舞台の上で走れ遠く遠く遠くまで ―ペダステのススメ―

 今回はNEWSの話は一旦おいといて(私のQUARTETTO初日はまだまだ先なので)、とある舞台の話をしようと思う。24時間TVメインパーソナリティおめでとうございます。

 たまに、趣味について「何足わらじ履いてるんですか?」と言われることがある。そこそこ多趣味だし、脱げかけのわらじもちゃんと履いているわらじも沢山ある。軸をジャニオタに置きながら、あちこちに手を伸ばしている。
 昨年春からは観劇をよくするようになった。2.5次元から小劇場、劇団四季など、いろいろ行った。「舞台って楽しい」、そう思わせてくれたのは、「舞台 『弱虫ペダル』」通称ペダステだ。
 先日、第8作目となる「舞台 『弱虫ペダル』 ~総北新世代、始動~」が全公演を終了した。劇場で3回、ライブビューイングで1回の計4回を見たが、毎回号泣だった。どう語ればペダステの良さが伝わるのかはわからないがとりあえず語りたいので書いてみたい。ていうか書きたい。少しでもペダステが気になったら是非読んでほしい。そしてペダステを観てほしい。

ペダステとは

 週刊少年チャンピオンで連載中の漫画『弱虫ペダル』を原作とした舞台のこと。2012年の第1作目以来、2016年3月現在は第8作目まで続いている。徐々に公演数を増やし、最新作は4都市24公演を行い、大千秋楽ではライブビューイングも実施されている。
 『弱虫ペダル』は高校生の自転車競技部を舞台とした漫画で、ロードレースにかける高校生たちの熱い青春がどうのこうのという話で、詳しくはWikipedia(弱虫ペダル - Wikipedia)をご覧ください。これから書く内容に関わる部分は随時説明していきます。

 

どうやってレースをするのか

 先程も書いたが『弱虫ペダル』はロードレースを描いた物語である。舞台上でどのようにロードレースをするのか、というのが最も気になる部分だと思う。自転車を乗り回すには舞台は狭すぎる。
 言葉で説明するより見たほうが早いので、一度こちらの映像を見ていただきたい。

 
 こちらは最新作の映像。


舞台『弱虫ペダル』~総北新世代、始動~ ゲネプロ公演ダイジェスト

 

 こちらはゲネプロではなく本編映像のダイジェスト。


舞台『弱虫ペダル』インターハイ篇 The Second Order ダイジェスト映像


 
 役者はハンドルを持って走る。そのハンドルすらデフォルメされたもので、本物のロードバイクのハンドルとは異なる。ペダステを知らない人にこのハンドルを説明するときには「ハンドル的な何か」としか言いようがない。(3/31 追記:ペダステのハンドルは本物のハンドルだという情報をいただきました。よく調べずに誤ったことを書いてしまい申し訳ありませんでした)。しかし、これを持って、腰を落とした姿勢で、必死に走ることで、ロードバイクに乗っている様子が表現される。
 多分、写真や短い映像でぱっと見ただけでは「なんだこれは」と思って当然だ。私も一昨年の年末、「ペダステというものがあるようだが自転車には乗らずハンドルだけ持って走るらしい」という情報だけ知っていて興味本位でDVDを半分ネタみたいな気持ちでレンタルして、同じく『弱虫ペダル』が好きな人たちと見てみた。本当にハンドルしかないと最初は笑っていたのだが、どんどん見入ってしまって、見終わる頃にはロードバイクに乗って走っていると脳が認識するようになっていた。


 
 また、映像からもわかるように、ペダステの舞台装置は最新鋭の技術が駆使されているというわけでもない。映像すら使われていない。舞台上にあるのは一段高くなった部分と、スロープだけだ。しかもスロープは人力で動かす。舞台のことは詳しくないのでよくわからないけれど、これが非常に原始的な造りであることは素人目にもわかる。
 しかし、人が動かしているがゆえに生まれる躍動感やダイナミックさがある。動かしている人の決して楽ではない姿が見えることで、レースの過酷さが間接的に伝わってくる。舞台上には道はないが、スロープを右に左に動かしたり回転させたりすることで、限られた空間を最大限に広げている。
 スロープを動かす役者たちは「パズルライダー」と呼ばれる*1。役名こそないが、彼らは非常に重要な役割を担っている。数人で呼吸を合わせ、スロープを動かす。勿論、ただ動かせばいいというわけではない。人がスロープの上に乗って走っているときもある。それも1人ではなく複数。上手くいかなければ怪我をする可能性も大きい。また、必要なときにはモブ役として台詞を喋ることもあるし、スロープの横で待機しながらも、繰り広げられる物語の状況に合わせて表情や仕草で演技をしている。パズルライダーはその存在を観客に悟られてはならない(いないものとしてふるまわねばならない)黒子ではない。舞台上で演技をしている役者なのだ。ペダステが無事に公演を終えるためには、縁の下の力持ちであるパズルライダーの力が必要不可欠だ。
 
 もうひとつ、ペダステでレースを表現するのに不可欠なものがある。レースの疾走感を出すためには、照明が必要だ。
 原作『弱虫ペダル』には疾走感を示すため、独特の線(ペダステでは作者の名前を取って「航線(わたるせん)」と呼ばれている)が描きこまれている。役者の走りやパズルライダーが動かすスロープでもこの線の疾走感を表現しているし毎回様々な手法であの疾走感を表現しているのだが、照明による表現の力は大きいと感じた(特に最新作の第8作目)。
 役者の走りに合わせて、線を表現するライトが動く(多分ぐるぐる回している)。その場から動かないで走っている役者が実際に走っているように見えるのは、照明の動きが重要な役割を果たしているからということもあるだろう。

 

役者=生身の人間が観客の目の前で走る

 メディアミックスをするのなら、それをするだけの意味があってほしいと常々思っている。というか、意味づけをしたい。後付けでいいから、意味を考えたくなってしまう。
 ペダステにおいては、役者=生身の人間が観客の目の前で走るということに大きな意味がある。
 ロードバイクに乗って走ると汗をかく。レースをしているのなら尚更だ。汗だくになりながらゴールに向かって走る。
 舞台上で、役者たちも実際に走っている。汗をかいて、息を切らして、走っている。本当に驚くほど汗だくになっている。ぼたぼたと汗の雫を払う場面が何度もあった。DVDに収録されているバックステージ映像を見ると、走り終えて袖にはけて倒れ込む人たちもいる。待機している他の役者が駆け寄って汗を拭ったり酸素ボンベを持ってきたりしている。走りすぎてこの人死ぬんじゃないかと思うこともあった。
 そうやって必死に走る役者の姿と、キャラクターが必死にゴールを狙う姿が重なる。『弱虫ペダル』で描かれている「限界を超えるような闘い」が、舞台上でも行われている。
 これはまさしく、舞台ならではのものだと思う。たとえば実写ドラマや映画にしたとして、確かに役者はそこで必死に走っているのだろうけれど、どうしても撮影時と視聴時のタイムラグがある。しかし舞台だと、今見ている「私」の目の前で役者が汗だくになって必死に走っている。この目で直接、その姿を見ることになる。
 感じ方には個人差があるとは思うが、私は原作の同じシーンと比べて舞台のほうが泣いてしまう。原作の場面を思い出しながら、そこに目の前の役者の必死な姿が重なって、あのシーンでこのキャラクターはこれだけ辛かったのだということを目の当たりにして、涙を抑えることができなくなる。彼らの大変さや辛さが、ダイレクトに伝わってくる。
 キャラクターが肉体を纏って目の前にいる。それは何もビジュアルを寄せているだとかそういうことだけではない。「走る」ということが大きな意味を持つ『弱虫ペダル』という作品は、役者が走ることによってキャラクターとシンクロする。
 原作は漫画だから、読むペースも読み手の思い通りだ。一旦本を閉じて考える時間を取ることもできる。しかし舞台はそうはいかない。観客の思いや気持ちとは関係なく進んでいく。一旦休憩して気持ちを落ちつけたくても、否応なしに次へと展開していく。自分が支配できない時間の流れに巻き込まれているということもまた、感情移入を余儀なくさせる。
 
 ペダステの物語は概ね原作に沿っており、レースの結果だけ見れば原作と同じになっている。つまり、原作を読んでいれば(あるいはアニメを見ていれば)レースの結果はわかっていることになる。どのキャラクターが勝ってどのキャラクターが負けるのか、すべて知っている。
 私がペダステを見る前(観劇が趣味に加わる前)に思っていたのは「勝敗のわかっている勝負を見て白けてしまわないか」ということだった。1回や2回ではなく、20公演以上ある。20回以上同じ勝負が繰り返されている。その全部を見るわけではないが、事実としてそれだけの公演数があるということを知っている。「この人たち20回以上同じ勝負を演じるんだよなぁ」と思ってしまったらおしまいなのではないかと思った。
 が、私の心配は杞憂に終わった。と同時に、役者の凄さ・素晴らしさを思い知った。勝負に負けるキャラクターを演じる役者たちは、毎回勝つつもりで勝負に臨んでいた。勝ちに行こうとするから、あんなにも人の心を動かす勝負が繰り広げられるのだ。
 たとえば、「舞台 『弱虫ペダルインターハイ編 The WINNER」では、インターハイ最終日*2の公演であり、三日間続いたインターハイの勝者が決まる物語が展開する。
 勝者が決まるということは、敗者もまた決まる。原作は既に描かれているから、観に行くときには勝敗がわかっている。しかしそれでも、勝敗が決まる場面では涙が止まらなかった*3

 レースが終わり、二位だった選手が、彼に優勝を託して散っていったチームのメンバーと話す場面。千秋楽で、彼は泣いていた。悔しそうに泣いていた。何で話していたか媒体を忘れてしまって申し訳ないのだが、彼は「本気で勝つつもりで毎回走った」と話していた。だから見ている人の心を揺さぶるような熱い走りができるのだ、と理解した。
 先日千秋楽を迎えた8作目「舞台 『弱虫ペダル』~総北新世代、始動~」では、私が『弱虫ペダル』で一番好きなキャラクター・手嶋純太がペダステに初登場した。目の前で彼の走りを見て、心の中で何度も「今日は勝てる」「今日こそ勝って」と本気で思った。勝てると思わせるような走りをしていた。
 物語の筋を曲げてまで好きなキャラクターに活躍してほしいとは思わない。彼が勝ってしまったら、物語の根幹から違ってきてしまうからだ。しかしそれでも勝ってほしい。目の前で汗を流して息を切らして眼を見開いて必死に走っている姿を見て、勝ってほしい以外に願うことなんて何もない。心の底から彼に勝って欲しかった。勝利の星をその手に掴んで欲しかった。
 これは原作を読んでいるときには抱かなかった感情だった。原作はもっと俯瞰的な位置から見ることができる。というか、私はその位置からしか見られない。物語の世界の外からしか見ることができない。しかし、舞台になると目の前でキャラクターを演じる役者が走っているわけで、レースを観戦しているような気持ちになる。物語の中へと引き込まれる。レースを観戦しているのだから、応援している人に「勝って欲しい」と思うのは当然のことのように思える。それは役者=生身の人間が観客の目の前で走っているからこそ起こる感情だ。

 

舞台『弱虫ペダル』≠原作『弱虫ペダル

 映画「ピンクとグレー」と原作『ピンクとグレー』について考えたときに散々頭を巡ったことだが、漫画でも小説でも原作はそれを生みだした原作者1人(あるいは少人数)によって作られている。しかし、メディアミックスをするとなると原作者以外の解釈が加わる。原作者以外が解釈して描かれた物語を「二次創作」と呼ぶなら、ペダステも一種の二次創作と呼べるだろう。演出・脚本による解釈、そして役者それぞれによるキャラクターと物語の解釈。多くの人々の解釈が混ざり合ってペダステは作られている。
 とはいえ、ペダステはストーリーにおけるオリジナル要素が強いわけではない。概ね原作通りに話が展開する。しかしそれはあくまで「概ね」である。全く同じではない。しかし、その「全く同じではない」という部分に、『弱虫ペダル』を舞台でやる意味がある。
 メディアミックスをするなら、そのメディアミックス作品を作る者の思いが反映されてこそ、それをやる意味があると思う。ペダステはまさしくそういう作品だ。それぞれの役者によるキャラクターの解釈と演出脚本の西田シャトナーさんによる解釈がしっかりと反映されている。
 「舞台 『弱虫ペダルインターハイ編 The WINNER」では、三日間を走りきれずリタイアするキャラクターの姿も描かれていた。それ自体は原作の物語の筋と変わりはないのだが、その表現方法は原作と異なる*4
 また、原作では描かれない場面がペダステにはあるときもある。「インターハイ編 The WINNER」では、箱根学園の3年生・荒北に敗れて優勝争いから落ちた呉南高校がゴールする場面が描かれていた。「舞台『弱虫ペダル』IRREGULAR ~二つの頂上~」では、インターハイを走り終えた直後の京都伏見高校2年・水田信行がインターハイを振りかえる独白があった。どちらも原作では描かれていない。おそらくは演出脚本を担当する西田シャトナーさんが描きたかった部分なのだろう。私も、これらのシーンを見ることができて良かったと思っている。
 詳しくは原作を読んでペダステを見て両者を比較してもらうしかないのだが、ペダステにあって原作にはないもの、原作にあってペダステにないものを見ていくと、原作・ペダステどちらに対しても理解が深まる。
 
 こういった解釈を含んだ舞台が原作ファンの多くから愛されているのは、役者も演出家も原作『弱虫ペダル』を、そして自分が演じたキャラクターを愛しているからだ。
 インターハイ編が終わると3年生の出番はほとんどなくなるので、これで最後だと悟る役者もいたように思う。そのため、「インターハイ編 The WINNER」のDVDに収録されている千秋楽の舞台挨拶はまるで卒業式のような雰囲気もあった。
 主人公のライバル校・箱根学園の3年生、新開隼人を演じた宮崎秋人さんは「2年間、泉田(新開に憧れる後輩キャラ)よりも、新開隼人に憧れて、新開隼人の背中を誰よりも必死で追いかけてきたつもりです。それでも自分が理想とする新開隼人はすごい遠くにいて、」と言いながら声を震わせていた。ありがとうございましたと深々と礼をした彼は、きっと誰よりも新開隼人に憧れていたのだろう。
 箱根学園の2年生でインターハイに出られなかった黒田雪成を演じた秋元龍太朗さんは「ゼッケンつけて走りたいなって本気で思いました」とまるで黒田そのものというようなことを言いながら泣いていた(スタッフが黒田が翌年のインターハイでつける「12」のゼッケンを用意してくれており、ダブルコールではそれをつけて出てくる粋なはからいも含めてすごく泣ける場面)。
 そうやってキャラクターを愛しているからこそ、重圧もあるだろうと思う。それでも演じきる姿を見て、心を動かされる。
 これは余談というか私の持論なのだが、「作り手が泣くのはそれだけ思い入れのある作品であって、それだけ思い入れがあるということはそれだけ愛されて作られたものであって、良作であることが多い」と思っている。NEWSもそうで、2012年のコンサート『NEWS LIVE TOUR 2012 ~美しい恋にするよ~』で泣く4人の姿を見て、彼らはこれほどNEWSを愛しているのだから、それだけNEWSを愛している人たちが作るNEWSが面白くないわけがない、と思った。実際、彼らのファンでいるのはとても楽しい。それと同じことを、この「インターハイ編 The WINNER」のキャスト挨拶のときに思った。
 

ペダステの見どころ

 ここからは先程説明した以外のオススメポイントを、わかりやすく簡潔に紹介していく。

①歌
 ペダステはあくまで「ステージ」=舞台であり、ミュージカルではない。が、歌う。
 各公演、5曲前後を歌う。その公演のために作られた曲もあれば、何度か歌われている曲もあるし、毎回歌われる主題歌のような曲もある。ミュージカルのように台詞を歌にしているのではなく、その場面の状況やキャラクターの心情を歌にしている。
 耳に残りやすいメロディとその場の状況に合った歌詞、また歌に関する演出でもぐっとくる場面が多い。たとえば、京都伏見の御堂筋というキャラクターだけは絶対に歌わない。全員で歌うときにも歌わない。勝利のみをひたすらに求める彼は、仲間と助け合って前へ進もうとする主人公たちの総北高校とは相容れないといったふうに描かれている。原作においてもそういった異質なキャラクターだが、ペダステでは一切歌わないという演出によってその異質さが際立っている。
 年々歌唱力が上がっている印象があるが、最新作の「総北新世代、始動」では新キャストに歌唱力の高いメンバーが多かったのかめちゃくちゃ歌が上手かった。
 
②モブ
 ペダステには毎回、今泉親衛隊、ガードレール、自販機など、魅力的なモブキャラが数多く登場する。パズルライダーを含めた出演者が演じるのだが、自分達の実際の役と同等にいきいきしている。ガードレールや自販機を人間が演じるのは舞台ならではの楽しみだ。
 先程から割とシリアスな要素ばかりを魅力のように語ってきたが、主にモブたちが織り成すギャグパートのクオリティも高い。面白いことが大好きなキャストが多く、ひたすら笑いを取りに行こうとする場面も何度もある。観劇(あるいはDVD観賞)の際は是非、そこにも注目して欲しい。
 
③キャストのビジュアル
 イケメンとかそういうことではなくて。イケメンなんだけど!
 2.5次元の舞台は既にキャラクターのビジュアルがあって、そのビジュアルは漫画的表現が多かったりもして、現実に存在させようとすると違和感が出てくるキャラクターもいる。それをなるべく自然なかたちで再現しているのがペダステだ。非現実的な髪型も、なるべく現実に近いかたちのウィッグにしているように見える。
 また、キャラクターの体型とキャストの体型が割と近いというところも注目したい。特に御堂筋翔役の村田充さんだが、身長が高くて細長い手足、まるで漫画の中から抜け出てきたかのような体型をしている。田所、新開、泉田、鳴子などのスプリンター(平坦の道をひたすら早く駆け抜けるのを得意とする人達)は体が比較的がっしりとしている。特に脚。最新作から加わった青八木(スプリンター。小柄だが体ががっしりしている)、葦木場(原作では身長202センチで、演じる役者はさすがにそこまでの身長はないのだが、肩幅や手足の長さが漫画のままと言いたくなるような体型)たちの体型が非常に理想的だった。よく毎回探してくるな……と驚いている。これからキャストが変わるキャラクターがいても、新しいキャラクターが登場しても、きっとまた素敵な役者と出会えることを確信している。
 
④キャストの熱
 本当に熱い。自分が演じるキャラクターが、そして『弱虫ペダル』が、ペダステが大好きなキャストたち。実際に自転車を買った人もいる。
 何も知らない人が見たら、ハンドルだけを持って走っている様子は、滑稽に映るかもしれない。私も見る前まではそう思っていた。今思うと失礼な話以外のなんでもなくて本当に申し訳なくなるくらいだ。
 しかし、見てみればわかる。たとえそこに自転車がなかろうが、道がなかろうが、本気で走る姿があれば自転車も道も必要ない。ハンドルを持って、スロープを駆けのぼって、汗も涙も最後の一滴まで絞り切るような本気の闘いがそこにある。汗だくになって息を切らした役者の、そしてキャラクターの姿が、見ている観客の心を掴んで大きく揺さぶる。頭では勝敗がわかっているレースも、心ではまだ決まっていない。そう思わせるような本気の走りが、舞台の上で繰り広げられている。こんなに面白いものは、きっと滅多にない。いいものに出会うことができて本当に幸せだ。
 
 
 
 それに、ペダステを通して「舞台は面白い」ということを知って、また新たな舞台を見たくなる。気になる役者がいてその人が出る別の作品を見てみたり、そこで新たに知った役者の舞台にも足を運んだり。
 ジャニーズ以外が出る舞台なんて1回見たことがあるかどうかだった私が、1年間で何回劇場に足を運んだだろう。両手でも指の数が足りない。折り返したらぎりぎり足りるか足りないかといったところだ。そんなにも夢中になるほど、舞台というものは面白かった。目の前で、役者が役者本人ではない誰かの姿を演じている。そこにはまさしく「生」がある。世の中にはこんなにも面白い「舞台」というエンタテイメントがあるのだと、ペダステが教えてくれた。

 

 と一通り語ってみたのだが、私が言いたいのはたった一言だけ。
 
 ペダステはいいぞ!!!!!!!!!!
 
 原作が好きでペダステが気になっているなら一度観てみて欲しいし、原作はよく知らないけど気になったらまずちょっと原作を観てそれからペダステを観たほうが話は分かりやすいと思う。けどこのペダステの熱さを原作より先に体験するのも面白いのかもしれない。私は原作が先だったのでそっちのほうをオススメします。けどとりあえず観てみたいんならペダステからでもいいんじゃないかな!なんかもうわかんないや!!!

 dアニメストアで配信していることもあるし(4/1まで「The WINNER」を配信中*5みたいです)、レンタルも置いてある店には置いてあるみたいだし(私も最初はレンタルで観た)、まぁそうねDVDを買ってしまえばいつでも見られる!最新作のDVD/BDは7月13日発売です!!!現在予約受付中です!!!!!

 

 

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*1:演出の西田シャトナーさんはハンドルと人力の舞台装置でレースを表現する手法を「パズルライドシステム」と名付けている

*2:弱虫ペダル』の世界ではインターハイのロードレースは三日間に渡って行われる。この公演はその最終日の様子が描かれている

*3:「The WINNER」はほとんどの場面で泣いてたといっても過言ではないほど泣いてたけど

*4:というか漫画を舞台にする時点で表現方法から何から概ねのものが異なると思っている。その異なる部分は、演出や役者が作り上げる部分だ

*5:舞台『弱虫ペダル』インターハイ篇 The WINNERのアニメ見放題 | dアニメストア