いつまでも「君」でいられるように ―初めてNEWSのコンサートに行った日―

お題「初めて○○のコンサートに行った日」

 初めてNEWSのコンサートに行った日。
 その日は、予定よりちょっとだけ早く訪れた。
 
 「誕生日になったら自分へのプレゼントにFCに入るぞ!」と意気込んでいたところ、誕生日と同時期にツアーが発表され、今からでは間に合うかわからないと泣いていたら、友人が「一緒に申し込もうか?」と声をかけてくれた。運よくチケットが当たった。それが大阪、8月24日の公演だった。その日を楽しみにしながら毎日を過ごしていたときのこと。
 7月18日、また別の友人から突然「27日のチケットが2枚余っているけれど行かないか」という声がかかった。私は即座に「行く」と返事をした。チケットが2枚あるためもう一人連れてきてほしいと言われたので、当時静岡に住んでいた仲の良い友人Kさんが最近小山さんが気になると言っていたのを思い出し、召喚することにした。彼女も即座に「行く」と返事をくれた。かくして、秩父宮ラグビー場でのコンサートに行けることとなった。
 そして慌てて緑の服を買い、アルバムを聴き込み、2013年7月27日を迎えた。


 豪雨。

 
 初めて見るNEWSはとてもきらきらしていて眩しかったけれど、正直雨がひどく降り出したときより前の記憶はあまりない。覚えているのはMCで小山さんが手越さん特製ドリンクを飲まされていたことくらい。小山さんのソロの辺りで雷が鳴っていた気がする。途中で何がなんだかわからないほど雨が降って、大きな雨粒が体に当たって痛かったことは覚えている。シャワー浴びてるのかと思うくらいにびしょ濡れになった。息をするのが苦しいくらいに雨が降っていた。
 最初は小山さんと増田さんがステージにいて、手越さんと加藤さんはソロのための着替えをしていたところだったと思う。雨の中、MCで楽しませようとしてくれた増田さん。雨が止みそうにないため緊急の話し合いが行われた。再びステージに戻ってきて、「明日に振り替えます」と言った小山さん。明日来られない人に「ごめんね」と謝る手越さん。何も言えなくてつらそうな顔をしている加藤さん。ステージ上で雨の中「ごめんね」と謝る彼らを見るのが本当につらかった。
 本当なら誰より先に引っ込んで明日に備えていいはずの彼らがいつまでもステージ上で雨に打たれていた。どうか体調を崩さないでほしいと願いながら、私にできることは早く家に帰ることしかないと、秩父宮ラグビー場をあとにした。

 

 翌日、地方から来て我が家に泊まっている友人Kさんは一泊増やすことにしたため、服が足りないので午前中から二人で買いに行った。お揃いのTシャツワンピを買った。私は緑、友人は紫。テンションが上がりすぎて年甲斐もなく双子コーデだねとはしゃいでいた。
 会場に着いて、濡れてしまったグッズを買い直し、開演までの時間を待った。
 そこからはもう「楽しい」の連続。
 最初の挨拶で、いつもは「ただいま!」と言う加藤さんが「おかえり!」と言ってくれたのが嬉しかった。ソロ準備のために引っ込んだ小山さんは「衣装みんな知ってるしいいよね!」とステージに出てきて、普段はソロ準備のために見られないペンラのウェーブを見て嬉しそうに笑っていて微笑ましかった。ソロ曲で近くから登場した手越さんはCGで出来ているのかと思うくらい美しかったけれどちゃんと人間でなんだか安心した。スタトロで近くまで来てくれた増田さんの笑顔が眩しかった。
 28日が楽しかったから、前日の出来事――雨が降り出してレインコートを着るもあまりの雨の強さに全く意味がなかったことも、友人Kさんが「折り畳み傘持ってる!」と言うので「グッズを守って!!!」と自分たちは濡れながらグッズに傘を差したことも、泣きすぎてコンタクトが目の裏に回って激痛に見舞われたことも、社会人になるからと当時人生で一番奮発して買ったkate spadeの財布がびしょびしょになって変色してしまったことも、こっちは安物だけど鞄もひどく濡れて駄目になってしまったことも、全部いい思い出になった。
 知らない曲もあったけれどすごく楽しかった。幸せだった。あんまりにも楽しくて幸せで、NEWSのことをもっと応援していたくて、すぐにFCに入会した。しかし9月の東京ドームにはぎりぎり間に合わなかったので一般で申し込み運よく当選し、10周年を祝うことができた。飽き性の自覚はあるが、初めてのコンサートの日からもうすぐまる三年が経とうとしている今も、NEWSのコンサートを楽しみにしている。
 
 
 
 当時の私は、とにかく愛されたかった。
 入社一年目で、7月の頭まで新人集合研修が行われていて、地方のマンスリーマンションに滞在していた。三か月に及ぶ長い研修が終わって、打ち上げをしたときのこと。二次会はばらばらに飲みに行ったが、三次会では同期の部屋に集まって朝まで飲んでいたらしい。らしい、というのは、私はその場に呼ばれていないから。同じマンスリーマンションにいて、私以外の同期が全員集まっていて、私と一緒に先輩社員と二次会に行った同期も呼ばれていて、私だけが呼ばれていない。誰からも声がかからなかったし、私がいないことに誰も疑問を持たなかったのだろう。さすがにへこむ。一緒に過ごしてきた三か月はなんだったんだろうと思った。研修でわからないところがあるというので教えたり、一緒にお昼ご飯を食べたり、そういう時間は無駄だったんだろうか。
 配属されて働き始めればきっと忘れられると思っていた。実際は傷口に塩を塗りこんだだけだった。使えない新人に構う余裕がないほど周りの人たちは忙しく、私は明らかに持てあまされていた。私がそこにいる必要なんてなくて、「なにかお手伝いできることはありませんか」「仕事はありませんか」と聞いても新人ができることは何もない。でも教えている暇もない。他の人は並んで座っているのに、私の周りの机は空いていて誰もいない。ちゃんといるはずなのに、もしかしたら私はここにはいないのかもしれないという気持ちにもなった。面倒を見てもらえている同期を羨みながら、毎日ひとりで置物のように過ごしていた。
 元々なかった自信は更になくなった。自分が誰からも必要とされない、どうでもいい存在に思えて仕方なかった。必死に就職活動をして、必死に研修をこなして、その結果がこれかよと思って毎日泣きながら帰っていた。誰のことも信じられないし、何もかもが嫌だった。家族に泣いたことがバレたら悔しいので、近くの公園でしばらく泣いて、泣きやんで平気な顔ができるようになってから帰った。「今日は遅かったね、仕事だったの?」と母に聞かれて、「まあね」と答えていた。仕事なんてないくせに。
 そんな感じの日々を過ごしていた頃に、NEWSのコンサートに行った。NEWSは恰好良くて可愛いだけでなく、とても優しかった。雨の中、ファンのことをずっと気遣っていた。翌日もファンが会場にいることをとても喜んでいた。来られなかった人のために心を痛めていた。誰かにこんなに大事に思われたことは初めてだった。
 NEWSはファンのことを特別な「君」という存在として扱っている感じがした。端的に言えば、NEWSはファンのことを愛しているのだと思った。コンサートにいる間、ファンのひとりとしてそこにいる私はどうでもいい存在ではなくて、そこにいるかいないかわからない存在ではなくて、NEWSにとって大切な、かけがえのない「君」だった。映画のヒロインみたいに特別な「君」だった。

 

 あれから三年が経とうとしているが、会社での状況はさほど変わらない。相変わらず、私はどうでもいい存在として日々を過ごしている。いろいろ努力はしてみたけれど、どうにもならないことのほうが遥かに多かった。つらいことが沢山あって体調を崩したりもした。私なんてどうでもいいのではないかと心が折れることもある。でもNEWSのコンサートにいるときは、自分がNEWSにとって大切な「君」であると思える。WHITE東京ドーム公演でも、このあいだ行ったQUARTETTO広島公演でも、NEWSはファンのことをかけがえのない「君」だと思っていることが伝わってきた。コンサートに行くたびに、きっとそれが嬉しくて仕方ないのだと思う。
 私はときどき魔法にかからないと駄目なタイプの人間だ。と書きながら、私そんなに弱かったかぁ、と自分で情けなくなる。でも、本当のことだ。開き直るわけではないけれど、私はときどき魔法にかからないと駄目になってしまう。
 コンサートのチケットは、ただコンサートに行けるだけのものではなく、私をかけがえのない「君」にしてくれる魔法なのだと思う。コンサートが終わったら魔法はとけてしまうけど、チケットを見返すたびに大切な「君」に戻れるような気がして、ちょっとだけ魔法の効力が蘇って、幸せな気持ちになれる。
 あの日初めてNEWSのコンサートに行って、少しだけ前向きになれた。コンサートが終わってからの日々も変わらずつらかったけれど、コンサートのことを思い出したら明るい気分になれた。NEWSに出会わない私とNEWSに出会った私を比べたら確実に後者のほうが幸せだ。だって、NEWSにとっての大切な「君」なんだから。

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 いつまでも「君」でいられるように、これからもNEWSのことを応援していきたい。週末の東京ドームが楽しみです!割といつもこういう重い気持ちでコンサートに行ってます!!!