲を聴くとすぐ「これをエンドロールにしたい」と思ってしまう。映画なんて撮る予定もないけれど、「頭の中のSOS」だけじゃなくて「ハートビート」とかもエンドロールにしたい。私の中ではエンドロールって絶対楽しくて切ない曲がよくて、モノブライトの曲はその条件によく当てはまる。明日になったら何もかも消えちゃうってわかってるなら悲観するより明日のことなんて忘れて今日をめいっぱい楽しんでいたい、みたいな感じ。でもその様子を映画館の椅子に座って見ているとちょっと切なくなる。そんな切ない気持ちをも包み込んで楽しくしちゃうような、そんなエンドロール。すっきりした気持ちで席を立って、その先の世界に帰れるようにしてくれる。
 あと、なんか変で楽しい曲が多いのも好き。ちょっと変態っぽい(褒め言葉)感じもするところもいい。変で切なくて楽しくて、そういう曲を聴かせてくれるのは私にとってはモノブライトしかいない。

 

 私は「そのジャンルで一番お金または時間を注ぎこんでいるもの」についてしか言及しないというルールを自分に課している。動物だったらペンギン、バンドだったらポルノ、アイドルだったらNEWS。そんなふうに自分の中でのジャンル分けをして、そのなかの一番にしか「好き」ということを許さないでいた。お金や時間を使わないのなら何も言う権利はないと、私は自分に対して思っているから(他者のことはどうでもいい。あくまで私に対して)。
 そのルールに従って、モノブライトが好きだって話はあまりしていなかった。曲はコンスタントに聴いていたけど、ライブハウスのライブが苦手であまり行ったことがなかった、ということも、彼らについて言及しなかった大きな要因だ。
 でもこの活動休止の話をきいて、よくよく考えてみた。高校生のとき、友達が「いいよ」といって教えてくれたバンドで、そのときはまだメジャーデビューした直後くらいだった。まだ世に知られていない、これから売れていくであろうバンドを初めて知って、どきどきしたのを覚えている。どことなく変態で、どことなく切なくて、どことなく愛おしい彼らの音楽は、「いつか売れちゃうやつだわ、私、いつか売れちゃうバンドを今知っちゃったわ」と当時の私を震わせた。彼らの白ポロシャツに黒縁メガネの衣装に憧れて普段使っていたメガネを黒縁にしたし、ギターのまっつんが好きだったから前髪を自分でアシメに切って母に「あんたそれ何?失敗してるよ?」って言われたりもした。少ないお小遣いのいくらかは、間違いなくmonobrightに使っていた。銀魂の主題歌になったときには「やべー!売れたわ!!!」と騒いだ。ビークルのヒダカさんが加入(結婚)したり脱退(離婚)したり、次に何が起きるのか全然わからないところに振り回されるのが楽しかった。大学生になってライブにも行った。ライブハウスのもまれる感覚には慣れていなくてしんどかったけれど、最後あたりでステージの上から客席に伸びた桃野の手がワイワイと手を伸ばす私の手に当たって「生温かい!」と思ったのを覚えている。BBQinつま恋でサイドのステージで演奏するのを見て、いつか真ん中のステージで演奏するのを見たいなって思ったのを覚えている。たっきーが脱退して悲しくて、でも脱退後の曲もめちゃくちゃ良くて全然大丈夫じゃん!って安心したりもした。名前もmonobrightからMONOBRIGHTになってモノブライトになって、またわけわかんないことやってるよ~って中学生女子が同級生の男子を見るみたいな目で笑ってた。最近は新曲が出ないかなってずっとチェックしてた。なんだよ、私全然好きじゃん。これだけやってて好きじゃないわけないじゃん。好きって言いたい。好きだよ。

 私の青春そのものだったと言い切ることはできない。でも、私の青春のそばにはモノブライトがいた。いや、私の青春のそばにはmonobrightがいて、MONOBRIGHTもいて、モノブライトだっている。過去形になんかしたくないよ。絶対また帰ってきて、楽しくて変で切ない音楽を聴かせてよ。なにより、楽しいことをまた楽しくやれるようになってほしいな。またいつか会おうって歌ったあなたたちのことを、勝手に待っています。