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来世はペンギンになりたい

今生はジャニオタとして生きる

まだ鍵を見つけていないあなたに届け ―『NEVERLAND』感想―

NEWS ジャニーズ

お題「NEWS「NEVERLAND」レビュー」

 NEWSの新アルバム『NEVERLAND』がリリースされた。前回のアルバム『QUARTETTO』も名盤だったけれど、それとはまた違う良さが濃縮されている一枚。アルバムタイトルや収録曲タイトルだけでもあれこれと想像を膨らませ、こんな曲だろうかあんな曲だろうかと一人で想像を巡らせていた。これでもかというほど期待を高めて待っていたアルバム。
 まさか、こんなに期待したのにそれ以上のものが来るなんて。
 きっとこのアルバムのことはよく知らないけれど聴いたら響く人がいるはずだ、と勝手に思っている。そんな人に届けばいいなと思いながら、いつもの通り100%の主観で書いてみたい。

 

 『はてしない物語』という本をご存知だろうか。ドイツの作家ミヒャエル・エンデの名作ファンタジーである。読んだことがある人は、あの赤くてなめらかな触り心地の装丁を思い出して欲しい。『はてしない物語』は他の装丁で読むよりもあの赤い本で読むと数倍楽しくなる。なぜかというと、その装丁は『はてしない物語』の中で主人公が手にしている本『はてしない物語』と同じだからだ。
 NEWSの今回のアルバム『NEVERLAND』の初回盤には鍵がついている。この鍵は初回盤特典DVDでNEWSが作っているもので、ジャケットやブックレットの衣装にもついている。そして何より、アルバムを聴き始めてすぐにこの鍵の意味に気付くだろう。『NEVERLAND』に収録されたInterはどれもナレーションが入っていて、鍵を手にした「あなた」に語りかけるような内容になっている。つまり、手にしているこの鍵はアルバム『NEVERLAND』と現実をつなぐものであり、鍵があるとこの『NEVERLAND』をより楽しむことができるのだ。
 ファンタジー育ちの私はNEWSのこの凝りに凝った世界観に、アルバムを開封しただけでやられてしまった。曲も聴いていない、映像も見ていない、ブックレットも開いていない状態で、こんなにも幸せな気持ちになったアルバムは初めてだった。アルバムを再生して、幸せは更に高まっていく。

 

 

01."The Entrance"

 物語の幕開けを感じさせる曲。ポケモンでいうとオーキド博士が名前を尋ねてくるあたり。語りかけてくる優しいナレーションはミスター・インポッシブルと名乗る。彼は「鍵を見つけてくれてありがとう」と告げる。初回盤に入っている鍵のことだ。この鍵は「買った」とか「アルバムを買ったらついてきた」ではなく、「見つけた」ものなのだ。また、「NEWSのみんな」という言葉遣いもあって、まだナレーションだけなのにファンタジーの雰囲気がどんどん増していく。
 バックに流れるチェンバロの音は可愛らしいだけでなく、どこか古風な感じもする。多分バロック音楽を連想するからだろう。『NEVERLAND』の世界観を説明するナレーションにふさわしい音楽だ。

 


02.NEVERLAND

 この曲が入っているアルバムが最高じゃないわけがない。雑に説明するとALI PROJECTSound Horizon的な雰囲気の曲。この曲だけでも聴いてみてほしい。この曲が入っているアルバムが最高じゃないわけがないという意味がきっと伝わると思う。
 重厚なイントロから始まるこの曲は、民族楽器の音や民族音楽っぽいコーラスは入っているが、明確にどの国のものと言い切れるわけでもない。この不思議な雰囲気がどこでもない異国・ネバーランドを象徴しているかのようだ。
 Aメロは平坦に進んでいき、Bメロでいくらかなめらかになる。そして呪文のように唱えられる「Neverland」という歌詞のあとにブレイクがあり、サビへと広がっていく。サビではコーラスも合わさり重厚で豪華な世界が展開する。規則正しくリズムを刻む打ち込みの音や様々な音が重なっている様子は、サビ前の歌詞にある「PARADE」を思わせる。たくさんのものがごちゃごちゃと、豪華に絢爛に混ざり合い連なって行進していく。
 不思議なことが起こる異国とは、えてしてどこか危険なものである。たとえば不思議の国のアリスでは、楽しいだけではなくてハートの女王に目を付けられたりと危険な目にも遭う。先ほど例に挙げた『はてしない物語』に出てくるファンタージエンと言う世界もそうだ。異国(異世界)へ行くタイプのファンタジーでは、異国とは危険をはらんだ場所であることが多い。この「NEVERLAND」という曲がダークファンタジー風味なのも、そういう世界観を意味しているのかもしれない。
 このアルバムのリード曲となる「NEVERLAND」は物語の入り口にふさわしく、聴き手をNEVERLANDという異世界に引き込む力を持っている。

 

 

03.アン・ドゥ・トロワ

 イントロやAメロBメロの後ろで鳴っているキラキラでぽわぽわした感じの音(雫が落ちるような音)が爽やかで可愛い。タイトルからわかるように、踊るような軽やかなメロディで、春から夏にかけての季節にぴったりのイメージ。ピアノと打ち込みの音がとても爽やかで耳に心地よくて、一夜の夢とか歌っているのになんとなく青い空が似合いそうな気がする。航空会社や旅行会社の夏の広告に使って欲しいくらいだ。
 でも歌詞をよく見ると、これ多分抱いてる。わざわざ「君とイきたい」って書いてあるし多分抱いてる。この爽やかさにごまかされているけれどこれは多分爽やかに抱いてるタイプの曲、「Greedier」とかの仲間みたいな感じ。しかしあまりにも雰囲気が爽やかすぎて歌詞をちゃんと見るまで抱いてる系の曲だとは気付かない。歌詞をちゃんと見ないとわからないようにワンナイトするNEWS。こんなに爽やかに一夜の夢が見られるのはNEWSだけ!
 「魔法」「メリーゴーランド」というファンタジックなワードと印象的に繰り返される「アン・ドゥ・トロワ」という響きのおかげで、どれだけ爽やかでもアルバムから浮くことはない。サビでは合間に「Hey!」という箇所があるが、コンサートでファンが歌うところだろうか。アルバム全体を通して「一緒に」という言葉がキーワードになっているような気がする。コンセプトのひとつとして「一緒に」も盛り込まれているのだろう。
 また、「NEVERLAND」では「NEVERLAND」と書いて「夢」と読ませている部分があるが、この曲では「夢なら覚めないで」と歌っているところがなんだかずるい。「夢なら覚めないで」なんてこっちが言いたいくらいなのに!
 最後のサビ前、小山さんの歌うファルセットの「アン・ドゥ・トロワ」が優しく柔らかくて、更にどこかきらきらしていて、個人的にはこの曲一番の聴きどころ。

 


04.EMMA

 「アン・ドゥ・トロワ」は「24時のベル」から始まり、「EMMA」は「AM0:00」から始まる。同じようなことを言っているようで印象が全然違うのがすごい。「24時のベル」はシンデレラのようなイメージを受けるが、「AM0:00」=午前0時と言われるとなんだかハードボイルド感が出る。作詞家ってすごいな、と思わされる。
 この曲が初披露されてから、ダンスに対していろいろな意見があったが、私としてはこのダンスは「EMMA」がアイドルの楽曲として世に出るために必要な要素だと思っている。メロディのポップさに加え、腰を振るダンスの(言葉は雑だけれど)チープともとれるエロさによって、この曲のもつ愛とか性とか死といった重厚なテーマをうまく隠しているように思える。ポップの皮を被ったとんでもない曲だと勝手に思っている。
 その他、詳しいことは別記事にて。

penguinkawaii.hatenablog.com

 


05."7 Elements"

 ゲームでいうとチュートリアル画面の音楽。戦い方や操作の仕方を教えてくれるところ。そんな音楽をバックにして説明される、7つのエレメント。「シゲアキのクラウド」で加藤さんも言っていたけれど、このアルバムの歌詞には随所に7つのエレメントがちりばめられているので、探しながら聴くのも楽しい。

 

 

06.Brightest

 オケがキラキラしていてまさに「Brightest」という感じ。曲がもう既にタイトルを現している。イントロから心を掴まれる。
 言葉数が多い部分は小山さんの歌声の聴きとりやすさが目立つ。小山さんの歌声は繊細で、この曲に最も合う声が小山さんの声なのかなと思った。仮歌に引きずられるタイプなのかもしれないが、似合うんだから存分に引きずられて構わないと思う。ユニゾンながら抑えめに歌うサビがすごくいいし、最後のサビの手越さんのフェイク:三人のユニゾンというバランスもとても美しい。手越さんの声のキラキラした感じがより際だっていて、この曲の雰囲気にも合っているような気がする。
 今までのNEWSにはないタイプの曲だけれど、「star」というNEWSの歌詞にはお馴染みの単語が使われているところがなんだかいいなぁと思った。
 恥ずかしながらm-floについてはあまり知らなくて、「シゲアキのクラウド」で名前が挙がっていた「come again」を聴いた。16年も前の曲だとは思えないほどおしゃれで可愛くて、でもちょっと切ないような感じもする名曲だった。もっと早くこの曲に出会いたかったくらいに気に入った。この曲を聴いてから「Brightest」を聴くと、きっと仮歌とNEWSの歌では雰囲気が大きく異なるのだろうなと想像がつく。NEWSはやはり4人いるし、それぞれの歌声に厚みがあるのだなぁと気付くだろう。違いを想像するのが楽しいから、是非一度「come again」を聴いてみて欲しい。

 


07.Silent Love

 歌割りは「Snow Dance」と似たような作りになっている曲。誰ですか加藤さんに「首筋の跡が消えても 心の傷が憶えてる」なんて歌わせたのは誰ですか!?最高!でもこの曲は増田さんのラップが優勝!!!!!
 この増田さんラップ、増田さんの良さが存分に発揮されまくっている。まずは英語の発音の良さ。増田さんは英語の発音がとてもそれっぽい。英語が上手いというよりは音楽に英語の発音を乗せるのが上手いというか、とにかくそれっぽい。NEWSの中では増田さんしか持っていない技だと思う。それとリズム感。後半のラップの部分の特に終わりに向けての畳みかけるリズムがすごい。言葉のリズムに圧倒される。そしてラップの増田さんの声は温度が低いのがまたいい。NEWSで一番歌声のバリエーションが多い増田さんだからこそ、他の曲との差がすごい。さっきからすごいしか言ってないけどだって増田さんがすごいんだもん。
 この曲の声の温度は低いほうから増田さん、加藤さん、小山さん、手越さんというイメージだと勝手に思っているのだが、サビは最も温度の高い手越さんと最も低い増田さんが交互に来るので温度差がすごい。あまりにも格好よくてぞくぞくする。
 それから増田さんのラップの最後「実は伝えたかった My Silent Love」のところの歌声が最高。「実は伝えたかった」と歌う声がもう過去形の色をしている。この過去形の色をした歌声と歌詞がぴったり合っているところと圧倒するリズムのせいで切なさが胸に迫ってくる。
 小山さんの「どんな夜に夢を見よう」の歌声が優しいところも素敵。「Brightest」といい、切実さが滲む小山さんの声はこういう曲が似合う。
 増田さんのラップに「KEY」=鍵が出てくる。おしゃれな雰囲気の曲だったとしてもこのアルバム『NEVERLAND』の世界観はしっかり踏襲されている。

 


08.恋を知らない君へ

 想いが通じなかったり、想いを伝えられなかったりする曲が並んだ三番目に来るのが「恋を知らない君へ」。このアルバムは割とそういう恋の歌が多いが、中でも群を抜いて切ない。やはり、2016年の夏を、そしてあのドラマを思い出すからだろう。
 これも前にブログに書いたので詳しくは割愛。

penguinkawaii.hatenablog.com

 


09."Neverland Cast Menbers"

 これは間違いなく戦闘用BGM!そんな音楽に乗せて紹介されるNEWSの4人。ここでもまた「一緒に」という言葉が出てくる。

 


10.ミステリア

 09の戦闘用BGMから続くこの曲の歌詞が自分の化身と闘うという内容の歌詞というのがなんとなく繋がっている感じがする。
 この曲はなんといっても大サビの加藤さんが最高。「愛なら 歌にしよう 夢なら 旅立とう」という「~なら~しよう」のあいだに法則的な関係性が見いだせない文章だが、歌う加藤さんは自信満々に言い切るので、いっそ美しく聞こえる。あまりに美しい文章で、聴くたびにここに心を持って行かれる。「世界よ、これが加藤シゲアキだ」と言いたくなるような歌声。自分自身と対峙するような歌詞の世界観で加藤さんが一番美味しいところをもっていく感じがもう……本当にたまらない……
 バックに聞こえる音楽がなんとなく和風っぽくて「サクラ」という単語と合っているような印象がある。それがなんとなくアニソンっぽい。たぶん原作はサンデーで連載されている。
 大サビの加藤さんのあと、手越さんがネガティブな歌詞のところを担当しているのもなんだか新鮮で好き。
 また、この曲にも「地下室」という鍵を連想させるような単語が出てくる。『NEVERLAND』の世界観はどこまでも損なわれない。
 このアルバムの中で最もポップン力の高い曲(綴調べ)。間奏のピアノメイン→ストリングスメインになるところとか最高に楽しいと思う。脳内譜面しか叩けないのが惜しい。

 


11.BLACK FIRE

 頭を振らないわけにはいかない曲。ロックに詳しいわけではないけれどそれだけはわかる。もしかしたらコンサートに行っても舞台上なんて全然見られないかもしれない。思いっきり頭を振りたい。
 歌詞も曲の雰囲気も手越さんが拘ったという歌い方も、他のNEWSの曲ではあまり見られないもので、とても新鮮に感じる。「きっと ずっと 一緒? ならいっそ 嫉妬 卒倒するSHOTを」という言葉の並びは普段のNEWSなら出てこないだろう。切なさとも幸せとも違う、新たな顔。
 歌い出しのところは手越さんは勿論のこと加藤さんの声が最高。あまりにも最高。コンサートで聴くのが楽しみすぎる。前回は「燃え尽きるまで」が見せ場だった加藤さん、今回は「燃やせ」なので加藤さんは「炎」担当なのかなぁと勝手に思っている。

 


12.ORIHIME

 11とは打って変わってTHEアイドルサウンド。同じアルバムにこういう二曲が続いて入るのが、自分たちで楽曲を作らないアイドルの強みだと思う。どちらも歌い方が全然違って、しかしどちらもぴったり合っているしNEWSの色になるのはNEWSの強みだろう。
 打ち込みの音が爽やかで、サビに向けて空へと浮かぶような雰囲気があるのが素敵。
 Bメロからサビへの流れが私の大好きなJ-POPで、様々なタイプの曲が入っているこのアルバムだけれどこういった曲が入っているとなんだか安心する。
 このアルバムに入っている曲の中で一番歌詞の技巧が美しい曲だと勝手に思っている。特に「消えることない約束が 僕らの999」という歌詞があまりにも最高。銀河をゆく鉄道を「999」という言葉でもってくる作詞家の技にしてやられた感じ。この歌詞なら「星の旅人たち」と併せて披露されることもあるのでは……と期待してしまう。会えない(おそらく遠距離だとか失恋だとかではない理由で会えない)恋人を織姫にたとえているところが美しい。「ハイド&シーク」という歌詞を受けての「「もういいよ。」の声が 僕にはまだ聞こえない」というところが本当……いい……「まだ聞こえない」と言い張る「僕」が切ない……。だって「まだ」ってことはいつか聞こえるかもしれないと思っている(あるいは思おうとしている)んだから。曲の中で使える言葉の数は限られているのに、それでこんなにも奥行きのある物語を描ける作詞家というのはやはりすごい。ヒロイズムさんはすごい。
 織姫=ベガと彦星=アルタイル、そして「シリウス」で併せて夏の大三角だって言おうとしたら加藤さんに既に言われていた。書くのが遅かった……
 ところで今年の夏は「ORIHIMEブラ」みたいなやつ出ないんですか?これブラのCMの曲じゃないんですか?
 それとアウトロでピアノのきらきらとした音が残るのが素敵。まるで流れ星みたい。という流れで次に「流れ星」というタイトルの曲がくる曲順があまりに美しすぎる。

 

 

13.流れ星

 「ORIHIME」のピアノを受けてか、この曲もピアノから始まるのが最高だし、イントロや間奏のギターがTHE J-POPといった感じ。J-POPに慣れ親しんで生きてきた私としてはもう最高。
 この曲は歌割がすごく好き。加藤さんに「あどけない希望連れて 僕らは明日を探した」と歌わせた人に何かしらの賞を贈らないとやってられない。「奇跡だろうが信じていた」という歌詞もいい。「奇跡だろうが」という投げやりな、信じていなさそうな言い方なのに、それでも「信じていた」と続くのがいい。他に頼れるものがないから「奇跡だろうが信じていた」んだろうなと思うけれど、それを加藤さんが歌うのがなんだかエモい。そして二番では同じ箇所で「奇跡じゃないと信じている」になるのがたまらない。「奇跡だろうが信じていた」人が、今は「奇跡じゃないと信じている」のだ。またしてもヒロイズムさんのすごさを思い知らされるし、どちらも歌っているのが加藤さんというのがまたいい。
 最後のサビ前、「また歩き出すよ」が小山さんで「まだ歩けるだろ」が加藤さんなのもずるいなと思ってしまう。私は多分、小山さんと加藤さんの歌うこの手の歌詞に弱い。でも加藤さんの「まだ歩けるだろ」が優しい歌い方なのがずるい。こんなの好きしかない。
 楽曲制作陣的に、そして時期的に、この曲は「フルスイング」の先にあるものなんだろうと勝手に思っている。「フルスイング」して飛んでいく白いボールは空を渡る「流れ星」なのかなぁ、なんて。

 


14."The Grand Finale"

 バックの音楽は「The Entrance」と同じメロディが使われていて、「The Entrance」で語られている「これはあなたの旅のゴールでもあり、旅の始まりでもあります。」という言葉が思い出される。
 「あなたにだけ」という言葉を聴くと、やはりNEWSは1対1を意識しているアイドルなのだなぁと実感する。「ファン」というものを群衆ではなく個々として捉えている感じがして、そういうところが大好き。

 


15.U R not alone

 「The Grand Finale」で「このアルバムは、とりあえずここまで。」と言っているのだから、この曲はネバーランドから外の世界=現実へと聴き手を帰すための曲だ。聴き手をネバーランドへ連れ込んだのに、帰る道もちゃんと示してくれる。アルバム『NEVERLAND』は「行って帰る」という形式を持ったファンタジーの物語なのだ。最初から異世界に生きているわけではなく、『はてしない物語』のように普通の主人公が不思議な異世界に迷い込み、そして帰っていく。馴染みのある作品でいえば「千と千尋の神隠し」などもそういうタイプの物語。
 低音+高音の感じが聴いていて耳に心地いい。「SEVEN COLORS」で小山さんが下を歌っていたのがめちゃくちゃ好きだったので、この曲の感じもたまらなく好き。それに加藤さんの低音も高音もすごくよくて、なんて素敵な声なんだろうとまたいっそう加藤さんのことが好きになってしまった。高音にやはりどこか少年のような雰囲気を感じてしまって困る。こんなに素敵な声の人を好きになってしまったなんて。今更改めて気付いてしまうなんて。困る。ずっと加藤さんのなかに少年の加藤さんがいてほしい、と勝手に願ってしまう。少年だった頃の加藤さんを知っているわけでもないのにそんなことを思ってしまう。とにかくこの曲は加藤さんの声が好き。低い声も好きだし高い声も好きだし、なんでこんなに好きなのか説明しきれなくてもどかしい。たぶんこの文章を読んでいる人が思っているよりも五億倍くらい好き。しんどいくらい好き。
 サビのユニゾンは物語のフィナーレにふさわしくて、このアルバムが大団円で終わることをこんなにも美しく示す方法があるだろうかと思ってしまうくらい美しい。「U R not alone」ということを歌声でも示しているなんて。それに、最後のサビの転調はもう大正解としか言いようがない。曲の高揚感と重なる歌声で気分がすごく前向きになる。俯いていても自然と顔を上げてしまうような、そんなイメージ。
 リード曲である「NEVERLAND」では「孤独をかき消すように」と歌っていた。孤独をかき消すのだから、ひとりじゃない。「U R not alone」。最初から最後まで美しく構成されたアルバムであることがよくわかる。
 でも曲の内容としては「NEWSがそばにいるよ」ではない。孤独をかき消すためにNEWSがそばにいてくれるわけではない。聴き手はネバーランドから現実へと帰らなければならないから。だから「君」ではなく「僕」に向けた応援歌を歌う。この「僕」はNEWSでもあるし聴き手でもあって、それぞれがひとりではないのだから前へ進もうという歌っている。
 NEWSの歌声に背中を押されて、聴き手は現実へ帰る。また次にネバーランドへ来るための鍵を胸に抱いて。


16."To Be Continued...."

 「つづく!」がお茶目で可愛い。ツアー楽しみだなぁ!!!

 

 

 初回盤の曲(Inter除く)の中での頻出単語を検索したところ、「僕」の34回に続いて「夢」の18回が多かった。どの曲にも多く出てくる人称である「僕」を除けば「夢」が最多となる。「NEVERLAND」の中で「NEVERLAND」という言葉に「夢」というルビを振っているのだから、このアルバムを象徴する言葉が「夢」ということだろう。
 きっと『QUARTETTO』までで何かが一区切りついたのだと思う。コンサートで加藤さんが「4人になって4枚目のアルバム、4回目のツアー」と言っていたけれど、沢山の「4」を重ねたことできっと一旦の区切りになったのだろう。だから『NEVERLAND』では「NEWSの新しい物語の始まり」という言葉が使われている。ファンタジー要素を高めるためのものではなく、実際に新しい物語がここから始まっていくのだろう。だから今までと違って専属作家陣だけでなく他の方々からも楽曲提供がある。楽曲の幅がより広くなり、新しいNEWSが沢山見られる。
 また、発売前に発表されていたアオリ文からInter、そして招待状に至るまで、「一緒に」という言葉が多用されている。「アン・ドゥ・トロワ」や「U R not alone」など、明らかに一緒に歌うことを想定して作られている曲もある。ファンと一緒に歩んでいくということを何度も繰り返しているようにも思える。
 私は「一緒に夢を見てくれる人たち」が本当に大好きで、まさかこの『NEVERLAND』にそういう要素がこんなに詰まっていると思わなくて本当に幸せ。NEWSを好きになってよかった、と心から思うし、NEWSを好きになった自分をどこか誇らしく思う。

 

 以下はソロ曲について。

 

 

17.I'm coming(手越さんソロ)

 バラードが続いたと思ったら、なんだかすごい曲がきた。突き抜けるような手越さんの歌声が聴いていて気持ちいいけど歌詞がすごい。
 基本的には男性ボーカルだと突き抜けるような高い歌声(ようはポルノグラフィティの岡野さんみたいな声)が好きなので、手越さんのこういう歌声はとても耳馴染みがいいというか、こういう曲歌って欲しかった!という歌い方や音程が続くので聴いているあいだずっと「これだよこれ!」って気持ち。「本音吐き出してみろ」のところのメロディが個人的にはツボで、このメロディを手越さんが歌っているのがもうそれだけで最高だし、「開いた果実」のところの歌い方が美しくて好き。
 歌詞だけ見たときはびっくりしたけど、ボーカリスト手越祐也のいいところがぎゅぎゅっと詰まっている一曲。

 


18.ニャン太(小山さんソロ)

 かつて私が大学に合格したとき、父方の祖母にも認められると思っていた。親戚中で一番の高学歴となったのだから、長いこと邪険に扱われてきたけれどこれで認めざるを得ないはずだ、と。しかし実際は違った。祖母は私に「他の孫は自分の夢を追うために努力している。お前は頭がいいからって調子に乗るな」という旨の話を延々とし続けた。
 という話を、かたちを変えて小説に落とし込んだ。当時の私はそうでもしないとこのつらさを乗り越えることができなかった。
 私はそうやって、自分の身に起きた出来事を誰かが消費できるかたちにしないとダメなタイプの人間なのだ。誰かに届いて欲しいわけではないけれど、でも消費されないとやっていられない。自分で自分を消費するというか、とにかくやってられない。心の中が感情でいっぱいになって更につらくなってしまう。私のこのブログにはそうやって「消費されないとやってられない傷」をなんとかするために書いた文章がごろごろと転がっている。言葉にして誰かの目に触れることで、感情を外部に置いておくことができる。自分の感情が外側へ霧散して消えていくような気がする。
 だから小山さんもそうだ、とは言いきれないけれど、そうかもしれない可能性はある。少なくとも、この世にはそういうタイプの人間がいるのだ。
 別にこの曲を聴いて何を思え、ということを、小山さんは考えていないのではないかなと思う。ただ彼が、19年間ずっと愛してきた飼い猫のことを言葉にして音楽に乗せて表現したいと思っただけのことなのではないか。だから逆を言えば何を思うのも自由なのだろう。
 私はつい先日引っ越しをしたのだが、そのために大きな段ボールいっぱいのぬいぐるみとさよならをした。どの子も思い出がいっぱいで引っ越しの前日には明け方までその子たちをきれいにしていた。最後まで手放したくなかった。生き物の生死を握るのが嫌で生き物を飼えず、代わりに死なないぬいぐるみたちに囲まれて生きてきた。でもぬいぐるみは自分でさよならを告げなければならないと気付いて、引っ越しの数ヶ月前からずっと泣いていた。ぬいぐるみを神社に連れて行ったときも泣いていた。今これを書きながらまたちょっと泣いた。あの子たちは私が成長するために必要な存在だったのだ。きっと小山さんにとってのニャン太もそういう存在だったのではないかな、と勝手に思う。
 ニャン太や小山さんが幸せかどうかなんて私にはわからないしわかる術もないけれど、私はこの曲を聴けてよかった。

 


19.あやめ(加藤さんソロ)

 また加藤さんが知らない人みたいに思えた。どこからどう聴いても加藤さんの要素がこんなにも詰まっているのに、私はこの人を知らない。それがどうしようもなく寂しい。何回だって新鮮な気持ちで好きになるから、どうせ私の寂しさなど最初から届いていないしこの寂しさは私だけのもので加藤さんとも一切の関係がない。私はこの寂しさを私だけの宝物にしていたい。だからどうか私の寂しさとは一切関係ないところでもっともっと遠くまで行ってしまって欲しい。そんな気持ちを改めて実感する曲だった。

 


20.FOREVER MINE(増田さんソロ)

 ダンス曲がずっと続いていた増田さんがバラード、しかもカバー。
 増田さんの声の柔らかさがメロディに馴染んでいて、とても優しく包まれる感じがする。こんな優しい歌声に「堕ちて行こう」って誘われたら頷くしかない。どんなに危ない道だとわかっていても頷くしかない。
 これ多分オケが原曲とそのまま同じだと思う(違ったらごめん。終わり際に右のイヤホンから聞こえる声がないという違いはあるけどそれ以外は同じだと思う)。増田さんの歌声が素晴らしいからできることなのだろう。
 とても言葉をはっきりと、でもなめらかに美しく歌っていて、ひとつひとつの言葉と音を大切に歌っている感じが伝わってくる。いろいろな媒体で語っているけれど、増田さんにとって大切な曲なのだというのがよくわかる。
 増田さんの歌声の美しさを堪能できる世界一贅沢な約5分。

 

 いろいろと書いたらまた10000字を超えてしまった!とにかく最高のアルバムなので、是非ともお手に取ってみてください!!!

 

 

 

 

 

 

彼らに出会って生まれた私の話

ポルノグラフィティ

 お題「○○担になったらこんないいことがありました!」を使った記事の投稿、ありがとうございます!沢山の熱い思いを読むことができてとても嬉しいです。
 「担」とは書いているものの、それ以外の好きなものについてもOKです。好きなものについての熱い想いを語ってくれたらそれでいいのです。ということで私ももうひとつ書いてみようと思います。

 

お題「○○担になったらこんないいことがありました!」

 

 
 ポルノグラフィティのファンになって、今年で18年目だ。
 出会って何が変わったかってすべてが変わった。彼らがデビューしたとき私は9歳で、音楽なんてろくに知らなかった。そんな子どもをも魅了する音楽が、ポルノグラフィティの「アポロ」だった。
 初めて買ったCDも、初めて行ったライブも、初めて入ったファンクラブも、全部ポルノ。今の私の基礎は間違いなく彼らが作った。というか私は彼らに出会って生まれたのだ。
 これはそんな「私」の話。

 


・共通の話題

 中学生のとき、居場所のなかった私にとって、ポルノグラフィティの存在は救いだった、という話は前にもしたと思う。
 このブログでも何度か話題に出したけれど*1、中学生のときの私は問題児で、明らかに学校に馴染めずにずっと浮いていた。陰口を叩かれることもあって、そのたびに「バレないように言ってくれよ」と思いながら泣いて帰った。私に届かないものは私にとってないのと同じなんだから。さすがに嫌がらせを受けたときは気付かないようにやれとも思えなかったけど。
 担任の先生ともよく給食を食べながらポルノの話をした。というか私が一方的にした。ポルノが2人になるときちょうどテスト期間中だったのだが「落ち込んでテストどころじゃないんじゃないか」と心配された(点数には全然影響なかった)。ベスト盤が出るんだよと毎日話し続けたら「毎日言うから買っちゃったよ」と言ってくれた。あの曲が好きだな、いいね、と話した。先生の中に私のことが残っているとしたら、きっとそこには「ポルノファン」という要素も残っていると思う。もし誰とも好きなものの話をできなかったら、学校に行くのも嫌になってしまっていたかもしれない。私の話につきあってくれた先生にも、話題の種になってくれたポルノにも、感謝の気持ちしかない。

 
 また、同世代にも「ポルノグラフィティ」は共通の話題になりやすい。思春期を「メリッサ」と共に過ごした人たちは多い。CDを買ったりライブに行ったりするほどではなくとも、テレビに出ていたら見るという人が沢山いる。友達の多くもそうだし、私の彼氏もその一人だ。
 私がポルノファンだと知ってから、聴く機会が増えたという。「Sheep ~song of  teenage love soldier~」(Sheep〜song of teenage love soldier〜 - ポルノグラフィティ - 歌詞 : 歌ネット)という、10代の可愛い恋心を歌った曲をよく聴いていたという話を聞いて、とても可愛い人だなと思った。彼とは今は一緒にライブに行っている。2014年に行われたライブ「惑ワ不ノ森」ではメドレーの中の一曲ではあるが「Sheep ~teenage love soldier~」を一緒に聴くことができた。イントロが聞こえてきて、二人で少し笑ってしまったことを覚えている。

 
 大好きな人たちと大好きなものについて話せるって幸せなことだなぁ、と現在進行形でかみしめている。

 


・特別な時間

 ライブのアンコールのラスト1曲は「ジレンマ」という曲を演奏するのが定番となっている。そしてその最後にボーカルの岡野さんが「君たち、最高!だから、胸張っていけ!自信持っていけ!」と叫ぶ。
 こんな幸せがあるだろうか。だって、私はただライブに来ただけなのに。ただそれだけで、無条件に肯定して励ましてくれる。私は自分に自信なんかないけれど、ポルノのライブから帰るときはちょっとだけ背筋が伸びて、胸を張って歩いている。岡野さんが叫んだ声は私にちゃんと届いて、私を変えてくれる。
 ポルノは、彼らが「君たち」とか「あんたら」とか呼ぶところの人たちにとってライブが特別なものであると思っている。ライブの合間や挨拶でも「今日は嫌なことを全て忘れていい」「心のタンクにエネルギーを貯めて帰って」と伝えてくれる。自分たちのライブが明日からの活力になれば、という言葉をくれるのだ。日常を生き抜くための力を、ライブという非日常でチャージする。
 きっと、彼らもまたライブを特別なものだと思っているから、そういう言葉が出てくるのだと思う*2。つまり私はポルノと互いが特別だと思っている特別な時間を共有しているのだ。それってすごく貴重なことだと思う。

 


・『君』/私という特別な存在

僕たちは、自分の時間を動かす歯車を持っていて、
それは一人でいるなら勝手な速度で回る。
他の誰かと、例えば君と、触れ合った瞬間に、
歯車が噛みあって時間を刻む。

ハネウマライダー - ポルノグラフィティ - 歌詞 : 歌ネット

 ハネウマライダーという曲をライブで披露するとき、この歌詞の「他の誰かと たとえば君と」という部分を「他の誰かと、いや、ここにいる君と!」とか「ここにいる君たちと!」と歌ってくれる。私はそれが好きで好きで仕方がない。日常の中では取るに足らない「私」は、ポルノのライブという場においては彼らが「君」と呼ぶ存在になれる。
 また、ポルノの二人が30代になったときに作った「Let's go to the answer」という曲がある。アルバム『THUMPx』の最後に収録されている曲で、1番には「因島(intoと読む) Dreamin'」「30'sの遠吠えをしかと聞いとけ」という歌詞があったり2番には今までリリースしたシングルのタイトルが織り込まれたり*3している、ちょっと思い入れの深い曲だ。ポルノの二人が30代で行う最後のツアー「ラヴ・E・メール・フロム 1999」の中でもこの曲が披露された*4
 この曲を披露する前に、岡野さんはこう語っている。

 「もしかしたら君たちの人生を変えてしまうような音楽を、もしかしたらこの音楽シーンを潰してしまうぐらいの音楽を、君たちに届けることを夢見て、これからも進んでいきたいと思います。君たちはこの遠吠えをまだまだ聴いてくれますか? 君たちはわしらの遠吠えにまだまだついてこれますか? まだまだ聴いてくれますか? OK、それならわしらと一緒に行こう、Let's go to the answer」

 一緒に行こう、という言葉から始まる「Let's go to the answer」(Let's go to the answer - ポルノグラフィティ - 歌詞 : 歌ネット)。そしてこの曲の最後では「君となら行けるさ痛みがあるのも構わない」と歌うのだ。彼らの歌う「君」でいられることが幸せで仕方がない。
 私が初めて行ったライブはこの「Let's go to the answer」が初披露された「SWITCH」というツアーだった。スイッチを入れる、というコンセプトのツアーで、死にそうだった中学生の私はこのライブでスイッチを入れてもらった。まっすぐ生きるためのスイッチを入れてもらったんだと思っている。

 
 私は人生で三回ほど折れかけたことがある。一度目が中学生のときで、二度目は就活のとき。二度目を支えてくれたのもポルノだった。
 就活自体は終わったものの、思い描いていた未来には辿りつけなかった。一番言われたくない言葉を一番言われたくない人に言われたりもした。そんなとき、ポルノのライブで「カゲボウシ」という曲が披露された。
 「大切な人を思い浮かべて聴いてください」という前置きの後に披露されたその曲で、私は自然と、私を思い浮かべた。就活をしていて周囲からマウンティングされることもあったし、面接が苦手すぎて面接で落とされるたびに人格ごと否定されている気持ちになった。自分が誰からも必要とされていないように思えて、私が存在する意味とは、と悩んで眠れないこともあった。

会いたくなったら ここへおいで 僕はずっとキミのカゲボウシ
駆け抜けて心のままに どこまでも寄り添うから

 たぶん誰よりも私のことをわかるのは私だし、誰よりも私の味方でいられるのも私だと、この曲を聴いて思った。もしかしたら、私以外の誰かにとって私は替えのきく存在かもしれない。しかし私にとっては私しかいない。私が誰からも必要とされなかったとしても私には私が必要だ。それなら、私は私を大切に思いたい。武道館のほとんど天井みたいな席でひとりぼろぼろ泣きながら、そんなことを思っていた。

 ポルノの曲を聴いていると、私にとって「私」とは特別な存在なのだということに気付く。彼らが「今、ここにいる君」と呼びかけるとき、その「君」には私も含まれている。私が私を大切にできるのは、彼らにそれを教えてもらったからだ。

 


・ファンへの愛

 また、ポルノはファンのことをとても好きなように見える。ていうか好きだと思う。好きだろ。絶対好き。愛されているという実感がすごい。最近は特にすごい。2016年に行われたファンクラブツアー「FUNCLUB UNDERWORLD5」では、ファンクラブ発足15周年記念企画(ファンから募った願いを叶える、というもの)を締めくくるにふさわしいものだった。ファンから「インディーズバージョンの曲が聞きたい」と言われたらYoutubeにアップロードされた音源を元に練習して披露してくれるし、「いつも岡野さんがやっている煽りを新藤さんにもやってほしい」といわれれば新藤さんがイェイイェイするし(同じものをやらないところが新藤さんらしい)、「メンバーの声が入ったグッズが欲しい」といわれたらボイスメッセージカードを作り(しかも3種)、「常に身につけたいのでアクセサリーがほしい」といわれればネックレスを作り(お手頃価格だけどかわいい)、などなど他にもまだある。私自身は叶えて欲しいことを応募することはなかったが、彼らがファンを愛していることはとてもよく伝わってきた。
 「FUNCLUB UNDERWORLD5」最終公演の挨拶では、新藤さんが「よその人のことはよくわかりませんけれども、せめて君らにはがっかりされないような活動がこれからもできたらいいなと思います」と言っていた。ポルノはよく「沢山の音楽があるなかで自分たちを選んでくれた人たちにはいいものを届けていきたい」というようなことを言う。先程の、ライブ=互いにとって特別な時間ということもそうだけれど、ファンにとってポルノが特別な存在であるようにポルノにとってもファンは特別な存在なのだ。

 


・言葉

 彼らの言葉も支えになった。というか未だに支えられている。先程の「胸張っていけ!自信持っていけ!」という言葉もそのひとつ。ライブ自体も楽しみだけれど、この言葉を聞かないと帰れない、くらいの気持ちでいる。そのくらいこの言葉に救われている。
 新藤さんはかつてエッセイ連載「自宅にて」で、メンバーが1人脱退したときの気持ちを「嘘でも前に」と表現した。嘘でも前に進めば、明日か明後日かもっと先にはきっといい日さと言える日が来ると。

「明日はきっといい日さ」と僕自身歌詞に書いた記憶があるが、そうとばかり思えないときもあるよ。経験値ゼロのポルノと、100%の自信をとり戻すまで、「嘘でも前に」だよ。「嘘でも前に」行けるうちは前に行く。「嘘でも前に」行けなくなったそのとき考えよう。そうしてるうちに「明後日か明々後日か一週間くらい先は、いい日さ」って思えるかもしれない。

 この言葉には当時も励まされたし、今も座右の銘として掲げている。嘘でも前に進んだらきっといつか本当に前に進める日が来る。つらいことにぶつかるたびにこの言葉を思い出す。嘘でも前に進めなくなったときはそのときに考えよう、それまでは嘘でも前に進もう。

 中学生の頃もそうだし、家で何かあったときも会社がつらいときも、いつだってこの「嘘でも前に」を思い出す。前に進めていないことを嘆くのではなく、嘘でもいいから前に進んでみようと思ってみる。私はだいたいのことをそれで乗り切れた(私が気付いていないだけで、私をサポートしてくれている方々のおかげもあるだろうけれど)。

 この「自宅にて」、今は絶版になっているけれどとてもいい言葉が詰まっているので、新藤さんの言葉が好きな人には是非とも読んでいただきたい一冊。

 

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 それに何より、ポルノグラフィティは私の理想なのだ。バンドとかアイドルとかアーティストとか、そういった類のものたちに対する私の理想を、ポルノはもっている。
 「一緒に夢を見てくれること」*5「特別な『君』と呼んでくれること」。私の中では何よりもこのふたつが何より重要だ。わがままな要求だとは思うが、気付いたときには構築されていた理想だから仕方がない。
 私の理想と彼らが合致しているのか、私の理想が彼らによって作られたのか、今となってはわからない。私は一緒に夢を見ていたいし、「君」という特別な存在になりたい。NEWSもまた私の思い描くこの理想に一致するからこそこんなに好きなんだろうと思う。


 いつも以上に話が散らかってしまったけれど、これが私の「ポルノファンになったらこんないいことがありました!」です。
 彼らに出会わなかったら私は今頃どんな人生を歩んでいただろう。多分全然違う私になっていたと思う。もしかしたらダメになっていたかもしれないし、変に歪んでしまっていたかもしれない。そういう意味で、私は彼らに出会って生まれたのだ。彼らに出会わなかったら生まれなかった私が、今の私だ。
 もしも彼らに言葉を伝える機会があるとしたら、先のことなんてひとつもわからなくて朝目覚めることが怖かった私を「君」と呼んでくれてありがとう、と言わせてほしい。
 あなたたちに出会えて本当によかった。
 これからもあなたたちの遠吠えを聴きながら、どこまでも一緒に行きたい。

*1:私のチヨダ・コーキたちへ - 来世はペンギンになりたい

*2:「星球」という曲はまさにライブ=特別なものという価値観が描かれている

*3:正確に言うと「ジレンマ」だけシングルではない

*4:その次のライブ「惑ワ不ノ森」では3公演目が新藤さんの誕生日だったため、二人とも30代のまま終わるライブは「ラヴ・E・メール・フロム 1999」が最後

*5:『自宅にて』でも「ポルノグラフィティを仕事として僕が生きていけてるのは、まだ夢をみていられるからからだとも思う」、「ラヴ・E・メール・フロム 1999」のオープニングでも「一緒に夢を見ていたい」という話をしている

ジャニオタの読書遍歴

雑記

 早いもので、2015年6月から始めたこのブログもこの記事で100個目の記事となりました。たぶんひとつの記事について最低でも4000字近く書いているので、単純計算でも40万字くらいが詰まっていることになる。学生時代のレポートを全部集めたってこんなに書いていないだろう。
 100の記事を振り返って、改めて自己紹介のような記事を書いてみようかと思い、「読書遍歴」「音楽遍歴」「その他」でTwitterにてアンケートを取ってみたところ、読書遍歴がわずかに多かったのでその話をしようと思う。投票して下さった皆様、ありがとうございます。
 時系列はだいたいこの時期かな?って感じでまとめたので多少のズレはあるかもしれませんが大目にみてください。

 

 

小学校1~4年

 ひたすら本を読むのが好きな子どもだった。学校の図書室がしょぼすぎて地域の図書館に入り浸っていた記憶がある。毎週末には必ずといっていいほど図書館へ行き、限度いっぱいまで借りて帰ってくるのが常だった。
 ひたすらペンギンの本を読みあさっていた。中でも好きだったのは『まいごのペンギン フジのはなし』。実際に長崎の水族館にいた「フジ」という名前のコウテイペンギンの話で、あまりに好きな話だったため当時買ってもらったペンギンのぬいぐるみには「フジ」という名前をつけた。
 読める本の範囲が広がってからは「こまったさん」シリーズ「名たんていカメラちゃん」シリーズ「まじょ子」シリーズなど、おそらく同年代の女の子が通ったであろう本は一通り読んでいた。
 3年生くらいになってクレヨン王国」シリーズに出会う。今でもクレヨン王国の白いなぎさ』の印象が強い。ちょっとダークな部分のある物語で、シリーズの他のどの話よりも強く印象に残った。私もポケットに百人一首を忍ばせて歩きたかった。
 「クレヨン王国」シリーズをきっかけに講談社青い鳥文庫の存在を知る。そして夢水清志郎」シリーズ「パスワード」シリーズと出会う。このあたりからミステリに傾倒し始める。図書館に置いてあったシャーロック・ホームズのシリーズをはじめとする子ども向けの訳がなされたミステリはだいたい読んだ。
 この頃からレーベル読みをする癖があったので、面白い作品のあるレーベルはきっと面白いだろうと思い、青い鳥文庫でびびっとくるものがあればとにかく手に取るという読み方をしていた。
 また、小学校3~4年の頃は特に「分厚い本を読むとかっこいい」と思いこんでいたため、『モモ』はてしない物語などの海外ファンタジーも読んでいた。特に『はてしない物語』はね……あの赤いハードカバーが最高だから読むなら是非あの赤いハードカバーで読んでほしい(リンクを貼ってあるけど、これの中身が赤いカバー)。あれはあの装丁で読むから意味がある。また、2000年から刊行されている「リンの谷のローワン」シリーズも好きだった。

 

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

 

 

 

小学校5~6年

 ファンタジーとかわいいミステリばかり読んでいた私の読書人生が大きく狂わす大事件が、4年生の終わりごろに起きる。
 講談社ノベルスと出会ってしまった。
 きっかけは母が新宿少年探偵団」シリーズ(太田忠司)を薦めたせいだ。母の読書趣味を信頼していたため、母が面白いから読むといいよと言っていたシリーズ最初の一冊新宿少年探偵団を図書館で探し、読み始めた。
 今まで読んでいた本とは全然違う、新鮮な面白さがあった。まず文章が子ども向けではない。難しい漢字も沢山出てくる。物語も単純ではない。それに何より!文字が!二段もある!!!しかも字も小さい!!!!!文字を読むこと自体に喜びを見出すタイプの子どもだったのでもう最高としか言いようがなかった。
 友人が映画版「新宿少年探偵団」のクリアファイルを持っていて、どうしても欲しかった私は手持ちのクリアファイルと交換してもらった記憶がある。そのクリアファイルにいるのが相葉さん松本さん横山さんだと知るのはもっと後の話。
 それ以降、太田忠司さんの本を読みあさった。狩野俊介」シリーズが特に好きで、既刊が沢山あって読んでも読んでもまだあるのが楽しくて仕方がなかった。この頃から「挿絵が漫画っぽくても文字が細かくていっぱいある本がある」ということを知り、CLAMPが挿絵を手掛けていた創竜伝」シリーズ(田中芳樹)なども読んだ(これも母の薦め)。
 また映画「ロードオブザリング」の公開に合わせ、指輪物語も全巻読んだ。ファンタジー好きの心には強く響く物語だった。「リンの谷のローワン」シリーズの佐竹美保さんの挿画の本を読みあさったのもこの時期。『ネシャン・サーガ』『盗まれた記憶の博物館』『魔法使いハウルと火の悪魔などは読んだ記憶がある。同年代の方々の中には同じような読み方をした人が少なくないと思っている。
 和製ファンタジーにも目覚め、狂ったように新井素子作品を読んでいたのもこの時期。当時は『扉を開けて』いつか猫になる日までが好きだったが、今はひとめあなたに……』が一番好き。勾玉シリーズ(荻原規子)月神シリーズ(たつみや章)などの日本神話っぽさのあるファンタジーもよく読んでいた。
 小さい頃にアニメで見ていた「魔術師オーフェン」がラノベ原作であることを知ったことでラノベも読むようになる。魔術師オーフェンシリーズ(秋田禎信)はシリアスな本編とギャグ要素の多い番外編のギャップが大きく、それが楽しくて読むのをやめられなかった。相変わらずレーベル読みをするので、2000年に創刊された富士見ミステリー文庫の作品も沢山読んだ。「キノの旅」シリーズ(時雨沢恵一)をきっかけに電撃文庫も知り、これもまたレーベル読みしていた。

新宿少年探偵団 (講談社文庫)

新宿少年探偵団 (講談社文庫)

 

 

扉を開けて (コバルト文庫)

扉を開けて (コバルト文庫)

 

 

 

 

中学生

 講談社ノベルスと出会ってしばらくして、再び大事件が起きる。今度は活字倶楽部と出会ってしまったのである。
 「活字倶楽部」とは本についてのファンブック的な雑誌で、作家のインタビューやさまざまな特集、新刊案内や小説のキャラクターのイラストを投稿するコーナーなどがある。おたく向け「ダ・ヴィンチ」という印象を持ってくれればだいたいそんな感じだろう。図書館にはバックナンバーも豊富に置いてあった。同じ号も繰り返し読んだ。
 イラスト投稿コーナーに掲載されているものはどれも素敵で、こんな人が出てくるなら読みたい!と思い、気になったイラストのキャラクターが出てくる本を片っ端から読み始めた。妖怪と人間の関わりといったファンタジー要素を持った「薬屋探偵妖奇談」シリーズ(高里椎奈)、とにかくキャラの強い探偵ばっかり出てくる「JDC」シリーズ(清涼院流水)、独特の雰囲気に引き込まれる「S&M」シリーズ(森博嗣)、そして2002年から刊行が始まったばかりの「戯言」シリーズ(西尾維新)。察しのよい方は気付くだろう。これらはすべて講談社ノベルスから刊行されており、かつメフィスト賞を受賞した作品だということに。
 あの『新宿少年探偵団』と同じだということと、気になる作品がことごとく講談社ノベルスだったことで、私の講談社ノベルスへの信頼度は一気に増した。あの黄色い犬のマークが背表紙についている本はそれだけで面白そうに見えたし実際面白かった。
 更に、メフィスト賞を受賞した作品が自分の趣味に合っていると気付き、巻末に乗っているメフィスト賞受賞作リストを見ながら本を探した。鏡家サーガ」(佐藤友哉)奈津川家サーガ」(舞城王太郎)「安藤直樹」シリーズ(浦賀和宏)などにドハマりしていた。思い返せば歪んだ思春期だった。
 小学校高学年から継続してラノベも読んでいた。なかでも電撃文庫ブギーポップ」シリーズ(上遠野浩平)「Missing」シリーズ(甲田学人)などが好きだった。
 中学を卒業する直前に伊坂幸太郎作品とも出会う。最初に読んだのはアヒルと鴨のコインロッカーだった。タイトルに惹かれてなんとなく手に取ったらめちゃくちゃ面白くて度肝を抜かれた。

 

コズミック (講談社ノベルス)

コズミック (講談社ノベルス)

 

 

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

 

 

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

 

 

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)

 

 

 

高校生

 お小遣いが増えて自分で本を買えるようになり、月一冊は文庫本を買うことにしていた。初めて買ったのは勿論銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)。他にはポルノグラフィティ新藤さんが薦めていた『ぶらんこ乗り』(いしいしんじ)『お縫い子テルミー』(栗田由起)なども買って読んだ。スロウハイツの神様をはじめ辻村深月作品と出会ったのもこの頃。
 高校の図書館が充実していたこともあって入り浸っていた。京極夏彦作品を鞄に入るだけ借りてどうにか詰めて帰ったこともある。図書館で予約を待たなくても新しい本が普通に置いてあるので天国としか言いようがなかった。
 また、通学路に図書館があったおかげで帰り道には図書館に通っていた。この頃もまだミステリに傾倒していたが、『アヒルと鴨のコインロッカー』をきっかけに東京創元社ミステリ・フロンティアというレーベルを知り、このレーベルの本もひらすら読み尽くしていた。余談だが私が推理小説の意で「ミステリ」と使ってしまうのはきっと東京創元社のせいである。誤字で「ー」がないのではなく、「ミステリ」なのだ。
 アニメ「彩雲国物語」を見始めたことで、原作の彩雲国物語』シリーズ(雪乃紗衣)も読み始めた。いわゆる少女小説のレーベル角川ビーンズ文庫から出ているもので、自分がこういうレーベルの本にハマるとは思わなかったので新鮮だった。最終巻は号泣しながら読んで眠れなかった記憶がある。
 図書館でたまたま見かけた『リレキショ』をきっかけに中村航作品を読むようになる。とはいえこの時点ではまだ『ぐるぐるまわるすべり台』までしか発売されていなかった。『夏休み』が文庫化した際には感想を送るとサイン入りのハガキが返ってくるというキャンペーンをやっていて、渾身の感想文を送った記憶がある。
 『リレキショ』は河出書房新社から出ている本で、『リレキショ』をきっかけに河出書房の本を読みあさる。エンタメと純文学のあいだみたいな話が沢山あって面白かった。これまでの人生では手に取ることのなかった種類の話ばかりで、成長したからこの面白さがわかるようになったんだな、と思った。

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

 

 

 

リレキショ (河出文庫)

リレキショ (河出文庫)

 

 

 

 

大学生

 急に海外文学や日本の名作文学に目覚めた。世間よりちょっと早く文豪ブームがきていた。
 というか、大学生になったのだから「名作」と呼ばれるものを読んでおかないなんてない、と思っていた。国内だと夏目漱石太宰治江戸川乱歩あたりを読みふけった。海外文学だとキャッチャー・イン・ザ・ライ』(サリンジャー)赤毛のアン」シリーズ(モンゴメリ)『変身』(カフカ)『一九八四年』(オーウェル)星の王子さま』(サン=テグジュペリ)、その他光文社の古典新訳文庫を中心に読んだ。これまで海外文学を避けてきたためになかなか慣れなくて読みづらい部分もあったが、物語の面白さに気付けた作品はすらすら読めた。
 大学生のときに入っていたサークルが読書系のサークルだったため、周りに読書好きが多く、本をオススメし合うことも多かった。感想を語り合うことの楽しさもこのときに知った。
 大学生になってから自分の好きな本について考えていたら割とSF要素が多いことに気付き、SFも好んで読むようになった。特に早川書房ハヤカワ文庫JAに好きな作品が多かった。マルドゥック・スクランブル』(冲方丁)『時砂の王』(小川一水)『華竜の宮』(上田早夕里)などが好き。
 そして一番重要なのは私が大学在学中に小説家・加藤シゲアキがデビューしたこと。『ピンクとグレー』を読んだときに心が大きく波立ったことは忘れられない。

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

 

 

キャッチャー・イン・ザ・ライ

キャッチャー・イン・ザ・ライ

 

 

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

ピンクとグレー

ピンクとグレー

 

 

 

 

 

社会人

 大学3年の冬から就職活動が始まり、そこから本を読む意欲が失われてしまって今もまだ回復はしきっていない。スマホを持つようになって、暇な時間はスマホを触っているから、ということもある。
 しかし、加藤さんが書いた本、加藤さんが紹介した本や小山さんが読んだと言っていた本、あるいはドラマ原作本などは読んでいる。というか今はそのくらいじゃないと本を読む気がわかないのだ。
 あまりよくない状態だと思っていたところに、askで『いなくなれ、群青』という本に関する質問があった。そのときは未読だったのだが、本屋に並んでいるのを見たことがあるし(読む意欲はないのに本屋通いはやめられない)、私の愛する新潮文庫の新レーベル新潮文庫nexから出ている。これは買ったほうがいいな、と感じた。読んでみると実際面白かった。かつて私が夢中で読んでいた電撃文庫ラノベと近いにおいがした。シリーズもののようなので続きも読もうと思いつつ、本屋に行って本を買うのがすっかり億劫になってしまっているので今度こそ買うぞ。
 これを機にまた習慣的に本を読むように戻れたらな、と思っている。

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

 

 

 

 

 ここに挙げたものはほんの一部で、本当はもっと沢山読んできた。私は「好きな本を晒せば(というか本棚を晒せば)その人の趣味嗜好がなんとなくわかる」と思っているので、私の趣味嗜好がだいたいバレてしまったなぁと思うのだけれど、101記事目からもまた宜しくお願い致します。

マイお題「○○担になったらこんないいことがありました!」を作りました

NEWS ジャニーズ

 おたくが自分の好きなものについて情熱を傾けているところをみるのが好きだ。自担に憧れて本を読むようになった人もいるだろうし、自担が美しすぎて美意識が高まった人もいるだろう。そういう、自担の存在による明るい変化の話がききたい。
 あるいは、自担が存在するだけで毎日ハッピーな人もいるだろう。私もハッピーです。ハッピーすぎて溢れるこの想いを文字にしたい!!!
 というわけでマイお題「○○担になったらこんないいことがありました!」を作りました。

 

お題「○○担になったらこんないいことがありました!」

 

 自担(個人)または自担グループ、どちらについての話でも構いません。「私は○○担になったらこんないいことがあったんだぞ~!」という話を是非してほしいです。好きなものを好きでいることによって生まれるメリットって最高じゃないですか?そんな最高な話がたくさんきけたら嬉しいです。
 まずは言いだしっぺの私が書きます。

 

NEWS担になったらこんないいことがありました!

 

・すごく愛される

 初めてコンサートに行ったとき「こんなに愛されていいのか……?」と驚きながら帰ってきた。私の初めてのNEWSコンは2012年(あの大雨の)秩父宮だったのだが、あの大雨を抜きにしても、NEWSはファンのことをすごく大切にしているんだなと思った。その後、同コンサートの大阪、東京ドームにも行ったが、あまりにも愛されすぎて抜けだせなくなってしまった。
 アイドルが王子様だとしたら、ファンは街娘みたいなもので、王子様を遠くから見てキャーキャーするものだと思っていた。しかしNEWSはファンを「お姫様」にしてしまう。王子様とお姫様の、最高に幸せでファンタジックな空間、それがNEWSのコンサートだ。2012年のコンサートを通してそれを実感したし、それ以降2015年のWHITE、2016年のQUARTETTOに行っても私の認識は変わっていない。
 NEWSのコンサートは「デート」だとはきいていたけれど、それはNEWSの甘い雰囲気を比喩的にたとえたものだと思っていた。まさか本当に全力で「ファンの子は彼女!!!」という扱いをされるとは思っていなくて、当時彼氏いない歴=年齢だった私が誰かに大切に思ってもらえることの嬉しさを知ったのはNEWSのコンサートが初めてだった。
 前にもこのブログで書いたと思うが、NEWSに出会った頃の私はとにかく愛されたかった。大学4年になり、周りは恋人のいる友達で溢れ、おひとりさまでおたくを楽しむ私は若干浮いていた。社会人になっていろいろあって、寂しさは加速していった。そんなときにNEWSのコンサートに行き、NEWSの愛に触れて、寂しさなんていつのまにか忘れてしまっていた。誰かの大切な「君」になることの幸せを知った。この辺の話は過去記事(いつまでも「君」でいられるように ―初めてNEWSのコンサートに行った日― - 来世はペンギンになりたい)に詳しく書いてあるのでどうぞ。

 
 余談だが、NEWSのコンサートに行くといつも、小さい頃の私はお姫様に憧れる女の子だったことを思い出す。
 小学校に上がる前、ピアノの発表会のために祖母が白いレースのドレスを作ってくれた。身長の伸びが激しく、春と秋で同じ服が着られないこともあったため、アニメキャラの衣装や可愛いワンピースをほとんど買ってもらえなかった。仕方ないと思って諦めていた私が初めて手に入れたドレスだった。発表会で弾いた曲は忘れたが、まるでお姫様になったみたいで嬉しかったことは覚えている。NEWSのコンサートに行くと、あのドレスを着たときの気持ちが蘇るのだ。
 NEWSのコンサートは私にとってはあの白いドレスと同じで、たくさんの愛で私をお姫様にしてくれる。小さい頃の夢が叶ったような気分になる。誰かに大切に思われることできっとお姫様になれるのだと思う。
 
 コンサートだけではなく、様々な場面でNEWSは愛を届けてくれる。たとえば、ジャニーズwebでの小山さんの連載「メンバー愛」。月曜にはいつも読者を応援するようなメッセージが書かれている。4人での連載「NEWS RING」でも、雑誌でも、ラジオでも、いろんなところでNEWSは愛を伝えてくれる。
 愛されたかったらNEWS!是非!

 


・美意識が高まる

 NEWSは現在、「美的」という雑誌で「NEWSな美意識」という連載をもっている。4人が交代で美意識を高める企画を行う、という趣旨の連載だ。過去には手越さん洗顔回(スッピンが可愛い)、加藤さんお風呂回など、圧倒的美を見せつけられる企画があった。
 それらの記事を見ているだけでもなんとなく「もっと美しくありたい……!」という願望が芽生えるし、何より雑誌「美的」を読んでいるとコスメに興味がわいてくる。全く興味がなかったわけではないが、よくわからないからと敬遠しているところがあった。しかし、雑誌を見ていると可愛いメイクが沢山掲載されている。なかには手持ちのコスメで真似できるテクニックもあって、ポーチの肥やしになっていたアイシャドウが蘇ったりもした。
 また、NEWSのコンサートで愛されまくった結果、コンサートに行くからにはもっと美しくありたいと思うようになった。今までもコンサートやライブがあるごとに服を買ったりオシャレをしようと心掛けてはいたが、どれだけ頑張っても私なんかじゃ可愛くなんてなれないという気持ちは拭えなかった。しかしNEWSはファンを彼女の如く愛し「可愛い」と言うので、もしかして私も可愛くなれるのでは!?という気持ちになってくる。そんな勘違いのもと、まずはスキンケアに気をつけるようになった(NEWS担になってスキンケアにかける額が格段に増えたがそのぶんの効果は出た)。
 特にスキンケアに関しては、小学生の頃からずっとニキビがひどく化粧水はどんなものでも必ず沁みて痛いものだと思っていたくらいだったが、今は化粧水が沁みることもなくなり、ニキビがひとつできたらそれが目立つくらいに全体がきれいになった。夏の暑さや冬の乾燥にやられて顔も首もニキビだらけになり、耐えきれずかきむしっていた日々とおさらばできた。肌がそれなりにきれいになったことでメイクにも興味が出て、デパートで売っているコスメを買う機会が増えた。高価なコスメを買うことがすなわちいいことではないけれど、高価なコスメの良さがわかるようになったことは個人的に嬉しい。今まで知らなかった世界に足を踏み入れたような気分。
 社会人になって自由に使えるお金が増えたこともあるが、それを自分磨きのために使おうと思うようになったのはNEWSのおかげだ。
 
 ところで私のお気に入りブランドの「ADDICTION」のアイシャドウには「Never Land」という名前の色(しかも緑)があるので要チェック。私はNEWSのアルバム『NEVERLAND』発売決定の知らせが来た日に買いました。
 

 

 

・社会に興味を持つようになった

 私は自分の半径30cmくらいしか見えていないので、社会にもあまり興味がない。興味がないというか、遠くの話すぎてよくわからない。が、NEWS担になってからは少しずつではあるが社会問題について知識を得るようになった。
 普段は報道番組は特に見ておらず、ネットニュースを見ているだけだが、ネットニュースではどうしても自分の見たい情報だけを見てしまうというところがある。しかし、小山さんが出演しているということで家にいれば「news every.」を見るようにしているし、選挙の特番を担当しているということで選挙にも興味を持つようになった(恥ずかしながら選挙権を持った最初の2回くらいしか選挙に行っていなかった)。
 また、小山さんと加藤さんがMCを務める番組「NEWSな2人」を見ていると、社会の様々な問題が垣間見えてくる。孤独死やストーカーなど、ときには目を覆いたくなるような話題もあるが、社会問題について考えるきっかけになる番組だ。当初は軽めのテーマも取り上げていたが、最近は重ためのテーマを中心に取り上げる、他にはない番組となっている。自分とは全く無関係とはいえない話題も出てくるので、社会問題に興味を持つきっかけとなっている。
 相変わらず自分から半径30cmくらいしか見えていないし、報道番組で取り上げられる話題はどこか遠くの話に聞こえてしまう。目に見えて何かが変わったということではないけれど、「わからないからいいや」と社会について全くの無関心でいた頃の私に比べたら「わからないけど知りたい」と思う今のほうが少しはましなんじゃないかな、と思っている。

 

・読んだり書いたり考えたりする機会が増えた

 最近はなかなか本を読まなくなってしまったのだが、この前は小山さんが読んでいた本を読んだ。加藤さんが書評を書いていた本も読んだし、久しぶりに「本を読む」ということを楽しめたのはNEWSのおかげなので小山さんはもっと読んだ本のタイトルを教えてほしい……!おそらく小山さんとは好きな本の趣味が合う……。
 それに加藤さんのソロ曲がサン=テグジュペリの『星の王子さま』をモチーフにしていたり、「チャンカパーナ」や「EMMA」にも発想の元となった本があったりと、本を読む機会が沢山ある。まだ読んでいないものもあるのでこれからもっと読んでいきたい。
 また、NEWSのコンサートや楽曲はどれも奥が深く、あれこれ考えたくなることが沢山でてくる。たとえば2015年のコンサート「WHTE」では、セットリストや演出がとても練られており、考えたことをまとめたくなった(今更Whiteコン覚書(6/13、6/14) - 来世はペンギンになりたい)。そのためにこのブログを始めたくらいに考えることがあったし、書いて誰かに伝えたくなった。それまでは何も考えないようにしようと思っていた頭と心が生き返ったのは間違いなくNEWSのおかげだ。

 それからも沢山書きたいことがあって、こうしてブログを続けている。ブログを始めようと思ったときよりも遥かに多くの人の目に触れるようになったので、見られることを意識した文章を書くようになった。言葉の重みを改めて知った。日常的に「書く」という行為を習慣づけたことで頭の中身の整理もしやすくなった。自分には書いてまとめることで考えるという手法が合っているんだなと認識したのも、NEWS担になってからのことだ。
 NEWSを通して自分について考えることも増えた。私が何かを書くときは「私」のフィルターを通したものについて書いているのだから、自分のこともよく考えるようになった。就活で自己分析をしていたとき以上に自分のことがわかるようになってきた気がする。

 

・ちょっとだけ積極的になった

 今までは何かを思っても自分から発信することは滅多になかった。そんなことをしても意味がないような気がしていたというか、私のような一般も一般を極めたような人間の声が本人や公式に届くなんて思ってもいなかったし、届いたところで何も変わらないと思っていたからだ。
 しかし、何かを伝えることで変わることもあるのだな、とNEWS担になってからは思うようになった。「いいな」と思ったことは言葉にして伝えないとなかったことになってしまうということを学んだ。たとえば番組に対して感想を伝えたり、ラジオにメールを送ったり。自分が何かを伝えることで明確に何かが変わったとは言い切れないけれど、きっと伝わるものがあったのではないかなと思う。「変ラボ」ではファンが見たいと言っている企画(お化け屋敷や全員でのロケ)があったが、きっとファンの声に番組が応えた結果ではないだろうか。
 加藤さんは自分がパーソナリティを務めるラジオに届いたメールは「全部目を通している」と言ってくれているので、好きなものは好きだと伝えたいしよかったものはよかったと伝えたい。そんな気持ちでメールを送っている。幸いなことにメールが読まれたこともあって、嬉しいこともあるものだなぁと思った。
 また、ジャニオタ用のTwitterアカウントを取得したことで人見知りの私にも友達もできた。おたくの話だけではなく、人生においてそこそこ大きめの悩みを相談できる人たちもいる。今までひとりで抱え込むことが圧倒的に多かったので、友達が増えたことでちょっと生きやすくもなった。そういう人たちと出会ったきっかけはNEWSだから、やっぱりNEWSに感謝。

 

・つらいときにも元気になれる

 沢山の愛を伝えてくれるNEWSは、つらいときに元気をくれる。
 仕事でつらいときには「ヒカリノシズク」が胸に響いた。「どうにもならない想いもあるだろう 誰にも言えない傷痕もあるだろう」というフレーズに救われた。そっと寄り添うような歌詞とNEWSの歌声で心が軽くなった。
 小山さんはコンサートで「みんなは僕たちを応援してくれてるけど、僕たちもみんなを応援してる」と言っていた。NEWSとファンのあいだには相思相愛の関係ができているように思える。NEWSが応援してくれているなら頑張ろう、という気持ちになる。会社に行かなければならないのにしんどいとき、家から一歩踏み出すのがつらいとき、もうどうでもいいかなと思ってしまうとき、NEWSのことを思い出すとどうにか一歩を動かせる。私は心が強くないので、そうやって助けてもらいながら日々を生きている。
 それに何よりNEWSはみんな顔が美しいから見ているだけでハッピーになる!!!NEWSの顔見てるだけで元気になる!!!特に新曲「EMMA」はワイルドビューティなNEWSが見られて最高!!!!!

 


 以上、私の「NEWS担になったらこんないいことがありました!」でした。
 こんな感じで「○○担になったらこんないいことがありました!」の話を是非きかせてください!

 

控えめに言っても最高なシングル「EMMA」メモ

NEWS ジャニーズ

 NEWSの最新シングル「EMMA」が2/8に発売になった。考察覚書の意味をこめていかにシングル「EMMA」が最高かを書き記しておきたい。なお、今回も私の主観100%にてお送り致します。

 

EMMA

 ドラマ「嫌われる勇気」オープニングテーマ。なんと公式で動画が配信されている。


【公式】木曜劇場『嫌われる勇気』OPタイトルバック動画(マネキンチャレンジ)

 

 愛と性と死、この三つは密接に関わっている。というような勉強を大学でしていたので(志望していたわけじゃないけど気付いたらそういうことになってた)、そういう要素がたっぷり入った「EMMA」を愛さずにはいられない。
 最初に聴いたときから「最高!!!!!」を連呼せざるをえないほど最高だったが、聴けば聴くほど最高の度合いがあがっていく。控えめに言っても最高。

 

・ポップでキャッチー

 私は「ポップなものがポップではないものに“ポップである”という理由で劣る」とは全く思っていなくて(だからといって逆だとも思っていないけど)、ポップなものを突き詰めていくことは恰好いいことだと思っている。アイドルの楽曲というのはポップの極みみたいな一面がある。そのポップの極みの極みみたいな楽曲のひとつが「EMMA」ではないか。
 と言っておきながら、何を以てポップと呼ぶのかという問いに対する答えを、私は持っていない。だが「EMMA」がポップなことは……わかる……わかるんだよ……!だれか詳しく解説して……!!!
 キャッチーは「覚えやすい」「人気が出そう」というような意味合いで受け取っているが、まさしく「EMMA」はキャッチーな曲だろう。イントロから頭に残るし、「EMMA」という名前を繰り返すサビも一回で頭に入ってくる*1。衣装のインパクトもあって、視覚的にも覚えやすい。

 

・歌詞にみる愛と性と死

 愛と性になんらかの関わりがあることは私が説明せずともわかるだろう。性と死、あるいは愛と死にも関わりがある。という話を詳しくしていたら夜が明けるのですごくざっくり言うと、命のやりとりは性的にも見えるときがある、という話。たとえば食事、たとえば銃口を向け合うような殺し合い。それらは愛のやりとりでもあり、時として性行為のメタファーとなりうる。「EMMA」という楽曲においては歌詞は勿論のこと振付にもピストルや頭を撃ち抜く仕草があるが、これらが死――そこに命のやりとりがあることを想起させる。腰を振る振付やはだけた衣装だけではないセクシーさが潜んでいるのだ。

「衝動的な女にピストル握らせ」
 この「ピストル」が何を意味するのかという話は一旦おいといて、「衝動的な女」という言い方がとてもいい。「女の子」「女性」「彼女」「あのこ」など女性を表す言葉はいくらでもあるがその中でも「女」を選ぶところがいい。更に言うと加藤さんがこのフレーズを歌っているのがまたいい。加藤さんの口から発せられる「衝動的な女」という言葉、最高。
 2番では同じメロディで「こっちは引き下がり方 知らない男」になるのも最高。ちゃんと対比の構図になっていて、構成の美しさに床を転がりたくなる。衝動的な女と引き下がり方を知らない男、最高で最悪の組み合わせだ。

「血が流れても 求め合うカラダ」
 まさしく愛と性と死が詰まったフレーズ。「求め合うカラダ」という性を思わせるフレーズに「血が流れても」とつけてくる。命のやりとりを性行為に重ねている感がまさしくここに!違ったらごめん!でも私にはそう聴こえる!ここは私の主観の世界!

「サヨナラまで2cm」
 ここの振付がピストルをモチーフにしていることから、銃口と身体の距離が2cmであると考えることができる。
 「衝動的な女にピストル握らせ」ているわけだからここで銃口は「俺」に向いているのか、それとも「衝動的な女」=EMMAに向いているのか。個人的な考えとしてはこの曲の主人公がEMMAにピストルを向けられているのだと思う。理由は後述。

「もうこれ以上愛せないほど傷つけ合おう」
 この一文の主眼は「傷つけ合おう」に置かれている。「傷つけるほど愛し合おう」ではない。しかも一方的に傷つけるのではなく「傷つけ合おう」。「もうこれ以上愛せないほど」とあるから、この曲の主人公「俺」にとっては愛することと傷つけることには関連性があるものということになる。多分だけれど「俺」にとっては愛し合うことは傷つけ合うことと同義なのではないかと思う。あるいは愛情表現の更に上が「傷つける」という行為なのかもしれない。おそらくは心理的な傷ではなく、物理的な傷だろう。
 また、「もうこれ以上愛せないほど」や「サヨナラまで2cm」とあるのを見ると、「傷つけ合おう」は互いに命を奪い合うことなのかもしれないとも読み取れる。「傷つけ合うこと」「殺し合うこと」が「愛し合うこと」と同義の行為として描かれる作品はあるが、それをアイドルの楽曲で、しかもシングルでやろうというのだからNEWSはすごいな、と思うばかりだ。笑顔の似合う増田さん、バラエティ番組で人を笑わせる手越さん、キャスターとして真面目な表情を見せる小山さん、小説家という知的なイメージをもった加藤さん、という「ワイルド」「男くささ」とは違ったイメージを持つ4人だからこそこの表現が活きるのだろう。

「最後に唄ってくれよ」
 やってくれよ、とルビを振る。「やる」という動詞は場合に応じて意味が変わるが、ここでもいろいろな解釈ができるだろう。
 「唄ってくれよ」という漢字を使っていることから何かしらを「うたう」のだろう。私の個人的な解釈では、ララバイ的なものをイメージしているのかなと思った。ここまでの流れで銃口を向けて「サヨナラまで2cm」=死というものを連想させていて、なおかつ「AM0:00」「赤い夜明けがやってくる前に」「夜よ 酔わせてくれ」という単語から推測するに時間帯は今「夜」。となると、死=眠りという結びつきが想起される。そこに「唄ってくれよ」といったらララバイ=子守唄だろう、という流れ。EMMAに「唄ってくれよ」と言っているのだから銃口は主人公に向けられている。安らかに永遠の眠りに就けるように唄ってくれよ、という感じなのかなぁと思った。そんなふうに解釈させるような物語性のある言葉を「最後に唄ってくれよ」に込めるところにプロの作詞家の本気を感じた。

「赤い夜明けがやってくる前に」
 この「赤い夜明け」が何を意味しているのかも多様な解釈ができるものだと思う。私は「赤」は血、おそらくはこの曲の主人公。1番2番のサビに出てきた「夜明けまでの道連れ」は、ただのワンナイトラブではなくて主人公の命のリミットを示していたように思える。「夜明けまでの道連れ」なのだから、「夜明け」がやってきたらもうお別れ=死、というわけだ。
 
 ざっくりと歌詞から受ける印象を書きだしてみた。全編に渡って愛と性と死のにおいが漂っているこの曲をシングルにもってくるNEWSは最高に恰好いい。

 

・MVと衣装

 基本的にモノクロで、少し赤が見えやすいような感じになっている。加藤さん出演ドラマのオープニングテーマということもあって、加藤さんの纏う赤い衣装が目立つ。
 バイクやオープンカー、ビリヤードなどのなんとなく男くさいアイテム(加藤さんが「男の子が好きそう」と表現しそうなものたち)が並んでいるところが素敵。
 あまり現実味のあるセットではなく、どことなくファンタジーな世界観。ゲームやアニメでならありえそうな場所だ。そこにNEWSが馴染むのは、彼らが持つファンタジー性と増田さんによる衣装があるからに他ならない。衣装については細かな知識がないのでよくわからないけれど、なんかすごいことはわかる。また、増田さんが言う「バラバラに見えても4人で並ぶと統一感がある」というのが、NEWSの個性の強さとグループとしての強さを表しているかのようだ。
 MVは特に小山さんと増田さんが見所。NEWSの三十代コンビの色気が凄まじい。増田さんは前髪を伸ばしたことにより、男らしさ・大人っぽさがぐっとアップしている。小山さんはソロ曲でセクシー路線の曲を多くやっていることもあってこういった路線の曲に慣れているのか、仕草がいちいちずるい。どこでどうすれば自分が魅力的に見えるのかをわかっている。是非とも色気垂れ流し状態の二人に注目して見てほしい。


・露骨なほどのセクシーさ

 露出の多い衣装、イントロから腰を振る振付。この露骨なほどのセクシーさが「EMMA」には似合う。というか、これじゃなきゃダメ、くらいに思っている。
 「EMMA」の歌詞は割と重厚にできている。先程の項目でも挙げたが、「愛と性と死」がゴリゴリに詰まっている。このテーマをそのまま提示して大衆にウケるかといったら、そうではないだろう。単純にいって売れない可能性がある。
 だからそこに「ポップ」という皮を被せる。そして更に視覚的なキャッチーさとして露骨なほどセクシーな衣装や振付を加える。そうすることで、歌詞のもつ重厚なテーマが一気に軽くなったように見せかけているのだ。そうして多くの人に受け入れられる曲に仕上げている。
 この露骨なセクシーさに驚く声も多かったように見受けられた。しかし、これを真面目にやるからこそ「EMMA」は恰好いい。たとえば、こういうインパクトのある楽曲は演者に少しでも自分たちのやっていることを馬鹿にする要素があったらそれで台無しになってしまう。だがNEWSにはそれがない。だからこそ「EMMA」は控えめに言っても最高な曲なのだ。

 

Snow Dance

 初回AB通常すべてに収録。
 オケのつくりがきらきらしている。イントロのギターからもうきらきらしていて、夜のうちに降った真っ白な雪が朝日に照らされて輝いているようなイメージが思い浮かぶ。輝きだけでなく、サビに入ると突き抜けるような疾走感もある。どことなく「シリウス」と似た雰囲気が漂っている曲。

 

・歌割

 なぜシングル表題曲ではないのかと悔むとともにシングルではやれなかった歌割なのだろう、とも思う。
 小山さんの深みのある声から始まり、加藤さんの少年性のある声に「現在」を歌われることの切なさ。手越さんの突き抜けるような歌声。手越さんの歌声はやはり縦に広がる声で、楽器でいうならトランペットに似ている。そして増田さんの柔らかくて広がりのある声。手越さんの縦方向とは対照的で、二人の歌声が交互に聴こえるのが心地よい。そして終盤で4人の声が合わさるところがまたいい。
 こんなにも適材適所って言葉がぴったりな歌割があるかよと思うくらいにぴったりで、4人の歌声の良さを引き出す作りになっている。増田さんが「全員がサビを歌わなくてもよいのでは」と提案したことがこの歌割のきっかけになっている。ありがとう増田さん。またこういう曲が欲しいです。

 

・小山さんの甘さと優しさ

 小山さんの歌声は甘くて優しい。あまり角がないというか、角のない四角、という感じの声。低めの声だと少し角が見えてくるけれど、高くなればなるほど角がなくなって甘さと優しさが増す。おそらくキャスターの聴き取りやすい発音が小山さんの歌声から角を取っているということもあるのだろう。
 そんな小山さんの甘くて優しい歌声で「泣きそうに降る粉雪」と始まる。穏やかに始まり、だんだんと盛り上がっていくこの曲の出だしにぴったりだ。Aメロは言葉数が多いけれど、小山さんの滑舌なら聴き取りづらいということはない。ひとつひとつの単語がしっかりと聴こえる。個人的には「夢だけ残して」の「て」の発音が優しくて切なくて好き。

 

・加藤さんの少年性

 何度でも言うぞ!加藤さんの声の少年性が最高だって!
 「もう何もいらない 二人の現在(ばしょ)があるなら 未来などいらない」と加藤さんが歌うのが最高だって何回でも言う。加藤さんの歌声には少年のような切なさがある。そんな声で「未来などいらない」と、刹那に生きることを歌っている。でも、少年はいつまでも少年ではいられない。たとえ未来などいらなくたって、未来はやってきてしまう。だからこそ「未来などいらない」と歌う。「掌の輝き」というささやかで刹那的なものを望む。こんな最高がある?こちらこそもう何もいらない!最高!
 と思っていたら2番では「時のないベンチで 肩寄せあえた日々が 僕らの永遠」と歌う。「未来などいらない」と歌うわけだ、だって「僕らの永遠」があったんだから。きっと「時のないベンチ」には確かな永遠があった。今はもうなくとも、間違いなくあったのだ。その永遠に閉じ込められてしまいたいという幼稚さを感じるような願いを少年性のある歌声で加藤さんが歌う。このパートを加藤さんにしようと思った人誰?何かしらの賞をあげたい。

 

・手越さんの高音

 突き抜けるような手越さんの高音。AメロBメロが比較的穏やかだっただけに、突然視界が開けるような感じがする。ぱーんと飛び出るトランペットのような声は、NEWSの歌の要であることを象徴するかのようにサビで高らかに響き渡る。
 手越さんのような歌声をもつ人がグループにいることは大きい。その良さを最大限に活かした歌割とメロディで、そのあとにくる増田さんパートとの掛け合いがとても美しい。

 

・増田さんの軽やかさ

 手越さんとの掛け合いになる増田さんのパートの大半は「Let's do the snow dance」。増田さんの歌声は軽やかで弾むような感じがするので、「snow dance」というフレーズとぴったりハマる。「君と」「今は」「今日は」「せめて」という切ない歌詞も、増田さんの軽やかな歌声なら重くなりすぎない。そのおかげで、手越さんの声の切実さが更に響く。
 手越さんの声が高らかに伸び、増田さんの声が軽やかに弾む。この対比が美しい。さすがテゴマス。

 

・THE冬の歌

 この曲がゲレンデで流れていない意味がわからないくらいゲレンデに似合う曲。今すぐゲレンデでかけて!じゃないと私スキーにもスノボにも行けない!行く予定ないけど!
 イントロのギターも、ギターと同じメロディを奏でるキーボード(多分)も、打ち込みのリズムの音も、全体的にきらきらしている。このきらきら感が冬っぽい。冬のJ-POPの王道という感じがする。
 冬っぽくはあるけれど、是非ともコンサートで聴きたい。コンサートが春~初夏であることなんて無視して冬メドレーしよう。生で4人の歌声の良さがこれでもかと活かされたこの曲を聴きたい。というか沢山の人に聴いてほしい。

 

 

さくらガール -Represent NEWS Mix-

 初回盤Bに収録。2010年リリースのシングル「さくらガール」を再録したもの。大幅なリミックスは行わず(もしかしたら多少の音質改善はしているかも)、以前と同じオケを使用している。

 

・大人になること

 一通り聴いて、まずは寂しさを感じた。それは2人の声がないということもそうだし、4人の声が大人になっていることへの寂しさでもあった。
 特に小山さんのパート「言葉にならない キミの『さよなら』に まだ受け入れられないことばかり」の変化が大きい。「さくらガール」発売当時(2010年3月31日)は、まだ小山さんはキャスターではない。同年4月からキャスターとなる。キャスターの滑舌を会得する前の小山さんが歌うこのパートはどこか言葉が逃げてしまっているような感じがする。それが「まだ受け入れられないことばかり」という歌詞と合っている感じがした。一方、今の小山さんは歌声に深みがあるうえに滑舌がよくなっているので言葉がはっきりと聞こえる。「まだ受け入れられないことばかり」という言葉の重みがしっかりと伝わってくる歌い方になっている。
 手越さんの「散りゆくから綺麗なんだってさ そんなこと知らない僕に何が出来たっていうのさ」も、大人になった今の歌声だと印象が違う。かつてのどこかぶっきらぼうで心底「そんなこと知らない僕に何が出来たっていうのさ」と思っていそうな歌い方も、「そんなこと知らない僕」の後悔のにじむ今の歌い方も、どちらもいい。
 増田さんの歌う大サビも、声の広がり方が違う。今の増田さんの声は力強さと深みがある。
 今からおよそ7年前の6人が歌っていた「さくらガール」は、若さゆえの切なさがあった。今歌う「さくらガール」は、どうしようもないことをくよくよ想うようなやるせなさや弱さが、いささか減った気がする。やるせなさというよりは、過去を振り返っているような感じがした。「さくらのような 君でした」という最初のフレーズが、かつてはまださほど日が過ぎていない過去のように思えたけれど、今は振り返らないと見えないほど遠い過去のように思える。たぶんそれが「大人になる」ということなのだろう。
 それに、今の自分の年齢も、かつてのさくらガールを歌った頃のメンバーを追い越してしまった。初めて聴いたときは彼らより年下だったのに。聴き手としての私も大人になったから聴こえ方が変わった、ということもあるのかもしれない。
 否が応でも人は変わる。主観の世界で生きているから、私が変われば私の目に映るものも変わる。私も変わるしNEWSも変わる。変わらないものなどない。NEWSを見ていると、そんなことを思う。

 

 

I・ZA・NA・I・ZU・KI -Represent NEWS Mix-

 初回盤Bに収録。2005年4月リリースのファーストアルバム『touch』に収録されている曲を再録したもの。こちらも以前と同じオケを使用している。

 

・「Represent」の意味

 単純に、ようやく加藤さんの「くちづけを」が音源として聴けるようになった喜びが大きかった。2012年のコンサート「美しい恋にするよ」でみんな待ってたんでしょとでも言わんばかりにドヤドヤした表情で歌う加藤さんが思い浮かぶ。
 また、手越さんの「悲しくも 美しく こんなにも 惹かれあうなら」のところが、歌い方にだいぶ変化がある。広がりのある声になっているし、声に感情が乗るようになったような感じもする。10年以上前の曲なのだから変化があって当然なのだが、改めて音源で聴くと新鮮に思える。
 サブタイトルにつけられている「Represent」とは、「再演」などという意味。リミックスするのではなくそのままの音源で歌うことに何か意味が合ったのだろう、と勝手に思う。私はそれを推測するしかないし、正解はわからないけれど、自分の中で腑に落ちる答えは出ている。
 「再演」するからには、全く同じでは意味がないし、パワーダウンしてしまっては「再演」は失敗に終わってしまう。何かしらのパワーアップを図らねばならない。そう考えたとき、彼らはリミックスするという手段に頼らず、自分たちの歌声で楽曲をパワーアップすることにしたのかもしれない。歌声を武器とするNEWSらしい選択だな、と思った。

 

 

スノードロップ

 通常盤のみ収録。柔らかな冬バラード。「恋を知らない君へ」がNEWSの夏バラードだとしたら、その対になる位置にこの「スノードロップ」を配置したい。NEWSの優しい歌声が活きる曲。

 

・切ない冬のラブソング

 「Snow Dance」は若さ(あるいは幼さ)が感じられる歌詞だったが、「スノードロップ」はゆったりとしたテンポに合った大人な冬のラブソングという感じがする。どちらも別れを歌うラブソングでありながら、方向性が違う。
 サビの歌詞に出てくる「沫雪」とは「あわのように消えやすい雪」という意味。そして最後のサビでは「雪どけ」のときが来てしまい、沫雪に残していた足跡も消えてしまう。なんとなく「恋を知らない君へ」の「あぁ あなただけは消えないで」と重なる。夏でも冬でも切ないNEWS。

 

・とにかく大サビ

 この曲の一番の盛り上がりは小山さんの大サビだろう。というかこのパートのためにこの曲があるのでは?と思うくらい、小山さんの歌声の良さが活きている。小山さんにしようと思った人誰ですか?今すぐカタログギフトを贈らせてください。できるだけ高いやつにするし、体験型のやつがよかったらそれにします。とにかく感謝を金で示したい。
 小山さんは高めのパートを歌うと喉が閉まったような歌声になる。というか普通自分の出せる音域の限界に近づけば喉が閉まる。そして大抵、その声は聞き苦しい。自分が合唱部だったときは喉の閉まった声の聞き苦しさにひどくショックを受けたのを覚えている。だが小山さんはそうならない。明らかに力が入りすぎている感じがするのに、聞き苦しさがない。苦しそうな歌声には聴こえるけれど、甘さと切なさがほどよく感じられるので聞き苦しいとは思わない。
 加藤さんが折にふれては「小山は苦しいとき/弱っているときが良い」と発言しているが、確かに小山さんの苦しそうな歌声は魅力的だ。苦しそうだけれど、苦しそうに歌うべき箇所にあてられているともう最高。「スノードロップ」の大サビは苦しそうに歌う小山さんだからこそこの良さが出る。
 これは他の3人にはおそらくできない歌い方で*2、小山さんの歌声の持ち味といえよう。コンサートなどで披露することがあれば是非とも生で聴いてみたい。

 

 そんな最高な5曲が詰まったシングル「EMMA」、絶賛発売中です!!!

 

 

 

 

 

 

 

*1:持論だけどサビで同じ言葉を繰り返す曲ってだいたい名曲

*2:そもそもNEWSの楽曲の音域的に限界に近付いてしまうのが小山さんしかいないという意味でもできない

しんどいあなたへ贈るジャニーズ応援ソング

NEWS ジャニーズ

 しんどいときは音楽を聴くに限る。それもアイドル。
 私の個人的な感覚では、アイドルは他のアーティストに比べ圧倒的に「応援ソング」と呼ばれる類の曲が多いような気がする。しかも多種多様、さまざまな角度から応援してくれる。風邪薬ではないけど、どの症状にも聴くように処方されているようなイメージで、つらい状況にあわせて聴く曲を選んでいる。
 ということで、好きな応援ソングをまとめてみようかな、という記事。

 

 

NEWS

BE FUNKY!

BE FUNKY! - NEWS - 歌詞 : 歌ネット

 疾走感のあるメロディとアレンジと歌詞。「進め」「走れ」というメッセージに煽られる。こんなとこで立ち止まってる場合じゃない、と再び歩き出す力をくれる。ドラマ「トラブルマン」の徳田のように走りだしたくなる。
 「Yo こんな輝く世界 止まらない 期待・愛・未来 What? 楽しけりゃいいじゃない? 一度きりのMy Lifeじゃない?」のフレーズに何度でも勇気づけられる。ここを歌うのが、まだ鬱屈としていた頃の加藤さんだという事実がぐっとくる。今の加藤さんが歌っても勿論いいなと思うのだけれど、CD音源などで聴くあの頃の加藤さんの歌うこの箇所が最高で、更に言えば「美しい恋にするよ」でこのフレーズを歌う加藤さんが最高。加藤さん自身が突き進み切り開いた先にあるコンサートでこの曲を歌うから余計にぐっときてしまう。
 「What? 楽しけりゃいいじゃない? 一度きりのMy Lifeじゃない?」と簡単には割り切れないことだらけだけれど、でも「一度きりのMy Life」なのだから私のために私が楽しいように生きていきたい、と思う。

 

ヒカリノシズク

ヒカリノシズク - NEWS - 歌詞 : 歌ネット

 4人のNEWSによる応援ソングの真骨頂。シンプルなオケと歌が胸をぎゅっと掴む。
 加藤さんの小説を原作としたドラマ『傘をもたない蟻たちは』の主題歌であったこの曲は、「上手く生きられない人たち」に寄り添う曲となっている。きっと上手く生きていける人なんてほんの一握りで、ほとんどの人がそうではない。私もそうではない人のひとりだ。
 「どうにもならない想いがあるだろう 誰にも言えない傷痕もあるだろう」という歌詞がたまらなく好き、という話を何度もしている気がするけれどまだする。つらいときにどうしてほしいかなんて人によるだろうけれど、私は「つらい」という私の現状をまず認めてほしい、と思ってしまう。他者と比べて「そんなのまだまだつらくない」「みんなつらいんだよ」なんて言われても私のつらさには他者なんて関係ない。私が今「つらい」と思っていることを認めてさえくれれば、それで一旦気持ちがおさまる。私がつらいことに周りが気付いていなかったときに「ヒカリノシズク」を聴いて、私にはNEWSがいてよかった、と心から思った。私がつらいことをちゃんと認めてくれる人がいる。それだけで、私はまた頑張ろうと思える。

 

 初期はバレーユニットらしい「がんばれ!僕が君の背中を押すよ!」的な応援ソングが多いが、4人になって以降は「つらいこともある。でも願えばいつか夢は叶う」という方向性の曲が多くなる。一時期はカップリング曲に必ず一曲は入っていることもあった。
 それらの楽曲とはまた少し方向性が違って、「つらいことも上手くいかないこともあるよね」と聴き手に寄り添ってくれる楽曲「ヒカリノシズク」。背中を押すでもなく励ますでもなくそっと寄り添う楽曲は、痛みを知っているNEWSにぴったりだと思った。

 

僕が僕のすべて

僕が僕のすべて - 嵐 - 歌詞 : 歌ネット

 「ありのまま」であること、「僕」であることを歌った曲。イントロからもう優しくて、疲れた心が柔らかく癒される。
 現代人の抱える大きな悩みのひとつが「アイデンティティの確立」という話はいろんなところで言われているけれど、私も例外ではなくアイデンティティについて悩んでいるひとりだ。私は何者なのか、何者になれるのか、何者にもなれないのか。特に高校・大学時代には漠然とした悩みを抱えていた。でも「今ここにいる 僕が僕のすべて それだけは変わらない」という自然体の歌詞で少し肩の荷がおりたような気がした。私は何者でもなく「私」なのだと思える。難しいことを肩肘張って考えるばかりがいいことでもないらしい、と思った。

 

迷宮ラブソング

迷宮ラブソング - 嵐 - 歌詞 : 歌ネット

 「ラブソング」ってタイトルにあるけれど、聴いていると元気が出るので応援ソングということにする。ドラマ「謎解きはディナーの後で」主題歌で、執事・影山をイメージしているのだろう、「君」を陰ながら「導く」「見守る」ようなテイストの曲。
 アイドルが歌うからこそ届く曲というのは確かにあって、そのひとつがこの「迷宮ラブソング」だと思っている。いつもテレビの向こうにいて、一方的に見るしかない人たちに「僕がきっと その手を強く 引くよ」なんて言われたらちょっとどきっとしてしまうというか、いいなと思ってしまうというか、上手く言えないけれどなんだかそんな気持ちになる。抽象度が高く、「君と僕」にさまざまな関係性をあてはめられそうな曲だから、うっかり「ファンとアイドル」をあてはめてしまっているのかもしれない。でもたまにはそういう気分になってもいいと思う。
 それと単純に、嵐に「誰よりずっと 輝く君を 僕は知ってるから」って言われたら、なんだか心強く感じる。歌詞をそのまま真に受けているわけではないけれど、漠然とした根拠のない自信がわいてくる。

 
 嵐もやはり初期はバレーユニットっぽい「がんばれ!」系の応援ソングが多い気がする。それも好きだけれど、「僕が僕のすべて」のように「今ここにいる僕」「他の誰でもない僕」を歌う曲も嵐には似合う。「今ここにいる僕」の先にはきっと明るい未来が待っているような気がしてくる。

 

 

SMAP

君は君だよ

君は君だよ - SMAP - 歌詞 : 歌ネット

 柔らかで優しいメロディにのせて「君は君だよ だから誰かの 望むように 生きなくていいよ」と柔らかで優しい歌声で歌ってくれる。こんなに優しくていいのかなぁと思ってしまうくらい優しい。
 小学生の頃、特にこの曲が好きだった。「ホントまだ たいして長く 生きてないのにね」という歌詞があるからだ。たいして長く生きてない私にもつらいことがあって、それは「小学生なんてそんなもん」と片付けられるほど(当時の私にとっては)軽いものではなくて、それでもどうにか頑張っているのだということをわかってくれる人がいる気がして嬉しかった。SMAPがわかってくれてるんなら頑張ろう、と漠然と思っていた。
 私は小さい頃からちょっと変わった子で、今もちょっと変わった子がそのまま大人になったような感じなので、「君は君だよ」というその一言に励まされる。まともになろうと努力したこともあったけれど上手くいかなかった。ちょっと変わった子のままでも頑張っていけばいいと思えるのはこの曲のおかげだ。

 

笑顔のゲンキ

笑顔のゲンキ - SMAP - 歌詞 : 歌ネット

 いきなり「元気な君が好き」って歌われたら、なんだか背筋が伸びるような感じがする。好きって言ってくれるなら元気でいたいな、と思う。これぞアイドルの力だなぁと実感する。
 馬飼野康二さんによるアイドルの眩しさやきらめきが散りばめられたメロディは、口ずさんでいるだけで心が明るくなる。更には間奏にまでアイドルのきらきらが詰め込まれていて、もうとにかくきらきらしている一曲。この曲を聴くと、小さい頃にセボンスターを買ってもらって喜んでいたときの気持ちが蘇る。「笑顔のゲンキ」のきらきらは、私の中ではセボンスターのきらきらと繋がっている。かつて女児だった私の憧れがこの曲には詰まっているのだ。
 この曲が主題歌だったアニメ「姫ちゃんのリボン」が好きで、この曲の「赤いリボンもキリリッと」という歌詞に憧れて、ポニーテールには赤いリボンのついたヘアゴムを使っていた。この曲を聴くと、心の中でいつもあの頃みたいに「赤いリボンもキリリッと」結んでいる。何かに無邪気に憧れるあの頃を思い出して、なんだか気持ちがしゃきっとする。
 今はセボンスターを買ってもあの頃ほどきらきらして見えないし、赤いリボンを結んだとしてもあの頃ほどしゃきっとした気持ちにならない。でも、この曲を聴くとあのときの気持ちが蘇って、なんだか元気になれる。


 『SMAP AID』というアルバムがリリースされるほど応援ソングを歌ってきたSMAP。ここに挙げた以外にも、つらいときに励ましてくれる曲は沢山ある。口ずさんでいるだけでなんだか気持ちが明るくなる曲も沢山ある。
 母がSMAPファンであり、私は物心がつく前からSMAPの楽曲を聴いて育ってきた。アイドルを知る前にSMAPを知ったし、ジャニーズを知る前にSMAPを知った。おそらく、私と同世代(あるいは私よりも年下の世代)にはそういう人が多いのではないかと思う。知らず知らずのうちにSMAPの楽曲に励まされて生きてきた私の体にも心にも、SMAPの楽曲が刻み込まれている。

 

 

TOKIO

花唄

花唄 - TOKIO - 歌詞 : 歌ネット

 気分が落ちているとき、明るく元気を出すにはこの曲。もうイントロだけで上がるから騙されたと思って一回聴いてみてほしい。どうやったって悲しく歌えないくらい明るくて楽しいメロディと長瀬さんの力強い歌声が、沈んだ気分を盛り上げてくれる。
 歌詞も全体的に元気が出る。まずいきなり「嗚呼~花が咲く 理由もないけど」でちょっと元気になる。なにはともあれ花が咲くのならきっといいことなのだろう、という気がしてくる。何より、「僕らがいる 意味は奪えない」という歌詞にはっとさせられる。とても短い言葉だけれど大切なことだし、普段の生活の中では忘れがちなことだ。私が私であること、私がここにいることをわかってほしいと思ってしまうタイプなので、いつもこのフレーズがぐっとくる。
 ラストのサビ前の盛り上がりもやばい。こんなに元気出る!?と思うくらいに元気になる。それぞれの楽器がぐわーっとラストのサビに向かっていくのがめちゃくちゃいいし、特にこの曲はブラスサウンドを取り入れているのでぱーんと明るいトランペットの音が響いて否が応でもテンションが上がる。
 最後の最後まで元気たっぷりで、一曲聴き終わる頃にはなんだか元気をわけてもらったような気になるので、いまいちテンションの上がらない朝にオススメ。

 

Mr.Traveling Man

Mr.Traveling Man - TOKIO - 歌詞 : 歌ネット

 「願うのなら望むのなら立ち止まらずに進もう 渡り歩くこの世界はときに厳しいけど」というサビの歌詞が、立ち止まってしまった足を一歩前へ進ませる力をくれる。世界は明るくて美しいだけのものではないと歌うけれど、その先に希望を見出す歌詞に何度励まされただろう。勿論、そんなに悪いことばかりではないとわかっているけれど、人生の明るい面に目を向けられないほどつらいときはどうしてもある。つらいことが目の前にあって、それしか見えなくなってしまうときがある。そんなときは明るい曲よりも、「それでも進め」と言ってくれる曲のほうが心に響く。
 悲観したいわけではないけれど、世界が明るくて美しいなんて思いたくないときがある。それを認めてしまったら、今の私のこのつらい気持ちはどこへいくのだろう、と考えてしまう。つらい気持ちがここにあるのは事実として、その先へと歌ってくれる歌詞が心に響く。
 この曲と同じく清水昭男さん作詞作曲の太陽と砂漠のバラもオススメ。

 

NaNaNa(太陽なんていらねぇ)

NaNaNa(太陽なんていらねぇ) - TOKIO - 歌詞 : 歌ネット

 「いつの時代も悲しみは消えねぇけど」という歌詞を見ると、「Mr.Traveling Man」と世界観は遠くないように思える。TOKIOの応援ソングは現状のつらさを認めてくれる。そのうえで、それでも進めと歌うのだ。進んだ先に希望が待つと歌う。打破しなければならない現状と闘う力をくれる。
 この曲はMVも見ていて元気が出る。ドラマ「うぬぼれ刑事」の主題歌だったこともあってドラマに出演していた生田斗真さんもMVに出演している。彼女と別れた生田さんが部屋に帰ると天井や棚の中など「そんなところから出てくる!?」みたいなところからTOKIOが出てきてワイワイ歌って生田さんを圧倒し、励ます。生田さんは最初は驚いていたけれどだんだん楽しくなって最後は再び彼女の元へ急ぐ、というような物語だ。私の中のTOKIOはこの曲のイメージで、つらいときにワーっと元気をくれるような存在だと思っている。私がしんどいときにはTOKIOはベッドを突き破って出てきたり天井にはりついていたりしてくれないけど、この曲を聴くと明るく楽しい気持ちになって、いつのまにか悩み事を忘れてしまっている。

 

 背中を押された程度では頑張れないくらいに落ちているときはTOKIOを聴く。つらい現実に削られた精神も、TOKIOの奏でる骨太の音で再び燃え上がる。やる気を出すとか出さないとかではなく、正直もう頑張れないしやる気も出せないけどそれでもやらなければならないことがあるときはTOKIO。絶対にTOKIOとりあえずどうしようもないほどしんどい奴は黙っていますぐTOKIOを聴け!
 つい先日も、引越しのための片付けが心底つらすぎて(私はいわゆる「片付けられない女」なので本当につらかった。どうしたらいいかわからなくて泣いた)、物が散乱した部屋で段ボールを前に途方に暮れていたとき、このままではやばいと思ってTOKIOの応援ソングプレイリストを作成しリピートし続け、TOKIOに励まされながら部屋を片付けていた。どうにか間に合った。TOKIOがいなければ危うく引越しができないところだった。私の引越しを支えたのはTOKIOだった。
 大学に入って、上手くやれなかったときもTOKIOを聴いていた。就活のときにも聴いていた。渡り歩くこの世界はときに厳しい。でも、その先に何かがあるかもしれない。そう思いながらしんどい現状に立ち向かった日々を思い出す。今まで何度TOKIOに助けられたかわからない。
 「世知辛い世の中だけどやらなきゃならないんだよ。なんとかなるって、俺たちもいるんだからさ」というような雰囲気の曲が多くて、弱った心が鼓舞されてやらなきゃいけないことに取り組む気力が出てくる。TOKIOはきっと私の、そしてあなたの味方だ。

 

 

 私の「今このとき私がつらいことをわかってくれ」というわがままが全開の選曲となってしまった。でもつらいときはつらいんだから何かに頼ったっていいじゃないか。頼れる人がいないなら、誰にも迷惑をかけずひっそりと励まされたいなら、アイドルの楽曲に頼ったっていいと思う。
 曲を聴いたからってすべてが解決するわけではないけれど、ちょっとくらいは楽になれるかもしれない。しんどいあなたに、アイドルの歌う応援ソングが届きますように。

一難去ってまた一難去って一難 ―「トラブルマン」のススメ―

NEWS ジャニーズ

 加藤さんが「影の主人公」として出演しているドラマ「嫌われる勇気」の放送が始まった。番宣にも沢山出たし、見逃してもネットで1週間無料で見られるし、YouTubeにも予告やOP映像が公式で投稿されている。つまりいつでもどこでも青山くんを見放題というわけだ。
 というわけで(?)、青山役で加藤さんが気になり始めた方も元々加藤さんを知っていた方も、加藤さん主演ドラマトラブルマンはいかがですか?という話。

 

トラブルマン」とは

 2010年春クールのドラマ。テレビ東京系で金曜24:12~の枠*1で放送されていた。全12話。
 主演は連ドラ初主演となる加藤さん(放送当時22歳)。映画をメインに活動するSABU監督(ジャニーズ的に言うとV6の「ホールドアップダウン」「ハードラックヒーロー」、手越さんの「疾走」などを撮った監督)が原案・脚本・監督を務める。
 主人公・徳田は保険会社に勤務している。お人好しな性格が災いして、顧客に保険金をおろしすぎたためにクビに。落ち込みながら帰宅すると、アパートの周りには明らかに危ない風貌の男たちがうろついていた。その男たちは徳田と同じアパートに住むやくざの下っ端・尾崎を探していた。徳田は自分の部屋に入ったはずが尾崎と鉢合わせてしまう。そこからあれよあれよとトラブルに巻き込まれていく。
 
 詳しくは公式サイト(まだあった!)とWikipediaをご覧ください。Wikipediaはストーリーがだいたい書いてあるからネタバレを読みたくない人は注意。
 

ドラマ24「トラブルマン」:テレビ東京

トラブルマン - Wikipedia

 

 

トラブルマン」のここがオススメ

1.映画のような撮り方

 SABU監督が初めてテレビ作品を作ったのがこの「トラブルマン」。普段は映画を撮っているので、作りが非常に映画的になっている。12話のドラマというよりも映画を12分割した、というほうがわかりやすいかもしれない。でもやっぱりテレビだからできる、という部分もあって、映画とテレビのいいとこどりな印象。
 たとえば、ドラマの一話が終わって次の話に行くと数日が経ち場面が切り替わっているスタイルはよく見かける。いわゆる一話完結というやつだ。一方、「トラブルマン」は話の区切りでも場面が切り替わることはなく、基本的には「大家さんの部屋」という同じ場面がずっと続いている。
 「トラブルマン」は全12話だが、冒頭から最終話まで、作中の時間では一日も経過していない。昼から夕方くらいしか経っていない。そんなに話の進みが遅いのかといえばそういうわけでもない。前半は一話ずつ、徳田と同じアパートに住む人々の過去の回想が続いていく。最初に大家さんの部屋に住人が集うまで(物語の時間軸の起点)が描かれ、住人たちの抱える過去が暴かれ、それまで黙っていた主人公・徳田の過去が暴かれ、それからクライマックス(再び物語の時間軸に戻る)につながる*2。あまり連ドラ的ではない構造で、映画を12分割した感じ、と言っている意味がわかるだろう。ドラマを続けて観るのが飽きてしまう人でも観やすい。
 そういう構造なので毎週続けて観るよりも全話を一気に観たほうが話がわかりやすい。私もリアルタイムでは数話観た程度で(当時はまだNEWS担ではなかった)、何曜日の何時にやっているのか把握しておらず全話観るに至らなかったわけだが、DVD-BOXを買って一気に観た。たぶん一気に観るほうが合っているタイプの話なのではないかと思う。でも忙しくて一気に観られない!という人でも、ちゃんと次の話へのわくわく感があるので大丈夫。わくわくしながら次の話を見られる時間まで待とう。でも続きが気になって見たくなっちゃうから気をつけて!

 


2.加藤さん演じる「巻き込まれ型主人公」

 加藤さんにこの徳田という「巻き込まれ型主人公」の役をやらせようと思った人にはA5ランクのお肉の商品券とか贈らせてほしい。あまりにも似合いすぎている。
 現在出演中のドラマ「嫌われる勇気」の青山も蘭子に振り回されていて、その可愛さも相俟って話題となっている。少なくとも私の周辺ではめちゃくちゃ話題になっている。
 多分だけど、加藤さんは巻き込まれたり振り回されたりする役が似合う*3。本人がそういう性格かどうかはおいといて、似合う。絶対似合う。めちゃくちゃ似合う。
 なんていうか、加藤さんってどこかセカイ系の主人公っぽさがあると思う。自分から大きな世界にコミットするような冒険譚ではなく、世界の方から彼のもとにやってくるような感じ。私のイメージする「影の主人公」ポジションは「涼宮ハルヒの憂鬱」のキョン、「魔人探偵脳噛ネウロ」のヤコ。「巻き込まれ型主人公」だと「いちご100%」の真中淳平とか。作品が偏っていて申し訳ない。でもこのへんのキャラクターのようなポジションが加藤さんには似合うと思う。なんていうか、加藤さんって運命のほうから来るよね……(個人的な見解)
 しかし「トラブルマン」はただの巻き込まれ主人公かと思いきや……!?なところもあるので最終話まで必見。もう7年も前のドラマなのだからネタバレなんて書いてもいいだろうと思うけれど、できればまだ観ていない人にはあまり前情報のない状態で観てほしい(というかこの記事を読んだだけで「トラブルマン」の物語を把握してしまっては勿体ないので記述を控えたい)。たぶん検索すればいくらでも結末なんてわかってしまうし、そもそもさっき貼ったWikipediaを見たらだいたいわかってしまうので、結末を知ってから観たいという場合はそちらをご覧ください。

 


3.B級映画的面白さ

 一言で言おうとするなら、シュールでSFでシリアスでコメディなきみとぼくのセカイ系(B級)、といった感じ。この表現でびびっときた人は是非とも観てほしい。加藤さんとセカイ系は相性が良い。セカイ系という言葉は多様な意味を含むけれど、「若者(特に男性)の自意識を描写」「きみとぼくの世界」みたいな感じの物語のことを指して言っている*4
 あらすじにもならない大枠だけを言葉にすると、現実にはありえない要素を含みながら人間ドラマを描いたうえでなんだかよくわからないしこの先のことも世界のこともわからないけれどきみとぼくがハッピーっぽくなる、という感じ。私はそういう物語がとても好きなのでどっぷりハマった。特にラストシーンのセカイ系っぽさが最高に好き。「きみとぼく」という閉鎖的でミクロな世界を見る限り、この物語は間違いなくハッピーエンドだ。
 エンタメ作品として作られているので説教くさいテーマがあるというわけではないけれど、一貫して「過去にとらわれるな、前へ進め」ということが描かれている。だから徳田はひたすら走るシーンが繰り返されるのだろう。
 登場人物たちは過去に囚われながら生きているし、主人公・徳田は過去にも囚われているしこれから起こるだろうことも危惧している。そんな彼らがいろいろあった末に「過去なんて関係ない、前を向け、走れ!!!!!!!」というところに辿りつく。あまりにも前を見すぎて「とにかく!!!!!!!!!!!!走れ!!!!!!!!!!!!!!」みたいな状況になるけれどそこが面白い。観ていてすごくテンションが上がる。
 
 全体的にB級っぽいつくり(手を抜いているわけではない。B級っぽい)になっていて、現実にはなかなかありえない要素をキーとして話が進んでいく。若干の脚本の破綻(というほどでもないけれど、都合よく展開する部分)はあるにせよ、「こういうB級っぽい話にはそういうのもあるよね」で受け入れられる程度のものだ。むしろこういうタイプの物語では、きちんと筋が通っていて、起こる事象すべてに説明がつく時点で興ざめしてしまうだろう。探そうと思えばこの物語には穴なんていくらでもあって、でもそれはあえて空けてある穴なのだ。だから穴がそこにあろうがなかろうが関係ないし、「そこに穴があります!」と言うのはナンセンスなことだろう。そういうものを真面目に作っているから面白い、というものだ。「トラブルマン」はそういう類の話だと思う。
 「ドラマを見る」という行為の主導権は本来見る側が持っているものだが、いっそそれを手放して「ドラマを見る」という行為の主導権をドラマに握られるくらいの気持ちで見るとより楽しめるかもしれない。B級っぽさ、あるいは深夜ドラマっぽさを狙っているんだろうなと思う部分も多々あるので、そういうものが好きな人にはうってつけのドラマだ。
 しかしこれをゴールデンタイムで放送しても、まだ理性の残っている時間帯ではどこか白けてしまっただろう。普通の時間帯のドラマでは決してできない、深夜枠だからこそできる面白さが詰まっている。

 


4.加藤さんの演技

 連ドラ初主演となる加藤さんの演技もみどころ。演技の良し悪しはわからないので語りようがないが、少なくとも加藤さんの演技はこのドラマに合っているように思えた。
 加藤さんの状況に「巻き込まれる」、あるいは状況に「置いていかれる」という演技がすごく好きなのだが、このドラマはそのオンパレード。ちなみに他の登場人物は概ね徳田に対してぐいぐいくるので、とにかく困った顔を浮かべる場面が多い。「え?」と訊き返すときの声のトーンや「勘弁して下さいよ」とでも言いたげな顔がめちゃくちゃいい。そのあとに取り繕ったように「ははは……」と笑う顔もいい。笑ったところで何も解決していないところも含めていい。ちょっと委縮していて言いたいことを言えずにごまかす感じもすごくいい。
 また、アパートの住人たちの過去に触れることで徳田が過去を思い出すフラッシュバックが挟まれることがあるが、そのときの徳田の顔の憂いがすごくいい。加藤さんの持ち味(?)ともいえる憂いが活かされている。「あ、こいつ何かあるな」と思わせる表情をしている。
 全体的に「巻き込まれる」「置いていかれる」というスタンスの徳田だが、終盤には自発的に行動をとることになる。今まで一方的に流されるままだった徳田と、感情を発露し状況の主導権を握る徳田の対比がとても鮮やか。
 加藤さんの、急激に感情を発露する演技もすごく魅力的だ。ひとりの人間が抱えきれる量を超えた感情が、涙や叫びとなって現れている気がする。2016年の24時間テレビスペシャルドラマ「盲目のヨシノリ先生~光を失って心が見えた~」でも、加藤さん演じるヨシノリ先生が、見が見えなくなったことに対して叫ぶ場面がある。あの良さに繋がるものがこの「トラブルマン」の中にもあるように見えた。
 それと徳田はひたすら走る。第一話オープニングで走っているし、エンディングでも走っている。走るのは得意ではないということはこの時点で既に「走魂*5により実証済だし今見ると「変ラボ」の加藤さんも頭をよぎるが、速さはともかく懸命に走っている姿はなんだかぐっとくる。
 それと、ピンポイントだけど9話の徳田のモノローグがめちゃくちゃいい。映像として映っているのは無表情な徳田だが、心の中ではどんな顔をして喋っているかが容易に想像できる。表情のある声をしていて、すごく好きだなと思った。もしかしたら加藤さんは声の仕事も向いているのかもしれない。というか私が聴きたいので是非やってほしい。

 

 

5.主題歌

 主題歌はみんな大好き「BE FUNKY!」。曲だけを聴いても「前へ進め!」という強いメッセージが伝わってくるが、ドラマと併せて聴くとまた感慨深い。徳田が走っている映像とともに流れる「BE FUNKY!」の疾走感は清々しくて、さっきまで頭の中を支配していた嫌なことも吹き飛んでしまいそうな感じがする。
 歌詞も「トラブルマン」の内容を反映したものになっている。「悩んでないでススメヨ」とか「難解な人生もいっそタノシメ」とか、これらの歌詞は聴き手に向けたものでもあるし、同時にドラマの主人公・徳田に向けた言葉のようにも思える。
 更に言うと、個人的には加藤さん自身「BE FUNKY!」がものすごく似合うと思っている。「こんな輝く世界 止まらない 期待・愛・未来」なんて歌詞があって、しかも加藤さんがそのパートを歌っていることに何度も感謝している。そのせいで多重に意味が重ねられて加藤さんと「トラブルマン」と「BE FUNKY!」のどれもが愛おしく思えて仕方がない。

 


6.いいからとにかく見て

 あとなんかもう加藤さんのビジュアルが最高。長めの前髪と明るすぎないけど暗いわけでもない茶髪は、作家イメージ*6の強い今ではなかなか見られない。「結局最後は顔かよ」って感じだけどとにかく恰好いいしかわいい。DVD-BOXは5枚組で、各ディスクに加藤さんの顔(どれも最高)が印刷されているからそれを見るだけでも楽しい。まずBOXを開けたときに見えるディスク1からもう既に恰好よさとかわいさで体力が削られる。その後もディスクを入れ替えるたびに加藤さんの顔を見ることになる。しかもどれもいい瞬間を切り取った写真なのでもう最高。
 7話・8話あたりから怒濤の徳田のターンが始まるが、現在の徳田と過去の徳田のギャップも良い。現在の徳田はスーツ姿(ネクタイなし)で周りの人には敬語で話すし一人称は「僕」だが、過去の徳田は彼女と話している場面が多いため砕けた口調で話すうえに一人称も「俺」だし私服。大家さんの部屋ではどこか委縮したままの徳田が回想シーンでは柔らかく笑う場面もあって、いろんなギャップがぐさぐさと刺さりまくる。
 他にも様々なポイントがあるけれど、転んで地面に倒れたり返り血浴びたり殴られて口の中切れたり自分の頭に銃構えたり、とにかくおたくの性癖に刺さりそうな加藤さんがいっぱい見られるから是非!!!

 

 

トラブルマンDVD-BOX

トラブルマンDVD-BOX

 

 

 最終話のクライマックスの「なんかよくわからんけどハッピー!」って気分が最高。何がどうハッピーなのかよくよく考えるとわからないような気もするが、とりあえず世界は救われたし、NEWSの「forever」が流れる中で描かれる彼らはどこか晴れ晴れとしている。未来はたぶん明るい。一難去ってまた一難去ってまた一難去ってを繰り返し、いつかは明るい未来がくるのだ。
 とにかく、いろいろあるけど最終的にはいい感じになるからハッピー!って気分。ハッピー!元気のない日は最終話を観ようって思うくらいにハッピー!(この記事を書くために全12話観終わった感想)(あくまで個人の感想です)(ハッピーには個人差があります)(深夜に観終わりました)

 

 以上、是非とも「トラブルマン」を見てくれ!!!という話でした。「トラブルマン」はいいぞ!!!

 

*1:「勇者ヨシヒコ」とかの枠

*2:2話~6話あたりはアパートの住人たちの過去話。7話あたりから徳田の話になるので、前半で飽きずに後半まで見てほしい。特に8話から怒涛だから!!!

*3:そういえば「パパと娘の七日間」の健太先輩も、入れ替わったパパと娘に振り回されていたし、舞台「中の人」も巻き込まれていた

*4:セカイ系の話になるとよく出てくる「きみとぼく/社会領域/世界の危機」にも当てはまらなくはない

*5:かつて放送されていたレギュラー番組

*6:加藤さん的には黒髪&前髪分けてデコ出しが作家イメージなのだろうか。作家として表舞台に出るときはだいたいそんな感じ