来世はペンギンになりたい

好きなものを好きと言うために生きてる

ネタバレじゃない「ピンクとグレー」感想

 そういえばネタバレではない感想を書いていなかったなと思ったので書いておこうと思います。レポートでもなんでもなく所感って感じなので堅苦しい口調はやめます。


 今のところ5回見ました。5回見て、考察だなんだとあれこれ考えて、私はこの映画を「いい映画」だと思います。
 思考が刺激される。ああだこうだと考えられる。観た人がそれぞれ感想を抱く。それぞれによって見方が変わってくる。そこに重点をおくとそう見えるのか、と新たな発見がいくつもある。
 観た後になんの感想も出てこないような映画と違う。「面白かったね」「よかったね」「ダメだったね」「つまんないね」そんな短い言葉ではこの映画を言い表すことはできない。言葉を尽くして語らなければ、自分が観たものを表現できない。そういう映画を、私は「いい映画」だと思います。
 でも、この映画を好きか嫌いかで言ったら全然好きだし、受け入れているけれど、なんとなくもやっとしたものは残る。それは多分、「原作が好きだから映画は受け入れられなかった」という意見を、私はある種ではそっちのほうが正しいと思っている節があるからだ、とわかっています。原作を愛するなら大幅過ぎる改変が加えられた映画を受け入れるべきではないとさえどこかで思っているのかもしれない。「原作が好きだけど映画を受け入れられちゃった」という気持ちは多分何度見ても消えません。
 映画「ピンクとグレー」がもっとたくさんの人に愛されて欲しい。たくさんの人に観てもらいたい。私は自分が愛せないものを人に愛してくれなんて言えないので、たくさん観てたくさん考えてたくさん書くことで、この映画を愛すに足る理由を探しているのだと思います。勿論、その理由はあとづけです。だってもう愛しているから。なぜ愛しているのかを、いち原作ファンそしていち原作者ファンの目線から外へ向けて発信したいのだと思います。

 

 昨年、伊藤計劃の遺作を円城塔が完成させた『屍者の帝国』がアニメ映画化されました*1。『屍者の帝国』は映画化される際に至るところに改変がなされていました。そもそも原作が長いので、2時間程度に収めるには省略は必須でした。一番変更が加えられていたのは、登場人物の関係性。原作では全くこれといった友人関係にはない「屍者(死体に疑似霊素と呼ばれるプログラムをインストールして「労働力」として動けるようにする)」と「生きている人間」でしかなかった二人に「生前は親友だった」という関係性が付加されていました。既に亡くなっている伊藤計劃と、生きている円城塔の関係をあてはめたようにも見えます。そういうメタ的な見方ができるというか、メタ的な部分に目を向けざるをえない映画でした。しかしそのメタ的な視点は、第三者である映画監督だからこそ描けたものだとも思います。

 映画と原作が相互に作用しあうというか、どちらも読んでこそ面白い、という印象を受けました。私は映画から入ったのですが、原作は文字の情報量が多かったりして難しい部分もあり、映画に付与された「生前は親友だった」という設定のおかげで映画はわかりやすい部分もあったと思います。勿論、改変には賛否ありますが。
 「ピンクとグレー」も、そういう映画だと思います。映画と原作が相互に作用しあっている。もし映画だけ観た方、映画だけ観ようと思っている方は是非原作も手に取ってみてください。原作を既に読んでいる方は、映画を見て、また原作を読んでみてください。きっと新たな視点で読むことができて、新たな発見があるのではと思います。
 映画「屍者の帝国」を観たとき、私の周囲は考察したい人や誰かと語りたい人がたくさんいました。しばらく会っていなかった大学時代の友人と久しぶりに会って映画の話をしたり、別の友人とも気付けば居酒屋に何時間いるんだよと言うくらい話したりしました。
 「ピンクとグレー」も、映画を見て思ったことを誰かと共有して、そこからまた新しいものを見出して、また観たくなり、そしてまた語りたくなる。そういう、人を饒舌にする映画なのだと思います。
 実際、映画「ピンクとグレー」について、既に何万字書いたかわかりません。相当な文字数をこの映画を語るために費やしているし、まだまだ語りたいことがあります。わかったと思ってもまだわからないことがある。多分理解しきることなんて一生ないのに、だからこそ考えるのが楽しい。
 この映画を読み説いて理解して(理解した気になって)、そこに私がこの映画を好きでいていい理由を見つけたい。もし私のように映画を受け入れてしまったことに戸惑う人がいるならこの気持ちを共有して、それでもいいって思えたらいいねって言いたいし、単純に映画を見て原作との違いやその意味が気になった人には「こうかもしれないです」という考えを示して「そうだね」「いや違う」と新たなことを考えるきっかけになりたいし、「なんか適当なことを言ってる考察があったけど、実際はどうだったか確かめにもう一回観に行こう」とか思ってくれたらもう最高ですよね!
 
 映画「ピンクとグレー」が公開される前に、小説が映像化されることについて記事を書いていました(小説を映像化するということ - 来世はペンギンになりたい)。「原作は小説?嘘だろ。」と思わないような映画だったらそれでいいと書きましたが、その願いは叶ったと思っています。確かに、その描写は必要だったかと問いたくなるシーンはあります。他の撮り方があったのではないかと思うところもあります。しかし、そういった部分があっても、私が最初にこの映画に望んでいたものは確かにあったし、それ以上のものがあったと思います。

 
 何より、加藤さんが「暗い部屋で暗い小説を書いていた」と語る『ピンクとグレー』が、本になるかどうかもわからないで書いていた『ピンクとグレー』が、加藤さんを知らない人にも知られるようになったのが本当に嬉しいです。映画を機にNEWSに興味を持ってくれる人もいるかもしれません。全力でこっちだよって呼びたいです。楽しいよ!NEWS担楽しいよ!*2
 

*1:「Project Itoh」

*2:そんなNEWSの新曲は本日発売になります!加藤さん原作・出演のドラマ「傘をもたない蟻たちは」主題歌「ヒカリノシズク」、nissenCMソング「Touch」の両A面シングルです。それぞれ初回ヒカリノシズク盤、Touch盤にPVとメイキングがついています。通常盤には「星の旅人たち」「whis・per」の二曲も収録されています。どちらもコンサートで聴きたい素敵な曲です!宜しくお願いします!