それゆえ君はうつくしいひと ―30歳の誕生日によせて―

 加藤さん、30歳のお誕生日おめでとうございます。

 加藤さんのことが好きで、この気持ちを何かにしたくて、でも絵は描けないし手芸もできないし料理もできないしお金もないし自分にできることが全然思いつかなくて、どうにか絞りだしたのが「短歌をつくる」ということでした。年齢の数だけ、毎日ひとつずつTwitterにあげていたものをまとめました。
 決して上手いものではないけれど、加藤さんをおもう気持ちから生まれたことばたちです。

 

 



指先でつむぐ言葉がつれてきた世界はきっと君に優しい

いつまでもうるさい街ね私たち溶けちゃいそうね渋谷駅前

変わってくあなたの中に変わらない何かがあるとわかってはいる

夏の日の午後に揺れてるカーテンと君の瞳にみるイノセンス

きみの星(B612)が見えるから砂漠にいても迷わずに済む

そんなにも寂しいことを言わないでくれよ明日は晴れるらしいよ

涙には価値などありはしないけど泣いてる君はとてもきれいだ

こういうの好きねと知った顔をする ほんとは何も知らないけれど

凡人というのは嘘ね 真っ白くまばゆく光る、眼を焼くほどに

旅先の君が切り取る路地裏は見知らぬ街で懐かしい街

金星に雨が降るころ渋谷には夏の日射しが照りつけている

「愛してる」「愛しています」「愛だから」「愛なの」「愛よ」「愛しかないの」

特別な人じゃないから君のことわかってやれる僕でいられる

僕のこと忘れていいよ君はいま巣立ちのときだ振り返るなよ

カフェラテはとうの昔に冷めたので今は世界にただひとりだけ

きみの本のあいだにいつまでもいられる栞がほんのちょっとだけ憎い

仮に明日世界が終わるとして君はいったい誰を想うのだろう

取るに足らないものばかり転がっているこの部屋を出ていかなくちゃ

咲けよ花 後先なんて考えず今がすべてと さあ咲き誇れ

食って寝て生きて死んでくそれだけは洪積世から変わっちゃいない

悲しみも炒めて卵で綴じたなら美味しいごはんのおかずになるね

「あいつらは不死だというね。」水槽の狭い世界に浮かんだクラゲ

12時前 ガラスの靴を投げ捨てた きらめく破片の名前は「自由」

 


風が吹く きっと私のためじゃない君のためでもない風が吹く

とりあえずビールと告げる横顔を見られないこと それだけのこと

「移り気な花よ」とダリアが笑うので「知っているさ」と返しておいた

シャッターを切って閉じ込めた風景 そこにあなたがいないとしても

現在地不明のナビは頼らない 地図は読めるし問題ないな

歩き方忘れたわけじゃないんだろ 息の仕方も覚えてんだろ

きずあとは金継ぎをして塞ぎます それゆえ君はうつくしいひと

 

 

 

30歳の加藤さんのこともきっと大好きです。