読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

来世はペンギンになりたい

好きなものを好きと言うために生きてる

まだ鍵を見つけていないあなたに届け ―『NEVERLAND』感想―

お題「NEWS「NEVERLAND」レビュー」

 NEWSの新アルバム『NEVERLAND』がリリースされた。前回のアルバム『QUARTETTO』も名盤だったけれど、それとはまた違う良さが濃縮されている一枚。アルバムタイトルや収録曲タイトルだけでもあれこれと想像を膨らませ、こんな曲だろうかあんな曲だろうかと一人で想像を巡らせていた。これでもかというほど期待を高めて待っていたアルバム。
 まさか、こんなに期待したのにそれ以上のものが来るなんて。
 きっとこのアルバムのことはよく知らないけれど聴いたら響く人がいるはずだ、と勝手に思っている。そんな人に届けばいいなと思いながら、いつもの通り100%の主観で書いてみたい。

 

 『はてしない物語』という本をご存知だろうか。ドイツの作家ミヒャエル・エンデの名作ファンタジーである。読んだことがある人は、あの赤くてなめらかな触り心地の装丁を思い出して欲しい。『はてしない物語』は他の装丁で読むよりもあの赤い本で読むと数倍楽しくなる。なぜかというと、その装丁は『はてしない物語』の中で主人公が手にしている本『はてしない物語』と同じだからだ。
 NEWSの今回のアルバム『NEVERLAND』の初回盤には鍵がついている。この鍵は初回盤特典DVDでNEWSが作っているもので、ジャケットやブックレットの衣装にもついている。そして何より、アルバムを聴き始めてすぐにこの鍵の意味に気付くだろう。『NEVERLAND』に収録されたInterはどれもナレーションが入っていて、鍵を手にした「あなた」に語りかけるような内容になっている。つまり、手にしているこの鍵はアルバム『NEVERLAND』と現実をつなぐものであり、鍵があるとこの『NEVERLAND』をより楽しむことができるのだ。
 ファンタジー育ちの私はNEWSのこの凝りに凝った世界観に、アルバムを開封しただけでやられてしまった。曲も聴いていない、映像も見ていない、ブックレットも開いていない状態で、こんなにも幸せな気持ちになったアルバムは初めてだった。アルバムを再生して、幸せは更に高まっていく。

 

 

01."The Entrance"

 物語の幕開けを感じさせる曲。ポケモンでいうとオーキド博士が名前を尋ねてくるあたり。語りかけてくる優しいナレーションはミスター・インポッシブルと名乗る。彼は「鍵を見つけてくれてありがとう」と告げる。初回盤に入っている鍵のことだ。この鍵は「買った」とか「アルバムを買ったらついてきた」ではなく、「見つけた」ものなのだ。また、「NEWSのみんな」という言葉遣いもあって、まだナレーションだけなのにファンタジーの雰囲気がどんどん増していく。
 バックに流れるチェンバロの音は可愛らしいだけでなく、どこか古風な感じもする。多分バロック音楽を連想するからだろう。『NEVERLAND』の世界観を説明するナレーションにふさわしい音楽だ。

 


02.NEVERLAND

 この曲が入っているアルバムが最高じゃないわけがない。雑に説明するとALI PROJECTSound Horizon的な雰囲気の曲。この曲だけでも聴いてみてほしい。この曲が入っているアルバムが最高じゃないわけがないという意味がきっと伝わると思う。
 重厚なイントロから始まるこの曲は、民族楽器の音や民族音楽っぽいコーラスは入っているが、明確にどの国のものと言い切れるわけでもない。この不思議な雰囲気がどこでもない異国・ネバーランドを象徴しているかのようだ。
 Aメロは平坦に進んでいき、Bメロでいくらかなめらかになる。そして呪文のように唱えられる「Neverland」という歌詞のあとにブレイクがあり、サビへと広がっていく。サビではコーラスも合わさり重厚で豪華な世界が展開する。規則正しくリズムを刻む打ち込みの音や様々な音が重なっている様子は、サビ前の歌詞にある「PARADE」を思わせる。たくさんのものがごちゃごちゃと、豪華に絢爛に混ざり合い連なって行進していく。
 不思議なことが起こる異国とは、えてしてどこか危険なものである。たとえば不思議の国のアリスでは、楽しいだけではなくてハートの女王に目を付けられたりと危険な目にも遭う。先ほど例に挙げた『はてしない物語』に出てくるファンタージエンと言う世界もそうだ。異国(異世界)へ行くタイプのファンタジーでは、異国とは危険をはらんだ場所であることが多い。この「NEVERLAND」という曲がダークファンタジー風味なのも、そういう世界観を意味しているのかもしれない。
 このアルバムのリード曲となる「NEVERLAND」は物語の入り口にふさわしく、聴き手をNEVERLANDという異世界に引き込む力を持っている。

 

 

03.アン・ドゥ・トロワ

 イントロやAメロBメロの後ろで鳴っているキラキラでぽわぽわした感じの音(雫が落ちるような音)が爽やかで可愛い。タイトルからわかるように、踊るような軽やかなメロディで、春から夏にかけての季節にぴったりのイメージ。ピアノと打ち込みの音がとても爽やかで耳に心地よくて、一夜の夢とか歌っているのになんとなく青い空が似合いそうな気がする。航空会社や旅行会社の夏の広告に使って欲しいくらいだ。
 でも歌詞をよく見ると、これ多分抱いてる。わざわざ「君とイきたい」って書いてあるし多分抱いてる。この爽やかさにごまかされているけれどこれは多分爽やかに抱いてるタイプの曲、「Greedier」とかの仲間みたいな感じ。しかしあまりにも雰囲気が爽やかすぎて歌詞をちゃんと見るまで抱いてる系の曲だとは気付かない。歌詞をちゃんと見ないとわからないようにワンナイトするNEWS。こんなに爽やかに一夜の夢が見られるのはNEWSだけ!
 「魔法」「メリーゴーランド」というファンタジックなワードと印象的に繰り返される「アン・ドゥ・トロワ」という響きのおかげで、どれだけ爽やかでもアルバムから浮くことはない。サビでは合間に「Hey!」という箇所があるが、コンサートでファンが歌うところだろうか。アルバム全体を通して「一緒に」という言葉がキーワードになっているような気がする。コンセプトのひとつとして「一緒に」も盛り込まれているのだろう。
 また、「NEVERLAND」では「NEVERLAND」と書いて「夢」と読ませている部分があるが、この曲では「夢なら覚めないで」と歌っているところがなんだかずるい。「夢なら覚めないで」なんてこっちが言いたいくらいなのに!
 最後のサビ前、小山さんの歌うファルセットの「アン・ドゥ・トロワ」が優しく柔らかくて、更にどこかきらきらしていて、個人的にはこの曲一番の聴きどころ。

 


04.EMMA

 「アン・ドゥ・トロワ」は「24時のベル」から始まり、「EMMA」は「AM0:00」から始まる。同じようなことを言っているようで印象が全然違うのがすごい。「24時のベル」はシンデレラのようなイメージを受けるが、「AM0:00」=午前0時と言われるとなんだかハードボイルド感が出る。作詞家ってすごいな、と思わされる。
 この曲が初披露されてから、ダンスに対していろいろな意見があったが、私としてはこのダンスは「EMMA」がアイドルの楽曲として世に出るために必要な要素だと思っている。メロディのポップさに加え、腰を振るダンスの(言葉は雑だけれど)チープともとれるエロさによって、この曲のもつ愛とか性とか死といった重厚なテーマをうまく隠しているように思える。ポップの皮を被ったとんでもない曲だと勝手に思っている。
 その他、詳しいことは別記事にて。

penguinkawaii.hatenablog.com

 


05."7 Elements"

 ゲームでいうとチュートリアル画面の音楽。戦い方や操作の仕方を教えてくれるところ。そんな音楽をバックにして説明される、7つのエレメント。「シゲアキのクラウド」で加藤さんも言っていたけれど、このアルバムの歌詞には随所に7つのエレメントがちりばめられているので、探しながら聴くのも楽しい。

 

 

06.Brightest

 オケがキラキラしていてまさに「Brightest」という感じ。曲がもう既にタイトルを現している。イントロから心を掴まれる。
 言葉数が多い部分は小山さんの歌声の聴きとりやすさが目立つ。小山さんの歌声は繊細で、この曲に最も合う声が小山さんの声なのかなと思った。仮歌に引きずられるタイプなのかもしれないが、似合うんだから存分に引きずられて構わないと思う。ユニゾンながら抑えめに歌うサビがすごくいいし、最後のサビの手越さんのフェイク:三人のユニゾンというバランスもとても美しい。手越さんの声のキラキラした感じがより際だっていて、この曲の雰囲気にも合っているような気がする。
 今までのNEWSにはないタイプの曲だけれど、「star」というNEWSの歌詞にはお馴染みの単語が使われているところがなんだかいいなぁと思った。
 恥ずかしながらm-floについてはあまり知らなくて、「シゲアキのクラウド」で名前が挙がっていた「come again」を聴いた。16年も前の曲だとは思えないほどおしゃれで可愛くて、でもちょっと切ないような感じもする名曲だった。もっと早くこの曲に出会いたかったくらいに気に入った。この曲を聴いてから「Brightest」を聴くと、きっと仮歌とNEWSの歌では雰囲気が大きく異なるのだろうなと想像がつく。NEWSはやはり4人いるし、それぞれの歌声に厚みがあるのだなぁと気付くだろう。違いを想像するのが楽しいから、是非一度「come again」を聴いてみて欲しい。

 


07.Silent Love

 歌割りは「Snow Dance」と似たような作りになっている曲。誰ですか加藤さんに「首筋の跡が消えても 心の傷が憶えてる」なんて歌わせたのは誰ですか!?最高!でもこの曲は増田さんのラップが優勝!!!!!
 この増田さんラップ、増田さんの良さが存分に発揮されまくっている。まずは英語の発音の良さ。増田さんは英語の発音がとてもそれっぽい。英語が上手いというよりは音楽に英語の発音を乗せるのが上手いというか、とにかくそれっぽい。NEWSの中では増田さんしか持っていない技だと思う。それとリズム感。後半のラップの部分の特に終わりに向けての畳みかけるリズムがすごい。言葉のリズムに圧倒される。そしてラップの増田さんの声は温度が低いのがまたいい。NEWSで一番歌声のバリエーションが多い増田さんだからこそ、他の曲との差がすごい。さっきからすごいしか言ってないけどだって増田さんがすごいんだもん。
 この曲の声の温度は低いほうから増田さん、加藤さん、小山さん、手越さんというイメージだと勝手に思っているのだが、サビは最も温度の高い手越さんと最も低い増田さんが交互に来るので温度差がすごい。あまりにも格好よくてぞくぞくする。
 それから増田さんのラップの最後「実は伝えたかった My Silent Love」のところの歌声が最高。「実は伝えたかった」と歌う声がもう過去形の色をしている。この過去形の色をした歌声と歌詞がぴったり合っているところと圧倒するリズムのせいで切なさが胸に迫ってくる。
 小山さんの「どんな夜に夢を見よう」の歌声が優しいところも素敵。「Brightest」といい、切実さが滲む小山さんの声はこういう曲が似合う。
 増田さんのラップに「KEY」=鍵が出てくる。おしゃれな雰囲気の曲だったとしてもこのアルバム『NEVERLAND』の世界観はしっかり踏襲されている。

 


08.恋を知らない君へ

 想いが通じなかったり、想いを伝えられなかったりする曲が並んだ三番目に来るのが「恋を知らない君へ」。このアルバムは割とそういう恋の歌が多いが、中でも群を抜いて切ない。やはり、2016年の夏を、そしてあのドラマを思い出すからだろう。
 これも前にブログに書いたので詳しくは割愛。

penguinkawaii.hatenablog.com

 


09."Neverland Cast Menbers"

 これは間違いなく戦闘用BGM!そんな音楽に乗せて紹介されるNEWSの4人。ここでもまた「一緒に」という言葉が出てくる。

 


10.ミステリア

 09の戦闘用BGMから続くこの曲の歌詞が自分の化身と闘うという内容の歌詞というのがなんとなく繋がっている感じがする。
 この曲はなんといっても大サビの加藤さんが最高。「愛なら 歌にしよう 夢なら 旅立とう」という「~なら~しよう」のあいだに法則的な関係性が見いだせない文章だが、歌う加藤さんは自信満々に言い切るので、いっそ美しく聞こえる。あまりに美しい文章で、聴くたびにここに心を持って行かれる。「世界よ、これが加藤シゲアキだ」と言いたくなるような歌声。自分自身と対峙するような歌詞の世界観で加藤さんが一番美味しいところをもっていく感じがもう……本当にたまらない……
 バックに聞こえる音楽がなんとなく和風っぽくて「サクラ」という単語と合っているような印象がある。それがなんとなくアニソンっぽい。たぶん原作はサンデーで連載されている。
 大サビの加藤さんのあと、手越さんがネガティブな歌詞のところを担当しているのもなんだか新鮮で好き。
 また、この曲にも「地下室」という鍵を連想させるような単語が出てくる。『NEVERLAND』の世界観はどこまでも損なわれない。
 このアルバムの中で最もポップン力の高い曲(綴調べ)。間奏のピアノメイン→ストリングスメインになるところとか最高に楽しいと思う。脳内譜面しか叩けないのが惜しい。

 


11.BLACK FIRE

 頭を振らないわけにはいかない曲。ロックに詳しいわけではないけれどそれだけはわかる。もしかしたらコンサートに行っても舞台上なんて全然見られないかもしれない。思いっきり頭を振りたい。
 歌詞も曲の雰囲気も手越さんが拘ったという歌い方も、他のNEWSの曲ではあまり見られないもので、とても新鮮に感じる。「きっと ずっと 一緒? ならいっそ 嫉妬 卒倒するSHOTを」という言葉の並びは普段のNEWSなら出てこないだろう。切なさとも幸せとも違う、新たな顔。
 歌い出しのところは手越さんは勿論のこと加藤さんの声が最高。あまりにも最高。コンサートで聴くのが楽しみすぎる。前回は「燃え尽きるまで」が見せ場だった加藤さん、今回は「燃やせ」なので加藤さんは「炎」担当なのかなぁと勝手に思っている。

 


12.ORIHIME

 11とは打って変わってTHEアイドルサウンド。同じアルバムにこういう二曲が続いて入るのが、自分たちで楽曲を作らないアイドルの強みだと思う。どちらも歌い方が全然違って、しかしどちらもぴったり合っているしNEWSの色になるのはNEWSの強みだろう。
 打ち込みの音が爽やかで、サビに向けて空へと浮かぶような雰囲気があるのが素敵。
 Bメロからサビへの流れが私の大好きなJ-POPで、様々なタイプの曲が入っているこのアルバムだけれどこういった曲が入っているとなんだか安心する。
 このアルバムに入っている曲の中で一番歌詞の技巧が美しい曲だと勝手に思っている。特に「消えることない約束が 僕らの999」という歌詞があまりにも最高。銀河をゆく鉄道を「999」という言葉でもってくる作詞家の技にしてやられた感じ。この歌詞なら「星の旅人たち」と併せて披露されることもあるのでは……と期待してしまう。会えない(おそらく遠距離だとか失恋だとかではない理由で会えない)恋人を織姫にたとえているところが美しい。「ハイド&シーク」という歌詞を受けての「「もういいよ。」の声が 僕にはまだ聞こえない」というところが本当……いい……「まだ聞こえない」と言い張る「僕」が切ない……。だって「まだ」ってことはいつか聞こえるかもしれないと思っている(あるいは思おうとしている)んだから。曲の中で使える言葉の数は限られているのに、それでこんなにも奥行きのある物語を描ける作詞家というのはやはりすごい。ヒロイズムさんはすごい。
 織姫=ベガと彦星=アルタイル、そして「シリウス」で併せて夏の大三角だって言おうとしたら加藤さんに既に言われていた。書くのが遅かった……
 ところで今年の夏は「ORIHIMEブラ」みたいなやつ出ないんですか?これブラのCMの曲じゃないんですか?
 それとアウトロでピアノのきらきらとした音が残るのが素敵。まるで流れ星みたい。という流れで次に「流れ星」というタイトルの曲がくる曲順があまりに美しすぎる。

 

 

13.流れ星

 「ORIHIME」のピアノを受けてか、この曲もピアノから始まるのが最高だし、イントロや間奏のギターがTHE J-POPといった感じ。J-POPに慣れ親しんで生きてきた私としてはもう最高。
 この曲は歌割がすごく好き。加藤さんに「あどけない希望連れて 僕らは明日を探した」と歌わせた人に何かしらの賞を贈らないとやってられない。「奇跡だろうが信じていた」という歌詞もいい。「奇跡だろうが」という投げやりな、信じていなさそうな言い方なのに、それでも「信じていた」と続くのがいい。他に頼れるものがないから「奇跡だろうが信じていた」んだろうなと思うけれど、それを加藤さんが歌うのがなんだかエモい。そして二番では同じ箇所で「奇跡じゃないと信じている」になるのがたまらない。「奇跡だろうが信じていた」人が、今は「奇跡じゃないと信じている」のだ。またしてもヒロイズムさんのすごさを思い知らされるし、どちらも歌っているのが加藤さんというのがまたいい。
 最後のサビ前、「また歩き出すよ」が小山さんで「まだ歩けるだろ」が加藤さんなのもずるいなと思ってしまう。私は多分、小山さんと加藤さんの歌うこの手の歌詞に弱い。でも加藤さんの「まだ歩けるだろ」が優しい歌い方なのがずるい。こんなの好きしかない。
 楽曲制作陣的に、そして時期的に、この曲は「フルスイング」の先にあるものなんだろうと勝手に思っている。「フルスイング」して飛んでいく白いボールは空を渡る「流れ星」なのかなぁ、なんて。

 


14."The Grand Finale"

 バックの音楽は「The Entrance」と同じメロディが使われていて、「The Entrance」で語られている「これはあなたの旅のゴールでもあり、旅の始まりでもあります。」という言葉が思い出される。
 「あなたにだけ」という言葉を聴くと、やはりNEWSは1対1を意識しているアイドルなのだなぁと実感する。「ファン」というものを群衆ではなく個々として捉えている感じがして、そういうところが大好き。

 


15.U R not alone

 「The Grand Finale」で「このアルバムは、とりあえずここまで。」と言っているのだから、この曲はネバーランドから外の世界=現実へと聴き手を帰すための曲だ。聴き手をネバーランドへ連れ込んだのに、帰る道もちゃんと示してくれる。アルバム『NEVERLAND』は「行って帰る」という形式を持ったファンタジーの物語なのだ。最初から異世界に生きているわけではなく、『はてしない物語』のように普通の主人公が不思議な異世界に迷い込み、そして帰っていく。馴染みのある作品でいえば「千と千尋の神隠し」などもそういうタイプの物語。
 低音+高音の感じが聴いていて耳に心地いい。「SEVEN COLORS」で小山さんが下を歌っていたのがめちゃくちゃ好きだったので、この曲の感じもたまらなく好き。それに加藤さんの低音も高音もすごくよくて、なんて素敵な声なんだろうとまたいっそう加藤さんのことが好きになってしまった。高音にやはりどこか少年のような雰囲気を感じてしまって困る。こんなに素敵な声の人を好きになってしまったなんて。今更改めて気付いてしまうなんて。困る。ずっと加藤さんのなかに少年の加藤さんがいてほしい、と勝手に願ってしまう。少年だった頃の加藤さんを知っているわけでもないのにそんなことを思ってしまう。とにかくこの曲は加藤さんの声が好き。低い声も好きだし高い声も好きだし、なんでこんなに好きなのか説明しきれなくてもどかしい。たぶんこの文章を読んでいる人が思っているよりも五億倍くらい好き。しんどいくらい好き。
 サビのユニゾンは物語のフィナーレにふさわしくて、このアルバムが大団円で終わることをこんなにも美しく示す方法があるだろうかと思ってしまうくらい美しい。「U R not alone」ということを歌声でも示しているなんて。それに、最後のサビの転調はもう大正解としか言いようがない。曲の高揚感と重なる歌声で気分がすごく前向きになる。俯いていても自然と顔を上げてしまうような、そんなイメージ。
 リード曲である「NEVERLAND」では「孤独をかき消すように」と歌っていた。孤独をかき消すのだから、ひとりじゃない。「U R not alone」。最初から最後まで美しく構成されたアルバムであることがよくわかる。
 でも曲の内容としては「NEWSがそばにいるよ」ではない。孤独をかき消すためにNEWSがそばにいてくれるわけではない。聴き手はネバーランドから現実へと帰らなければならないから。だから「君」ではなく「僕」に向けた応援歌を歌う。この「僕」はNEWSでもあるし聴き手でもあって、それぞれがひとりではないのだから前へ進もうという歌っている。
 NEWSの歌声に背中を押されて、聴き手は現実へ帰る。また次にネバーランドへ来るための鍵を胸に抱いて。


16."To Be Continued...."

 「つづく!」がお茶目で可愛い。ツアー楽しみだなぁ!!!

 

 

 初回盤の曲(Inter除く)の中での頻出単語を検索したところ、「僕」の34回に続いて「夢」の18回が多かった。どの曲にも多く出てくる人称である「僕」を除けば「夢」が最多となる。「NEVERLAND」の中で「NEVERLAND」という言葉に「夢」というルビを振っているのだから、このアルバムを象徴する言葉が「夢」ということだろう。
 きっと『QUARTETTO』までで何かが一区切りついたのだと思う。コンサートで加藤さんが「4人になって4枚目のアルバム、4回目のツアー」と言っていたけれど、沢山の「4」を重ねたことできっと一旦の区切りになったのだろう。だから『NEVERLAND』では「NEWSの新しい物語の始まり」という言葉が使われている。ファンタジー要素を高めるためのものではなく、実際に新しい物語がここから始まっていくのだろう。だから今までと違って専属作家陣だけでなく他の方々からも楽曲提供がある。楽曲の幅がより広くなり、新しいNEWSが沢山見られる。
 また、発売前に発表されていたアオリ文からInter、そして招待状に至るまで、「一緒に」という言葉が多用されている。「アン・ドゥ・トロワ」や「U R not alone」など、明らかに一緒に歌うことを想定して作られている曲もある。ファンと一緒に歩んでいくということを何度も繰り返しているようにも思える。
 私は「一緒に夢を見てくれる人たち」が本当に大好きで、まさかこの『NEVERLAND』にそういう要素がこんなに詰まっていると思わなくて本当に幸せ。NEWSを好きになってよかった、と心から思うし、NEWSを好きになった自分をどこか誇らしく思う。

 

 以下はソロ曲について。

 

 

17.I'm coming(手越さんソロ)

 バラードが続いたと思ったら、なんだかすごい曲がきた。突き抜けるような手越さんの歌声が聴いていて気持ちいいけど歌詞がすごい。
 基本的には男性ボーカルだと突き抜けるような高い歌声(ようはポルノグラフィティの岡野さんみたいな声)が好きなので、手越さんのこういう歌声はとても耳馴染みがいいというか、こういう曲歌って欲しかった!という歌い方や音程が続くので聴いているあいだずっと「これだよこれ!」って気持ち。「本音吐き出してみろ」のところのメロディが個人的にはツボで、このメロディを手越さんが歌っているのがもうそれだけで最高だし、「開いた果実」のところの歌い方が美しくて好き。
 歌詞だけ見たときはびっくりしたけど、ボーカリスト手越祐也のいいところがぎゅぎゅっと詰まっている一曲。

 


18.ニャン太(小山さんソロ)

 かつて私が大学に合格したとき、父方の祖母にも認められると思っていた。親戚中で一番の高学歴となったのだから、長いこと邪険に扱われてきたけれどこれで認めざるを得ないはずだ、と。しかし実際は違った。祖母は私に「他の孫は自分の夢を追うために努力している。お前は頭がいいからって調子に乗るな」という旨の話を延々とし続けた。
 という話を、かたちを変えて小説に落とし込んだ。当時の私はそうでもしないとこのつらさを乗り越えることができなかった。
 私はそうやって、自分の身に起きた出来事を誰かが消費できるかたちにしないとダメなタイプの人間なのだ。誰かに届いて欲しいわけではないけれど、でも消費されないとやっていられない。自分で自分を消費するというか、とにかくやってられない。心の中が感情でいっぱいになって更につらくなってしまう。私のこのブログにはそうやって「消費されないとやってられない傷」をなんとかするために書いた文章がごろごろと転がっている。言葉にして誰かの目に触れることで、感情を外部に置いておくことができる。自分の感情が外側へ霧散して消えていくような気がする。
 だから小山さんもそうだ、とは言いきれないけれど、そうかもしれない可能性はある。少なくとも、この世にはそういうタイプの人間がいるのだ。
 別にこの曲を聴いて何を思え、ということを、小山さんは考えていないのではないかなと思う。ただ彼が、19年間ずっと愛してきた飼い猫のことを言葉にして音楽に乗せて表現したいと思っただけのことなのではないか。だから逆を言えば何を思うのも自由なのだろう。
 私はつい先日引っ越しをしたのだが、そのために大きな段ボールいっぱいのぬいぐるみとさよならをした。どの子も思い出がいっぱいで引っ越しの前日には明け方までその子たちをきれいにしていた。最後まで手放したくなかった。生き物の生死を握るのが嫌で生き物を飼えず、代わりに死なないぬいぐるみたちに囲まれて生きてきた。でもぬいぐるみは自分でさよならを告げなければならないと気付いて、引っ越しの数ヶ月前からずっと泣いていた。ぬいぐるみを神社に連れて行ったときも泣いていた。今これを書きながらまたちょっと泣いた。あの子たちは私が成長するために必要な存在だったのだ。きっと小山さんにとってのニャン太もそういう存在だったのではないかな、と勝手に思う。
 ニャン太や小山さんが幸せかどうかなんて私にはわからないしわかる術もないけれど、私はこの曲を聴けてよかった。

 


19.あやめ(加藤さんソロ)

 また加藤さんが知らない人みたいに思えた。どこからどう聴いても加藤さんの要素がこんなにも詰まっているのに、私はこの人を知らない。それがどうしようもなく寂しい。何回だって新鮮な気持ちで好きになるから、どうせ私の寂しさなど最初から届いていないしこの寂しさは私だけのもので加藤さんとも一切の関係がない。私はこの寂しさを私だけの宝物にしていたい。だからどうか私の寂しさとは一切関係ないところでもっともっと遠くまで行ってしまって欲しい。そんな気持ちを改めて実感する曲だった。

 


20.FOREVER MINE(増田さんソロ)

 ダンス曲がずっと続いていた増田さんがバラード、しかもカバー。
 増田さんの声の柔らかさがメロディに馴染んでいて、とても優しく包まれる感じがする。こんな優しい歌声に「堕ちて行こう」って誘われたら頷くしかない。どんなに危ない道だとわかっていても頷くしかない。
 これ多分オケが原曲とそのまま同じだと思う(違ったらごめん。終わり際に右のイヤホンから聞こえる声がないという違いはあるけどそれ以外は同じだと思う)。増田さんの歌声が素晴らしいからできることなのだろう。
 とても言葉をはっきりと、でもなめらかに美しく歌っていて、ひとつひとつの言葉と音を大切に歌っている感じが伝わってくる。いろいろな媒体で語っているけれど、増田さんにとって大切な曲なのだというのがよくわかる。
 増田さんの歌声の美しさを堪能できる世界一贅沢な約5分。

 

 いろいろと書いたらまた10000字を超えてしまった!とにかく最高のアルバムなので、是非ともお手に取ってみてください!!!