君に似ていて忘れられない —アイドル短歌まとめ10—

 

 

 

複雑な気持ちを示す漢字だし難しくっても仕方がないな

(お題:戀)

 

 

 

僕だけが紡ぎ綴れる物語 どこかの君よ聞いてくれるか

(お題:Narrative)

 

 

 

永遠を誓うよ君の赤い糸辿った先に僕がいただろ

(お題:プロポーズ)

 

 

 

黄金の心をもって歩いてく 眩いライト、ここはステージ

(お題:STAY ALIVE)

 

 

 

全方位開運だからどこ向いて食べても君はラッキーボーイ

(お題:恵方巻き)

 

 

 

鬼は外、福はうちではなくていい 福はできればあなたのもとへ

(お題:鬼)

 

 

 

「豆まきはしないだろうけど夕飯に豆を取り入れそうな人なの」

(お題:豆)

 

 

 

3本もリーチを作っておきながら上がりきれない君だからいい

(お題:ビンゴ)

 

 

 

君が言う君らしいものを辿ったら君を錬成できるだろうか

(お題:しげしげしい)

 

 

 

生活にあなたがまじる 紺色を赤が染めゆく朝焼けみたい

(お題:朝焼け)

 

 

 

散らばった破片の中に一輪の横たわる花 わたしのあなた

(お題:花瓶)

 

 

 

雪が解けふたたび凍るように好きと嫌いで揺れてつららが育つ

(お題:つらら)

 

 

 

生命を鳴らすと書いて「うた」と読む 僕の辞書にはそう書いてある

(お題:歌)

 

 

 

熟れすぎて割れた柘榴の赤色が君に似ていて忘れられない

(お題:ざくろ)

 

 

 

新鮮な魚もいつか腐るのに 見つめることしかできない 罪

 

 

 

真実は求めていない 誠実でありたいというたったそれだけ

 

 

 

中身などない愛ですよ 僕たちのあいだには何ひとつないのだ

 

 

 

何ひとつ始まらないし終わらない なんにもないという(ふ)しあわせ

 

 

 

実在の君を見ながらでたらめな言葉あてはめ遊んでいるの

 

 

 

行ったことないはずなのに知っている 君がうつした風景のこと

「好き」の正体をさぐる:愛というエゴの話

 まとまりは求めていない、思考を吐きだしただけの文章です。

 

 

 愛はエゴだと思う。ここに私から特定の誰かへ向けた愛があったとして、それを受け取るかどうかは受け取る側である特定の誰かが選択することであって、受け取ってくれと押し付けることはできない。受け取らない自由だってあるし、そもそも受け取ってもらえたのかどうか、確認できる場所にいる人に向けた愛ではない。これはファンである私が好きなアイドルへ向ける愛の話なので。

 

 過去にも何度も、私は本当に加藤さんが「好き」なのか?と沢山考えてきたけれど、最近は私が加藤さんにむける感情は本当に「好き」なのか?という疑問が浮かぶようになった。これはその疑問に答えを出そうとする試みで、100%私のために書かれています。

 

 そもそも「好き」とはなんなのか。それは「好き」の皮を被っただけの違う感情ではないのか。「好き」の定義が明確でないということは、「好き」と「好き」以外を見分けることも難しい。でも「好き」の定義は難しい。

 好きじゃなくはないと思うんだけど、「好き」かどうかわからない。ここしばらく、ずっとそんな気持ちを抱えている。「見ていたい」とは思う。この人のこの先を見ていたい、と。その感情は果たして「好き」と同義なのか?

 

 どうしてその人の行く先を見ていたいと思うのだろう。単純に「面白そう」だからだ。面白いものが見られると思っている。人生が80年くらいあるとして、私はそのすべてを面白いもので埋め尽くしたい。楽しみ尽くしたい。そりゃあつまらないこともいくらかある人生だが、つまらないことを打ち消せるほどの楽しいことに出会いたい。私にとっては、加藤シゲアキというアイドルはそういう人だ。

 奇しくも、加藤さん自身も自分のやることを「(ファンの人に)面白がってもらえるんじゃないか」と言う。面白がられたいと思っているなら、面白そうだと思って彼を見ている私と、需要と供給が一致しているじゃないか。うまく言葉にできないが、「いい関係」なんじゃないかと思う。

 

 では、「面白そう」なものは「好き」なものと言えるのか?どうだろうな。でも、「感情を揺さぶる」ものではある。「様々な感情を想起させる」ものというか。

 「最初からハッピーエンドの映画なんて 3分あれば終わっちゃうだろう?」という歌詞が、ポルノグラフィティの「Century Lovers」という曲の中に出てくる。ポルノの歌詞を引用するのは、私の自我を形成するのに多大な影響を与えているからだ。この歌詞を初めて聴いたとき、すごく衝撃を受けた。アルバム『ロマンチスト・エゴイスト』を初めて手にして、歌詞カードを見ながら聴いた中学生のときのことだ。真理じゃんって思った。そもそも「最初からハッピーエンド」という両立しえないものを並べているんだけど、そもそもハッピーエンドであることがわかっているものなんてつまんないじゃん、と思う。つまんない。面白くない。全然揺さぶられない。

 加藤さんという人の人生は、そりゃあハッピーエンドであってくれよとは思う。人生なんて何が起こるかわかんないけど。でも今言いたいのはそういう話ではなくて、私は私の人生の話をしたい。あの歌詞でいう「映画」は加藤さんの人生でなく私の人生の話だ。加藤さんを見ている私の人生がハッピーエンドかどうかなんてわかんない。加藤さんを見ていることでハッピーエンドが確約されているわけじゃないから。ときどき、考え方の根幹を揺さぶられることもあってしんどいと感じることもある。すごく思い悩むこともある。最高って思っちゃうくらい嬉しいことだってある。つまり、プラスからマイナスまで幅広く「感情を揺さぶる」ものであり「様々な感情を想起させる」ものだということ。このジェットコースターみたいな感覚の渦中にいるときはそこそこ真面目に苦しいときもあるが、ちょっと俯瞰でみられるようになってくると私はそれを楽しいと認識してしまう。加藤さんを見ている私の人生が、ハッピーエンドであってもそうじゃなくてもどっちでもいい。十分楽しませてもらったよって思えるから。

 

 「面白そう」なものと「感情を揺さぶる」ものは概ね同義であると言える。では、それらを「好き」と呼べるのかどうかだ。

 まずは、「好き」とは何か。

 好きな食べ物というときの「好き」は、私に「快」をもたらすものだと言えるだろう。「快」をもたらさない食べ物は多分「好き」じゃない。好きな色とか好きな数字とかいうときの「好き」もきっとそうだと思う。

 では、好きな人というときの「好き」はどうか。その「好き」は「快」だけには留まらないと私は思う。もっと複雑なものだ。食べ物や色や数字は、見る人によっては違うという多面性はもっているかもしれないが、人は複雑な多面性をもっている。極端な話、すごくいいなと思う面をもつ人が、すごくいやだなと思う面をもつ人でもある。一見すると相反するものに見えるが、いともたやすく両立する。すごくいやだなと思う面がある人でも、その人がすごくいいなと思う面ももっていることを知っていたら、簡単に嫌いにはなれないだろうし、その人のことを「好き」と表現することもあるだろう。

 とは言ってみたが、それは身近な人の話にしか当てはまらないような気もする。相手のことを一方的に知ることしかできない間柄。人である以上多面性があることはわかるが、私が見られる面はほんの一部でしかない。それでも「好き」というのはどういうことなのか。人とは多面的なものだから、加藤さんを見ていると「快」ばかりではない。ぶつかってしまう部分もでてくる。だけど、それでもシャッターを下ろしてしまうほどの「嫌い」にはならない。多分、恋人でも友達でも知り合いでもないからだ。こちらの勝手なように解釈することができて、それを相手が知りようのない間柄だから。どれほどに私の感情を揺さぶったとして、どれほど様々な感情を想起させたとして、それらの一切を「私側のもの」として処理できる。私が勝手に感情を揺さぶられているだけだし、私が勝手に様々な感情を想起させられているだけ。多分ずっと、私は一人相撲をしているだけだ。

 様々な感情を想起させる存在でありながら、すべての感情の責任を負うことができる。とても安全な「好き」だと思う。

 あぁ、ようやく、加藤さんのことを「好き」だと証明することができたかな。なんとなく、この「好き」の正体が見えてきた。「推しに対する愛は責任のない愛」という言葉を見たことがあるけれど、むしろ「すべての責任が自分にある愛」だと私は思う。愛とはエゴだけれども、そのなかでもより純度の高いエゴ。まじりっけなしのエゴ。私は私の責任において、加藤さんとは何の関係もない感情で加藤さんのことを「好き」だと思う。

 言葉にすると少し寂しく見える。けれど、他の言葉で表現することは今の私にはできない。いつかの私はまた別の言葉で表現するのかもしれないけれど、今はまだわからない。

 

 加藤さんを見ていると、気が合わないと感じる部分もあるしそんなこと言うなよと思う部分もある。私のなかでは是とできない部分。ただ、嫌だとか変わってほしいと思うことはあまりない。決して頷けない部分はあっても、頷けないだけで、それは別に嫌ではない。それでいいと思っている。無理して頷く必要はない。私に合わせて変わってくれとは思わないし、むしろ変わってくれるなと思う。それも違うな。変わりたいなら変わればいいし、そうじゃなければそのままでいればいい。そこに私が口をはさむ余地はない。

 互いに言動に口をはさむような間柄ではないのだ。一方的にというよりは互いに。さすがに私がなんらかの違反や間違ったことをしたら咎められて当然だとは思うけど、そういう話でない限りは互いに口をはさむ余地はない。言葉を交わせる間柄ではないから。でも、私がこうやってネット上で発した言葉は届いてしまいかねない。だから何度も言う。これは、この愛は私のエゴなのだと。

 

 でも、「いい関係」だと思う。少なくとも、加藤さんが「面白がってもらえると思う」と言う以上、加藤さんを「面白そう」だからという理由で見つめている関係は、「いい関係」だと思う。むこうの意図とこちらの意図がうまくはまっている。まぁ、たぶん、「いい関係」だよね。私はとても心地いいなと思う。

 今はたまたま互いの意図がうまくはまっているけれど、今後はどうだかわからない。人は変わっていくものだから、私は不確定要素のある面白いものよりも安定したものを求めるようになるかもしれないし、加藤さんが「面白がってもらえると思う」と思うものが面白いと思わなくなるかもしれない。それでも「好き」と言えるのかはまた考えればいいよ。今この瞬間においては、過去も未来も関係なく、今この瞬間のことが一番大切だと思う。

 

 あと、まぁ、ここまで言ってきたいろいろなことはおいといて、単純に顔が好みだ。あの輪郭のラインがどうしても好き。むしろあの輪郭じゃないと好きな顔って言えないくらいあの輪郭が好き。そしてなくならないほっぺた。男の人ってある程度の年齢になると頬がこけてきちゃうことあるじゃないですか。それはそれで恰好いいなって部分も大いにあるんだけど、単純な好みの話だと私はふっくらしたほっぺたが好きなんですよ。加藤さんのほっぺはずっとふっくらしていて非常に好きです。痩せてもあんまりなくならない。顎も細すぎない。ぱっちり二重。全部好きな要素でできている。それから声。歌っている声が埋もれないのがいい。少し耳に引っかかるようなフックのある声で、最近また更に好きになってしまった感がある。関西にルーツのある言葉がたまに出るのもいい。「転ぶ」のこと絶対「こける」って言うよね。好き。あとダンス。加藤さんのダンスって愚直さが見える感じがして、言葉や態度と並んでその人を表すものなんだなぁと思う。それと字。本人はあまり上手くないと言うけれど、縦長で線のはっきりした字は意志が強そうで好き。ライムのにおいがするような字。小説を出すたびに文章が上手くなっていくところも好き。ここから先は私の主観オブ主観になるが、納得がいかないときに「納得がいかない」って顔をするところが好き。納得がいかなかったとしても、自分で自分をどうにか納得できるところにもっていけるところも好き。自分のこと好きだって言う人に対して誠実であろうとするところが好き。内臓みたいな文章を書けるところが好き。映画や音楽や本の話をするときにたまに出てくる「男の子だから」が好き。同意できるかって言ったら別だけど好き。30歳になったときに「僕ももう30なので」って飽きるほど言ってたのも好き。私が30になって同じこと言うかって言ったら言わないけど好き。そうなんだよ、私が頷けない部分もあなたを構成する大事な要素なんだと思うよ。だから好き。たまに出てくる自己犠牲の精神と、同じくらいたまに出てくる神経の図太そうな部分と、どっちも好き。いちいちの言葉選びが好き。ときどきすごくしんどく思う言葉もあるけど、それはそれとして好きなんだよな。「ありがとう、愛してるぜ」って言葉を選べるあなたが好き。こちらこそっていつも思うよ。コンサート会場で緑色の服を着ていたら自分のファンなんじゃないかって思っているところも、自分のうちわを見つけようと真顔になって手を振るところも。好きなんだよなどうしようもなく。そういう姿勢が。私が私の好きな人を特別に思う気持ちと、あなたがあなたを好きな人を特別に思う気持ちは、きっと対等な立場におかれるべきものではないけれど、釣り合っていると錯覚させてくれるところが、好きなんだよなぁ。勿論錯覚しているのは私の勝手で、だから何度でも言うんだけれど愛なんてエゴだよ。恋なんて言わばエゴとエゴのシーソーゲームだってミスチルは歌ってるけど恋に限らず人間関係なんてだいたいそうだよ。本当はただの一人相撲で、シーソーの片側には誰も乗っていないはずなんだけれど、そこにあなたのエゴが乗っているような錯覚に陥ることができるのが、すごく幸せなんだよ。疑似的な恋愛関係という意味では決してなく、恋愛関係とはまったく互換性のない関係であるファンとアイドルという関係において、すごく幸せだよ。でもこれはやっぱり一人相撲なので、幸せなのは私だけかもしれない。私が愛してるってどれだけ言っても全然嬉しくないかもしれない。むしろ迷惑かもしれない。嫌な気持ちになってなければいいなと思うけど、なるかもしれない。世の中にはそういう類の愛だっていっぱいあるんだし。もしこの愛もそうだったら申し訳ない。許してほしいとは思わない。あなたに向ける私の愛の責任はすべて私にある。だけどやっぱり、言わなきゃ伝わらないことってあると思うから。伝えたいと思うことだってエゴだけど。他人にむける感情なんてエゴだよ。愛なんて言葉じゃ免罪符にならない。だって愛がエゴだもん。健康でいてほしいとか幸せでいてほしいとかやりたいことがやれてほしいとか思うけど、全部エゴ。全部私の、ただのわがまま。

 

 

 

 愛はエゴだと思う。ただのわがままだよ。うるせえな、それでも愛してるって言ってんだ!

幻想第四次を超えてどこまでも往く ―「できることならスティードで」感想3―

 

 

 「できることならスティードで」書籍化おめでとうございます!!!

 感想をまとめようと思っていたのに13回目で終わるから13回目まで待とうと思っていたらついつい更新するのを忘れてしまったのでこのタイミングで。

 

 加藤さんが自分をさらけだした文章を書いているので、以下の感想も「私」だらけです。加藤さんのエッセイって、あまりにも「自分」をむき出しに書いているような気がして(それをよく「内臓」と呼んだりしているのだけど)、読んでいる側も内臓を見せざるを得なくなる。というか、そのぐらいの気持ちでなければ私は読めないのかもしれない。もっと取り繕ってちゃんと内臓を体に収めて服を着た状態でいてくれよって思うこともあるけれど、そんなふうに内臓を見せてくれる人も滅多にいないので、私も内臓で応えたいと思います。さすがに記事タイトルに内臓って入れるのはやめました。

 以下の文章は私の内臓です。

 

 

 

 

 

 

trip9:スリランカ(2018年冬号)

 スリランカ旅行の話。私のもっているスリランカのイメージというと高地にある国だということと紅茶が美味しいという印象かな。建築というのは全く頭になかったので、初めて知ることだった。仏教国だということも知らなかった。なんとなくブータンのイメージと被ったので近い位置かな?と思って検索してみたらそこそこ近かった。あいだにインド(でかい)を挟むけど。ポルノグラフィティの新藤さんがエッセイ集の書き下ろしとしてブータン旅行記を書いていたことを思い出した。私の好きな男たちはインド周辺に行きがち。新藤さんはインド行ってるし、いずれ加藤さんも行くのでは?と思っている。

 

 で。そのなかでブッダの「憎しみは憎しみによって止むことはなく、愛によって止む」という言葉や、加藤さんが自身のうちから編み出した「自分に刃を向ける人を抱きしめられる大人であれ」という言葉が出てくる。私はこの言葉を是とすることができない。

 立派なことだと思う。でも別に、立派であってほしいとは思っていない。私はかつて、刃を向けられてひどく傷ついた経験がある。こんなにつらいなら死んだほうがましなんじゃないかと思った。死にそうだった。未だに思い出してしまって苦しくなることがある。当時の私が子どもで「大人」じゃなかったから、ということでは片づけきれない。だって大人でも、刃に傷つけられた結果命を絶ってしまうひとは、悲しいことに沢山いる。

 刃を向ける人を抱きしめたとして、その刃であなたは傷つかないというの?傷ついてほしくないよ。あなたはたった一人しかいないけど、刃を向けてくる人は一人じゃないかもしれない。それら全てに、その言葉を応用してしまうの?あなたが傷ついたら私は悲しい。傷ついてほしくなんかない。立派であることと傷つくことがイコールで結びついてしまうなら、立派じゃなくて全然いいよ全部逃げちゃったっていいよって思う。彼が弱いからとかそういうことじゃなくて、人って簡単に死んでしまうんだよ。だから傷ついてほしくない。刃を向けられる原因をもっていたとしても、だからって刃を向けていい理由にはならないわけだし、とにかく傷ついてなんかほしくない。立派じゃなくていいし、誰かのお手本にもならなくていい。元気で笑って生きていてほしい。でもそれは私のエゴなんだよね。私が悲しみたくないから傷つかないでって言ってるだけ。

 そういう自分のエゴにやられる回でした。誰かにエゴを押し付けるのは嫌だし、そういう場面を見ると気持ち悪いなって思ってしまうのに、自分がそう思ってしまうことが本当に嫌だ。気持ち悪い。長いこと「世界」については何も言わずにいたけど、そういうエゴについて語らざるを得なくなるからどうしても言葉にできなかった。でもこれはただの「感想」、思ったことや感じたことのひとつとして、書き留めておこうと思います。

 私はその言葉を是とはしないけど、好きに生きてください。変わってほしいとは全く思いません(同じ理屈で、変わってほしくないとも全く思いません)。そこに私の感情や要望が入る余地などない。好きにしてください。ネット上に文章を掲載する以上、本人の目に入る可能性はゼロではないので、非常に無責任なことを言っているとは思います。でもこれは意見じゃないから伝える意図もなくて、単純にエッセイを読んで(あるいは「世界」を聴いて)思ったことや考えたこと、というだけのことです。という言葉もただの逃げでしかないんだけどね……

 

 あなたが好きなように生きるところを見ていたい、それだけです。

 

 

 

trip10:渋谷(2019春号)

 私は東京生まれ東京育ちだけど、渋谷のことは自分のいるべき街だとはあんまり思っていない。何度行っても慣れないし、なんだかこわいというか、とげとげしたものを感じることもある。似たような混み具合の街ならば、新宿のほうが私の街だなって感じがする。バイト先の最寄り駅が新宿だったこともあり、新宿は結構好きな街だ。他の大きな街に比べれば地下にも詳しい。

 けれど新宿も「地元」ではない。地元というのなら、生まれ育った区になるのかな。今は生まれ育った区とは違うところに住んでいるが、それでも実家の近くではあるし、実家には行かなくてもその区には普通によく行く(通勤経路にあるので)。なんていうか、やっぱり落ち着くような気がする。文化面(というか図書館)がなかなか充実していてそこを手放すのが惜しいという気持ちが強いのかもしれない。私が山ほど本を読んで育つことができたのは図書館のおかげだし。

 中学までの交友関係は絶っているし、高校はさまざまなところから通っている人たちばかりだったので、地元といったって親しい人のいる街というわけではない。それでもすごく愛着がある。地域のお祭りに参加したこともないし(そもそもあるのかもよく知らない)、よく行くお店があるわけでもないし、通っていた図書館も建て替えられたけれど、私の地元は「ここ」なんだろうな、と思う。

 

 

 

trip11:パリ(2019夏号)

 「上皇」と呼ばれる存在が200年ぶりくらいにこの国の歴史に登場することになる瞬間を目の当たりにするんだし、私は割と楽しく改元フィーバーを受け止めていた。多少日本史が好きというのも関係しているかもしれない。200年ぶりくらいなんだよ?やばくない?

 上皇陛下は今まですごく沢山お仕事をしてきて、私だったら80過ぎても仕事しろって言われても絶対に無理……って思うので「お疲れ様でした」の気持ちが強かった。私は平成生まれなので平成になったときのことは知らないんだけど、こんなふうに改元を「お祝い」できるのも生前退位だからというのを見てそっか!と思ったし、そういう歴史的瞬間を体験しているっていう興奮が大きかった。なので、改元フィーバーにうんざりする加藤さんの文章を読んで「そんなふうに思ったのか~」って思いました。スクランブル交差点などで騒ぐ人たちにはふ~んって感じだったけど、やたらセールをやったり平成を振り返る番組が多かったり、みんなどこか浮かれている感じがして嫌いじゃなかったな。加藤さんは渋谷が思い入れのある土地だから、そこで騒がれることに思うことがあるのかもしれないな~と前回の内容と関連して思った。

 パリについての知識も一般的なものしかないので、かつての加藤さんがパリで見たものを書いたあたりはとても面白かった。風景を想像する力が乏しいので「わかる」とは言えないけど、素敵だなぁと思った。

 ノートルダム大聖堂の火事。ノートルダム大聖堂というものがあるとは知っているけどそれが現地の人々にどれほど愛されているのかっていうのは全然わからなかったので、別世界の話を読んでいるようにも思えた。テレビで報道されていても、歴史的な建物が火災に遭ってショックなのであんまり見ないようにしてしまったから、そこにいる人々のことまでは思い至らなかったな……でも思い至ってしまうと非常につらい気持ちになってしまうので……。どうにかこのあたりの折り合いをつけられるようになりたいとは常々思っているものの、どうしても感情が先に動いてしまう。難しいなぁ。自分の身に起こったわけではないことを自分のことのように捉えるのはとても傲慢だと思うからそうならないようにしたいんだけど。でも悲しんでいる人を見て悲しくなるのは私だしなぁ……。

 これは後から感想を書いているから書けることだけど、首里城の火災の映像を見たときに地元の人々がとても悲しんでいるのを見て、ノートルダム大聖堂のときもこんなふうだったのかもしれないと思った。パリの件があったからちょっとはテレビやネットで見るようにしてみた。そこで悲しんでいる人に何もできないのがとても悲しくてつらかった。この気持ちはどうしたらいいんだろうなぁ。

 

 

 

trip12:無心(2019秋号)

 ここに出てくるダンスに定評のある先輩ってきっと大野さんだよな~って思って微笑んだりした。

 私は身体感覚がやばめ(自分の体がどう動くのか把握できないので動きの真似をするのがすごく苦手、というレベル)なので、身体の動きを伴う部分では無心にはなれないな……。相手の動きを見て真似することができないから、自分の体がどう動いているかが全然わかんないんだよね……

 そもそも頭の中でずっと喋っているので無心の状態になることがないかもしれない。一人で歩いていようが誰かといようがずっと喋っている。基本的にはこういう文章の文体で喋っている。あんまり台詞調ではないかな。普通に一人称の文章を組み立てるように頭の中で喋っている。おはなしを作っていたりもするし、頭の中で会話のシミュレーションをしていたりもする。なので夫と一緒にいるときに突然「だけど〇〇だよね」みたいな話し方をしてしまい、「そのだけどは何につながってるの?」と訊かれたりする。私のなかではそこまでの思考がばっちりあったんだけど、声に出たのは「だけど」以降の部分だったりとか。無心にはなかなかなれないなぁ。無欲にもなれそうもない。小さい頃から自分は欲の塊だなぁと思ってきた。七つの大罪に当てはめるなら「強欲」だろう。今のところ、どうしても成功させなければならない場面も特にないので強欲でも困らないけど、無欲かつ無心の状態にならないといけない場面に出会ったりするのかなぁ。

 加藤さんの「無心」の旅は本の引用から始まり、お馴染みの先輩の話、コンサートの話、お馴染みのジムのトレーナーさんとの話、そして釣り(釣り!)と、これまで出てきたオールスター総出演のようなテイストでとても面白かった。最終回を見据えていたからそんな話になったのかな。

 

 

 

 

 

trip13:浄土(2019冬号)

 加藤さんの人生、「後悔だけが人生だ」ってキャッチフレーズがつきそうだなって思う。勿論そんなことはないんだろうけど、でも「あのとき自分がこうしていたら」っていう、自分が何かできそうな余地を見つけたいんだろうなって気がしてしまう。それはエゴでしかないと、ただの自己満足だと、似たような傾向のある私は思う。なんでもかんでも自分のせいにしてしまうのはとても楽だ。

 死んだ誰かの言葉を、生きている他者(まして私のような一切の関わりのない他者)が解釈するのはよろしくないと思うのでしないけど、加藤さんとジャニーさんは何かがすれ違っていたのかな、と感じた。きっと、もっと対話できれば解消できるものもあったんじゃないかと思う。って言うのは簡単なことだけど、実際はとても難しいんだよね。タイミングの問題もあるし、他者が勝手に口を出していいことではない。でもまぁ、それもひとつの感想として。自分がそういう状況に置かれたときに、同じ後悔をしないようにという教訓として、そう思った。

 ジャニーさんの訃報に際して発表された加藤さんのコメントを、私は愛おしくて好きだと思った。こんなふうにエッセイを書くくらい本当なら文章の上手い人なのに、言葉を選ばずに言うとへたな文章だった。だからこそ、すごく胸に刺さった。加藤さんにとってどれほどの衝撃なのかが言葉そのものから伝わってきた。言葉を選んでいられない場面だったのだろうと想像できた。こんな場面で再確認するのは不謹慎かもしれないが、この人が好きだと改めて思った。

 そう思ったこともあって、これ以上何かを語ったのを読んだとしても私としてはもう十分という気持ちもあったし、うじうじしている人のことは(同族嫌悪の意味もあって)好きではないのでこの回を読むのは非常に気が進まなかった。他者(=この場合は読み手の私)にはどうすることもできない感情が吐露された文章というのは、私は苦手だ。だって何もできないから。何もできないのに、ただ読むしかないのに、そんな文章を読むのはちょっとつらい。

 誰にもどうしようもないことをなぜ書くのか。なんらかの教訓を得てほしいのだろうか。たぶん違う。書かずにはいられないからだ。さっき、教訓として受け取った部分があったって書いたけど、それは私が勝手に受け取ったのであって、そう受け取ってほしくて書いたわけじゃないだろうと思う。書かずにいられなかったから書いたんだろう。書くことで、加藤さんの中で何か落ち着くものがあったんならいいな。

 

 辻村深月さんの『ツナグ 想い人の心得』という作品(『ツナグ』の続編)がある。「ツナグ」というのは死んだ人に一夜限りで会わせてくれる仲介人だ。連作短編のかたちで、ツナグである歩美のもとに死者との面会を求める人たちがやってきて……という話が描かれる。この物語の中で、ひとつだけ、死者と会わない話がある。

 木工の工房を営む三人家族がいて、一人娘は工房の主である父の跡を継ぎたいと言っていたが、父は許可することなく亡くなってしまった、という話だ。生きているうちに認めてもらえなかった、という思いが娘には残ってしまった。歩美は父親のことも娘のことも知っているが、ツナグとしてではなく普通の仕事をするなかで出会った間柄なので、自分がツナグであることを言い出すべきかどうか逡巡する。他の話ではすべて、死者に会ってわだかまりを解いたり言いたいことを伝えたりするのに、この話ではしない。わざわざツナグに頼んで会わなくたって、心の中にいるその人を指標に生きていくことができるからだ。工房の娘さんは、自分の心の中にいる父に認めてもらおうと努力を重ねていく。

 このエッセイを読んだときに、『ツナグ 想い人の心得』のこの話を思い出した。きっとこういうことだろう、と思った。実際にはツナグはいないし、死んだ人には会えない。でも、心の中で「きっとあの人ならこう言うだろう」とか「こうしたら褒めてくれるかな」とか、そういうかたちで“会う”ことはできる。加藤さんにとって、ジャニーさんはそういう存在なのだろうな、と思った。

 

 

 カムパネルラは、その紙切れが何だったか待ち兼ねたというように急いでのぞきこみました。ジョバンニも全く早く見たかったのです。ところがそれはいちめん黒い唐草のような模様の中に、おかしな十ばかりの字を印刷したものでだまって見ていると何だかその中へ吸い込こまれてしまうような気がするのでした。すると鳥捕りが横からちらっとそれを見てあわてたように云いました。

「おや、こいつは大したもんですぜ。こいつはもう、ほんとうの天上へさえ行ける切符だ。天上どこじゃない、どこでも勝手にあるける通行券です。こいつをお持ちになれぁ、なるほど、こんな不完全な幻想第四次の銀河鉄道なんか、どこまででも行ける筈でさあ、あなた方大したもんですね。」

 

 スティードの感想記事には、「どこへでも行ける切符」と名付けてきた。「銀河鉄道の夜」で、ジョバンニが持っている切符をイメージした言葉だ。感想記事の第一回で、こんなことを書いていた。

 

この「スティード」は加藤さんにとってのどこへでも行ける切符みたいなものなのかなぁと勝手に思っている。「銀河鉄道の夜」でジョバンニのポケットに入っていた切符のような、そういう存在。加藤さんにとって、文章を書くことこそがどこへでも行ける切符なのではないだろうか。

 

 「銀河鉄道の夜」はカムパネルラという死者とジョバンニという生者の物語だ。奇しくも、最終回の内容と重なる部分があるように感じた。

 加藤さんはきっと「ほんとうの天上へさえ行ける切符」を持っている。文章を書くことで、きっとどこへだって行ける。そうやって旅を続けた先で彼の理想とするものにいつか辿り着いてほしいと、散々ここまで内臓をぶちまけておいて最後に穏やかな気持ちになるのもどうかと思うが、すごく穏やかな気持ちで、思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 スティードの文章は加藤シゲアキ濃度500%って感じで、ページ数/文字数としては決して多くないのに小説を読むより気持ちがもっていかれてしまう。あまりにしんどすぎて読んでは手を止め……を繰り返すこともざらだ。あまりにも濃度が高い。こんなにも濃度が濃いエッセイが書き下ろしや掌編小説やあとがきをプラスして一冊になったら更に濃ゆくなってしまう。こってりスープのつけ麺みたいで、途中で箸を止めてしまいたくなるかも。

 でも、単純に読みたいと思う。読んで、ああでもないこうでもないと感想を繰り広げたい。時には飛躍して自分の話に引き寄せてしまうこともあるだろうし、飛躍しまくって全然関係のなさそうなところに着地するかもしれないし、決して楽しいことばかり思い描けるわけではなくてつらい記憶や悲しい思い出に触れなければならなくなることだってあるだろう。しかしそのきっかけを辿ればこの「できることならスティードで」に辿り着く。それってすごく素敵なことだと思う。

 

 書籍化によってそんな素敵な体験ができることを、また楽しみにしています。

 

 

 

できることならスティードで

できることならスティードで

 

 

 

 

 

 

 以下は1回目~4回目分と5回目~8回目分の感想。

 

penguinkawaii.hatenablog.com

penguinkawaii.hatenablog.com

 

NEWSが歌う元気の出る曲が好きなので紹介する

 基本的に元気がありません。いやあるけど。あるんだけど、根がネガティブなので常になんとなくの不安だったりもやもやしたものだったりが胸のうちにあるのもまた事実。そんななので、NEWSが歌う元気の出る曲がすごく身にしみることがあります。そういう記事です。勝手に分類分けして勝手に紹介します。

 

 

 

 

【とにかくアガる部門】

 ネガティブな気持ちもなんとなくもやもやした気持ちも、聴くだけでとにかくアガる曲です。明るいメロディの破壊力。

 

 

希望~yell~

誰にも負けない 勇気を胸に君に贈るNEWS 

 こんなの最高に元気が出ちゃうよね!イントロから爆アゲ!馬飼野先生の作曲は至高……!メロディだけでも十分元気が出るのに、歌詞もいいよね。言葉の並びに若さを感じる。若さisパワー。パワーis元気。

 楽曲としてはとても若いパワーに溢れているけど、聴くならやっぱりRepresentバージョンが好きかなぁ。加藤さんのラップ部分が明らかに上達している&発声が大人になっているところに毎度成長を感じて最高だなって思うし、歌詞を大切に歌うNEWSのいいところがすごく出ているなぁと感じる。デビュー時に歌っていたような若さや初々しさは今はないけれど、その代わりに丁寧に歌うことや聴き手に届くように歌うことを重視しているのが伝わってくる。伝わってくるので、元気が出るんですよね。

 

 

DEAD END

 夜は明けていく 雨が上がるように

 誰にだってそう イメージを道しるべに 

 「希望~yell~」もそうなんだけど、こういう否が応にも上がる曲が好きなんですよ。コール&レスポンスを前提に作られているから、意味のある歌詞の部分が少ないけど、言葉の意味を理解せずとも雰囲気の楽しさで楽しめる曲っていいよね。意味を理解するほどのアタマが残っていないときにも元気になれる。

 とはいいつつも歌詞も好き。NEWSがこれまで歌ってきた応援ソングと言っていることは変わらないというか、「とにかくアガる部門」と名付けたけどこのセクションの曲たちの歌詞ってみんな近くて、耳に入ってきたら元気が出やすい言葉たちじゃない?って思う。前向きで明るくて。

 

 

Weather NEWS

 どんな雨予報だって 君に笑顔届け!Good(Let's go)

 Weather NEWS Weather NEWS 

 これももうイントロから上がらざるを得ない曲。ついでにコンサートでのNEWSのかわいいところを思い出して更に上がる。かわいかったな~!

 メロディも歌詞も「元気」がぎっしり詰まっていて、アイドルだから歌えるし響く楽曲なんじゃないかと思う。こういう「アイドル」な楽曲がすごく好きです。かっこいい曲やスタイリッシュな曲も好きなんだけど……やっぱりここに帰ってきちゃうな……!

 雨の日は体調がよくない率が高くていやだなぁと思ってしまうんだけど、これを聴くと元気が出ます。NEWSのこと考えてると楽しくなるし、私のそばにはNEWSがいてくれるんだなって思える楽曲。

 

 

 あと「4+FAN」や「BEACH ANGEL」「Good News!」なんかも私のなかではこの部門です。ブチアゲ曲。「チャンカパーナ」もそう。

 

 

 

 

【静かに闘志を燃やす部門】

 単純に元気を出したいだけじゃなくて、やる気を出さなきゃいけないときってあるじゃないですか。そういうときの曲です。

 

SPIRIT

 敗北からまた一歩

 いっそう邁進 変わらぬ意志を

 誰にも奪わせないSPIRIT

 私にとっては嫌な仕事があるときに聴きたくなる曲なんですが、受験とか就活とかにも刺さりそうだなぁと思う。人間って望む望まないにかかわらず結構変わっちゃういきものなので、「変わらない」部分を忘れずにいたいなぁと思ったときに聴きたくなる。心が擦り減ると、そういう「変わらない」部分がなんだったのかわからなくなっちゃうことがあるから。

 イントロは静かだけど、単に静かなんじゃなくてとても厳かな雰囲気があるのが好き。鐘の音とコーラスって「はじまり」って感じがすごくて、どうしたって気持ちが持っていかれる。壮大な何かが始まるようでわくわくする。嫌な仕事は嫌だけど、それでも私がやることに意味があるんだって思いたいじゃないですか。そんなときに「主人公」にしてくれるような音。私の人生の主人公は私しかいないんだって思い出させてくれます。

 

 

FIGHTERS.COM

 攻めることにだけはマジ長けてます

 おまえごときじゃ足んねぇ パスだパス!

 「SPIRIT」は難易度的に難しそうで嫌な仕事のときに聴きたくなるけど、これは単純に相手先との対話にイライラしたり私が悪いわけじゃないのにあれこれ言われたとき、つまり「は?」ってときにに聴きたくなる曲。誰かに危害を加えるのはよくないけど脳内で暴れまわるぶんには文句ないでしょ。

 手越さんの高音は物理的な破壊力がありそうだし、増田さんのバチクソ強いラップが最強で「強い」以外の言葉が出てこない。強いよねとにかく。テゴマス(強)。サビも好きだけどとにかく増田さんのラップ部分が強くて好き。ストレス解消曲。

 

 

LVE

 愛がなければ生きていけない

 希望がなくては前に進めない

 信仰がなくては悪意に

 勝つことはできない 

 歌詞の内容としては「U R not alone」と大差ないと思っているんだけど、表現の仕方でだいぶ変わるよね。これもマジでイライラしたとき用の曲です。仕事ではなく趣味に関することなどでイライラしたとき用。ワールドワイドに見えてしまう部分(Twitterとか)ではあまりイライラを見せないように気を付けているけど、「LVE」聴いて解消しています。

 単純にNEWSがこの曲を歌っているというだけでも元気が出るし、NEWSにこの曲を歌わせようってNEWSを支えるスタッフの方々が思っているということにも励まされるし、自分が(本来なら苦手なジャンルである「語り」が強い)この曲を受け入れて好きだなって思えるところもまた自信になるというか。個人的な思い入れがだいぶ入ってはいるけれど、この曲のおかげでだいぶすっきりしてます。

 あと増田さんの歌声が高いのも低いのも良すぎて一人King Gnu状態なのもすごく好きです。強い。

 

 

 

【へこんだときに寄り添う部門】

 マジマジのマジにメンタルがやられたときの曲です。

 

ヒカリノシズク

 どうにもならない

 想いもあるだろう

 誰にも言えない

 傷痕もあるだろう 

 本当にメンタルがやられていたときに聴いて号泣した曲。わけがわからんほど涙が出てきて仕方がなかった。自分が「苦しい」「つらい」と感じたとき、どちらかというとそんなものはなかったことにしたいと思ってしまうけど、でも実際そう感じたことをなくすことはできない。それに、つらいと思っていても、もしかしたら傍目には平気そうに見えるかもしれない。そういうときにはまずは自分自身が「そうだよね、つらいよね」って認めることが、つらさや苦しさを緩和するための第一歩なんじゃないかと思う。そういうことに気付かせてくれた曲。

 静かに染み入るようなメロディとNEWSの優しい歌声がすごく良くて、帰り道とか夜とかそういうときに聴きたくなります。簡単には元気になれそうもないときに、まずは回復するための一歩目として聴きたい曲。

 

 

「生きろ」

 握り合った掌 誓い合った願いが

 熱を帯びて強く結びついた絆 

 単純に、「前へ進む」ための力をくれる曲。使命があるわけでも、やりたいことがあるわけでも、夢があるわけでもないけれど、日々前へ進まなければならないじゃないですか。時間は不可逆だし止まってもくれないので。どうあがいても今日の私より明日の私は老いていて、それが積み重なって、残り時間はどんどん少なくなっていく。だったら能動的に「生きる」しかないじゃないか、という気持ちに寄り添ってくれる。タイトルの「生きろ」は受動的に生きることじゃなくて能動的に生きることを言っているんだと思う。

 誰かとの結びつきがなければ生きていけないけど、結びついていることによって嫌になってしまうこともある。好きなはずの誰かと一緒にいるのになんだか落ち着かないとか、言いたいことがうまく言えなくて相手に対して複雑な気持ちを抱えてしまったりね。でも簡単には切れない縁もあるし、切るほどじゃないけど嫌な思いをすることとかもある。そういうのも含めて私は「絆」だと思っている。いいことだけじゃないよね、人と人がともに在るということは。という面でも励まされる。

 

 

U R not alone 

 ああどうか 力を貸してくれないか

 昨日までの僕よ 共に乗り越えてきたじゃないか

 私は「人間は結局のところひとり」説を支持している。だって私以上に私のことわかる人なんていないし。心の中で思っているだけのことは私しか知らない。私は私の一番の理解者であり、それを他者に求めるのは健全ではない。と思っている。だから時々ひどく寂しくなったりする。パートナーがいるとか、友達がいるとか、そういうことでは満たされない根本的な寂しさ。

 だけど、それは私には私という理解者がいるということでもある。いろんなターニングポイントがあって、その時々で思っていたことや考えていたことは違うかもしれないけれど、「あのときの私」は確かに今の私に繋がっている。今まで乗り越えてきたことを思えばこの先だってきっと大丈夫だ、と思わせてくれる実績を、私は持っているのだ。そういうことに気付かせてくれる曲。

 「あなたはひとりじゃない」という意味のタイトルで「(あなたには今までのあなたがいるのだから)ひとりじゃない」という歌詞なのに、これが「みんなで歌う曲」であることによって物理的な意味でも「あなたはひとりじゃない」ということになるのがすごくいいなって思う。この曲を聴くと、どうしたってコンサートで歌う場面を思い出す。NEWSはいつでも私を支えてくれている。

 

 

 

 

 

 

 NEWSの曲、良い曲ばっかりだな~!あと別に応援ソングじゃないけど「EMMA」「トップガン」「Fiesta」で私のテンションは爆上がりします。

 新しいアルバムではどんな曲を聴かせてくれるのか楽しみだな~!!!

 

 

STORY (初回盤) (CD+DVD)

STORY (初回盤) (CD+DVD)

 

 

生まれ落ちた罪生き残る罰、とにかくBuzyを聴いてほしい

 

 要約:Buzyの曲がサブスク解禁されました!みんな聴いて!!!!!!!!!

 

 

 

 Q:そもそもBuzyとは?

 A:かつてアミューズに在籍していたダンス&ボーカルの女性6人組ユニット(私はアイドルグループとして認識している)。前身グループは「COLOR」。作詞をポルノグラフィティ新藤晴一、作曲を本間昭光(「アポロ」「サウダージ」等々の作曲者)が担当した楽曲も多く、当時を知るポルノファンには認知度が高い存在。デビュー曲「鯨」はたぶん聴いたら知ってる人も多いと思う。

 

 以下、私が趣味と独断で選ぶBuzyオススメ曲です。

 

 

 

 

・新藤さん作詞の曲

 

 作詞新藤さん、作曲本間さん。Buzyのデビュー曲。パンチの効いた強いメロディにパンチの効いた強い歌詞が乗っていて、それゆえに全く色褪せることのない、とにかく最強の一曲。「生まれ落ちた罪 生き残る罰」。私はこれを中学生のときに聴いてしまったのでドスドスに刺さりました。

 とにかくはっと目が覚めるような言葉が並んでいる。今ここにいる自分すら揺らいでしまいかねない歌詞。「鯨が絶望して捨てていったこの場所で 私は生きている やりきれなくなるわ」というフレーズがあるが、そんなのどうしようもないのに足元が揺らいでしまう。生きるということの原罪というか。「生まれ落ちた罪 生き残る罰」「大人になる罪 老けていく罰」ですよ。そんなのどうしようもないのに。曲の全体を通して感じられる、どうしようもない重さ。刺さる。

 強いメロディと強い歌詞だが、それを奈央ちゃん(メインボーカル)の力強い声が歌い上げているのがすごく合っている。大サビでは各メンバーが歌い継ぐパートもあるので全員分の声が聴ける。

 

 ちなみに新藤さんが「鯨」をモチーフにして書いた曲でいうと中島愛さんに提供した「水槽」なんかも近いです。こちらも名曲。

 

 

 

Venus say…

 作詞新藤さん、作曲本間さん。聴いたらわかるが、「鯨」と曲が同じになっている(ただし「Venus say…」は1番のみのサイズ)。ポルノでいう「冷たい手 ~3年8ヶ月~」と「Search the best way」のような感じ。ちなみにアニメ「ふたつのスピカ」のOPだったのはこっちの「Venus say…」です。「鯨」じゃないです。

 タイトルの通り、女神が語りかけるような歌詞になっている。女神といえど優しくはなく、どちらかというと厳しい女神だ。そんな歌アイドルに歌わすのか……と思うが、奈央ちゃんの力強いボーカルだと説得力がすごい。「Do you know? I'm a Venus」って言われても納得しかない。

 

 

 

一人一途

 ひとりいちずと読む。「鯨」の時点でだいぶ重かったのに、今度は別方向に重いBuzyの2ndシングル。なんでこんなかわいい女の子たちに重い曲ばかりを……でもお姉さん的なかわいさをもったBuzyには似合うよね。わかる。ジャケ写もかっこよくて好き!

 「鯨」よりも恋愛要素が濃いめにはなっているが、決して一筋縄ではいかない。というのも歌詞の中にでてくる動詞は大抵が過去形になっていて、嫌な予感しかしない。そのうえ、単純な失恋とかそんなレベルではない。あまりにも壮大すぎる。「私に世界の終わりを選ばせるのなら あの穏やかな絶頂の日々にしたでしょう」だよ?重い。けれどこの歌詞をのせるメロディはどちらかというと軽やかで、歌っている奈央ちゃんの声も軽やか。このギャップがいいのだ。

 余談だけど私は加藤シゲアキさんの『チュベローズで待ってる』とこの曲は似たことを言っているような気がして気が気じゃないよ!

 

 

 

Be Somewhere

 やっと爽やかな曲だぞ!!!!!!Buzyの3rdシングル。

 アニメ「ロックマンエグゼStream」のOP曲。アニメも見てたし「作詞:新藤晴一」の文字見たさに映画まで見た。

 この曲は恋愛の曲ではなく「自分を信じる」みたいなことを歌っている。「私のこと誰よりも知ってる 私だから信じられる」ってすごく頼りになる言葉だよね。確かにそうだなぁと思ったし、しんどい時期にはこの歌詞に支えられた。Buzyは重い曲だけじゃなく強い曲も似合うから、こういう曲を歌ってもすごく響く。

 

 

 

パシオン

 この頃(2005年)のポルノのマネージャーさんにスペイン語ができる人がいたとかで「ジョバイロ」とか「パシオン」とかが生まれているんだったと記憶している。ちなみにどちらの曲にも「燃え尽きると知りながらも」というフレーズが出てくるよ!なんだかリンクしている感じがしていいよね!Buzyの4thシングルにしてラストシングル。

 「パシオン」=情熱、という意味が表すとおりに燃えるような恋の歌。「恋心」が擬人化されて描かれている部分があって「サウダージ」的な良さもある。

 セクシーな歌い方がすごく恰好よくて、でも歌詞は恋に振り回される女って感じでちょっと恰好悪い。「サウダージ」ほど割り切れているわけじゃなくて、もっと幼いイメージ。何度も言うようにこのギャップがBuzyなんですよ(当社調べ)。このギャップがいいんですよ……!

 

 

 

 

 

・新藤さん以外の方による作詞の曲

 

あなたを愛す私を愛す

 Buzyの前身グループであるCOLOR時代の曲(アルバム「Buzy」に収録されているのでBuzyの曲としてもカウントします)。これもまたねちっこく重い。ねちっこいのに、奈央ちゃんがさらっと歌ってしまうのでさらっとした曲だったかな?と錯覚する。ドライに歌っているのがすごくかっこいいんだよな~!

 

 

 

白い自転車

 かわいいBuzyだよ!!!!!!!!!!渡辺なつみさん作詞のBuzyはかわいい。新藤さん作詞だと「泣きたい夜に聞きたい言葉」はかわいい。

 青春!アイドル!みたいな雰囲気のある曲で、すごくかわいい。聴いていて元気が出る。世界が輝くような楽曲。

 あと「幸せになろう」って歌詞があって、そんなふうに言えるってすごいなぁと初めて聴いたときに思ったのを覚えている。恋愛や結婚の誓いの言葉的な意味じゃなくて、人生として「幸せになろう」って言ってるの。当たり前のことだけど、言葉にすると素敵だよね。

 

 

 

Buzy

 グループ名を冠した曲。あまりにも好き。最高にかわいい。「鯨」も好きだけど「Buzy」の最高の1曲を挙げるなら間違いなくこれ。

 本当一回聴いてほしい。聴いたらイントロから既にかわいいことが伝わると思う。女の子のアイドルが好きだったら結構刺さる何かがあるのでは?と思う。全員に歌唱パートがあるのも最高。

 かわいいんだけど「彼氏と別れて引っ越して一人でやっていくぞ」みたいな歌詞で、ちょっと切なくもある。切ないけれども、それでもやっていこう!という強い意志を感じる。「Buzy」が解散すると決まってから作られたものなのか、それとももっと前からあったのか私は知らないんだけど、「まずは自分をイチから始めてみよう」って明るく元気に歌う曲に自分たちの名前を冠するの、すごくぐっとくる。間違いなくこれはエモい。

 

 

 

 

 

 

 

 私はBuzyのCDは買っていたけどライブには行ったことがなくて(お金ない学生だったしそもそもどうしたら行けるのかもよくわからなかった)、その程度なのでBuzyを惜しむ資格はないのかもしれない。でもこうしてサブスク解禁されて、気軽に聴けるようになって、だったらもっと聴いてほしいなって言うくらいは許されるかなぁと思って記事を書きました。

 

 昔聴いてたな~って人も、新藤さんが作詞してたって聞いたことあるなぁって人も、女の子アイドルが好きな人も、とにかくみんなBuzyを聴いて!!!!!!

 

 

 オススメとしていくつか抜き出したけどそもそもBuzyの曲はそんなに多くないから全部聴いてくれ!!!!!!!!

 

open.spotify.com

2019年に読んで面白かった本

 

 今年もよろしくお願い致します。

 2019年も沢山読みました。2018年は2月から読み始めて183冊だったのですが、2019年は1月1日からカウントして227冊でした。よう読んだな。一日平均0.6冊です。

 

 

 

 

 

『グラン・ヴァカンス』飛浩隆

 今年読んだなかで一番面白かった本を決めるならこれかなぁ。

 飛浩隆作品を読む前の自分には戻れない、と思うほどの作品。ていうか飛さんの作品全部最高すぎてびっくりする。なんで私いままでこの人の本知らなかったの?最高にもほどがあるよ。

 こんなに美しく残酷に絶望を描くなんて最高では?物語は人が訪れなくなったVR世界の話。ゲストが来ることが存在意義だったのに、そこにはもう誰も来ない。誰も来ないなかで、NPC(ノンプレイヤーキャラ。人が操作しないキャラクターのこと)たちを恐怖が襲う。誰も来なくなったVR世界が滅んだって誰も来ないんだからわからないじゃないですか。でもVR世界のキャラクターたちは精一杯抵抗するんですよ。でも抵抗したところで彼らを襲うのもまたNPCで、そもそもこのVR世界は自身の嗜虐性を発散するために作られた場所で、そんな世界にゲストが戻ったところで幸せなのか?ていうかNPCのキャラクター設定としてみんなひどい過去をもっているからゲストが来ても来なくても救われない。マジで全然誰も救われない。どん詰まりの地獄をさらに煮詰めたみたいな地獄。最高です。みんなもっと地獄を読もうよ。美しい地獄ですよ。

 私は本を読んで情景を思い浮かべることができない(というか視覚認知が弱くて「思い浮かべる」ことができない)のだけれど、緻密に計算されたとしか思えない飛さんの文章を読んでいるとなんとなく「あ、こういうことかな」というものが見えてくる。思い浮かべることができない人間の脳をこじあけて限界超えさせるやばい小説です。

 飛さんの作品は短編集も読んだけど全部やばい。この人の本はやばい。是非とも読んでほしい。『自生の夢』は伊藤計劃をモチーフに(モチーフって言い方もどうかと思うけどオマージュというよりはモチーフ)している作品もあってとても面白かった。

 

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

『自由なサメと人間たちの夢』渡辺優

 どこかダメな人たちの「夢」にまつわる話と、最後にサメの話が入った短編集。

 出てくる人たちがみんなどこかダメ。THE向上心!みたいな生き方をしている人から見たら全然理解できないんだろうけど、私のようなダメな人間は共感してしまう。だって私にもそのダメなところあるもんな……と頷いてしまう。ダメだけど、前向きに生きてるわけじゃないけど、まぁでも生きていこうかな、みたいな、そんな温度が心地いい。

 ホラーテイストな話もあるし、星新一的な世界観だなと感じる話もあるし、最終的にスカッとする話もあるし、さまざまな味のドロップのよう。そしてそれを締めくくるのがサメの話。

 サメが主人公の話で、「吾輩はサメである」的な雰囲気。サメが最終的に辿り着く「生きる意味」「生まれた意味」は、あまいにも清々しくて美しくてうっかり泣いてしまう。自分が思った以上に感情を動かされる一冊だった。

 

自由なサメと人間たちの夢 (集英社文庫)

自由なサメと人間たちの夢 (集英社文庫)

  • 作者:渡辺 優
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/01/18
  • メディア: 文庫
 

  

 

『かわいそうだね?』綿谷りさ

 綿矢りさといえば、比較的近い世代でありながら若くしてデビューした人、という印象だった。中高生の頃の私は人が死ぬ小説以外楽しめないってくらいにミステリとエンタメに傾倒していたので、綿矢りささんの小説にはのめりこまなかった。『インストール』『蹴りたい背中』は読んだけど、そこまで印象にも残らなかった。

 で、恋愛小説なども楽しめるようになった今、森見登美彦氏のエッセイにて綿矢りささんと再会し、「え!?あんな四畳半大学生を書く人も読むの!?」と謎の驚きを感じ、せっかくだし読んでみようと思い立つ。

 ……めちゃくちゃ面白い。私が思っていたのの100倍くらい毒々しくて、痛々しくて、ここには「ひと」が生きている。恋愛的修羅場に立ち会ったことがないのでこれがリアルかどうかとか、そういうことはわからないけれど、この作品に込められた感情は「生」だと思う。主人公が彼氏の元恋人に向ける感情や視線の生々しさは、そういう経験がない私にもわかる。

 綿矢りささんの作品はいくつか読んだけれど、どれも毒々しい生々しさに満ちていてすごく好き。まだ読んでいないものもあるので読んでいきたい。

 

かわいそうだね? (文春文庫)

かわいそうだね? (文春文庫)

 

 

 

『ウチらは悪くないのです。』阿川せんり

 渡辺優さんと同じくアンソロジー『行きたくない』で出会った作家さん。大学にてだらだらすごす二人の女の子の話。開き直るようなタイトルだが、実はそうではない。強がりでもない。単純な事実として「悪くない」のだ。

 これは別途感想を書いているのでそちらをご参照ください。

 

penguinlibrary.hatenablog.com

 

ウチらは悪くないのです。

ウチらは悪くないのです。

 

 

 

『天冥の標』 小川一水

 完結したら読もうと思ってたら完結したので読むことにした。シリーズがパート10まであり全部で17冊あるので頑張らないと読めないのではないかと思っていたが、各巻が割と独立した話なので比較的楽に読めたし、終盤は一気に読みたい感じだったので一気に読んだ。

 とにかくすごくて、このシリーズを読めたことが幸せだと思えるし、読んでいない人は何も知らない状態から読めるなんて幸せだな……とも思う。

 感想は別途書いたのでそちらをご参照ください。「つよいちからでまもっていこう。」は合言葉。

 別途感想を書いているのでそちらを。

penguinkawaii.hatenablog.com

 

 

八咫烏シリーズ 阿部智里

 前述の『天冥の標』がこの世に私が生まれたこととこの世にこの作品が生まれたことを静かに神に感謝するタイプの面白さなら、「は?面白いんだが?」とキレ散らかすタイプの面白さがこの八咫烏シリーズである(感じ方には個人差があります)。

 伏線というか、最後のほうまで明らかにせずに引っ張っている謎的な部分もあるが、大抵は途中でなんとなく気づくことも多い。が、そんなことは問題ではない。だから何?って感じ。先が読めたとして、この壮大なシリーズの面白さの本筋は邪魔されない。ファンタジーのもつ可能性に、ボコボコにタコ殴りにされる気持ちよさがある。タコ殴りにされながら「は?面白いんだが?」とキレ散らかすのが私である。

 それに、先が読めてもまだその先にこの作家特有の(いい意味での)意地の悪さが潜んでいることもあるし。何が嘘で何が本当なのかわからない意地の悪さ、好きです。シリーズ第二部も始まるらしいので楽しみ。

 これも別途感想を書いているのでどうぞ。

penguinkawaii.hatenablog.com

 

 

十二国記シリーズ 小野不由美

 天冥の標を読み始めたときに、「あ、これ私十二国記読めるな」って天啓を受けたんで再読しました。新刊も出ることだしね。中学時代にホワイトハートで出ているだけ全部読んだはず。

 改めて読んでみると、思ったよりも少女小説だったことに気づく。最初はいたって普通のひと(=愚かなところもあるし、自分勝手だったりもする)がだんだんと成長していくところを描いていて、恋愛をメインに置かないだけで全然少女小説の文脈なんだよな……と思った。だんだんと既刊が増えていくごとに少女小説の文脈から離れていくようにも思われたが、最新刊のひとつ前の話『黄昏の岸 暁の天』なんかも李斎の成長物語だったりする。

 で!最新刊の『白銀の墟 玄の月』ですよ。この話は「消えた王様を探す話」であり、なかなかミステリ要素が濃い。まるで『指輪物語』のような濃厚ファンタジー世界(かつめちゃくちゃ重い話)が展開する。泰麒という異例だらけの麒麟によって、今まで築かれてきた十二国記の世界が揺るがされていくのも面白かった。小山さんとか好きそうな感じするから再アニメ化しないかな~!

 

月の影  影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

  • 作者:小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/06/27
  • メディア: 文庫
 

 

 

金椛国春秋シリーズ 篠原悠希

 なんとなく面白そうだなと思って読んでみたら大当たり。完結していないシリーズものを読むのって個人的には博打な部分があるんだけど、これは思いきり当たりだったなと思う。

 中国風の架空の国、金椛国。この国には王の后に選ばれると外戚をつくらぬために一族が皆殺しにされてしまうという法がある。叔母が后に選ばれたため、星家は潰されることとなり、体の弱い少年・遊圭のみがかろうじて生き残った。走れば息が切れるしすぐに熱を出すし、そんな彼が以前助けた明々という女の子に連れられ、女装して後宮に勤めることになって……という話。4巻からは新章に突入し、今までは後宮のみでの展開だったのが世界がどっと広がる。

 設定だけ見てみるとなかなかラノベっぽい軽さを感じるが、文章が結構かためなのでラノベの軽さと歴史小説(架空の国の話だけど)のかたさのいいとこどりをしたような感じ。「十二国記」シリーズが漢文調でだいぶかたいのでそれに比べると多少のやわらかさはあるものの、すごくしっかりとした文章になっている。

 主人公の遊圭はできることが次第に広がるにつれて様々なことに興味が出てくるところが素直でかわいい(そして頭が良いので大抵のことはできる)。あれこれと興味をもつ彼につられて読者も好奇心をくすぐられる。

 

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

 

 

 

螺旋プロジェクト

 伊坂幸太郎さんを中心に、複数の作家が世界線とテーマを共有して書かれた作品群。伊坂さん・朝井リョウさん以外は初めて読む作家さんばかりだったので、新たな世界に触れられてとてもよかった。いろいろなタイプの「小説の面白さ」が詰まっているので、もし好きな作家だけ読んでいる場合には是非ともプロジェクトの作品を通して読んでみてほしい。以下、いくつかピックアップして紹介。

 『ウナノハテノガタ』大森兄弟:古代を描いた作品なので、固有名詞をあまり出さずに書いているところが面白い。たとえば海は「ウナ」、太陽は「オオキボシ」など。最初はよくわからない言葉も、読んでいくうちにこれのことか、とわかってくる。こういう体験は滅多にできるものではないと思う。そういう意味でもとても面白い作品。

 『月人壮士』澤田瞳子聖武天皇崩御したときの話を、聖武天皇の周囲にいた人々から聞くというスタイル(つまり書かれているのはインタビューした相手の言葉のみ)で書かれている。小説版FPSといった感じで、否が応にも物語に巻き込まれる感じがあった。人が語る言葉を文字で読むのはなかなかしんどい部分もあるし、時代が現代ではないからわからないことも結構出てくるものの、慣れてくると歴史上の人物たちから話を聞いている気持ちになって面白い。これも滅多にできない読書体験だと思う。

 『天使も怪物も眠る夜』吉田篤弘:時代的には螺旋プロジェクト最後の話。それ以前の作品は誰と誰が対立しているか割と明らかなのに対し、今作では漠然とした対立が描かれる。よく知らないけどなんか対立しているらしい、というような感じ。登場人物もページ数も多いが、それを感じさせないというか気づいたら読み終わっていて驚いた。文章の軽妙さも好き。文章も出てくる人たちもみんな飄々としているというかつかみどころがなく、ファンタジックでメルヘンな雰囲気を持っていてなんだかかわいい。

 

ウナノハテノガタ (単行本)

ウナノハテノガタ (単行本)

 
月人壮士 (単行本)

月人壮士 (単行本)

 
天使も怪物も眠る夜 (単行本)

天使も怪物も眠る夜 (単行本)

 

 

 

『エンドオブスカイ』雪乃紗衣

 彩雲国物語の作者・雪乃さんの新刊。遺伝子操作が可能になり、ヒトがなかなか死ななくなった近未来SFのガールミーツボーイ。

 読み始めてすぐに「雪乃さんの文章だ……」と思った。『彩雲国物語』が好きすぎて『レアリア』には手を出せていなかったのでとても久しぶりだったが、ついこのあいだも読んだような親しみがあった。地の文にあらわれる癖が心地よい。それに、主人公・ヒナが出てきてすぐ雪乃さんの書く女の子はかわいいんだということを思い出した。最高にかわいい。

 物語に関しても、都合よく展開する部分はあるにしても私の好きな展開だった。『彩雲国物語』のふたりが出会い互いを変えていったように、あのふたりが運命に翻弄されながらも幸せな日々を過ごしたように、『エンドオブスカイ』のふたりもまた運命に翻弄されながらも決して負けない。打ち勝つのではなく、運命とともに生きることを選ぶ。そんなふたりの姿がとても愛おしく思える作品だった。

 私は雪乃さんの作品が好きなんだと改めて認識する作品だった。今年読んだなかで一番好きな本を決めるならこれ。

 

エンド オブ スカイ

エンド オブ スカイ

  • 作者:雪乃 紗衣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

 

『ガーデン』千早茜

 植物を愛し人間と距離を置く男と彼を取り巻く人々の話。主人公は周囲の人々をどこか見下したような目で見ている(多分無意識)のが文章からひしひしと伝わってくるのがやばい。会社の同期、後輩、仕事で出会ったモデル、仕事相手の愛人などなど様々な女の人が出てくるが、最終的にはみんな彼から離れていく。それは彼が彼女らとまともに向き合おうとしなかった結果でもあるんだけど、みんな離れていくんだ……みたいな方向になってしまってお前~~~!ってキレ散らかした。態度でわかり合うことができるなんてほんのわずかで、離れてほしくないんならちゃんと言葉で示さないと。主人公はめちゃくちゃにそれを怠りまくっていて、なんなら外部との接続をシャットアウトしちゃっているような人で、そんなのみんな離れていくに決まってるじゃん……それなのに置いてきぼりにされたような顔しちゃってさ……という気持ちになる。でも人間って多かれ少なかれそういうわがままな部分ってあると思う。私も。

 咲き乱れる花は美しくもあるがどこか毒々しく、グロテスクな部分もある。それって人間関係もそういうものだよね~って思った。 

 

ガーデン

ガーデン

 

 

 

 

 

 今年はファンタジー寄りの選書だったような気がする。多分ファンタジーが読みたい気分だったんだろうな。あと去年は避けていたシリーズものにも手を出すことができた。けれどシリーズものって大きくひとつの話として捉えちゃうから読んだ本の一覧を見返して「これしか読んでなかったっけ?」という気持ちになった。

 いろいろと読んできて、読書ってすればするだけ読み解く力がつくんだなと思った。別につけようと思って読んでいるわけではないけど、「ここでこういう描写を入れるところが上手い」とか「こういう構成って上手いよな~」とか、そういうテクニックの部分がわかるようになってきたというか。ただただ面白いなって思って読んでいるだけなのにいつのまにか身についていた。

 何冊読むぞ!とか思っているわけではなく、漠然とまぁ年間200はかたいでしょうと思っている程度なので冊数がどうこうというわけではないが、たくさん読んだという達成感はある。日頃そんな達成感あることなくない?読書の習慣を再開してよかったと思う一番はこれです。

 

 

 あと私の2018年ベスト本である『ゲームの王国』が文庫化されたので絶対読んでください!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA)

ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA)

 
ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA)

ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

2019年映画まとめ

 なんか今年いっぱい映画行ってるな(当社比)って思ったので記録がてらまとめ。ミーハーなのでマニアックな映画はないです。わかりやすい画面が好きです。

 

 

 

 

 

1月

01:仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER

 感想は別途書いているので省略。

 

penguinkawaii.hatenablog.com

 

 

02:クリード 炎の宿敵

 1も見たので。ロッキーはなんとなくしか知らないんだけど、胸が熱い展開であることはわかった。普段は若い人が観に行くことが多い映画ばかり観ているけど、この映画は自分の父親かそれ以上くらいのおじさんたちが結構観にきていて、クライマックスやラストでは感極まっている人も多くて、きっとこの人たちはロッキーシリーズが好きだったんだろうな……って勝手に想像してぐっと来たりした。

 試合シーンがめっちゃ熱いし、人間ドラマとしても面白かった。『あゝ、荒野』も面白かったし、私たぶんボクシングの映画が好きなんだと思う。

 

 

03:ファースト・マン

 新藤さんがコメント(「アポロ」の「本気で月に行こうって考えたんだろね」の部分を引用していて最高のコメントだった)を出していたので観に行った。音と映像が凄まじくて、宇宙船を出て月に降り立つあたりの鳥肌がやばかった。映画館であんなに無音になることある?空気なくなったのかと思って心なしか息しづらくなった。4DXとかじゃないのに臨場感がすごい。宇宙めっちゃ怖いな……って思ったし、あんなに怖いのに本気で月に行こうって考えた人がいるんだな……って思った。

 あとライアン・ゴズリングの影背負ってる感がすごい。

 

 

 

3月

04:グリーン ブック

 実話をもとにしているそうだが、とてもポップな作りになっていて(多分実際はこんなにポップじゃないと思うんだけど)、このポップさが私のような普段あまり考えていない人間にも人種差別の問題がどのようなものかを伝えてくれて、とてもありがたいなと思った。笑える場面もあるし、シリアスな場面もある。バランスがすごくよかった。

 明らかに「重たいですよ」という雰囲気を出されるとしんどそうで「観たい!」とはあんまり思わない人間なので、こういう映画はすごく好きだしありがたい。軽く観に行けて、考える種を心にまいてもらったような、そんな気持ち。

 

 

05:ドラえもん のび太の月面探査記

 辻村深月さんが脚本を担当するということで観ないわけにはいかなかった。案の定べそべそに泣いて帰ってきた。辻村さんの描く他の作品とも通ずる「友達」観が今作にも活きていて、これは辻村さんがドラえもんから学んだことだったのかもしれないなとも思った。私の憧れの人が憧れに届いたところを目撃できちゃって、幸せだなあ。

 

 

 

5月

06:名探偵ピカチュウ

 ピカチュウがもふもふでかわいい。話は子供向けというところもあるのか単純なので読めてしまう部分はあるけれど、それでも全然面白かった。ていうかポケモンが自然にいる世界を見られただけでも全然価値があったなって思う。

 

 

 

6月

07:プロメア

 滅殺開墾ビーム。2時間という限られた時間の中での話の展開がすごくよかった。見ていて気持ちよくなる「お約束」がしっかりと守られていて、そうそうこれを見に来たんだよ!って気持ち。ここぞというところでくるガイナ立ち、ほんと気持ちいいよね……堺雅人さんが無双しているのも気持ちいいし。ロボットかっこいいし。ロボットバトルのシーンとかめっちゃいきいきと描かれてたし。

 しかも脚本もしっかり練られていて、バーニッシュと呼ばれる人たちに対する差別の描き方やクレイとガロの関係性(ガロがああ見えて単純な脳筋なキャラではないところとか)など、深い部分まで考えたくなるところもすごく良かったなと思う。

 

 

08:アラジン

 吹替→字幕→吹替で計3回。山ちゃんのジーニーなんて良すぎるに決まっている。良すぎました。最初観るまでガイ・リッチー監督の作品だって知らなくて、もっと早くに言ってくれよ~って思った。下調べ不足である。シャーロックホームズもコードネームUNCLEも好きです。

 ジャスミンの歌「スピーチレス」は最初吹替で見たときはそこまででもなかったけど、字幕→吹替と経たことで最終的に泣いてしまった。あと「ホールニューワールド」は吹替も字幕も最高。私の憧れるロマンスがそこにある。何度聴いても鳥肌が立つ。

 音楽が命の映画はやっぱり映画館で観るに限る。家ではこの音の圧は再現できないからなぁ。

 

 

09:劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム

 感想は別途書いたので省略。

 

penguinkawaii.hatenablog.com

 

 

7月

10:ダイナー

 蜷川実花さんの映画、過去に「さくらん」を見たことがあったのでなんとなくあんな感じだろうなというのはイメージしていたんだけど、イメージ通りだった。つまり好き。色彩と美で画面を埋め尽くすスタイル、好き。ビジュアルが気持ちいい映画ってそれだけで見ていて気持ちよくなれるし。こういう映画があってもいいよねって思う。私としてはラストも割と好きな終わり方だった。

 それにとにかく真矢ミキさんが恰好いい。宝塚時代を彷彿とさせる男装とアクション、そして真矢さんが従えている側近も宝塚出身の方々で固めていて(個人的には真琴つばささんの姿にテンションが上がった)……好き……恋……

 NEWSもこんな感じの映画に出て欲しいという気持ちが抑えられない。出て。

 

11:トイ・ストーリー4

 吹替版で観た。感情豊かな唐沢さんのウッディと、ちょっとぶっきらぼうな所さんのバズが好き。ディズニーもピクサーもすごく好きってわけじゃないのに、シリーズ全部観ているくらいにはトイ・ストーリーが好き。個人的には3が一番好き。私はぬいぐるみを友達って呼んでるしよほどのことがなければさよならはできない体質なんだけど、そんな人間がトイ・ストーリーを好きじゃないわけがないんですよね。そういうことです。

 賛否両論という前評判を聞いていたのでラストはなんとなく予想がついたが、おもちゃにとっては「気に入って遊ばれること」が一番で、もしそうじゃなくなったなら新たな生き方を探すというのもアリなのかなぁと思った。ウッディとバズのシンメが離れ離れになっちゃったのはちょっとね……しんどいけど……二人の友情はそんなことじゃ壊れないからさ……

 あとギャビーの行く末とかフォーキーにウッディの精神が受け継がれているのとかも泣いちゃうよね……でも泣くだけじゃなくて笑えるポイントがいくつもあって、映画館も笑いに包まれていて、笑いと泣きのバランスがすごくいいなと思った。

 

 

12:天気の子

 めちゃくちゃ好き!!!!!!

 世界なんてどうでもいいから君を選ぶという話を、こんなに美しい絵で、こんなに清々しく描き切っちゃったら最高としか言えない。東京が水没したってその結果住むところがなくなる人やもしかしたら亡くなる人だっているかもしれないけどそれでもよくて、とにかく君を選ぶんだっていう、そんな選択ができちゃうことが清々しい。主人公の穂高も陽菜さんも「こども」だから、世界や社会のことを全然知らないから、世界を拒絶して僕らを選べる。そのエゴがめちゃくちゃ気持ちよかった。世界のために犠牲になるくらいなら世界のほうを犠牲にしたっていい、というエゴ。まっすぐであることを突き詰めるとエゴに辿り着くのかもしれない。

 「君の名は。」はどちらかといえば君を救ったついでに世界(この場合は村だけど)が救われる話だったので、あの映画のあとにこれ作っちゃう新海さんのことは嫌いじゃないな~って思った。世界や社会に組み込まれている人間から見たら狂気としか言えない穂高たちの決断をあんなに美しいラストシーンで飾ってしまえるなんて、最高だよね。ふたりが輝いているのは、踏み台にした世界のうえに立っているからだよ。

 

 

 

8月

13:アルキメデスの大戦

 2回観た。菅田くんが主演なうえに山崎監督の映画だぞ!!!観ないわけあるか!!!という映画。私は「ジュブナイル」以来山崎監督のファンなので……。しかも菅田くん以外のキャストはおじさんがほとんどで、ぶっちゃけ地味である。つまりこれは「売る」ための映画ではなく「売れる」映画である。これはきっと監督が撮りたいものを撮ったんだろうと予想して、すごくわくわくしながら観に行った。

 も~~~最高!着流し、詰襟、軍服とさまざまなパターンの菅田くんが楽しめる。基本デコ出しスタイルなのも最高。あと菅田くんの鼻の頭が見切れてるシーンがあったけど監督のフェチでしょ。最高でした。

 菅田くんだけじゃなく話も最高。最初に大和が沈んでいる時点で菅田くん演じる櫂は戦艦を造るのを止められなかったんだなってわかるので、いかにして止めようし/いかにして止められなかったかが映画の焦点となる。見てる人は最初から絶望するとわかっていて絶望しにいくわけだ。最高。いい絶望でした。しかもこの絶望もただ「止められませんでした」じゃないところがいい。櫂が海軍を去らないのもいい。真実を知っていて、華々しく船出をする大和を見つめた櫂の目に映っているのはなんだったんだろう。無情エンドって感じで最高でした。あと菅田くんの顔が本当にいい。

 冒頭の大和が沈むシーンで、後ろから飛行機が撃ってくる音が聞こえるんですが、なかなかに生命の危機を感じて臨場感がすごかった。やはり映画は映画館で観たい。

 

 

14:ライオン・キング

 何がCGで何がCGじゃないのか全然わからないんだけどもしかしてフルCGなの?人間の目騙されすぎでは?怖くて詳細を調べられない。

 劇団四季の「ライオン・キング」がはちゃめちゃにいい(演出も音楽もなにもかもがよすぎる)のであれに比べると若干な……という部分はあるけどこのレベルのCGが見られるだけでもう楽しい。

 

 

 

9月

15:引っ越し大名!

 「超高速!参勤交代」を観に行って以来、コメディ路線時代劇がどうも好き。「引っ越し大名!」は「超高速!参勤交代」と脚本の方が同じということで期待もありつつ観に行ったが、外さない面白さ。全体としてはコメディだが、ぐっとくるところはぐっとくる。緩急のつけ方がよく、笑える場面の振り切り方もよかった。星野源さんの巻き込まれ男感が「地獄でなぜ悪い」を思い出したが、あの人本当巻き込まれるの似合うな……。高橋一生さんを脳筋キャラにするのもなかなかいい。ミステリアスなところなど少しもない、豪快に笑う高橋一生が見られるのは多分珍しいと思う。

 

 

16:HELLO WORLD

 今の時代「わかりやすいもの」が流行るのだと私は思っているんだけれど、そんなご時世にこんなわかりにくい(多分一回でわからせる気などさらさらない)映画を作るのすごいな!という気持ちになった。

 松坂桃李くんの声の幸薄い感と北村匠海くんの未来溢れる少年の声の対比がすごく良かった。桃李くんの声、かなしい過去を背負いすぎだし絶対未来開けてない感があって、遊戯王の話してる人と全然違うじゃん……って思った。役者ってすごいね。

 物語自体はSFで、世界の多重構造に興奮した。世界の上に世界があってさらにその上にも世界があるの、最高。脳がギュンギュン回って話を理解しようとしているのを感じた。わかりやすい映画も好きなんだけど、「で、これはどうなってるんだ?」って映画見てる途中に思っちゃうような映画も好き。

 それと「君」と「世界」を天秤にかけたときに迷いなく「君」を選べるところにセカイ系のにおいを感じた。今年は「天気の子」もそういう話だったし、セカイ系の波がきてるのかな。

 

 

 

10月

17:アイネクライネナハトムジーク

 公開館多くないし上映会も多くないしで地味に観に行くの難しかった。でも観てよかった!

 原作は派手な事件が起きるというよりも小さなことが積み重なって奇跡が起きるタイプの話なのでどう映画にするんだろう?と思ったけど、概ね原作の温度を保って映画化されていたように感じられた。エピソードは多少改変されているものもあったけど、そこまで不自然でもなかったかな。ただ、斉藤さんについてはちょっと説明が欲しかったなぁという気もする。映画で初見の人にはこの人だけ年取ってないことに理由がないから戸惑わないかな。

 大きな事件が起きないからこそ、些細な描写がすごく大切になる。この映画の中にはいくつかのカップルが出てくるが、相手のこういうところを愛しく思うのだろうと伝わってくる場面が沢山あった。佐藤くんは紗季ちゃんが観葉植物に水をあげている姿がきっと好きなんだろうし、紗季ちゃんは佐藤くんのお人よしで鈍感なところが好きなんだろうなって。そういう場面がいくつも積み重なって映画を構成していた。そのせいで夫のことが愛しくてたまらなくなってしまい、今すぐ夫に会いたいのに10日間の出張中で会えないのがもどかしかった。

 それに、何もかもが伏線となるような台詞回しがめちゃくちゃ良かった……それが自然に彼らのうちから出てくるのがなんだか納得できるところもよかったなって思う。

 主題歌は斉藤和義。劇的なものを「良い」と表現するのなら、この映画も出てくる人たちの関係性も「悪くない」。それをストレートな言葉で書いた歌詞がとてもいいな、いや悪くないなと思う。

 

 

18:HIGH&ROW THE WORST

 何を隠そう、私は「クローズZERO」がめちゃくちゃ好きだった。それまで殴り合う映画は特に見たことがなかったのだが、安心して観られる殴り合いに血が沸いたことをよく覚えている。アクション映画の殴り合いって見せるためのものだからめちゃくちゃ恰好よく作られてて安心できる。理不尽な暴力は嫌いだけど、不良映画の殴り合いには大抵「大義」みたいなものがあるので。

 たぶん私が鬼邪高が好きなの、「クローズZERO」が好きだったからなのかな~って思ったりした。勿論村山さんがハイロー界の推しであることもそうだけど。村山さんの飄々としていながらもカリスマ性がある感じ最高では?

 今回の映画は鬼邪高全日VS鳳仙がメイン。絶対どこかで見たことあるかわいい顔の子がいるなぁと思ったら佐藤流司くんだった。全日の皆さんのそれぞれの話も熱い。物語の軸としては幼馴染6人組を中心に展開していて、お勉強ができて頭のいい学校に通う子もいて、彼は喧嘩ばかりしていたり頭がいいわけではない幼馴染たちのことを尊敬しているから自分の道(=頭いい学校に通うこと)を選択しているんだって思うとぐっときた。しかも頭いい学校で成績1位ってことは彼もある意味「学校のトップ」なんだよな……って思うとより熱い。

 定時の方々はあまり出番がないのだけど、それでも派手な見せ場は容易されているし村山さんは結構出てくる。村山さんが建設現場でバイトするのめっちゃわかる~~~って思ったし、最後に退学してバイク乗ってるとこ見て免許取れてよかったね……ってちょっと泣きそうになった。

 不良学園モノのエモいところはたとえその学校のトップになったとしてもいずれ卒業(村山さんの場合は退学)していくというところにあります。SWORD地区の他の勢力との差別化という意味で、その魅力がすごく活きているなぁと感じた。私が「クローズZERO」を好きなのもそういうことなんですよ……実際芹沢も源治も卒業しちゃったし。いつか終わりが来る時代を駆け抜けるっていう、そういう熱さがある。

 

 

19:蜜蜂と遠雷

 原作読んだときに、これが本屋大賞直木賞っていうのがすごいなと思った。世に出ている小説のうち、私が読んだことのあるほとんどの小説は「物語」に焦点を当てていた。しかしこの作品は少し違って、勿論「物語」をおろそかにしているわけではないけど、それ以上に「文章の技術(による音楽の再現)」に重きを置いていたように感じられたからだ。

 なので映画化するときに「物語」が強化されるのではないか?と予想していたのだけれど、あくまで「音楽」に寄せたつくりになっていて、そこには原作への敬意があるように思えた。「音楽」に振り切りすぎて話がよくわかんない部分(なぜか急に4人が仲良くなってるとか)はあったけど、この映画は「物語」よりも「音楽」に重きをおいたから重要じゃない部分は切り捨てて然るべき、なのかもしれない。原作でも塵はあまり「物語」を背負わない子だった印象だけど、映画では特に亜夜と明石が「物語」担当だったのかなと思う。しかし亜夜が全然語らないので実質明石が「物語」担当かな。明石の「物語」はすごく一人称なのに、亜夜の「物語」は三人称みたいな印象を受けた。

 コンクールでピアノを弾いている場面ではコンクールで弾いている(=ライブ音源)かのような調整がなされているのだと思う。そうなるとレコーディングして調整された耳に馴染む音ではなく生感を強調しているわけで、人の「思い」がこもった生の音が再現されているように感じた。だけどそれを2時間ほぼずっと聴いていると繊細メンタルはめちゃくちゃ疲れてしまった……。

 「春と修羅」のカデンツァが4人分聴けたのはすごく良かった!正直、私としてはここが一番好きなところなので、ここに時間を割いてくれたのが嬉しい。

 

 

 

12月

20:決算!忠臣蔵

 私の忠臣蔵知識は戦国鍋の楽曲(若手俳優が歴史上の人物に扮して歌ったり踊ったりするやつ)の「討ちたいんだ」から得たもので、大石内蔵助率いる赤穂浪士吉良上野介を討つことはわかっていたけど、あとはもう歌の歌詞としてしか知らなかったので答え合わせをしている気分だった。堀部安兵衛が出てきたときのお前が堀部安兵衛か!感が一番強かった。ちなみにAKR47の堀部安兵衛は間宮くんです。あと討ち入りの人数が多すぎて予算がないから「討ち入りします!」って書いた紙を返していく場面で「これが神文返しか~!」ってなった。詳しくは知らなかったから普通にストーリーも面白かったな~!

 キャストはみんなすごく良かった!物静かで暗めの岡村さんとギャンギャンうるさい堤さんというコンビも良かった。妻夫木さんは異様にいい声だし、濱田岳さんはかわいいし。さとみが出てきたときは「さとみ~~~!!!」って感じに上がった。芸人の方々も沢山出ていたけどみんないい感じだった。あと本当に濱田岳がかわいい。

 中村監督は緩急のつけ方がいい。全体的にはギャグ調なんだけどシリアスな部分はシリアスで重たい。今回はシリアスな場面はそこまで多くなかった(岡村さんが刺されるあたりくらいかな)ので、そこがすごく際立っていた。中村監督の映画、好きだなぁ。

 

 

21:ぼくらの7日間戦争

 大人になりたくない派なので観に行かないといけないと思った。小説のほうは昔読んだなぁ。

 想像以上に面白かった!SNSが出てくる場面も多々あり、物語は現代バージョンにアップデートされていて、ありえるかもしれないラインの「現代の子どもたちの籠城」を描いていたように感じた。きっとこういうSNSを使っているということもいつか過去のものになるのかな……なんて思ったりした。時代を反映している感じがして、その「今」の切り取り方が物語のテーマにも合致しているようですごくよかった。

 この先のことなど考えずに籠城する子どもたちを見て、大半の人は「未来を捨てたんだな」って思うんだろうと思う。私もリアルにこんな事件が起きていたらそう思うかもしれない。けれど、彼らは未来を捨てたわけじゃない。そんな不確定なものを大切にするより、「今この瞬間」を大切にしているだけに見えた。だから彼らには過去も関係がない。過去や未来よりも「今この瞬間」が大切だというメッセージはすごく共感した。私も割とそうだし。大事なのは「今」だよ。

 子どもたちの人間関係もすごくいいな~と思った。私は恋愛感情が友情の上位互換だとは思わないし、その逆も思わない。それぞれ独立した別個のものだと思っている。そのうえで、恋愛感情を乗り越えた先にあるような友情にすごく惹かれる。たとえば『ハチミツとクローバー』のはぐちゃんと竹本くんのような。なので、守と千代野さんの関係がすごく好き。恋愛として向けられた期待には応えられなくても、その人が大事なことに変わりはないというか。そういう関係性がすごく好きなのでこの映画にそれが盛り込まれていることがすごくいいなと思った。

 

 

22:屍人荘の殺人

 まだ公開中だから詳しいこと言えないけどミステリというより〇〇〇モノ。

 原作を読んだとき、ナントカ荘ってつく時点でミステリのおたくとしてはオッケー館モノのミステリねみたいな気持ちになってしまうんだけど、全然そういう方向性じゃなくてびっくりした。

 どう映画にするんだ?と思ったら、原作よりもギャグ要素が増えて笑える場面が多くなっていたし、原作で疑問に思った部分が削ぎ落とされて非常にスマートな脚本になっていた。映画の尺に収めるためのカットや改変というところもあるのだろうけど、それが概ね自然になされているところが良かった。一部気になるところもあったが、改変によるスマートさ/コンパクトさ/わかりやすさ/納得のしやすさと天秤にかけたら全然許せるレベルだなって感じ。エンドロールを見ていたら脚本が蒔田さん(TRICKとかの人)、監督が木村ひさしさん(ATARUとか民王の人、TRICKにも携わっていた)でなるほど~~~!!!って思った。

 浜辺美波さんがとにかくかわいくてそれだけで見る価値があるくらいかわいい。ビジュアルは勿論のこと、喋ったり動いたりすると更にかわいい。途中で話そっちのけで「かわいい……」って気持ちに支配される場面が何度かあった。かわいい。

 ちなみにこの作品のヒロインは神木くんです。

 

 

23:ジュマンジ ネクストレベル

 夫が好きなので一緒に観に行った。面白いのに他の作品に押されてか上映会数がめちゃくちゃ少なかった……

 前作がすごく面白かったからその続編となると若干蛇足みたいな部分がどうしてもでてきてしまって、今回は主人公のおじいちゃんもプレイヤーとしてゲームに入ってしまうんだけど、おじいちゃんがゲームのルールわかってなさすぎて全員死亡ルートか……?ってひやひやした。

 登場人物を増やした分、人間ドラマ的な部分も描く必要があり、ちょっと詰め込みすぎかなぁという雰囲気はあったが、大いに笑って大いにどきどきしてとても楽しかった。ゲーム内キャラを演じている人たち、プレイヤーが変わったら演技が全然違うのマジですごいよね……プレイヤーたちの性格が被らないようにされているのは勿論だけど、それにしたってすごい。

 あと「Welcome to JUMANJI!」の人のNPC感が毎度すごい。どう見ても絶対に人が入っていない。

 

 

24:ルパン三世 THE FIRST

 今年の映画納めはルパンでした。私は山崎貴監督の映画がとても好きなのでほぼ観ているんですが、ドラクエはあんまりにもボコボコに言われすぎて怖くて見られなかったので……ルパンは普通に面白かったよ!!!とても好きな監督なので楽しい映画を撮ってくれてすごく嬉しかった。でも監督がボコボコに言われるとメンタルにくるからもう少し仕事を選んでくれてもよいのにな……とは思う。でも好きなんだけどさ……好きだからやりたいようにやってくれって思うのも本音なんだけどさ……

 山崎監督がやるCGアニメ映画、キャラデザが毎度すごく好きなんだけど今回も良かった!不二子ちゃんはセクシーダイナマイト(だけどいやらしくないのがすごい)だし、五右衛門はシュッとしててかっこいいしルパンは言わずもがなだしなにより次元がやばい。恋してしまう。帽子とった次元めちゃくちゃかっこよかった……ゲストキャラであるレティシアもかわいかったし広瀬すずちゃんの声もよかった〜!

 物語もわかりやすくて面白かったし、最後の戦いのあたりはCGだからこその迫力ある画面だった。ちゃんと面白い映画だっていくらでも作るんだよな〜これだから監督のこと好き……って改めて思った映画でした。

 

 

 

 

 

 こんなに見るなら上半期と下半期で分ければよかった!

 

 そもそもが映画を観る家庭に育った(母がエンタメ好きなので)けど、洋画も観るようになったのは加藤さんのおたくになってからだ。じっくり考える映画よりはドーン!とかっこいいエンタメが好きだから観るものもそっちに寄っちゃうけど、まぁなんか加藤さんをきっかけにこんなふうに映画をたくさん観るようになれてよかったなぁと思いました。

 たぶん今年私が見た映画に一番出てたのは浜辺美波さん。かわいい。